原左都子エッセイ集

時事等の社会問題から何気ない日常の出来事まで幅広くテーマを取り上げ、自己のオピニオンを綴り公開します。

パスポート申請に何故「戸籍謄本(抄本)」が必要なのか?

2018年06月02日 | 時事論評
 この夏に、娘と二人の米国への個人旅行を予定している。
 その準備作業の一端として、昨日パスポート用の写真撮影と戸籍抄本取得に出かけた。


 私のパスポートはこの度作成するもので5冊目だ。

 一冊目は、忘れもしない19歳時の大学2年夏季休暇中に米国短期留学の際に作成したものだ。 とりあえず次なる海外旅行の予定が無かったため「単次パスポート」を作成した。

 その後24歳時に友人とヨーロッパ旅行を企てた際には、「数次パスポート」を作成した。 当時の「数次パスポート」は“5年もの”しかなかった記憶があるが、そのパスポートでその後もバリ島、香港、と当時の若者に人気だった旅先を引き続き訪れ、現地でキャピキャピと過ごしたものた。

 30歳初頭の頃、姉が国際結婚にて最初に渡ったハワイ・マウイ島へ、実母を引き連れ旅に出る際に「数次パスポート」を作成した。 既に“10年もの”があったか否かは不明??だが、このパスポートは姉が米国西海岸へ渡った後にも、3度程かの地を個人旅行で訪れる際にも使用した。 (その頃は我が“華の独身貴族時代”終盤期であり、その立場で姉の男友達との国際恋愛等々米国三昧に明け暮れたものだ。

 そして4冊目は、晩婚後に娘も伴い一家で訪れた「エジプト・ギリシャ・地中海クルーズ旅行」の際に作成した“10年もの”数次旅券だ。 (ところが、娘がギリシャで当時の持病だった不明熱高熱を出してホテルで2日間寝込み地中海クルーズには行きそびれた話題は、本エッセイ集バックナンバーにて公開済みだ。)
 ただこの数次パスポートは、その後大いに役に立った。
 知人の美術家氏(女性)に誘われ国際美術賞受賞目的でインドとアルゼンチン・ブエノスアイレスへ同行させて頂いた。 その後も娘と二人で韓国・ソウルにてのアートフェアに招待され、現地を訪れている。
 一昨年夏には、娘を引き連れて台北旅行にも行った。


 その4冊目のパスポートの期限が切れたのは昨年5月のことだ。 
 期限切れであることは承知していたのだが、次なる海外旅行の予定が無かったためそのまま放置していた。
 
 さて今夏の米国個人旅行を某社に申し込んだところ、なるべく早期にパスポートナンバーを連絡して欲しいとの要望だ。
 それではと、数次パスポート取得要綱をネット検索してみると。 有効期限切れのパスポートを保持している場合は「戸籍謄本(抄本)の提出が義務」とのこと。(いえいえ、これに関しては既に我がエッセイ集読者氏より情報を得ていたのだが。 QAZさん、その節はありがとうございました。)

 となれば、それを取得せねばならない。
 戸籍抄本取得自体は、区施設へ出向いて必要額(¥450ー也)を支払えば済む話だが。


 ところが、この「戸籍謄本(抄本)」取得の都度、我が脳裏には“腹立たしい記憶”が蘇ってしまう!

 その一度目は、我が30歳独身時代に単独購入して自力でローン完済した後、婚姻後ずっと「賃貸運営」していた自己所有マンション物件を、4年前にリノベーション物件として売りに出した時の事だった。
 担当の司法書士氏曰く、「戸籍謄本記録が複雑過ぎるために追加料金が発生する」と指摘されたのだ。(要するに、物件を購入した30歳時より現在に至るまでの戸籍経歴が複雑ということだが。)
 個人情報保護のため、何故我が戸籍情報内容が複雑なのかに関してはここではその説明は避けることとしよう。 少しだけそのヒントを書くと、もしかしたら配偶者と超短期間でも離婚・復縁をした経験がある人物にはお分かりいただけるかもしれない。
 それをこちらの過失のせいでやってしまったのならば、自己責任範疇だろう。 ところが私の場合絶対的にそうではない! あちら(亭主側)の未熟さ故に“一人芝居”をされた結果、妻側である私の戸籍が汚れてしまったのに…。
 日本の戸籍制度とは、あくまでも「夫」が世帯主であることを前提として作成されている。 「夫」側に如何なる瑕疵があろうが、戸籍上はあくまでも「妻」側に責任があるようなデタラメ記載システムとならざるを得ないようだ……


 我が60歳時の厚生年金受給開始の際にも「戸籍謄本」提出を余儀なくされた。
 抄本よりも謄本内容は、ずっと悲惨だ!
 上記記載の「離婚・復縁」の場合、それがわずか1ヶ月間の亭主側の過ちであろうが、妻としての我が戸籍記載が「子」より下の位置付けとなるのだ。
 これには愕然とさせられながらも、私は我が年金受取金融機関担当者氏に訴えた。「戸籍だけ見たら、まるで妻の私側が“アホ軽薄人生”を歩んでいるように記載されているのが我慢ならない! そうではない事実をご理解頂きたい!!」とどれ程精根込めて訴えただろうか。


 おっとっと。
 まさかパスポート申請に於いて、そんな我が家の過去を根掘り葉掘り調査される事はないのだろうと期待したいとして。

 それにしても、日本の戸籍制度とはどうしたものか?
 あくまでも一世帯を基準とし「世帯主」を筆頭と位置付ける旧態依然とした観点こそが、このような家族の悲劇を生んでいると私は捉え、この私もその一被害者であることをここで是非訴えたいものだ!

 今後の我が国での「戸籍制度」のあり方とは、あくまでも「個人」に焦点を置いて、生まれ変わるべきではなかろうか?
 それよりもとりあえず率先して欲しいのは、「住民票」の活用だ。 
 「住民票」に国籍を記載する欄を設ける等の手段で「戸籍謄本(抄本)」提出の義務を緩和して欲しいのが、(既に自分の戸籍を汚されている)我が身のたっての願いでもある。