80代に入ったばかりの男性は「めまいがする」と訴えたことから、医師がめまいを抑える薬を処方しました。ところが、この薬を服用したところ、足元がふらつき、きちんと歩けなくなりました。おしっこを漏らすようにもなり、リハビリパンツを着用するようになりました。1年前の出来事でした。
この薬の副作用が歩行失調、失禁だったことから、家族の申し出を入れて、服用を中止した結果、足のふらつきはなくなりました。でも、尿漏れのおそれがあるからとして、リハビリパンツはいまもはいています。
歩行失調などが起こる直前、男性は約60年続けた自営業をやめました。加齢に伴う体力の衰えを感じたからです。それまでは、軽トラックで大阪市内の仕事場に出かけていたのですが、「毎日が日曜日」の生活になりました。「男児厨房に入らず」の時代に育った男性は家事はまったくできません。
やることがなくなったころから、認知の症状が出てきたといいます。散歩するときは迷子になるといけないので、奥さんがついていきます。自分が長年住んでいる家なのに「ここはどこか」と繰り返し尋ねるようになりました。
夕食が終わったばかりというのに「晩御飯はまだか」と何回も尋ねます。奥さんが「いま食べたばかりでしょう」と強い調子で答えると、「そうか」と下を向きます。
元気だった男性がたった一年でこんなに変貌してしまうとは、驚くばかりです。