原左都子エッセイ集

時事等の社会問題から何気ない日常の出来事まで幅広くテーマを取り上げ、自己のオピニオンを綴り公開します。

小沢さん、一人の人間として実直に生きませんか?

2011年10月06日 | 時事論評
 本日(10月6日)午前中、民主党元代表・小沢一郎氏の初公判が東京地裁で行われた。

 今回の初公判は、小沢氏の資金管理団体「陸山階」の土地取引を巡る事件を受けて、11人の市民によって構成する検察審査会に於ける2度に及ぶ議決の起訴決定により実施されたものである。
 参考のため、この事件においては小沢氏の元秘書である衆議院議員石川氏ら3人も検察により起訴され、9月26日に有罪判決が言い渡された事は皆さんもご存知であろう。
 本日の公判においては、収支報告書の記載は虚偽と言えるか、小沢被告と石川被告らとの間に虚偽記入の共謀があったか、が主な争点になるはずであった。

 ところが本日昼のNHKニュースによると、小沢氏は事件については一切言及せず全面無実を主張した上で、その言及は検察批判に始終したようだ。

 「直ちに裁判を打ち切るべきだ。私が罪に問われるいわれはない」
 「捜査は検察が小沢一郎を標的に行い、政治的、社会的に抹殺しようとしたのは明白だ」
 「収賄などの実質的犯罪を伴わない収支報告書の間違いは、自主申告による修正が大原則だ」「なぜ私の資金管理団体だけが強制捜査を受けたのか」
 「検察の不当、不法な捜査で得られた供述調書を唯一の証拠にした、検察審査会の誤った判断に基づく起訴だ。裁判は打ち切られるべきだ」
 「一捜査機関が国家権力を乱用し、議会制民主主義を踏みにじった」「政権交代が実現しそうだった時期に野党第一党の党首だった私を狙って強制捜査した」「日本憲政史上の一大汚点」「延々と捜査を続けたのは常軌を逸している」……
 そして小沢氏の陳述は過去の歴史にまで及び、「戦前、官憲が政党政治を破壊した。その結果が戦争。同じ過ちを犯そうとしている。東日本大震災や福島原発の事故。政治の混乱が続けば国民の不満が爆発し、悲劇が訪れる」
 等々と、この公判において小沢氏は検察批判を好き放題展開した模様である。


 ここで一旦、原左都子の私論に入ろう。
 
 残念ながら自民党政権時代には政治にさほどの興味がなかった私の“小沢氏観”といえば、2年前に民主党が政権奪取するべく動く原動力となった姿しかない。
 当時人当たりだけはよさそうに見えたセレブ鳩山氏を前面に立てて、小沢氏自身はそれを後ろで虎視眈々と操りつつ“カネのバラ撒き政策”を筆頭に選挙民である庶民の誰にも分かり易いマニフェストを「えさ」に選挙運動を展開した。 一方、政治ド素人連中のガールズを集め“数の論理”で選挙に打って出た。
 (この悪党は何と言う姑息な手段で政権交代を果そうとしているんだ。 とんでもないぞ!)と、小沢氏のやり方に反発心を前面に出していたのは私だけだったのか…
 結果は民主党が大勝。 2年前のあの夏、原左都子は国民の単純馬鹿さ加減にどれ程落胆させられたことか……
 その後の民主党政権の“成れの果て”は皆さんもご存知の通りである。
 (何が政治主導だよ。せせら笑えるよね~~。 結局は3代目の野田政権も官僚に頼らずして成り立たない民主党政権の現状ではないか!)

 それにしても私が不可解なのは、何故小沢氏は2年前の政権奪取時当初に首相の座を死守しなかったのかということだ。 それは恐らく小沢氏自身に既に自宅土地の購入代金を巡る現金4億円に関して、検察より取調べを受けているという事情があったからに他ならないのではなかろうか。 検察からの疑惑がある自分が党首に立つよりも、一見人当たりのよい鳩山氏を党首として闘った方が政権奪取に繋がると狙い、来る後に自分こそ首相として長年君臨しようと狙っていたのではないかと分析する。


 ここで今後の小沢氏起訴・公判後のスケジュールを、本日昼のNHKニュースより得た情報から紹介しよう。
 この後証人尋問が行われた後、来年1月に小沢氏本人の被告人質問が実施される予定とのことだ。 この被告人質問に於いては、小沢氏は本日の公判のように自分一人言いたい放題という訳にはいかないようだ。 小沢氏は検察側の質問に応じるノルマが課せられ、それに答えねばならないこととなる。 そして2月に小沢氏に対する求刑が言い渡され、4月下旬に判決が下されるとのことである。


 最後に再び、私論で締めくくろう。

 先だって小沢氏の元秘書達に有罪判決を下したのは、検察審査会ではなく検察だった。 小沢氏の、秘書等周囲の“丸め込み力”は相当な脅威であることを私も想像できる。 あの有罪秘書達もそろそろ罪を認めて小沢氏から解放されたいだろうに、未だに親分に一言とて反抗できない立場を与儀なくされているようだ。
 鳩山氏が総理を辞任する時に「私は議員を辞める」と宣言したにもかかわらず、未だ小沢グループの影武者長老として君臨させられている。 鳩山氏が置かれているこの現状を鑑みた場合、尚更、小沢氏の元秘書の立場とすれば氏に迎合し続けねばこの先その命すら危ぶまれる状態なのか?? 

 それからあのヤワラちゃん(柔道の田村亮子選手のことであるが)が、昨年の参院選当選後政治家として活躍する場面を一度たりとて見ない。 今だ若きヤワラちゃんは小沢氏独裁の下今頃になって柔道活動を禁止された現状を悲しみつつ、つまらない政治家になどなった事を嘆いているのではあるまいか? 
 同時に“ド素人軍団”の小沢ガールズ達は一体今何をしているのだろう? 
 この人達も日々“小沢先生様様”と礼拝しつつ、今後も自らの国会議員としての地位を死守するため小沢氏の無罪判決をひたすら祈っているのであろう。

 という訳で、今現在小沢氏の周辺にはその独裁力で牛耳られた“取り巻き”が多数存在して、その輩が我が身の今後の生きる糧を守ろうと小沢氏を応援している現状であろう。
 庶民に過ぎない原左都子にも小沢氏のその状況の心地よさは分かるよ。 人間とはとりあえず誰でもいいから自分の取り巻きに認められていると錯覚できると、自分の存在感が証明されるような気分になるものだよね。

 ただ今回の公判を見聞した場合、小沢氏は自分の存在意義を正当化したいだけのように私は感じる。
 「一捜査機関が国家権力を乱用し議会制民主主義を踏みにじった」だの、「政権交代が実現しそうだった時期に野党第一党の党首だった私を狙って強制捜査した」だの、「日本憲政史上の一大汚点」「延々と捜査を続けたのは常軌を逸している」だのと、自分自身の存在がこの日本に於いて崇高な立場であると勘違いしている小沢氏の自己分析力の程は、今に至ってはどうなのだろう??

 現実に戻るが、私のみならず国民の皆はただただ小沢氏に「事実」を語って欲しいのだ。
 国民は皆、小沢氏が4億円という資金の出所を正直に話す日を待っているだけなのだ。
 
 姑息な手段であれこの混沌とした時代に政権を奪取する能力のある小沢氏には、今は是非共冷静になって欲しい。 
 4億円の金の出所さえ語ってくれた後には、小沢氏持ち前の“類稀な”悪知恵を活かしつつ、大震災復興や福島原発事故の放射能漏れと闘う民主党を補佐できる輝かしき未来が待ち構えているのではなかろうか??
             
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