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中野みどりの紬きもの塾

染織家中野みどりの「紬きもの塾」。その記録を中心に紬織り、着物、工芸、自然を綴ります。

「紬塾24」受講生募集のお知らせ

2024年03月11日 | お知らせ
「紬塾24」申込受付は3/16(土)から
※受け付け終了しました。

樹々の花も次々と咲き始め、春本番を迎えました。

さて、工房のことに関して流動的な事案があり、「第15期 紬きもの塾24」の開催が出来るかの判断に時間を要しておりましたが、少し見通しがついてきましたので、取り敢えず開催に向け、受講生の募集を進めていくことに致しました。
日程、詳細はHPの方に公開しました。

ただ、後半は日程の変更などが発生するかもしれませんが、その際には予備日を25年1月に設けましたので、それを使ってなるべく変更のないようにと考えています。やむを得ず変更の場合は参加者全員の都合がつく日に変更します。
今まで全7回のコースでしたが、来期染織実習コースを加えることが出来るか分かりませんので、工房の庭木を使った染色実習(帯揚げ、半衿等を染める)を今年度の方には1回加えた全8回のコースにします。
それに伴い、受講費の変更があります。HPでご確認ください。

申込受付は3/16(土)から。初回は4/21(日)です。※受け付け終了しました。
定員になり次第締め切ります。
※定員は4名(定員に達しない場合は開催を見送ることがあります)。

参加希望の方は、当ブログ「紬塾」のカテゴリーから、過去の塾の様子をよくお読みいただき、趣旨、内容をご理解の上お申し込みください。
不明な点は遠慮なくお問合せ下さい。

お申込みの際はメールにお名前、郵便番号、ご住所、電話番号を明記してください。
お申込み受付後、一両日中に空き状況や詳細をお知らせします。
一両日中の返信が無い場合は電話でご連絡ください。

また、3月末の展示会などもご覧頂き、中野の作品にも触れて頂きたく思います。
お申込み、お問合せはこちらから。

トップの仄暗い画像は23年度初回の塾の風景。
あえて蛍光灯は点けずに、自然光だけで私物の2点の桜染めの紬の色を見てもらっているところ。色と光の関係を意識して見てもらいます。

昼間でも当り前のように蛍光灯が使われている現代ですが、本当にものを観るというのは均一な光線の中だけにあるのでしょうか?

着物の知識や先入観なしに、素直にものを観察するところから紬塾は始まります。ものと向き合うことは自分と向き合うことです。
素直なピュアな気持ちで参加して下さる方をお待ちしています。

また、塾の様子の画像を上げる場合、受講生の許可を得て使っていますので、写さないで欲しい方には配慮しています。





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「平和の内に生存する権利を有することを確認する」憲法前文より

2023年12月28日 | お知らせ
                                焦げ茶地藍縞紬着物「木霊」

今年も押し詰まってまいりました。
山積みの染めた糸を整理して棚に戻し、大掃除半分して、(^^ゞ
仕立て上がってきた着物を、お客様へ発送。
そしてブログ更新をして、私の仕事納めです。

お陰様で、一年無事に仕事をさせてもらいました。
紬塾へも奇跡のようにどこからともなく!?ご参集頂き、また作品をご購入下さる方もあり、後半は予定外の半巾帯第2弾をしてしまいました。(^^♪
細々ではありますが生活の糧を得ることができ、関係の皆様に心よりお礼を申し上げます。

今年はついに私も大台に乗り、体力、気力が勝負の染織の仕事、さすがに体力的にきつくなってきました。
腰や肩、あと逆流性食道炎もよくないのですが、うつむき加減の仕事がよくないとの事(そのせいだけではないのですが…)。
でも、気持ちはまだ制作のアイデアが色々浮かんできます。

ただ、いつまでも染織の仕事はできるわけではありませんので、敷地120坪ほどの工房の維持管理のこともあり、どこかコンパクトな住まい兼工房へ移りたいと思っています。
しかし、機の音や振動のこともあり、東京で、私の経済力で物件を探すのは難航しそうです。。

来年はそんなこともあり、どうなるのか全く未定です。
14期続けた紬塾は、一旦閉じようかと思ったり、形を少し変えて行うか・・?などこれから考えたいと思います。

こんな時代になっても、着物や織物と真摯に向き合おうとして下さる方々を目の当たりにしていますので、非力ながら染織文化に貢献したいとは思っています。
3月ごろ、紬塾の開催の有無はお知らせします。

