中野みどりの紬きもの塾

染織家中野みどりの「紬きもの塾」。その記録を中心に紬織り、着物、工芸、自然を綴ります。

夏着物と節糸紬半幅帯

2018年08月10日 | 着姿・作品


この酷暑の中でもこの近江上布を3回ほど着用しました。
麻縮ですので肌に触れている部分は風が通り涼しく、麻のUVカット効果で強い日差しも跳ね返してくれるように思います。
ただ、帯周りは麻布といえども幾重にも重なり蒸します。私は時々身八つ口をパタパタさせ風を入れたり、胸元も襟のところから体温を逃したり、帯も緩めに結び、体内の熱を放出するようにしています。また、長襦袢はラミー麻、肌襦袢やステテコはヘンプ麻をもちろん着用しています。

しかし今年の暑さはさすがに着物を着るには覚悟がいります。連日“命の危険”な暑さでしたから、着るには体調などにも注意して、無理はしないほうが良いです。

この近江上布は青山にある全国伝統的工芸品センター(現在の伝統工芸青山スクエア)で30年近く前に購入したものです。
修業を終えてすぐの若い頃は平日は染織の仕事、週末だけ工芸品センターの展示場販売スタッフとしてアルバイトをしていました。
全国の伝統工芸産地の工芸品が常設、また毎月開催される特別展もあり、いわゆる産地ものの振興をしている財団法人のギャラリー&ショップです。
染織品を始め、他の工芸品全般も勉強したかったこともあり、土日だけのアルバイトをしていました。ここでの経験が紬塾の講義でも役に立っています。

ある時そこでいくつかの産地による、夏の着物展がありました。私は夏の着物も大好きで、特に麻織物が好きです。この近江上布はオーソドックスな柄ですが、私でもなんとか買える価格でもあり、迷わず購入しました。
地味な着物ですが若い頃からよく袖を通してます。自分で手洗いもしています。上質のラミー麻でツヤもあり、なめらかな糸質です。



30年ほどの月日は流れいろいろなことがありました。
紬織りを一人で続け、なんとか工房を維持しながら生活も立ててきました。
少しずつですが、自分用の着物や帯も買いながら自作の紬と取合せたりして着ることの勉強もしてきました。
30代半ばで買った一枚の麻の着物が、30年前のことを思い出させてくれます。
着物を仕立て、麻の襦袢をつくり、一歩ずつ、着ることの難しさや苦労を味わいながら、今のようにネットもなく、身近に着物や仕立てに詳しい人もなく失敗もし、無駄な買い物もし、でも着てみたいと思い、選び、歩き出したのです。。



取合せの綾織半幅帯は四季を通してよく使っています。夏場も使っています。
太い節糸をベースに、細い玉糸を段のベースに使い緯絣を配しています。
ほんの少ししか絣糸がなかったのでポイント柄にしています。

半幅帯は手と垂れを逆に使うことも出来ます。ポイント柄の出方が予想と違っていてそれも面白いと思います。
結び皺はスチームアイロンで取れます。

汚れが目立ってきたら自分で解いて洗ってスチームアイロンで仕上げ、仕立て直せばよいのです。毛羽も取れ良くなります。
ただし、紬といっても盛夏にも使えるタイプは真綿系でないほうが良いと思います。
節糸、玉糸を中心に使ったタイプで、芯も夏芯をいれてもらいます。


別の半幅帯の取合せ。

こちらのページ下の方の中野の取合せもご覧ください。

人生はいつか終わります。健康であったとしても一人で元気にあちこち出掛け、活動できるのも後10年ぐらいでしょう。自分が選び着てきた残された着物たちは私の人生の縮図かもしれません。そう思うと悔いのないようにものと出会い、真剣に選び、使いたいと思います。
紬塾では過去の自分の失敗談や苦労話も時折交えて着ることの話もしています。
8月下旬の基礎コースの講義は着物をとことん着るための話です。

櫻工房ではこの秋の展示に備えて半幅の制作も予定しています。
真綿紬ではなく玉糸や節糸使いで盛夏にも使える重宝なものを作ります。
上質な手織りの半幅帯はシンプルな結びでも存在感があり、お太鼓では重すぎる場にもふさわしいと思います。
体調の悪い時、高齢になっても、また今年のように暑いときも楽です。
洗い張りしながら使う一生モノの半幅帯、お太鼓結びに慣れている方もいかがでしょうか?

一枚の着物や帯と共に歩む人生もいいものだと思います。

さて、工房の夏休みは8月12日~19日までです。
休業期間中もオンラインショップのヘンプ肌着などご注文を承っておりますが、
メールの返信および商品発送は8月20日以降となりますのでご了承下さい。 

お盆休みにはお墓に参ったり、普段できない縫い物、繕い物、音楽鑑賞、溜まった新聞を読むこと、自然の観察など日々出来ないことをして過ごします。(^_^*;)

暑さが続いておりますが、涼しい格好(ヘンプステテコ、エアコン無しの部屋着に最高です!)で熱中症にかからないよう読者の皆様もご自愛下さいませ。








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