中野みどりの紬きもの塾

染織家中野みどりの「紬きもの塾」。その記録を中心に紬織り、着物、工芸、自然を綴ります。

「紬の会」お知らせ④――ショールとショール留め

2014年10月31日 | 紬の会

紬の会向けの1点ものショールが織り上がり仕上げ作業も終えました。
経に節糸のすごい太いのも入っていて刷毛で糊をつけながら織りましたので、湯通しを念入りにして糊を抜きました。

張木という道具を使い天日干し、そのあと軽くスチームアイロンをかけ、体に馴染むように更に砧打ちで仕上げました。
真綿や大量の繭から手で引き出された味わい深い糸を使っていますので糸に嵩高性があり、薄手のようでいて、温かいです。
まだコートを着るほどではない季節にも、バッグに忍ばせておくと重宝します。
手洗いが可能で、洗うほど使うほどに柔らかく、シワになりにくくなるのが特徴です。

そして今回は金属ジュエリーの鴨下蓉子さんにショール留めのピンを制作してもらいました。
こちらも届いたばかりですが、真鍮製のシンプルな作りのものですが、よく合っています。
止めることでポンチョ風に纏えます。
ショールは着物にも洋服にもお使いください。
ピンブローチは普通にセーターなどにももちろんよいですね!



房のあるタイプのものもあります。
無地系と格子があります。

「紬の会」で是非ご覧ください。「紬の会」11月15日(土)~19日(水)のこの期間にご都合がつかない方で作品をご覧になられたい場合はかたち21へお問い合わせください。櫻工房内でご覧頂くことも可能です。

詳細、お問い合わせはHPからお願いします。











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小川郁子江戸切子帯留め――紬の会お知らせ③

2014年10月26日 | 紬の会
  

来月15日からの「紬の会」に出品する着物と帯です。
帯留めはもちろん小川郁子さん。カットは「菊つなぎ」です。

着物は百日紅を何度も染重ねた墨色。縞の色糸は紫根の紫、藍、玉ねぎなどの黄色。

一見クセがあって人を選びそうなこの着物は、纏ってみると誰にでも合うので不思議です。
いえ、不思議ではないのですよね。人工的な黒、紫、青、黄色は難しくなりがちですが、自然がうまく引き出された生きた色の場合は無理がなく、人の肌とも馴染みます。

この仮仕立ての着物を着てくれた人はまだ若い人ですが、思いのほか良く似合っていました。
理知的なキリッとした感じになりました。

今まで他の着物でも、合わせた時に年齢や顔立ち、性別さえも超えて受け入れてくれる場面に何度も遭遇しました。着る人の内面を素直に着物が引き出してくれるように思います。
会場で是非纏ってみてください。

帯はクズ、クロガネモチ、ムラサキシキブなどの緑味のグレーの濃淡と、ヤマモモのベージュです。
こちらも合わせやすい帯と思います。無難という意味ではないのですが・・

さて、かたちの会会誌の最新号(最終号)の表紙にこの着物の取合せが使われています(色がうまく再現されてないのですが、実際の帯揚げはネイビーブルーです・・)。
会誌は今号で最終となります。
小川郁子さんの作品紹介ページもあります。

1980年から長きに渡った笹山央氏編集の『かたち』は、近年は会員制で発行してきましたが、工芸を見続け、人間社会に質の高い工芸がどれほど大切な役割があり、必然であるかを創ること、使うこと、観ることの立場から語り続けてきました。

今年の春には『現代工芸論』も出版し、一区切りではありますが、今後はより実践的に善き同好の士と共に「ものの美」の在り様を深めていく交流は続けたいとのことです。
また私も関わっていきたいと思っています。

通常は会員さんに配布されている『かたち』ですが、一般の方に私の特集号を含めバックナンバーをお分けできるようにしたいと思っています。
また詳細はお知らせします。

笹山さんの『かたち』最終号に関するブログはこちらから。




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絣名古屋帯と小川郁子江戸切子帯留め――「紬の会」お知らせ②

2014年10月19日 | 紬の会

絣名古屋帯「里山」、帯留め(雪 )/小川郁子作

来月の「紬の会」出品作品からご紹介します。
サッパリした絣を配した名古屋帯です。

地は着尺用の細い節糸を2~3種を細かく混ぜ、立体感のある風合いにしています。
耳を見ていただくとわかりやすいです。

絣糸は真綿引き出し糸という帯などに使う太い糸です。細い糸と太い糸の対比を出しています。
とても面白い良い糸なのですが、もう引く人がいなくなってしまい私の手元にもわずかしかありません。
絣はわざとずらすことによる動きを加えました。
この糸や技法を効果的に使っていこうと思います。

桐箱入り

帯の上に乗せている小川郁子さんの帯留めともよく合います。
どんな着物と合わせましょう?
三分紐はどんな色にしましょう?