さて、世界が混沌とし、ウクライナとロシアの戦争も終結しません。
また、パレスチナ、ガザ地区では虐殺が止まりません。
暴力と暴力の連鎖が続いています。
12/20現在で、ガザではすでに2万人以上の死者が出て、その内7割以上が女性と子ども、高齢者ということです。
負傷者も病院がほとんど機能していないので、助かる人も助からない。
避難民のキャンプも食料、水、衛生など極悪な環境。
ガザの全人口にあたるおよそ220万人が、深刻な飢餓に直面しているそうです。
罪なき一般市民、子供、赤ちゃんが意味もなく残虐な殺され方が続く状況に、悲しく、苦しく、暴力を心底憎みます!
また人々だけではなく、自然環境、動植物、文化も破壊されています。

戦争が始まれば、世界の為政者も賢者も国連の働きかけも、誰も止めることができません。
私も何もできないけれど、せめて関心を持ち、署名する、デモに参加する、SNSで声を上げる、親イスラエル企業の物は買わない、利用しない、パレスチナの人道支援をする団体などに寄付をするなど、何かできることを探しています。

日本国憲法は日本の戦争放棄を謳っていますが、世界平和も希求するように宣言されています。

憲法前文から一部抜粋
「われらは平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めている国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思う。われらは全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免れ、平和の内に生存する権利を有することを確認する。」

この素晴らしい憲法を護り、活かしましょう!
政府は停戦に向け、先頭をきって、日本にしかできない平和的外交努力をもっと毅然と、して欲しいです。

来る年は全ての人に、国境を超えて平和が訪れるよう、こころから祈ります。工房は、明日から1/4までお休みです。
読者のみなさまも、佳いお年をお迎えください。 





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第14期 「紬きもの塾23」開催についてのお知らせ<2>

2023年03月18日 | お知らせ
第14期「紬きもの塾23/基礎コース」受講生を募集します。※定員に達しましたので受付を締め切りました。
「紬きもの塾23」基礎コースは3/18(土)からメールでお申し込みください。
お申込みの際は、お名前、郵便番号、ご住所、電話番号を明記してください。
折り返し受付の返信を担当からいたします。
※ご質問などは前もってしていただけます。

日程、内容の詳細、申込はHPをご覧ください。

少人数ですので、日程が、どうしても都合がつかない場合、2回目以降でしたら早めに申し出ていただければ、他の方の調整がつく場合には変更も検討します。

4回目の「伊達締めを縫う」は、縫うものは自由にお考え下さい。
縫いたくない方はご相談ください。(*^_^*)
過去のブログ記事、HPなどをよくご覧頂き、趣旨、内容をご理解の上、お申し込みください。受講生の感想も参考にしてください。

現代の私達にとって着物を着るということはどういうことなのか、お洒落の為だけではなく、文化として、また自然素材を纏うことを大切にして暮らすことなど、紬織を中心にみなさんと一緒に学び合う場です。そして次世代へも繋いでいきたいと思います。

トップの画像は19年度の2回目、「糸、色、織について」の様子です。
まずは「説明を聞く」ではなく、実際に見て触って感じたことを発言してもらうところから始まります。先入観や染織の知識は不要です。

着物に慣れている方も、着物をこれから着てみたいと思われる方も参加できます。参加者になるべく添うように、内容は変更しながら行います。

趣旨に賛同下さる方で、布や着物に関心のある方のご参加をお待ちしています。

来年度の開催は未定です。
コロナ感染予防策として、換気、不織布マスク、手指消毒に留意します。


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第14期 「紬きもの塾’23」開催についてのお知らせ<1>

2023年02月04日 | お知らせ
立春を迎え、暦の上では春。
年末に床の間に活けていた葉牡丹も活け替えて、まだ楽しんでいるのですが、花芽も出てきました。

一昨年の45周年展の後、紬塾はお休みを頂きましたが、今年度は開催をしたいと思います。
HPに日程の詳細をアップしました。
「紬基礎コース」お申込み受付開始は3月18日(土)、開講は4月23日(日)を予定しています。
染織コースは6月からスタート予定ですが、お待ちいただいてる方には4月になりましたら連絡します。

受講希望の方は紬塾の趣旨を過去の紬塾のブログをよくお読みいただき、参考にしていただきますようお願いします。
作る立場から、紬というものは本来どういうものなのか、現代ではどういう作られ方なのか。
糸について、植物の色について、織物の風合いを生み出すものの根源など。
また、「“作る”ことは着ること、“着る”ことは作ること」という考えのもとに、着ることも話します。
上質なものをとことん使うこと、日本の自然観を取り合わせること、自然体で自分らしく着物を着ることなど、着ることと生きることは不可分なことと考えます。

