水本爽涼 歳時記

日本の四季を織り交ぜて描くエッセイ、詩、作詞、創作台本、シナリオ、小説などの小部屋です。

雑念ユーモア短編集 (7)異性

2024年03月08日 00時00分00秒 | #小説

 異性に雑念を抱く年頃は幾つくらいか? …と雑念を浮かべる♂の吉岡は、自分が馬鹿なのではないか? と嫌になり、何も思わないことにした。ところがである。次の瞬間、最初に好きになった美代ちゃんのことが、ふと頭を過(よぎ)った。
『あの頃は、好きになっただけだなぁ…』
 幼馴染(おさななじみ)の美代ちゃんの家は、前の小道を挟み、斜め向こうの家だった。
『あのときは、アンナコトやコンナコトは思わなかったなぁ~』
 吉岡は幼い当時の気持が、ただ好きな感情だけだったことを思い出した。青年の頃に感じ始めた色欲が当時は全くなく、ムラムラしなかった訳である。^^
『ムラムラして随分、難儀したなぁ~』
 雑念は益々、膨(ふく)らみ、吉岡は好きになることと色欲を感じることの違いが、よく分からなくなった。吉岡は、ふたたび考えないことにした。ところが、である。吉岡がそう思ったとき、テレビ画面は歌い終わった女性グループのセンター歌手をアップで映し出した。その奇麗な女性歌手がテレビ目線でウインクした瞬間、吉岡は、この異性をひと目で好きになってしまった。
 ♂にとって、異性とは、このように雑念を膨らませる存在のようです。♀の場合は、よく分かりませんが…。^^

                   完


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