原左都子エッセイ集

時事等の社会問題から何気ない日常の出来事まで幅広くテーマを取り上げ、自己のオピニオンを綴り公開します。

今年の京都大学入試にアインシュタインの「相対性理論」が出題された。

2022年02月22日 | 学問・研究
 (冒頭写真は、朝日新聞2022.02.17付記事より 京都大学2022年度入試問題の物理を抜粋・改変した写真を転載したもの。)


 以下の2枚の写真は、同じく朝日新聞記事より転載した当該入試問題とその解答。

         


         



 この朝日新聞記事を、遅ればせながら昨日読んでいると。
 物理学研究者であり「ネイチャー論文」提出済の我が亭主が、「アインシュタインがどうかしたの?」と横から尋ねてくる。
 私応えて、「今年の京大入試にアインシュタインの相対性理論が出題されたようだよ。」
 亭主が応えて曰く、「『特殊相対性理論』ならば、高校生でも解けるはずだよ。」



 さて、それでは早速当該朝日新聞記事「京都大学入試問題から アインシュタインの来日100周年を機に 相対性理論 敬遠せず触れてみよう」の前半部分のみを、以下に要約引用しよう。

 相対性理論は、現代の物理学を支える重要な基礎理論だ。 特殊相対性理論が1905年に発表され、1915~16年、一般相対性理論が発表された。 特殊相対性理論は、アルベルト・アインシュタインが発表した一つの論文「動いている物体の電気力学」によりほぼ完成していた。 一方、一般相対性理論は複数の論文を経て理論として完成していった。
 高校の物理では、残念ながら相対性理論をまったく扱っていない。 教科書には唯一、特殊相対性理論からの結論として導かれる質量とエネルギーの等価性のみが紹介されている。 一般相対性理論を理解するには高等数学の知識が必要になるが、特殊相対性理論であれば、中学で学ぶ数学範囲内で基本的な内容は理解できる。 (中略)
 今回取り上げた問題は、相対性理論に関する知識を要求するものではない。 考える道筋がすべて問題にしめされている。 
 特殊相対性理論的な効果として、運動している観測者に対して時間の進み方が遅れるとくことは聞き覚えのある方も多いだろう。 これに関しては、光速に近い速さで進む宇宙船で遠くまで往復して地球に帰ってきたら時代が進んでいた得ウラシマ的なのもであるとこうことは、相対性理論の基礎のひとつだ。 さらに、時間の進み方をどのように評価するのかという考え方も相対性理論の要素となっている。

 (以下略すが、以上朝日新聞記事より一部を要約引用したもの。)



 ここで、原左都子のアインシュタインとのかかわりに関して、話させて頂こう。

 私がアインシュタインに本格的に触れたのは、30歳過ぎて後に入学した2度目の大学授業にて、哲学者A先生による「科学哲学」の講義を受講したことに遡る。

 2度目の大学における私の専攻学問は結論としては「経営法学」であり、大学院修士課程に於いて「経営法学修士」を取得しているのだが。

 元々理系の私は、「一般教養科目」として受講したA先生の「科学哲学」にはまってしまった!

 そのA先生の推薦図書が、これだった。
         
 この本を探し求めて当時の大手書店だった「紀伊国屋」「丸善」と回ったのだが見つからず、最後に訪れた「八重洲ブックセンター」にてこれ(ゲーリー・ズーカフ著「踊る物理学者たち」を発見した時に、どれ程感激したことか!!

         
 この本を開くと、ご覧のように「シュレーディンガーの猫仮説」と「アルベルト・アインシュタイン」の挿絵があった。

 私は夜間働く勤労学生でもあったが、時間を見つけてはこの本をむさぼり読んだものだ。

 哲学者A先生の授業といい、この図書といい、当時の私にどれ程の貴重な刺激を与えてくれたことか!

 (A先生の「科学哲学」授業内容に関しては、我がエッセイ集「学問・研究」カテゴリー、あるいは「左都子の市民講座」カテゴリーバックナンバーにて公開していますので、そちらをご参照下されば幸いです。)


 
 最後に、京都大学入試問題に戻ろう。
 
 この入試問題の秀逸な点は、「相対性理論に関する知識を要求するものではなく、考える道筋がすべて問題にしめされている。」 この点である!

 要するに、受験者の読解力をも試そうとする試験問題だ。
 相対性理論を知らずとて、問題に記されている内容を熟読すれば解答できる物理学の試験。

 素晴らしいじゃないですか!!
 これぞ、大学入試問題としての理想・あるべき姿のようにも感じる。

 私も後20歳若かったならば、今年の京大物理入試に挑んでみたかったものだ!?!