中野みどりの紬きもの塾

染織家中野みどりの「紬きもの塾」。その記録を中心に紬織り、着物、工芸、自然を綴ります。

「中野みどり展」終了しました!

2018年11月29日 | 展示会
 梅染刺子織絣着物(ワッツにて)

秋の光から木々が葉を落とし、窓の外は冬の光に変わり始めました。
「中野みどり展」無事終了しました。
ご来場くださいましたみなさまありがとうございました。

新作を中心に展示いたしました。
今回の会場はコンクリートの打ち放しの壁に金属製の床、什器、北側窓からの採光という今までにはなかった展示となりました。
ワッツさんは15~6年前、知り合いの金属造形作家の展示を見に行き知った場所です。窓の外にはマテバシイの木が植えられて都心にありながら落ち着いた空間です。

こういう空間に私の紬もいいのでは、、と以前から思っていましたが、この度ようやく実現いたしました。
金属や石と布、異なる素材の空間との取合せも意識した展示となりました。



ギャラリートークではワッツの山本さんが進行役になって話を進めて下さり、拙著、作品集「樹の滴」を読んでの感想も含め、私の仕事の根本に触れるようなとてもいい質問もしていただきました。織物との出会いから、修業時代のこと、百反織ることの意味、自然との関わり、糸や色のことなどポイントをある程度話せたように思います。
内容盛りだくさんの中で、なにしろきちっと1時間でコーディネートしてくださったのが凄いです。
オーナーの川崎さんからも「わかりやすかった、学ばせてもらいました、みなさん満足されたと思います」とおっしゃっていただきました。

みなさん糸の奥から放たれる色にとても興味を持たれ、今までの草木染めのイメージとは違うという声もありました。
色は氾濫しているけれど、こんなに深く引き込まれる色は少ないように思います。
草木染ならいいと言うつもりはありませんが、いい色を引き出せるなら身にまとっていきたいと思います。
堅牢度などに関しての質問もあり熱心に聴いてくださいました。

いろいろな立場、年齢の方にお聴きいただきましたが、それぞれのお立場で布や着物、自然な色などについて感じ、考えられたのではないかと思います。考える一助にして頂ければ幸いです。

草木染めの色は画像では伝えられない色で、私は作品写真をネットに上げるのは最小限にしています。
紬糸の力にせよ、植物の色にせよ、実作でしか本当の美しさ、力は感じてもらえないと思うからです。
ただ、会場に今回も拙作の紬を着てお越しくださる方が何人か有り、その着姿を撮らせていただきました。手元を離れた着物や帯が、それぞれの方の着こなし、取合せを拝見できるのも楽しみです。
その中の一部の方ですが、少しずつHPの「着姿」にアップしていきますので時々チェックしてください。
自然物を纏う心地よさが表情によく表れていました(残念ながらお顔は載せてませんが、、)。



ここでは私の取合せです。お馴染みの藍の小格子に洒落袋の草木染め染帯(山帰来)です。
葡萄色の帯締めで深まる秋を演出してみました。(*^_^*)

一人でも多くの方に自然物が持っている力や、季節の移ろいの妙味に気付き、楽しみ、着物として身につけていただけることを願っています。
それは自然やモノを慈しむことでもあります。

工房では着物、帯作品、ショール、草木で染めた帯揚げを随時ご覧いただけるよう準備しております。お手持ちの着物や帯に、小物を合わせるお手伝いもさせていただきます。

ご予約時に、ご覧になりたいものを大まかにでもお書き添えください。
工房営業時間は月曜日~土曜日の9時ー18時です。
何日間かご都合の良い日時をお書き添えの上、HPからご予約ください。
日曜日も対応可能な場合もあります。





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中野みどり展-ギャルリーワッツにて開催中!

2018年11月20日 | 着姿・作品










中野みどり展-ギャルリーワッツ(南青山)にて11月24日まで開催しております。

ワッツのアーティスティックな空間に展示させていただきました。
北窓から仄暗い光も落ち着きます。

本日のお客さまの着姿も素敵でした!


濃厚な「暁闇」と題した紬に、落ち着いたボルドーの帯揚げ(着物、帯揚げ/中野作)で大人の貫禄でお越しいただきました。帯は自分には可愛すぎるかしら、、とおっしゃられていましたがよくお似合いでした。(染帯/仁平幸春作)


「里山」と題した帯を締めてきてくださいました!軽くて締めやすいですとおっしゃっていただきました。赤城の節糸の細いものを地糸にしていますので軽いと思います。コブナグサで染めた絣の黄色も一捻りある色で効いています。


こちらはお疲れ気味の、、60代着姿。^^; 
久米島紬に、帯、帯揚げ、帯締めも中野作。(^^ゞ

ぜひご来場ください。ギャラリートークは定員に達しております。
展示のみご覧頂く場合は、2時半から1時間ほどですのでこの時間帯をできましたら避けてお越しいただくほうがゆっくりご覧いただけます。
よろしくお願いいたします。(^^)

