中野みどりの紬きもの塾

染織家中野みどりの「紬きもの塾」。その記録を中心に紬織り、着物、工芸、自然を綴ります。

桶谷寧の茶碗を観る会――ものの本質的な美しさ

2013年03月18日 | 工芸・アート
桶谷寧さんの茶碗を観る会は一昨日、濃厚な話の中に終わりました。
濃すぎて頭の整理が今だにつきません。
難しい話もあったのですが、話に引き込まれて聴いてしまい、風景写真も2~3枚しか撮れませんでした。
かたち21の笹山さんのブログもご参照ください。

それにしても、ものすごい話でした!
たくさんの意表をつく言葉の中から私も一つ紹介します。

「僕のは造形はダメよ。それやっちゃうとわからなくなっちゃうから…」

私はこれは懇親会も終わろうとする頃に桶谷さんがどなたかに話していた言葉を小耳に挟んだのですが、、、
この方の一流度がここにあると思います。
小手先の表現よりももっと本質的なところで美しさの世界を宇宙レベルで追求、試みている人ですね。

まずは古い時代のよいものをよく見て、制作の方向性を見極めるということが基本です。
そしていろいろと試みる。
その方向性が違うといくら積み重ねても良くならないですよね。


桶谷寧作「志野ぐい呑」 
画像では色がわかりにくいのですが、ただの白ではない…でも桶谷さんは志野はまだまだと言っておられました。



また、造形をもちろん軽く見ているわけではないと思います。

最初に、それ風に軽くテキトーなものを作っている人はなかなかそこから抜け出せないものです。
最初がすごく肝心。

織物も同じです。共感できる点がたくさんありました。
私も内側から光を放てる織物をこれからも作ることの確信を得ました。
どんなことにも言えると思います。

ものの美しさの背後にあるものは何かを桶谷さんの作陶の話の中に見てしまった鮮烈な会でしたが、
参加下さった方々も、やきものマニアというより、素直にものを見つめることのできる方ばかりで、
桶谷さんもむしろ話しやすかったのではないかと思います。

桶谷さん、そして参加いただいた皆様ありがとうございました。


桶谷さんにも玄海の鶏の水たきのスープを気に入っていただけよかったです。滋養がつきますね。

床の間のお軸は岸野忠孝作「桜図」
開花を前にみなさんに絵で観ていただきたく持って行きました。
この方の絵も奥から光を放つような奥行を感じます。

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紬きもの塾’13 受講生受付を開始しました

2013年03月12日 | 紬塾 '13~'16

今年度の募集は締め切りました。


本日3月12日より「紬きもの塾’13」の受講生の受付を開始しました。

少人数ですのでお早めにお申し込みください。

日本の「かたち」を見つめる、楽しく充実した会になるよう努めてまいります。

過去のブログや「趣旨」をご理解の上、お申し込みください。

「紬塾」詳細とお申し込みはこちらから。電話(080-6775-4892 かたち21・笹山)でも受け付けております。


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櫻工房の野鳥たち

2013年03月05日 | 自然環境・脱原発

今日は啓蟄ですね。虫たちが活動を始めます。
昨日朝食を摂っていると庭に鳥たちが種々集まってきました。
野鳥たちも活動が活発になる季節です。
なんとアオゲラが来てるではないですか!赤い帽子がオシャレ~!!

毎朝パンくずやコメ(七分搗き)、リンゴなどを庭に撒いたり、竹のエサ箱に入れているので(冬から桜が咲く前頃まで)、ヒヨドリやムクドリ、スズメ、シジュウカラ、メジロはよく来ているのですがアオゲラは初めて見ました。

こんなに一堂に会することは珍しく、なんだか嬉しくなって小さなデジタルカメラで家の中からガラス越し、網戸越しに写真に納めました。
ピンボケでお見苦しいのですが、、、お付き合いください。
自然からのたより」のようにはいきません



アオゲラの横向き。桜の木は虫も好み樹に潜んでいるので一生懸命木をつついています。



アオゲラに少し遅れてムクとコゲラもやって来ました。
ムクはしょっちゅうつがいや仲間と連れ立ってきます。単独行動は好まないようです。
黒い衣装ですが、嘴と足は黄色で統一してアクセントとしています。