小川さんの帯留めはギリギリまでの制作になるということで今私の手元には数点しかありません。
大まかな要望のようなものや色数も多数お願いしていますが、具体的にどんなものが届くかは、搬入を待つしかありません。待ち遠しいです!

小川さんから送っていただいた以前の制作品の画像を一部ご紹介します。
この画像のものが届くかはわからないのですが、形と色、カットを指定しての注文も可能です。

楕円ー菊つなぎ

正方形ー魚々子

菱ー星 

銀製の台座は銀細工の松原智仁さん制作。いろいろ試行錯誤もあったようですが、
この美しい台座も小川さんの帯留めを引き立て支えてくれていると思います。

当日は私の帯と帯留めを取り合わせて展示したいと思っていますが、みなさんお手持ちの帯とも遠慮なく合わせてください。

三分紐も用意いたしますので会場で取り合わせてご覧ください。







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第6回紬きもの塾ー自分で紬いだ糸の糊付けと織物設計、柿の実収穫

2014年10月14日 | 紬塾 '13~'16
今回の紬塾は自分で紬いだ緯糸の糊付けと織物設計、柿の実の収穫!?でした。

今回使う緯糸は無撚の糸なのでどうしても糊(布海苔と生麩を混ぜています)はつけなければなりません。
しかし、緯糸を管に巻き、スムーズに杼から糸が出てくれば良いだけですので、過剰に糊を付ける必要はありません。過剰につけると、後で湯通しをしても残り、バリバリした風合いの布になります。
更に打ち込みや織り幅とも関係してきますので付ければ良いというものではありません。

また絹糸のウェーブを取り戻し糊で固め、立体的な織物を織る役目もあります。
糊付け後には決して糸をはたいたりしません。

「糊付け三年などと言われるのですが・・・」と言いかけたら「えっ3分じゃないんですか?」(笑)と声がかかりました。
もちろん三年やればできるという意味でもなく、体得するのは奥が深いということなのですが、どうしても学校で勉強するように、習えば覚えられると思う傾向があって、一聞いて後は自分の中から発見し、勘を磨いていくという訓練をする場がないことが、勘を育てられないように思います。
今私の元で修業中のものもまだまだで、やり直してもらうことが多いのです。

使う糸質や太細によって、経糸、緯糸、撚糸、濃さをかえたり、天気(湿度)にも気をつけます。
糊の濃度は手で触って確認し覚えてもらいます。
この覚え方は時間がかかるかもしれませんが身に付けば何があっても自由に見極められます。

このギリギリを探る感覚が私は好きです。
知識や数値で覚えるのではなく観察力と状況を組み合わせてその都度判断する。
そうやって自分が試行錯誤し身につけたことは一生役に立ちます。
糊付け以外の料理でも裁縫でもお茶を入れることでも同じです。

織物設計に関しては今期の方はザクっとアバウトな感じで、織りの日がちょっと楽しみと不安です・・^^;

あとは工房の柿の実が採り頃で、高枝バサミで収穫してもらいました。
高枝バサミの使い方もお教えしましたよ。

野鳥がつついている完熟の柿はトロトロで、伐るときに下から見上げてもわからず、鈴なりのところを伐った途端に、上から降ってきて、シャツを汚してしまいましたが、、、野鳥の分もちゃん残しておかなければ・・・

庭がないので高枝鋏みを使ったことのない人や、柿の実の収穫も慣れていない感じでした。
が、楽しかったです。

それをおやつに3個剥いて食べました。
「おいしい!」の声がまず上がりましたが、同じ木でなっているのに微妙な熟れ加減や大きさで味が違いました。
お土産にも少し持って帰ってもらいました。
えんどう豆の餡のどら焼きと・・・



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