場所など詳細はHPをご覧ください。





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中野みどり展お知らせ(3)ー紬織り出袱紗

2018年11月16日 | 展示会









草木染め紬出袱紗「紫の中庭」

着物や帯の柄を決めるために本体に1~4尺ぐらいの経糸を加え用意します。
細かな経縞や、無地系の崩し縞などは余分はあまりなくてもいいのですが、織りながら経糸との兼ね合いを見ながら織る必要がある大格子、間隔の大きな緯段などの時には試し織りで3~4尺はいつの間にか織り進んでしまうこともあります。

ただ、この仕事で食べていくにはいかに集中し、早くたくさんの仕事をこなせるかが大事です。
もちろん手間暇は惜しみませんが、無駄に織り付け(織柄を決める)を長く取り、いくらでも時間をかければいいというものではありません。
限られた時間の中だからこそ神経を集中させ緊張感を持って機に向かい、経糸と緯糸の織り色を見極め、質感やデザインなどを決めていかれるのだと思います。

そのまだきちんと着物や帯の柄になっていない所で、出袱紗や小袱紗を作ることがあります。
袱紗用に織ったものや着物の余り布にはない思いがけない面白さが出てくることがあります。
袱紗は拝見に値するような布でなければなりません。

今まで300反以上は着物や帯を織ってきましたが、小袱紗(表千家では使いませんが)は1尺足らずで作れますので、たくさん縫って個展などで販売してきましたが、出袱紗がとれることは少なく十数点しか作ってないと思います。

上の写真の袱紗は10年ほど前に織った着尺の織り付け(試織)部分を使ったものです。ずっと温めていましたが、昨年袱紗に縫いました。

抽象画を観るような面白さを感じました。
あとになって何処かで見たことがある絵のような気がして、モランディの絵の色調にも似ているように思いました。
茜や紫根の紫、桜の茶、白茶がタテ・ヨコに重なり合い醸し出す色合いがなんとも言えない華やぎと落ち着きを併せ持っているように思います。
展示会でお客様のハートを射止めたようで、ご覧になるやいなや即決でした。

出袱紗は濃茶点前のときに茶碗と一緒に添えて出されます。
名物裂や更紗などの古布が使われることもあります。
お茶をいただく時には貴重な布を汚してはいけないので、自分の使い袱紗を使うことも多いと思いますが、飲み終わってからの拝見では茶碗と共に袱紗も拝見します。

八つ畳みで置かれた袱紗を左掌に載せ、開き、四つ折りの状態で上から1枚ずつめくるように拝見します。
総柄ではないので、めくるたびに違う景色が表れます。
長くお茶を嗜まれてきたお客様からは「表情豊かで見飽きないです」との言葉をいただきました。

袱紗は茶席だけでなく、小さなオブジェや香合を置いたり、大事なものを飾る時に下に敷いて愉しむこともできます。
コレクションとしてお求めいただくこともあります。

現在の出袱紗の在庫は2点です。レア物です。^^☆彡
詳細はSHOPをご覧下さい。 

19日からの個展でご覧いただけます。

オンラインショップは個展開催のため、明日17日から25日まで発送は休ませていただきます。

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日時:2018年11月19日(月) – 24日(土)

会場:ギャルリーワッツ(港区南青山5-4-44 ラポール南青山 103号) 
出品:着尺 帯 半幅帯 角帯 紬ショール 草木染帯揚 帯締 袱紗他

【ギャラリートーク】
日時:11月21日 14:30-15:30  ※要予約

糸や植物の色、紬についての話、取合せの愉しみなどについてお話します。
ご予約はHPからメールにて受付ています。
お名前、人数、ご連絡先を明記下さい。

※定員に達し締め切りました。


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中野みどり展お知らせ(2)ー草木染め帯揚げ

2018年11月11日 | 展示会

上の茶はシイ、ヤマモモ、アセンの重ね染で下3点はサクラ。美味しそうな色です。(^q^)


梨、カキ、ヤマモモなどで染めた縮緬帯揚げ。下3点はシボの細かい縮緬です。落ち着いた大人の深い色です。うっとりです。(*´∀`*)

紬のきものは帯や小物を替えることで、季節や着ていく場、目的など様々に変化させられます。
今展では秋から春先に向けてお使いいただけるよう、帯揚げもたくさん染めています。
植物だけで染め重ねしたものが中心ですが、アクセントカラーにもなる草木と化学併用の紫系、ブルー系などもあります。

庭木の枝をチップにするところから始め、煮出し、染め、干す、媒染を何度か繰り返します。
手間はかかりますが、染め、干すを繰り返しながら止め際を部屋の中に数日かけ、納得のいくところでやめます。
本当にいい色に上がりました。渾身の一点物帯揚げです!(自慢にもなりませんが、、^^;)
草木染めの着物や帯には草木染めがよく合います。