参加くださる方々に合せ、毎年、内容は調整していますので、まだ着物をお持ちでない方も、着物に精通している方もご参加いただけます。

3月初旬、受付開始前にもう一度ブログでお知らせします。

※コロナ感染予防対策もしながら行います。
※定員に達しない場合は開催できない場合もあります。



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帯のアトリエ「花邑」銀座店で展示のお知らせ

2022年05月26日 | お知らせ
最新情報はInstagramをご覧ください。
花邑銀座店での展示は7/12まで。

青葉の美しい季節となりました。
工房の片隅に生きる山紫陽花も咲き始めました。

さて、先日60歳前後のお客様から、紫ががった茶の崩し縞の紬(単衣仕立て/中野作)を5月に着るにはどんな取り合わせが良いか、工房にて相談を受けました。



お手持ちの帯や小物も数点お持ちいただき取り合わせをしてみました。

どの帯ともよく合っていましたが、新緑の5月となると爽やかさを取り合わせたいですので、その中のベージュ系の帯と藍の型染め帯を選びました。


いろいろ帯揚げや帯締めを合わせたのですが、お手持ちの帯揚げは色の合うものは袷向けの縮緬でしたので、染めたばかりの絽縮緬の柿染めの淡いクールグレーを添えてみました。着物との繋がりもとてもきれいで、帯と同調し過ぎず、涼し気になりました。

あとは帯締めは青磁色やレモンイエローのような爽やかな寒色系、着物と被らない色が良いのではないかとアドヴァイスさせてもらいました。

一枚の紬を3シーズン着るためには、帯や小物を変え、季節と馴染ませることが大事ですが、それは着物の醍醐味でもあります。

さて、銀座の花邑さんで、明日27日から6月下旬位まで、帯と帯揚げを展示販売します。


帯は単衣、盛夏に使えるもの、帯揚げは絽縮緬はじめ単衣にも使える縮緬以外の生地をセレクトしました。上の画像の少し濃いめのものは白地や薄地の着物のアクセントになります。また涼し気にするオフホワイト系も染材、部位、染め回数を違えて、微妙な色を染めました。画像で判断できるものではないので店頭でご確認ください。

また、先に述べた3シーズン対応できる紬着尺を数点花邑さんにお預けしてます(6/6以降でしたが6/10以降になります)。
展示はしませんので興味のある方は花邑さんへお声がけください。全て手紬糸、座繰り糸、草木染のものです。着心地は保証いたします!(^^)/

真綿紬なら何でもいいではなく、3シーズン着られる単衣に相応しいタイプというものがあります。
甘撚りの真綿紬糸は保温性と通気性両方の良さを兼ねているのです。

拙著「『樹の滴』ー染め織り着るー」にも単衣の装いについて触れてますのでお読みいただければと思います。
裾さばきが悪いと気にされる方も多いですが、仕立ての注意点もあります。裏地がない分滑りが悪いので、身幅の調整も必要です。工房でも仕立てのご相談も承ります。

またお手持ちの着物や帯ご持参でも構いませんので帯揚げも取り合わせてご覧下さい。実際に合せて見るのが一番ですので。
花邑さんの帯とも合わせてご覧ください。

花邑さんでは6月4日から夏の帯展も始まります。是非お出かけください。
作品集も花邑さんで扱ってもらってます。手に取ってご覧ください。


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DVD[華 いのち 中川幸夫]鑑賞会のご案内

2022年04月30日 | お知らせ
                  「センリョウハコ」1974(器・鈴木治)

前回のブログでご紹介したいけばな作家・中川幸夫さんの没後10年にあたり、
この節目の年に改めまして中川さんの仕事を振り返りながら私達が今の時代にどう受け止め、学んでいけるかなど考えたく、下記の通り会を催したいと思います。是非ご参加いただきたくご案内申し上げます。

TV等でも取り上げられる機会は晩年まであまりありませんでしたのでよくご存じない方もいらっしゃるかもしれませんが、70分程のDVD上映をいたしますのでどんな仕事だったのか、この機会にご覧頂くだけでも良いかと思います。

お申し込みはHPお問合せのメールからお願いします。
コロナ感染予防対策として換気のためドアを開けて行います。
みなさまには手指消毒、マスクなどご協力ください。
ご参加お待ちしております。

