原左都子エッセイ集

時事等の社会問題から何気ない日常の出来事まで幅広くテーマを取り上げ、自己のオピニオンを綴り公開します。

藤井聡太2冠の“高校自主退学”に思うこと

2021年02月21日 | 自己実現
 本日は、東京都立高校の入学試験日のようだ。

 我が家の娘に関しては、中高一貫私立を受験し入学したため都立高校受験は経験しておらず、親の立場でのその経験も自ずと無い。



 冒頭から、表題に関するネット情報を引用しよう。

 日本将棋連盟は16日、将棋の藤井聡太2冠(王位・棋聖=18)が今春、卒業を予定していた名古屋大教育学部付属高校(名古屋市)を1月末で自主退学したことを発表した。今後は将棋に専念するというが、なぜ、あとちょっとで卒業なのに退学したのか。天才高校生棋士として活躍した裏側で、対局スケジュールによって多忙を極めていたことも事実だ。プロ棋士も「それでもこの時期に退学とは…」と驚きをあらわにする。
 藤井2冠は、昨年秋には退学の意思を決めていたという。
 連盟を通して「タイトルを獲得できたことで将棋に専念したい気持ちが強くなりました。秋に意思を固め、数回学校と話し合いをした上、1月末日付で退学届けを提出いたしました。一層精進していく所存ですので、今後ともよろしくお願い申し上げます」とコメントした。 
 藤井2冠は名古屋大教育学部付属中学に在学中の2016年10月、最年少の14歳2か月でプロ入り。17年に最多29連勝を達成し、社会現象を巻き起こした。18年4月に中高一貫校の高校に進学。高校在学中の昨年7月、棋聖戦5番勝負を制し、最も若い17歳11か月でタイトルを奪取。同8月には王位を獲得し、最年少の18歳1か月で2冠に輝いた。
 藤井2冠は昨年、王位戦7番勝負と棋聖戦5番勝負の対局のために地元の愛知から遠征を重ねるなど、多忙を極めた。そのために、一部では出席日数が足りていなかったのではとの推測もされている。それにしても、あと1か月ちょっとで卒業だったのに…。

 (以上、ネット情報より引用したもの。)



 元高校教諭でもある原左都子の私事と私見に入ろう。

 高校とは義務教育の小中学校と異なり、卒業要件としての“出席日数”や“学業成績”が卒業認定の基準となる。
 これらが卒業認定基準に満たない場合、自動的に退学措置が執られる。

 我が高校教員時代に受け持っていた生徒の中で、「出席日数」不足にて退学措置となったケースはかなりの確率で発生した。
 この場合、本人や家族が既に出席不足である事実を承知していて、特段のトラブルは無かったものだ。

 これに対し成績が卒業認定を満たしていないケースに於いては、必ずや追試等々の救済措置が執られたものだ。
 ただし多科目において成績が認定を満たしていない生徒に関しては、そもそも「出席日数」も足りていない、要するに元々「卒業」に対する意欲の欠落がある場合がほとんどで自動的に退学扱いとなるケースが多かった。

 そんな中、私が「商業法規」の授業を受け持った生徒の中で、どうしても年間の成績が「1」評価しか付けられない女生徒が存在した。
 この女生徒だが今で言う(重度の)“発達障害”と私は見ていたが、本人の努力如何にかかわらず根本的に学習能力に欠落していた。 その認識は一部を除き教員達の間でも暗黙の了解があったはずだ。 

 学校へは毎日真面目に登校してくるのだが、そもそも学習能力に欠落しているため指導によりどうにかなるとの対象ではなかった。
 この女生徒の卒業認定に関して、教員間では評価が分かれた。
 「毎日真面目に登校してくるのだから、温情で卒業させてあげるべき」派と、「やはり高校卒業の条件として学業成績をある程度満たしているべき」派とが対立した。
 厳しいかもしれないが、私は教員の立場として後者だった。
 (実は私はこの女生徒に在学中ずっと懐かれつきまとわれた立場であるが故に、おそらく他の教員よりもこの女子に対する認識度が高かった。)
 そんな私が思うには、たとえ「高卒」の資格をゲットしたとして今後の自立が危ぶまれると想像した。 正直言って社会に於いて何らの分野にも使い物にならない存在となる危険性が大きいと判断した。 高卒の資格を与えてその後“知らんぷり”で卒業させるよりも、親御さんと面談して当該女子の今後の身の振り方(例えば専門相談機関を頼る、等々)を話し合うべきではないか、と考えた。
 ところが学校側が執った措置とは、「成績」をかさ上げして卒業させる事だった。
 これに逆らえるすべも無く、女生徒は「卒業」していった…
 今どうしているのか、まったく情報が無いまま年月が過ぎ去っている…



 さて、話題を藤井聡太2冠の高校自主退学に戻そう。

 この藤井聡太2冠の高校自主退学に関しては、「卒業まで後少しだったのにもったいないことをした…」等々のご意見も世間で見受けられる。
 
 この私も、そう考えた人種だ。
 高校の卒業認定とは確かに厳しいことを認識している立場にして。
 例えば、藤井2冠が「将棋活動」に費やす日々を“出席扱い”と出来ないものか?? なる元教師としての救済策を思いついたりもした。

 反面、藤井2冠の将棋に賭ける熱い思いの程を考察した場合。
 おそらく「高卒」資格など取るに足りないものなのであろう。

 藤井2冠に関しては、親御さんの育て方や将棋師匠の影響力の恩恵が絶大なのだろうが。
 ご自身の人生を将棋に賭ける覚悟(と言うよりも)そうしたいとのまさに熱い思いが伝わる人材だ。
 
 今後道を踏み外す事など、藤井聡太2冠にあるはずも無い! 
 と思わせてくれる程に、若くして素晴らしい人材だ。

 今後とも、藤井聡太2冠のご活躍を応援します!!
 

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