生地も縮緬だけでなく単衣にも合わせられるフラットなタイプ、紋織もあります。
重目の縮緬は秋冬向けですが、冬場はやはり存在感があっていいですね。
ちょっとした演出にもなります。色と生地感も大事な取合せです。

帯揚げは脇役と思われがちですが、よく目立ちますので気は抜けない大事なアイテムです。
お手持ちの着物や帯にも合わせて是非ご覧ください。(13,000円~)

ギャラリートークもまだ受け付けていますのでご予約の上お越しください。
着物や紬は未知の世界とおっしゃるギャラリースタッフの方にも話に加わってもらいますので、楽しくわかりやすくお話します!(^o^)


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日時:2018年11月19日(月) – 24日(土)

会場:ギャルリーワッツ(港区南青山5-4-44 ラポール南青山 103号) 
出品:着尺 帯 半幅帯 角帯 紬ショール 草木染帯揚 帯締 袱紗他

【ギャラリートーク】
日時:11月21日 14:30-15:30  ※要予約

糸や植物の色、紬についての話、取合せの愉しみなどについてお話します。
ご予約はHPからメールにて受付ています。
お名前、人数、ご連絡先を明記下さい。

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第9回 紬塾「紬の取合せはおおらかで自由」

2018年11月06日 | 紬きもの塾’17~’19


今回の紬塾では着物、帯、羽織、小物の取合せのコツ、揃え方、素材の選び方などの話しと、紬の取合せの実践を交えて行いました。
単なる色柄のコーディネートではない、自然感や異なる素材、色、ものの力を意図的に絶妙に合わせる日本の取合せは奥が深く、レベルの高い世界です。
取合せワークショップでは着尺、帯数点、帯揚げ、帯締も用意して、その中から一人2パターンの取合せを季節や目的を変え考え発表してもらいました。五人五様の取合せでした。
みなさんの頬も紅潮して、真剣でした。でもとても楽しい時間でした。

気をつける点は「お揃いにしない(統一しない)」ことと季節感を取り入れること。
ものとしっかり向き合い、それぞれが引き立て合うような物のやり取りかと思います。
そのことは自ずとお揃いにしたり、目立ちすぎたり、控えすぎの役不足、つまらなさにはならないはずです。
それぞれが自立していて、なおかつハーモニーがあり、揃えすぎない少し外す破調も大事です。
自分の意志、感性で選び、取り合わせることは一歩づつ一生をかけて磨く価値のあることだと思います。
紬のような洒落着は自由でおおらかな取合せができます。楽しく、脳の活性化にもつながることです。

トップの画像、一点物帯揚げは草木の生木をチップにして染めたものを中心に用意して、ワークショップでも使ったものです。生地は丹後ちりめんのふっくらしたものです。
帯締めも草木の色合いに合うものをセレクトしています。19日からの個展でも多数ご覧いただけます。

後半は「観ることの優位性」というテーマで工芸評論家の笹山央氏にレクチャーをしてもらいました。

世の中的には創ることが崇められるようなところがありますが、過去においても豊かな文化が生まれた時代は観る人が文化を育てていた。
明治になって西洋文化が入り、日本の美術が捨て去られようとしたときにも江戸時代の感性を引き継いでいる人たちが日本の文化を守ってきた側面もある。
美術の話や、全体と部分を同時に観ることの例え、観る力は模写本能の力でもあり、優れた画家はよく模写もでき、よく観て描いているなど例を聴きました。
「見て覚えろ」ということが言われますが、確かに勘のいい人は覚えも早いし、いいものを創るように思います。
ものは光の中で見ることができるわけですが、フェルメールの作例を引き合いに出し、フェルメールのベースもものを正確に観ていこうとしたことにある。そして笹山氏は「明るいから見えるのではない。見えるから明るいのである」と話を締めくくりました。その普遍性を秘めた言葉に思わず納得しました。

予定時間オーバーでしたが引き込まれてみなさん聴いて下さいました。
来年はもう少し時間枠を広げようと思います。
ものを観る力は創る上でも着物を着る上でもとても大切なことです。参考にして頂ければと思います。





上の写真は福岡に出張されていた紬塾の方から頂いた太宰府にある藤丸の「銀杏の葉」という和菓子です。
黒いのは大徳寺納豆。薄い甘さに大徳寺納豆の塩加減は絶妙でした。
このお菓子にも自然や素材を見つめる目が、形や色、質感、味わいにも感じられました。
季節を取合せて紬を着たくなりました。。

次回12月は今回話しきれなかった取合せの話の続き‥、着物の着方、着物、帯の寸法などの内容になります。



中野みどりHP
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