中野みどりの紬きもの塾

染織家中野みどりの「紬きもの塾」。その記録を中心に紬織り、着物、工芸、自然を綴ります。

半幅連作プロジェクト――上質をコンパクトに お知らせ [3]

2020年10月26日 | 紬の上質半幅帯
24日の説明会へご参加いただきました皆様ありがとうございました。
会場の時間制限があり、かなり駆け足で、盛りだくさんに話してしまい、わかりづらい点もあったかもしれませんが、ご不明な点は遠慮なくお問合せ下さい。つい紬塾の調子になってしまいます。。(^^ゞ

また、今回説明会にはご参加いただけませんでした方も、12月初旬まで引き続き若干名の参加受け付けは随時いたしておりますので、ホームページからお問合せ下さい。
録画もしたのですが、何故か中断箇所があります、、。(-.-;)

最初は名古屋帯として、裏の返しを別布を付け、先々半巾帯にすることも可能ですので、ご相談ください。

トップの画像は以前、お求め頂きました半巾帯で、今回参考資料として展示させて頂くためにお借りしたものです。紫の段と緑の段の繰り返しですが、手と垂れを替えて結ぶ場合の色柄の変化などの説明をいたしました。
また、経糸には節糸を使っていますが、緯糸は比較的細い糸で織ってありますので、紬系だけではなく、平絹系、染め物系のお洒落着にも使えます。

この日、私は木綿の薩摩絣に初期に試作した普段着用のざっくりした真綿引き出し糸の帯を締めました。糸は太く肉厚で、9尺4寸しかないのですが、結びにヴォリューム感がでる生地です。


侍結びは帯締めはなくても良いのですが、初めてお会いする方もいらっしゃいましたので、柔らかなピンクベージュの組紐1本できちんと感も添えてみました。
来年、どんな帯が生まれてくるのでしょう?
私の中では沸々とイメージが湧き始めました。
ワクワク、ドキドキです!(#^^#)
来月から糸染に入ります。







コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

第4回紬きもの塾「日本の取り合せ」 

2020年10月15日 | 紬きもの塾’17~’20
帯や小物の取り合せについて、また小道具の選び方等について学びました。
袷、単衣向けの着尺と帯6本ほどを用意して、季節を変えての組み合わせを1組ずつみなさんに考てもらうワークショップも行いました。
紬塾の後半は、いよいよ具体的な着物を着ることについての話に入ります。

ワークショップでは、一人ずつ取り合わせた写真も撮りましたが、あらためて見返してみても、典型的な陥りやすい避けた方が良い、取り合わせもいくつかありました。よく雑誌などでも見かけるコーディネイトで、ありがちです。

それは帯揚げと帯締めの色を揃えてしまうことと、着物の色と帯締めを合わせてしまうことです。
そういうものと思い込んでいる方も多いようですが、そこを汚れない無垢な目で見直してみると、どうすればよいかがわかるはずです。

一人ずつ順番に一度取り合わせて、その意図(TPO)などを聞きます。
その後から私の方で別の小物に変えさせてもらったりしましたが、急に世界が変わり、納得頂けたと思います。

自然を見渡せば異なる色、質感、大きさ、形に取り囲まれています。
石庭の石の配置を見ても良くわかります。異なった石がうまく構成されているわけです。
また、日本庭園の植樹の配置も時間帯、季節が良く計算されています。
着物を着ることもそういうことだと思います。

工房内の小さな棚の上に異なる素材(紙、ガラス、石、紬布、植物)を配してみました。

小さな小物ほど目立ったりします。あれもこれも目立たせるのではなく、かと言って無難に何でも揃えるのでもなく、何をその日の着こなしの主役(TPOを考慮して)に据えるか考えると良いと思います。

俳句では基本的には季語を主役にしますが、取り合わせというのが大事で、よく「つきすぎ」という批評を聞きます。合わせすぎの感じでしょうか。
あるいは情景を盛り込みすぎると(あれもこれも言う)「ぼやける」と言う批評もあります。
何をテーマにし、それにふさわしい季語を選ぶかなのですね。季語はすでに多くを語ってくれているので、それを生かすことかと思います。かく言う私は出来ませんけど、、(^_^;)

日本的な取合せは自然観や異なる素材、技法、世界を絶妙に合わせるもので、
仕事のクオリティー、“ものの力”を取り合わせるのも重要なことです。
取り合わせは単なる色柄のコーディネートではありません。

更に重要な点は、身に付ける人、肌の色や髪の色、顔立ち、性格などとも取り合わせるわけですから、奥の深いことではありますが、ものをよく見て、自分をよく見て、自然をよく見て、一生をかけて学びたいと思います。

24日の「半巾帯プロジェクト説明会」でも肌の色、髪の色なども拝見させていただき、似合う色相を選びたいと思っています。
いわゆるパーソナルカラー診断の、化学染料の服を「春・夏・秋・冬」ときっちり分ける感じではなく、草木染の色は、ピンク肌、オークル肌の方どちらにも許容範囲が広いので大体は合うと思いますが、より合う感じを見させて頂きます。





 






コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

半幅連作プロジェクト――上質をコンパクトに お知らせ [2]

2020年10月01日 | 紬の上質半幅帯
24日の説明会へご参加いただきました皆様ありがとうございました。
12月初旬まで引き続き若干名の参加受け付けはいたしておりますので、お問合せ下さい。
名古屋帯として最初は使い、先で半巾にすることも可能ですのでご相談ください
(10/26追記)

