中野みどりの紬きもの塾

染織家中野みどりの「紬きもの塾」。その記録を中心に紬織り、着物、工芸、自然を綴ります。

紬の花織帯

2018年03月30日 | 着姿・作品



今年は例年にない早さで桜が開花しましたが、機の上ではもう一つの花が咲き始めました。

太鼓裏の返しを無地で進み、花織の部分にきました。
2種類の太さや色の違う糸を一越おきに使い、浮織になった花の部分の立体感を出しています。

17年振りぐらいで花織を掛けました。
40代には花織の振り袖や着尺、帯をたくさん織ってきましたが、腰を傷めてから身体に負担のかかる花織は掛けることができなくなりました。若手の力も借りてもう一度花を咲かせたいと思います。

花織の作品にはたくさんの思い出が詰まっています。。。
着て下さる方々にも熱い想いがあったように思います。
作品集『樹の滴』の中にも一点掲載しています。(38頁)



工房の桜は今日が満開。ほとんど蕾のない状態です。

今宵は桜と、十四日月の明かりで、ささやかに花見酒も楽しみます。
  (^o^)


7時半頃の月明かりと花明り。
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3月の装い――ものの美

2018年03月23日 | 着姿・作品


寒さの残る3月初旬に工房へお越しのお客様の着姿をご紹介させていただきます。

ピンクベージュ地の縞着物は『きもの美巡礼』[森田空美著]の巻頭でご紹介頂いた着物で呉服屋さんでお求めいただいたものです。
縞は桜、ドクダミ等で染めた紫味のピンク系です。地糸は柿やヤマモモ、桜などで染めた真綿紬糸を混ぜながら景色、奥行きが出るように織りました。
単衣でもいいように太目の糸も混ぜながら立体的に織っています。


かたち21主催の展示会ではこの梨染めグレーの帯「枯山水」、帯揚げ、帯締め、帯留(小川郁子作)などセットでお求めいただきました。
帯揚げは白に近いピンクベージュです。帯留の色はワンポイントになっていますが、強すぎず調和していると思います。
実は三分紐も真っ白ではなく、帯になじむようほんの少し草木で染めてあります。

季節により天候により、その日の気分により小物を替えるだけで秋にも真冬にも様々な場面で着こなせます。
日本庭園の見立ての「枯山水」のように自然や自分と向き合って、自由に使いこなしていただければ幸いです。


八掛は薄紫ぼかしです。女らしい雰囲気で素敵ですが、また次の洗い張りで色を替えたり、袷から単衣に替えることもできます。
ガラッと雰囲気を変えることができます。一生工夫して擦り切れるまでお召しいただきたいと思います。

着姿ページでも紹介しています。

私の紬の仕事は手つむぎ糸の存在感と草木の生きた色を生かすように制作しています。ただそれだけです。
一反一反、糸選び、色選びに全神経は注ぎますが、難しいことは何もしていません。図案も描きません。

個人の表現以前のものの美しさと向き合いながら現代の感覚を色糸を見ながらデザインしていきます。
特別なものは織ってないつもりですが、原点を踏まえさえしていれば個人を超えた普遍的なものの美につながり、人の世で受け入れられる。

取り合わせるもので立ち表れる世界が変わり、着る人に寄り添い、支える事のできる着物を生み出したいと願っています。

私の元で織を学んでいるアシスタントにもそれらのことの大切さと、布を織る技術の基本技術さえ伝えておけばおそらくいずれいい仕事をするようになると思っています。

目を汚さずに、シンプルに根源的なものを見つめて道を切り拓いてほしいと思います。






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紬の会(工房展)の着姿より――紬縞帯とショール

2018年03月14日 | 着姿・作品
紬塾を受講してくださった方々も先日の紬の会にたくさんお越しいただきました。
ほとんど着物を着ていなかった方が、お手持ちのお召に私の紬帯を合わせて訪ねてくださいました。
着付け教室に通ったものの上手く着れなかった方ですが、塾受講後も一度ポイントレッスンもさせていただきました。まだ不慣れな感じなのですが、、。
それでも自分で着付けてでかけてくださるようになったかと思うと感慨無量です!


オフホワイトにグレー系の濃淡のある細縞に、よこ糸で太さの全く違うものを切り替えるように使った帯です。シンプルながら味わい深い帯です。フラットな生地に合わせると互いを引き立て合えるように思います。
取合せの柿の葉で染めたグレーの帯揚げ、帯締めも櫻工房セレクトです。


太鼓中心の少し下で糸質が変わります。


もう一方も塾受講者の方ですが、桜染の赤味のベージュのショールをカジュアルなコートに合わせて来てくださいました。
来る途中、電車の中で本を読んでいたのにいつの間にか肩に掛けたショールの中に織り込まれている微妙な色の違いや糸味の違いに目がいって引き込まれてしまったとおっしゃられていました。
使い込むと艶が出ますので着物のときだけでなく使っていただきたいと思います。




ショールはwebshopでご覧いただけますが、銀座のアンティークモールにある花邑さんでも現在手にとってご覧いただけます。

桜の開花がもうすぐですが、花冷えの候にも、コートを着なくなる頃にも紬のショールはご活用頂けます。






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[第10期 紬きもの塾'18]募集受付3月12日(月)から開始!

2018年03月07日 | 紬きもの塾’17~’20

「紬の会18」工房展が終了しました。展示会中は工房ならではの話や個別のご相談にも応じることができ実のある会となりました。ご来房くださいましたみなさまありがとうございました。

さて次は、[第10期 紬きもの塾'18]の募集受付が来週3月12日(月)から始まります。

お陰様で毎回着物や紬、自然と真摯に向き合ってくださる方にご参加いただいてきました。

少人数制でかなり濃密な時間を一年間共に過ごさせてもらうことになりますので、ブログのカテゴリーから過去の「紬塾」をよくお読みいただき、内容、趣旨をご理解のうえお申し込みください。ブログにすべて細かくは書けませんが、大まかには掴めると思います。

創る立場、使う立場、両面からアプローチします。
内容が盛りだくさんで毎回駆け足のようになっており、今期より入門基礎コースの回数を1回増やします。それに伴い基礎コースの受講費が変更となっていますのでご確認ください。

今期の詳細とお申込みはこちらから。

受講者は、着物を毎日のように着ている方から、週1回のペースでお稽古に着ていく方、お出かけの際にたまに着る方、着付け教室で着方は習ったもののほとんど着られない方、まだ全く着たことのない方など様々な方が参加されます。その違いは全く問題ではありません。

きものを着ている、着ていないにかかわりませんが、日本の上質の手仕事、布、工芸、自然に興味があり、文化として大切に考えてくださる方々と共に学ばせて頂けることを願っています。
知識というよりも実感していただけるよう、また自分で考えるきっかけを掴んでいただけるよう進めていきます。

募集の受付は3月12日(月)午前零時からメールでお申し込みください。 
お電話の場合は午前9時からになります。

「1.入門基礎コース」、「2.入門基礎+染織実習コース」のいずれかと、
ご住所(〒)、お電話番号、お名前を必ず明記してください。


折り返し担当からメールで受付のお返事を差し上げます。一両日中に返信のない場合はお電話でお問い合わせください。(受付後、工房地図など詳細を郵送いたします)

紬織を通しての善き出会いを楽しみにしています。(*^^*)



工房展では梅染刺子織絣単衣紬にヤマモモ染綾織半幅を結び、もう1日は染の半幅帯を同じ着物に合わせておりました。
紬塾の最終回には上質の半幅帯の結び方や半幅のメリットなど細かな説明もいたします。
中野の着姿ページもご覧ください。

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