コゲラはたまに遊びに来てます。小ぶりですが黒と白のボーダー柄の衣装は小洒落ています。



竹を割った餌箱を桜の木の下に設置してあります。



コンクリーの叩きに撒いたお米をムクとスズメがついばんでいます。



水も素焼きの容器に入れているのですが、どの鳥も必ずといっていいほどお水も飲んでいきます。
消化を助けるのでしょうか?夏場は水浴びもよくしていきます。
メジロのつがいが小さなお風呂で混浴しているのを目撃したこともあります。



キジバトはたいていみんなが食べ終わったあとに来て庭中を餌を求めて歩き回る奥手タイプなのですが、この日はしっかりお米にありつけました。
ちなみにハトはパンよりお米が好きなようです。他はだいたいパンを先に食べてると思います。好みがあるんですね。
キジバトはグレーと茶の混じった地味目の装いですね。
でもよく見るとそれなりに凝っています。
おっとりしていて他の鳥がいても追い払ったりはしない、やはり平和主義者なのですね。



こちらはおなじみのヒヨドリ。毎朝餌を待って近くの木に止まっています。
撒いている最中にも食べ始め、なくなると「ピーピー」と鋭く鳴きます。
衣装はダークなモノトーン系の無地ですが、よく見ると裾の方は海老茶のような色になっています。
自然の神様はそれぞれに装いを違えて、地味でもお洒落の計らいをしているのですね。



そこへやってきたのが今年になって来るようになった新参者、シロハラ。
ヒヨドリほどの大きさですが、これがなかなかのワルなのです。
ほかの鳥を執拗に追いかけ、追い払い、餌を独り占めするのです。
分散して餌は撒いているのですが、離れたところで食べている鳥も追い払い、遠くへ逃げていった先をずうっと睨みつけているのです。
周りにとにかく来て欲しくない!ようです。
ムク5~6羽にも向かていきます。

名前はシロハラだけれど“ハラグロ”と呼びたい感じです。
モスグリーンのジャケットを羽織ってます。お腹も本来はもっと白いのだと思います。
私の母は紀州の山の中の空気のとても綺麗なところで育ったのですが、東京のスズメは汚い色をしているとよく言ってました。
スズメも昔から絵にも着物の柄にもよく使われたのですから茶系の衣装ももう少し洗えば綺麗なはずです。

都会の空気は汚れているので鳥の衣装も汚れますよね。洗濯してあげた~い!



こちらもヒヨドリほどのサイズでツグミです。
この鳥の特徴はなんといっても何歩か歩くとピタッ!と止まってしばらく動きません。
「だるまさんがころんだ!」状態になります。
地面の中の虫をついばんでいます。たいてい一人寂しく来ます。結構長居していきます。
衣装は黒白の綾織のような感じで翼の先は少し差し色の茶を効かせています。
顔の眉と頬の白いラインも特徴です。




こちらは小型の野鳥用にキュウイの棚に食パンの耳を3ツ折にして、洗濯バサミで止めています。
胚芽パンやサヤつきの落花生を止めておきます。



スズメの食べ残しをシジュウカラが必死で食べています。
網戸越しですがシジュウカラは青みのグレーと黒のツートンカラーでとても綺麗です。
お腹の方にも黒いラインが通ってます。
「ツーピーツーピー」と鳴きます。
本来は肉食系だと思いますが冬場の虫がないときは米粒も食べています。



桜の木の上の方に止まっているのはジョウビタキ。
人懐っこい鳥でよく一人で遊びに来てます。
お腹はオレンジのシャツを覗かせて、背中は・・・



なんと紋付です。パーティーへお出かけかな?





以前、川崎市の麻生区王禅寺で一軒家を借り、そこを工房にしていたのですが、庭がなかったので、こんな工房があったなら・・・と夢見て走り描きした絵が出てきました。
当時「自分の着物は自分で織る――地織の会『櫻工房便り』」というのを発行していて、そのカットに使ったものです。

今の工房は借地ですが広い庭があり、正にこの絵のようなところで桜の木を愛で、野鳥を観て目を休め、染織の仕事をしています。

この『櫻工房便り』のことはまた機会を改めてお話したいと思います。

一昨年来、野鳥の数は町田市でも半減していることは確かです。
放射能の影響もあると思います。
人体の影響だけでなく小さな動植物の命も脅かされています。

まもなく3月11日がやってきます。

私に出来ること―――自然を大切に見つめ、自然と共に今ある生を生きること。



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