中野みどりの紬きもの塾

染織家中野みどりの「紬きもの塾」。その記録を中心に紬織り、着物、工芸、自然を綴ります。

上質な半巾帯

2011年09月10日 | 着姿・作品
中野みどりのHP


前々回のブログをご覧になられた方から
夏に紬の帯を締めてもいいですか? と問い合せをいただきました。

「紬」といっても糸使いや色はさまざまです。
私が締めている半巾帯は赤城の節糸といわれる太い糸で織っています。
絣の入った白っぽい部分は細い玉糸です。

絣の残糸を使って、地は綾織で織ってあります。

真わた紬ではないので、サラッとした風合いで光沢もあり、私は1年中使っています。
真わた系ですと半巾でも暖かさがあって、盛夏には向かないものもあるかもしれません。
見た感じの判断でよいのではないでしょうか。
絹も麻ほどではありませんが、放湿性がありますので、夏帯にも多く使われています。

さて、この4月に私の指導の下で一本の半巾帯を織られた方の作品をご覧ください。
経糸を機にかけるまでと、よこの色糸はこちらで用意しました。
ベース(地糸)は精錬から染までしてもらいました。やはり赤城の節糸ですので、
着用の時期も長く重宝すると思います。


地糸はやまもも、色糸は紫根、小鮒草、桜などで染めたもの


黒のきものは紬風のお召しのような感じの単衣で、これと合せるそうです。たてに白い絣が少し入っています。
お彼岸明けから着れそうですね。


この方は紬塾1期生の方で、修了後に、もう少し織りたいと申し出られたので、
特別に受け入れました。テストケース的な形です。

自分で織りたいと思ってる方は多いのですが、
本当に質の高いきものを着ていこうという志のある方に
指導をさせていただこうと思っています。
これを織られたMさんからお手紙をいただきましたので以下にご紹介します。


「『上質な半巾帯を織る』コースを受講するにあたって、自分なりの目標を立てました。
柄・デザインに凝るのではなく、柔らかく、締めやすい、自分なりの帯を織りたいと。
自分らしくきものを着てみたいという思いが、紬塾を受講してだんだんと大きく膨らみ、
その一歩を踏み出すのに半巾帯を織ってみたいと強く思いました。
最後まで帯として仕上げられるか、不安を抱えての申し込みでした。

精錬・染色 ・媒染・糸巻き・織り・仕上げ・たくさんの事を教えていただきながら
進めていく工程はどれも次の工程につながる大事な仕事。
糸に目を配り、糸の持つ力を引き出すには、自分の技術や力は乏しく、
その時その時にしなければならないことで精一杯でした。
それでも織り上がった布を見たときには、反省しつつも愛おしく感じていました。

織り上がり仕上げをした布は巾が不均一で、
取り除かなくてはいけないネップがそのままだったり、目が飛んでいたりしましたが、
糸の力を借り植物の持つ味わい深い色に助けられて、
私には美しい布に見えました(自己満足?)。
とても貴重な体験、充実した時間でした。

紬塾を受講中、糸を見る力、布を見る力をつけて欲しいとおっしゃっていた先生の言葉に、
半巾を織ること、糸を扱うことによって、ほんの少しですが、近づけたかと思っています。
これから物を見るときに生かせる力だと思っています。
最後まで面倒をみていただき、ありがとうございました。」



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