認知症の初期症状が出てきた80歳過ぎの夫を世話している奥さんがおられます。自らも80歳前で老老介護の世帯です。子どもたち3人はそれぞれ独立して家庭を持っています。夫と二人暮らしです。
夫は仕事一筋で台所に入ったこともありませんし、買い物もしたこともありません。家のことはすべて妻任せです。自分の身の回りのことを含めて妻に頼りきりです。夫は自営の仕事をやめてから3年が過ぎました。そのころから、認知症の症状が出てきました。
「仕事の注文はないか」と毎朝聞いてきます。その都度、妻は「仕事はやめたでしょう」と答えます。夕食を食べ終わったばかりなのに「お腹が減った」と言い出します。
「お父さんはあほになったけど、自分で風呂にも入るし、トイレにも行けます。まあ、ええ方でしょう」と妻はいいます。
二人を見ていると、川柳作家の三好兵六の「夫婦とは なんと佳いもの 向かい風」を思い出します。逆境になるほど、夫婦のきずなは強くなるようです。
逆に妻が何にもできず、炊事も洗濯も買い物も夫がしている高齢夫婦もおります。運動嫌いの妻は80歳を前に足腰が弱りました。心配した夫は妻の腕を取って散歩する姿がよく見られました。二人の散歩を見ることがなくなったと思ったら、今度は車いすに乗った妻を押して歩く夫の姿がありました。
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