           < 記 >

再び花となり現れる
DVD[華 いのち 中川幸夫]鑑賞会


日時:5月28日(土)午後1時30分-4時30分(受付は1時15分より)
会場:鶴川ポプリホール 会議室3F (小田急線鶴川駅下車北口徒歩3分)
会費:2000円(菓子付)当日受付でお支払いください

プログラム: 
1. DVD鑑賞 約70分(速度少し早めて)[ダイジェスト版はこちらで]
2.基調報告「中川幸夫が語ったいけばな・花器・アート」
     報告者:笹山 央  (工芸評論家)   約30分
    (休憩10分)
3.フリートーク(感想、コメントなど) 約1時間
                            以上


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「美しいキモノ秋号」半幅帯特集の撮影をしました!

2020年06月17日 | お知らせ
今日は梅雨の晴れ間、湿度も低く爽やかな日になりました。

工房では「美しいキモノ」秋号の半幅帯特集で、半幅愛好者として、着手として、記事への掲載依頼をいただき、その撮影会となりました。

撮影は当初、室内で考えていたのですが、急遽、天気も良く光も綺麗でしたので、庭先で撮ることになりました。緑が多いので蚊がすごかったのですが、香取線香を焚きながらでした。
野薔薇の洒落紋の入った着物でしたので、結びは文庫のアレンジを考えていたのですが、朝になったら、気持ちが落ち着く吉弥結びになってしまい、さっぱり、さりげなく装ってみました。

他に私物の半幅を着物に取り合わせたものや、新作半幅帯も2点ほど撮影して無事終了しました。

また発売になりましたら、お知らせいたします!






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お正月に着物を始めよう!―「ミニ紬きもの塾@工房版」

2019年12月06日 | お知らせ
師走に入ってあわただしい日々と思います。
工房でも大人可愛いい吉野格子の帯と、深みのある大人の紫茶色の崩し縞着尺を同時進行しています。
また、週末の紬塾では帯結びや帯の柄付けの確認をしますので、その準備など忙しい日々です。

さて、年末年始、着物を着る方も多いと思いますが、今年こそお正月に着物を着てみたいと思っている方、あるいは思いはあっても、なかなか踏み切れずにいる方も、時間の余裕のある時に、家の中だけででも着物に袖を通し、練習を兼ねて着るのもよいのではないでしょうか?



上の写真は、修業を終えて独立間もないころ、母に借金をして、鼓に桜と流水の絵絣を、弓浜絣の復興に尽くされた嶋田悦子さんに手紡ぎ糸で織っていただき、お正月に、家の中や、近所の神社の初詣でへ着て行ったりしていました。これが20代の私にとっての晴れ着であり、普段着でもありました。

好きな藍染め、太めの手紡ぎ糸の温かさ、おおらかな素朴な模様に心安らぐ思いと同時に、本物を目指した織り物で私も生きていくんだ!という自分なりの原点のような気持ちで織っていただきました。また、この地厚な木綿の一枚が、楽に着る着方の練習にもなりました。

特別に改まった晴れ着でなくても、手持ちの着物に、少しお正月らしさを加えて、自分のために着る、自分なりの晴れ着もいいと思います(もちろん着ていく場はわきまえなければなりませんが)。
着方に自信がないという方や、どんな取り合わせにすればいいのか、下着のことなどもわからないという方がありましたら、「ミニ紬きもの塾@工房版」にて随時、ご相談を承りますのでお問合せください。
工房でも紬着尺、帯、帯揚げ、帯締めなどもご覧頂けますのでその旨もおっしゃっていください。

タンスで眠っている着物を見直して、ぜひ着始めてほしいと思います。
とにかく家の中だけでもいいので、まずは着物に馴れること、着物に包まれてみることかと思います。どんなものを纏えばいいのか、着物が教えてくれます。
ご相談の内容を具体的にお書き添えの上、HPからお問合せ下さい。
折り返し、相談にかかる費用などもお返事いたします。
日曜日も対応できる場合もあります。もちろん、年内に限らず随時受け付けています。

私は毎年お正月には着物で外出しますが、今年は江戸小紋に紬の帯で、、と考え中です。着物はたくさんは持っていませんが、取り合わせを替えつつ楽しんでいます。
HP着姿にまたアップします。時々のぞいてください。




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きもの研究家、森田空美さん『Ash&Light 灰色光』 が届きました!

2017年12月19日 | お知らせ
自然光ではやや赤味を含むグレーの節糸の布の表紙。本文の紙の断面は銀が加工され光っています。
 背の上下に見えている布(花布)もこだわりのストライプ。草履であれば鼻緒を固定する前坪のような。。

きもの研究家の森田空美さんの著書『灰色光』が届きました。
上の画像の通りとても美しい本ですが、タイトルはきものスタイルブックとしてはややショッキングです。

「色数を控えてなお華やぐ洗練の秘密は、グレイッシュな透明感と淡い光」と。

すべての色を含む灰色。
灰は全てを燃やしたあとに残り、そしてまた大地を豊かにし、色を生み出す再生の原点。

灰色をただ色名の中の一色で選んでいるのではなく透明な灰味を奥行き、深みとして捉える。
上質ならではの奥から生まれる華やぎ。本質的美しさは何かを問う。素材であり、技術であり、今という時代。

雑誌『和楽』に森田さんのスタイリングで呉服屋さんの商品をモデルさんが着用して今までに掲載されてきた中からセレクトとされたものが中心ですが、新たにご自身の着物で「きもの、私の装い」として撮り下ろされたものが後半にあります。

きものに魅せられ40年だそうです。"あとがき"にはこころに沁みる文章が綴られています。
一部抜粋させていただきます。

「私たちがきものを愛し、日常に生かしていくこと。それこそが日本の伝統文化を応援することにつながると感じます。奥深いきものの魅力を、ひとりでも多くの方にお伝えすることが、私の使命なのでしょう。」

このようなご覚悟の上での着物雑誌などメディアでの仕事であり、現代のつくり手による着物のコレクションも、そうした思いで選ばれ、取合せ、それを自らも愉しむと同時に、次世代に伝えるために日々お召になられてきたのだと納得を致しました。

私もたくさんの着物や帯、ショールなどをお召いただき応援していただきました。
心より感謝を申し上げますとともに、私自身も糸や色と向き合い現代の紬を織り続け、伝えることを使命としたいと気持ちを新たにいたしております。創ることも着ることもいのちを懸けることです。



本の印刷では実際の色より濃く上がったようですが、私の着物は写真写りが悪くて、、(~_~;)、微妙な織と色が印刷や画像では伝わりにくいのです。
今回このご本の中で森田さんがお召くださっている着物と帯の生地アップ画像も恐縮ながら併載させて頂きます。

紬織縞着物「木の葉時雨」
少しずつ残った糸を繋ぎ、ごく僅かの濃い残糸も繋いで配した規則的でもあり不規則性も覗かせるように意図した縞です。
緯糸も濃淡のある糸を混ぜながら小さな格子を織るような感じで織りました。私が太めにつむいだ絣状に染めた糸を4~5寸間隔で一越だけ斜子に織っています。上の画像で太い糸が見えてますのでわかると思います。これが微かなアクセントにもなります。

紬織吉野格子帯「錦秋の光」
秋の深い色と季節の終わりにいのち燃やす激しさも秘めて色を選びました。格子は光沢のある玉糸、地糸はマットな質感の真綿紬糸を使いました。
森田さんは、木の葉時雨にこの帯を合わせ「紅葉から落葉へと、季節の移ろいを伝えるような気持ちで着こなします」と書かれています。
ここでの小物の取合せは茶の帯揚げ、紫の帯締、ともに帯に馴染ませる感じにされています。

もう1点、添田敏子さんの型染め帯と合わせて頂いたモデルさん着用のものもベージュ系ですが色の再現泣かせの着物です。。
ベージュ地の細かなヨコ段です。柔らかで何気ない印象のものです。
隣り合う色をどれくらいの濃淡で入れると立体感や華やぎ、深みが出てくるのか、何気ない仕事のようではありますが時間を掛け糸を選びます。糸の色だけではなく番手の違うもの、紬糸も真綿系、繭から直接引き出す座繰り系などがありますので質の違うものも織り交ぜます。ヨコの段が強すぎず弱すぎず、とても難しいです。陽の光と相談しながら織り進めます。

あとがきには「真の美を求めるつくり手の、創造へのひたむきさと尊い刻(とき)の重みが、輝きとなるからでしょうか」とも綴られています。

そうあらねば、そうありたいと私も願います。


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本は限定部数で、すでに残り少ないそうですが、当ブログ、又は櫻工房FBページをご覧になったことを明記の上でしたら、この本の編集をされた田中敦子さんにメールでお申し込みいただけるとのことです。
ご希望の方はお早めに。<価格 17,280円(税込み)>
完売しました。