半幅帯集リーフレットが出来あがってきました。
参加ご検討いただけます方はホームページからご連絡ください。
詳細とリーフレットお送りいたします。

今までは、一点ずつ制作してきましたが、敢えて、数本分を一連の作品として発想していく作り方も新たな世界が拓けるのではないかと思います。

例えば、経縞に対して、そのまま縞でもいいのですが、同色でも糸質を変えて段を入れ変化させたり、色糸で格子を切って大きく変化させることもできます。
ここに細かくは書けませんが、アイディアはいろいろ頭をよぎります。
音楽で言えば変奏曲のような、主題は生かしながら、リズムやハーモニー、テンポを変える。

また無地系の経糸に、よこの段で自由に発想することもできます。
元になるものが、経糸の色にあるのですが、緯糸で随分変化を付けることもできます。
和歌や俳句の連歌のように、発句から世界を大きく展開させることもできます。

そこでもし、数名の方が同じたて糸から生まれる、よこ糸でデザインを変え、趣を変えて織ったものを、分け合っていただけるなら、それぞれの方のお手持ちの着物やその方の雰囲気から発想の種を頂き今までにないような広がりも表現できるかもしれません。
“大人の上質の半幅帯”にご興味を持ってくださる方々と一緒に作り上げていきたいと思っています。

上質と掲げていますが、何をもって上質と言えるのかは私なりの紬織り、手織りとしての考えがあります。
その重要な一つは素材、糸にあります。そして色にあります。




管理された糸にはない生き生きとした表情、夾雑物を含んだ深い色。
専門的なことをここには詳しく書けませんが、半幅帯といえども着尺と何ら変わらない仕事ですし、もう手に入らない座繰りの糸も使っています。
この糸があるから織りたいし、生まれてくる布を分かち合いたいのです。

着尺、名古屋帯の制作と同じ、座繰りの玉糸、赤城節糸、真綿手紡ぎ糸等をブレンドして織る半幅帯になります。
なるべくコストを抑えたいとは思うのですが、糸質を機械的なものに替えることは致しません。
そこを下げてしまうことは私の仕事ではないと思っています。
半幅の存在感を名古屋と同格ぐらいまで上げるためには素材感がとても大事です。このことはこのプロジェクトの核になるところです。




もう一つは色にありますが、身近な植物が醸し出す色を真摯に受け止め、自分や環境と調和させることにあると思います。
自己主張の強いものや、説明的なものではなく、自然に導き出された、自然と調和する“静かなアート”でありたいと思っています。

私の仕事にもし関心を持って下さり、ご賛同いただける方がありましたら、ぜひ説明会にお申し込みいただきたく思います。

名古屋帯の方がやはり良いと思われる方は裏地を3尺付ければ名古屋として仕立てることもできます。名古屋帯でお使いいただいて、後に半幅に仕立て替えることもできます。また、最初から返しを付けて名古屋帯として織ることも可能です。ご自由にお考え下さい。

そして、着物の初心にある方も半幅から馴染んでいくという手もあります。
着物などがなくても遠慮なくご相談ください。

説明会にお申し込みをいただいた方に、こちらのイメージなどを提示させていただき、ご納得の上で最終的なお申し込みとさせていただきます。細かなことは説明会、お問合せにてお知らせしていきます。

説明会は
10月24日の14:00~16:00(受付13:30~)キャンセル待ちにて受付中
小田急線鶴川駅近く(徒歩2~3分)のポプリホール会議室にて行います。

当日ご都合がつかない方、または定員がオーバーした場合には工房にて随時個別に対応させて頂きます。

また、遠方などで、直接お目にかかれない場合は(実際にお会いして、当方の糸や色もご覧頂くのが一番ではありますが)、ビデオ通話など、お顔やお着物が拝見できるようなスタイルでさせて頂きます。

特に取り合わせたいと思われるお手持ちの着物や端布がある方はお持ちください。

半幅はこのプロジェクト以降はしばらく織りませんので、この機会に是非ご検討くださいませ。

糸の灰汁による精練に始まり、染色、糸をしばらく寝かせることもしていきますので、織りの作業に入るのは新春ごろからになると思います。
完成は4~5月かと思います。ゆっくりお待ちいただければ幸いです。

価格は名古屋帯とそう変わりませんが、内容等でも違います。
ただ、染から織までの仕事の手間を一連の作品にすることで、ほんの少し効率化することもできます。
変奏曲・縞系の方が、多少価格は抑えられます(具体的な価格は人数の確定などにより決まってきます)。

どんなものができるのか、私自身まだ未知の世界です。
どんなものかわからないのに参加されるのは不安もおありだと思いますが、ただ、自然に従って、道を外さなければ良いものができてくると思います。
大人の上質半幅帯をご一緒作り、楽しんでいただければ幸いです。

説明会のお申し込み、お問い合わせはこちらから。→

以前にもご紹介した、工芸評論の笹山央さんの、ポストコロナに向けて、「WABismの提案」(“WABism”は笹山さんの造語)は、この半幅帯プロジェクトにも当てはまることだと思います。
笹山さんのブログはこちら

1.簡素である  
2.艶(華)がある 
3.足るを知る 
4.差別がない    
5.造化(自然)に随う 
  
文化は普通の市民が作り上げるもので、時代の変遷はあるけれど、根底を流れる侘びの精神は変わりなくあると思います。説明会ではこのことにも少し触れたいと思います。







コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする