原左都子エッセイ集

時事等の社会問題から何気ない日常の出来事まで幅広くテーマを取り上げ、自己のオピニオンを綴り公開します。

健診で “問題なし” ならそれでいいんじゃないの?

2016年09月12日 | 医学・医療・介護
 先月旅行した台北にて宿泊ホテルのバスタブ内で転倒し、後頭部と首の付け根辺りをバスタブの縁で強打した事実は、既に当該エッセイ集にて公開している。


 実は帰国後も後頭部の違和感(決して“痛み”ではない)及び“ふらつき感”加えて“視力の低下感”が続き、“どうしたもんじゃろのう~~?” なる不安感を抱く日々だった。
 病院嫌い・検査嫌い・投薬嫌いで名高い医学関係者であるこの原左都子も、ここは自己のポリシーを百歩譲り病院受診して患部のX線撮影のみでも施すべきか? と悩みに悩んでいた。

 そしてついに先週金曜日の朝、「行きたきゃないが、整形外科にてレントゲンの1枚でも撮ってくるか!」と朝方までは考えていた…。

 ところが午後になると、どうしても私の足(心?)はいつも通っているジムへと向く。 こっちの方が病院へ行くよりもずっと楽しいし、達成感があるに決まっている! 
 そして結果として私はジムへ行き、いつもと同じトレーニング走路にて5㎞を走り、マシン筋トレを終えると何とも爽快な汗が流れ、すっかり後頭部の違和感を忘れ去った。

 結局 「マイナス心理状態こそが病気を作る」との我が持論を改めて結論付けた私の元に、次なる課題が届いた。
 それは郷里に一人暮らしの実母の高齢者施設入居決定だ。
 すぐさま、郷里への航空券とホテル予約、そして実母の施設への引越手配等々と多忙な週末を送るうちに、私は後頭部の“違和感”などすっかり忘れ去っている。

 もしかしたら、医学関係者であられる読者の方々よりお叱りを受けるかもしれないが、私は既に「後頭部打撲」に関して医療受診しない方針決定を下した。  何卒、ご容赦下さいますように。


 話題を変えよう。
 
 先だって、ネット上で 「健康診断『問題なし』でも要注意!」 なる情報を発見した。
 随分と長文の記述であるため、そのごく一部のみを以下に要約して紹介しょう。

 40代になると身体に無理がきかなくなり、さまざまな不調を感じる人が多いだろう。 若さでカバーできた20代や30代と同じ生活をしていると、病気にかかるリスクも高くなる。 不摂生を続けると、どんな病気の危険性があるのか。そして、病気にならないために普段の生活をどのように見直すべきか、(医師先生より)アドバイスをいただいた。

 例えば、「脳梗塞」 ~その前兆を見逃すな!~
 脳梗塞とは脳の血管を血の塊である血栓が塞ぎ、脳細胞の一部が死んでしまう病気。 血液が脳に届かなくなり、ある日突然バッタリ倒れることも。
 突然襲ってくるイメージの強い脳梗塞ですが、実は本人が気づかないだけで、前兆がある場合も多い。それを見逃さないよう気をつけることが、脳梗塞のリスクを回避する何よりの方法と言える。
 特に、隠れ脳梗塞は自覚症状がなく、症状が現われてもごく短時間で回復するため、本人も「気のせいだったのか」と放置しがち。 しかし、隠れ脳梗塞ができて数年以内に、約3割の人が脳梗塞を起こしているというデータがある。 本格的な脳梗塞を発症したら、4時間半以内に専門的な治療を受ければ予後が良好になる可能性が高まる。 ただ、そうなる前に先ほどの3つの項目に当てはまる人は一度脳ドック(MRI検査)を受診することを勧める。

 一旦、ここで原左都子の私論に入ろう。
 この文章のみを読むと、何だか私もバスタブで転倒して後頭部を強打した事により“隠れ脳梗塞”を発症したか!?との気にもなる。(いや、それは大嘘であり決してその心配はしていない。) 特に上記ネット情報の場合、単に脳ドック受診を(何らかの組織との癒着で)推進しているとみるのは私の偏見か?

 次に「糖尿病」に関するネット情報を引用するならば…
 40代になると、男女ともに糖尿病になる人が増える。厚生労働省の2012年の「国民健康・栄養調査」によると、糖尿病が強く疑われる人の数は約950万人、可能性を否定できない人は1100人に上る。 40歳以上に限れば、3人に1人は糖尿病もしくはその予備軍だというデータもある。
 糖尿病予備軍とは、「血糖値が正常よりは高いが、糖尿病と診断される値よりは低い状態」の人達。 会社の健診で「問題なし」と言われた人も安心はできない。 一般的な健診では空腹時の血糖値しか測定しないので、食後の血糖値が上がりやすい隠れ糖尿病の人は見逃されているかもしれないからだ。
 糖尿病チェックリスト  1.肉親に糖尿病患者がいる。 2.肥満である。  3.40歳以上である。
 4.運動不足である。 6.お酒をよく飲む。飲むときは、よく食べる。

 (以下大幅に略すが、このネット記事のインタビューに応えた医師先生であられる著者氏のご経歴の一部を以下に紹介しておこう。
 1963年、東京都生まれ。秋田大学医学部卒、東京大学大学院医学系研究科博士課程修了。 東京大学医学部附属病院助手、米国ハーバード大学医学部専任講師、埼玉県立がんセンター医長、板橋中央総合病院部長を経て、現職。 以下略。)


 最後に、原左都子の私論でまとめよう。

 なるほど。
 上記ネット情報の著者氏が私よりも8歳若い世代という事は、現在50代前半の若さでいらっしゃるようだ。  その年代の(特に男性)にとっては、確かに「脳梗塞」「糖尿病」その他等々の疾患に対し、“過敏”にならざるを得ない時期であられる事であろう。

 いやもちろん、医療業に従事している人材が果たすべき役割とは、皆の健康を守り抜く事に尽きよう。
 そのためには、確かに上記医師先生のごとく40代の人々を捕まえて「人間ドック」を煽るとの指南も許されるのかもしれない。

 ただ、既に還暦を過ぎた元医学関係者である私がこれまでの人生に渡り、ずっとわだかまっている事がある。
 医学をさほど心得ない庶民に対し、如何なる医学教育を成すべきかとの「難しい課題」に関してだ。

 身体に異常を感じたならばすぐさま「病院へ行け!」。「健診は毎年必ず受けろ!」。
 これら国民に対する指導に関しても、原左都子としては国家と医療業界との癒着の観点より大いなる異議があるのが山々だが、今回のエッセイではあえてこのテーマは割愛する。

 それよりも何よりも、せめて「健診結果」にて「問題無し(異常なし)」の結果を貰い喜んでいる国民に対し、医学関係者から更なる危機感を煽る報道を慎むべきではあるまいか? 
 過剰とも言える更なる疾患への恐怖心を不必要に国民に煽る行為自体が、国民の心情を疲労させ、更なる疾患を呼び起こしているようにすら、私は常々感じている。

 健診結果問題無しの国民に対しては、今後は 「予防医学観点より身を守りつつ精進するように」 との “一言指導” で必要十分であると、私は考察するのだが……。