森田さんは着物のスタイリング、着付けの指導もされています。
自然で美しい着姿を学べます。
お教室のオフィシャルサイトはこちらです。







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煌く紬はどこから来るのか

2015年02月24日 | お知らせ


3月7日に櫻工房で行われます「かたち塾」第2回[気韻を軸に“紬織・水墨画・現代美術”]では光を受けてガラスの粉を撒いたかのように煌く布の様子を見ていただきたく午前中の開始にいたしました。
晴れるといいのですが・・・

画像は機にかかっている状態の梨で染めたグレー地の着尺ですが、
直射を当てるとお蚕さんが吐き出した1本の糸が持つ波状に光が当たり本当に美しいのです。
写真では取りきれませんが、、、。

これは糸を伸ばさない状態の真綿系の糸や節糸に見られます。
絹でも糸を伸ばして扱っているものには見えにくいのです。

たくさんの紬の着物をお召のお客様から「中野さんの紬はなぜ艶があるのですか?」と尋ねられたことがあります。
「いや~~、別に特別な繭とかで引いた糸ではないのですが・・・」(*^_^*)
「多分糸を伸ばさないことを全ての工程で気をつけているからではないですか?」とお答えはしたのですが、
そのあと自分でもよく観察してみてそれで間違いはなさそうだと思えてきました。

風合いの良い紬を織りたい一心で38年続けてきましたが、風合いという点では仕事のやり方、方向性に間違いはなかったと思います。


今回のテーマの「気韻」というものは修練だけでもなく、もちろん気合だ!気合だ!(>_<)でもなく、ものを見抜くフラットな眼差しによる洞察力がなければ始まらないのではないかと思います。

美しい世界に気付き、見極められるようになれると
何があっても減ることのない一生の宝物になります。

そんな話を一本の糸を見つめるところから話していきたいと思います。

さて、7日の「かたち塾」、あと2~3名の席があります。
気軽にご参加ください。
桜の花芽もふくらんできました。
桜のスモークも美味しくできそうです!!

お申し込みなどの詳細は前記事をご参照ください。
お早めにお申し込みください。



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「『現代工芸論』出版記念の集い」お知らせ

2014年06月08日 | お知らせ


『現代工芸論』出版記念の集いのお知らせです。
 
  日時――6月28日(土)29日(日)12:30~17:00
  会場――仏蘭西舎すいぎょく(板橋)

  ※28日はすいぎょくの喫茶コーナー(飲み物のみ)の営業があります。

29日の参加を希望される方はお早めにお申込みください。(定員30名)
講演会とコンサート、一方だけの参加でも大丈夫です。
 
詳細はこちらから。

工芸評論家・笹山央さんの本は硬い内容ではありますが、おかげさまで好評を頂いております。
関連ブログはこちらから。
そこでこのことを更に直に皆様とお会いして内容を深めていくことができたらと思い「集い」を企画いたしました。

企画を練っているところへ古くからお付き合いのある瑞玉ギャラリーの同じ敷地にあるレストラン仏蘭西舎すいぎょくが厨房のリニューアル期間中貸しスペースとして使わせていただけるというお知らせが入りすぐお願いした次第です。
住宅地ですが緑があり、建物には北窓があり、絵画や工芸品を観るのにふさわしい光が入るスペースだと以前から思っていました。
着物を着ての集いもやりたいなあとも思っていました。

笹山さんの講演と井上まさじさんの絵画、そして古楽系のソプラノ歌手名倉亜矢子さんの取合せです。

三者とも自然体でやるべきことを淡々と地道にこなされている方々です。
押し付けがましいところは一切ないのですが内側が鍛えられているスタンスがスッとしています。そこが共通点です。
三人の方々に豊かで確かな時間を作っていただけるものと確信しています。

笹山さんの話のテーマは「工芸とは?――手仕事はなぜ必要か――」
講師を務める多摩美の学生たちや、かたちの会でも冊子に語り続けてきた内容です。
作り手、使い手問わずご参加ください。

井上まさじさんは北海道立近代美術館に最近10点ほど作品が収蔵されたということでその記念も兼ねています。
先日お電話で話をさせていただきましたが「収蔵おめでとうございます!」と申し上げると「別に大したことではないから」といつも通りに淡々とされていました。
でも一般の方の目に触れる機会も増えるのですからファンとしてはよかった!と思います。
画像では全くその良さが伝わりませんが実作をぜひご覧いただきたいと思います。
新しい試みをいつも機が熟すのを待ちながら前を向いて描き続けている方です。
私も何点か頂いてますが、どれもいくら見ても飽きが来ないのです。
新作も楽しみです。

名倉亜矢子さんはソプラノ歌手ですが中世~バロックの曲を中心に活動されている方です。
発声が自然な呼吸法とともにあり半艶消しのようなやすらぎのソプラノです。

以前にもかたちの会の企画で鶴川の可喜庵でサロンコンサートをしていただきましたが、聴衆のほとんどの方が涙を流していた感動のコンサートでした・・・
部屋の空気が一新されるような歌声です。
私は蚕が吐き出す糸のようだと思っています。
その時のモノラル録音はこちら

2008年にリリースしたソロCD「やすらぎの歌」は、レコード芸術誌上で「プライヴェート・ベスト5」に選出されたということですが、このCDも私は何度も聴いています。癒されます。
今回もそのCDの中に入っている曲も演奏していただけます。
小型のゴシックハープを使っての弾き語りとなります。
日本の歌も楽しみです

また音楽の指導にも力を入れておられます。
プロクラスから子供、高齢の方まで指導されています。

そこで何と!コンサートのあとに「ミニワークショップ」を特別にしていただきます。
声と気持ちをスッと宙に飛ばしてみませんか?
指導までしていただけるとてもとても贅沢な時間です。
またとない機会ですので是非ご参加ください。

29日は講演とコンサートの間(14:30~15:00)に飲み物サービスの時間がありますので余裕をもってご来場ください。

予約お問い合わせはこちらからどうぞ。
当日のご連絡は080-6775-4892へお願いします。

かたちの会推奨の工芸品(陶・ガラス・木工の器など)もサブコーナーに展示いたします。
私は新緑染の春夏ストールを出品します。

サブコーナー詳細は後日またお知らせします。



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『現代工芸論』(笹山央著)という本が出版されました!

2014年04月05日 | お知らせ


工芸評論家・笹山央著『現代工芸論』(蒼天社出版)が昨日届きました。

校正の最終段階で読ませてもらいましたが、一気に引き込まれて読みました。
読みみ終えて気持ちが前向きにスッとしました。

出版、心からおめでとうございます!!
長いあいだ“評論”の立場から工芸をさまざまなものづくりを見続けてきました。
そして自分の経験の中から書き上げた実践的な工芸論と言えるでしょう。

着物も工芸もアートも人々の暮らしから離れたところで、ひとりの人間の小さな頭の中だけでの創作物になってはそれこそゴミを生み出すようなものです。

いのちあるものづくりが今後なされなければ本当に文化など育ちはしないと思います。

着物を着ることも木目込み人形のような着方や雑誌のモデルさんのまねっこでは「着る」という本質に迫ることもできません。

『現代工芸論』は“工芸”という言葉で簡単にくくるものではなく、自分自身の創作、生き方、衣食住の暮らし方をも考えさせてくれます。
「工芸の“工”という字は天と地をつなぐもの」と聞いたことがあります。

本来はとても大きな世界を内包するものなのではないでしょうか?
ただの独りよがりを“自己表現”などと言ってはいけないのです。

私は大学では生活美術を専攻し、工芸の本なども読んできましたが、今までにはない本です。

特にこれからを担う若い方には是非お読みいただきたいと思います。
もちろん中年以降の方にもじっくりと読んでいただきたいですが。。。

難しいと思われる箇所や、異論、反論などあれば、お問い合わせいただければ笹山さんはきちっと答えてくれると思います。

前向きにものづくりをしたいと思う方、使い手、鑑賞者、仲介者、ジャンル、立場を超えて読んでいただきたい本です。

私は、数は多くないかもしれないけれど先入観なくわかる方は一般の方の中にもおられることを自分の染織の仕事を通して実感しています。希望は捨てていません。

希望の人の輪を繋いで頂ければこの上ない喜びです。

「いいもの」が生み出されてくることを切に願うものとして是非おすすめしたい感動の一冊です。


書店で注文できます。

かたち21(櫻工房内)でも販売いたしております。

『現代工芸論』笹山央(蒼天社出版)本体1800円+税


[問合せ]
 Email:katachi☆mbr.nifty.com
 (☆を@に変えて送信してください。)
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自然光で観る

2014年01月25日 | お知らせ


昨日の午前11時半頃に薄いカーテン越しの光で撮影しました。
私が織っている機の上の、着尺です。
少しオレンジがかった薄茶といえばいいでしょうか?
桜染めを中心のものです。
画像で色を再現することはほぼ不可能ですが、表情は少しお分かりいただけるかもしれません。

1月下旬くらいになると、草木で染めた糸が光を受け本当に美しさを増します。発光しています。

経糸をご覧ください。節糸、真綿の紬糸、玉糸を混ぜています。
私の紬は一反、一反糸のブレンドが違います。
立体感を強くしたり、比較的滑らかにしたり、その出来上がりをイメージして決めていきます。
私にとって大事なことは生きた布を作ることです。
それが私のような一点ものをつくるもののやるべき仕事と思っています。

生きた布は身にまとった時に、その季節や時間、布と視線の角度で、自然光に反応して様々な表情を見せてくれます。
そのことは着た方にも生き生きとした喜びや安らぎを与えます。
私はそれを引き出す役割を担っています。

初めて観る方からも驚きの声が上がる程です。

3月1日~4日まで名古屋で個展があります。

先日打ち合わせに名古屋まで行き、会場も拝見させていただきました。
お庭が広くて自然光もたっぷり入る和洋折衷の会場です。

立体的な草木染の紬の、光の反射の妙を直にご覧いただきたいと思います。


「中野みどりの紬の会――作品集『樹の滴』出版を記念して」

主催/きものギャラリー睦月  会場/岳見町ぎゃらりぃ(名古屋市)





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「桶谷寧の茶碗を観る会」のご案内

2013年02月14日 | お知らせ
「桶谷寧の茶碗を観る会」のご案内です。

世界に三碗しか現存しないといわれる南宋時代に焼かれた曜変天目茶碗を再現された、
京都の桶谷寧さんの茶碗を観る会を新宿の玄海「桐の間」で行います。

2008年にかたち21の企画で桶谷さんの展覧会を町田市の可喜庵でさせていただきましたが、私もその時以来、彼の茶碗に魅了されている一人です。
2011年に櫻工房内で「観る会」をした時の様子はこちらから。

私は若い頃に、大阪の東洋陶磁美術館で油滴天目茶碗(国宝)を観たことがきっかけで、静嘉堂文庫美術館の曜変天目茶碗を知ることになったのですが、観た当時「すごい!」と思っていました。
先月久し振りに観てきましたが、桶谷さんの曜変を自然光の中で手にとって朝から晩まで時間帯による色の変化まで観てしまったせいか、少しトーンダウンしてしまいました。。。
というのは美術館の照明では曜変は真価を発揮するかたちで観ることができないということです。
曜変の深い深い青黒い地の部分に光が反射して虹彩を放つのですが、もう少し「光を!」と言いたいです。
モノは光によって見えるのですから、光による褪色などはないやきものは、自然光が少しでも入ったらもっと美しいのだろうにと思います。
静嘉堂に限らず美術館全般に言えると思いますが、展示に工夫があると良いと思います。
玄海「桐の間」は障子越しに自然光が入ります。

また今回静嘉堂でもう一つ確認できたことは桶谷さんの黒織部は長次郎(楽家初代)の黒織部を彷彿とさせるということです。

そのことで気づいたことは桶谷さんの制作は小手先の技術や陶土、釉薬の調合にこだわるのではなく桃山期の陶工のあり様に思いを馳せているような気がします。
アバウトだけれど大事な所は押さえてある。
何を目指すのかがきちっと見えていて、そしてその再現だけをしようとしているわけではなく今という時代の中で自分の世界も築こうとしているのかと推察いたします。
もちろんその努力は大変なものだと思います。

その曜変天目茶碗も含め井戸、黒織部、志野茶碗、盃などをご覧いただきます。
工芸評論家の笹山央さんの進行で、桶谷さんにもお越しいただき、二人の話をまずは伺います。

やきものだけでなく、モノを作る上での臨む姿勢や発想の方法などはジャンルを超えて普遍性をもって参考になる点があります。

それにしても桶谷さんはいかにも陶芸家風でないところがいいです。
飾り気のない方ですが、淡々と自分にできる本当のことを、賢く頑張っておられるようにお見受けします。

会の後半はお食事をしながら歓談を楽しみたいと思います。
よかったら着物でご参加ください。

最新号の『かたち』No.11この度の会でも手にとってご覧いただける作品をご紹介しています。
2月1日が5期目の更新時期になっておりまして、更新をいただいたみなさまありがとうございました。

「かたちの会」新規の会員も募集しております。
暮らしや生き方、ものの見方、創作を深めてくれます。一度是非会誌のご購読を!


詳細は笹山さんのブログからご覧ください。
次号の発行は4月になります。



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