中野みどりの紬きもの塾

染織家中野みどりの「紬きもの塾」。その記録を中心に紬織り、着物、工芸、自然を綴ります。

『かたちーー人は日々』創刊と「現代工芸論講義」お知らせ

2018年05月08日 | かたち塾、アート鑑賞いろは塾
笹山央『現代工芸論講義』第1講が音声投稿サイトで聴くことができるようになりました。
こちらからご覧ください。 →  5月18日追記


諸事情でブログ更新ができないでいましたが、ようやくなぜか丹沢山系の山並みや新緑を眺めながらPCに向かっております。。。(^_^;)

今日は工芸評論家かたち主幹の笹山央さん(紬塾の発案者)が創刊しました『かたち―人は日々』のご案内と「現代工芸論講義」のお知らせです。

笹山さんは美術記者時代から工芸、美術評論、陶100、陶21などの執筆編集に関わり、多摩美術大学でも現代工芸の講師なども勤め、評論活動40年になるようですが、この冊子を自身の日々精進の集大成のような気持ちで発行されるようです。どれだけ多くの方の仕事を見てきたのでしょう。。。
つくり手やその周辺で関わってきた方、ベテランから若手まで、日々精進が認められる方々を論評、紹介していきます。

ジャンルは問いません。3年間の発行を予定しています。
また、19年は若干名、20年は記事掲載の余裕がありますので笹山さんの評論を希望する方は初めての方も含め、かたちのサイトからお問い合わせください。
購読希望の方はできれば年間購読でということです。
因みに私は20年に掲載予定です。

「かたち」の題字はかたちを立ち上げた若い頃に書家の井上有一さんに書いてもらったそうです。その後生け花の中川幸夫さんの字にかわりますが、初心に戻るということでしょうか。
このお二人からも数々の教えを受けてきたのだと思います。

創刊号の挨拶文の一部を抜粋させてもらいます。工芸評論という難しいジャンルにおいて、今の時代に語り続ける決意表明と受け止めます。

[禅宗の修行でも茶の湯の稽古でも、日々の精進こそが肝要だとされている。
スポーツでも足腰を鍛えるための基本的な身体訓練は、たとえ技の頂点を極めていても、それで止めるということはないようである。
アートにも、ものを見る力をつけるための日々の訓練を死ぬまで続ける人もいる。
基礎的な訓練の日々の積み重ねこそが人を遠くまで導いていくのである。
してみれば、日々精進がその人を育てていくのであり、どのような果実を稔らすかということは、その人の日々の精進にかかっているのである。
かくして、理念やコンセプトに基づく価値観のヒエラルキーがすべてノイズ化して漂流するこの時代に、一人一人の個別性に即しての「日々精進」を見ていくことにした。

この人(作る人、観る人)はこれまでに自分をどのように創ってきたのか、今ここで何を創ろうとしているのか、そしてものづくりというメディアを通して自分をどのように育てていこうとしているのか、私の身辺近くに見えている人について、そういったあたりにまなざしを向けてなにがしかの言葉を紡ぎだしていく、それを私自身の「日々精進」としていきたいと思っている。]

先日プロフェッショナルな訓練を受けた方々を間近で見る機会がありました。
心身ともにブレない軸が有り訓練を受けた上での日々の精進のたまものなのだろうと思うことがありました。相手にいい意味での程良い緊張感を与えつつ穏やかな冷静な対応。

多くの方がそれぞれの日々精進をされていますが、私も染織の道を淡々と日々精進していきたいと思いました。

この冊子がジャンルを超えて何らかの刺激となり相乗効果をもたらす内容になって欲しいと期待します。

ぜひ読んでいただきたいです。
お申し込みはこちら。 

「現代工芸論講義」の方は第1回目は今週11日(金)5時から6時半です。
昼間の時間帯の日もありますので、都合の良い時だけでもぜひ参加してください。

毎回参加できない場合は音声の投稿サイトに投稿するとのことですからそちらで前半の話だけ聴くことができます(有料)。
どの内容も現代工芸の基本的なことですのでつくる人、使う人、観る人、どなたでも関心のある方は聴講してください。
笹山さんの話はテーマを投げかけてくれ考えさせてくれるのでそれぞれの人なりの理解があるように思います。ひとつのテーマは15分くらいにコンパクトにまとめて話れるということで聴きやすいと思います。とてもいい話を聴けると思います。
私は初回は残念ながら参加できませんが以後を楽しみにしています。

会場は都内元麻布の狩野グラススタジオです。

概要は下記の通りです。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
<冊子「人は日々」>

この冊子は、基本的には1979年の季刊工芸評論誌『かたち』創刊以来、今日まで断続的に継続してまいりましたプリントメディア「かたち」のシリーズの最新版として発行するものです。
今回はサブタイトルを“人は日々”として、「かたち」主幹の笹山が、工芸・アートの創作とその周辺で活動する方々を個別的に紹介・論評させていただくという編集方針をとっています。

1.誌名・サブタイトル――――「かたち――人は日々」

2.体裁―――――――――――B5版16頁または24頁、4色刷

3. 発行回数―――――――――年間2回(春季・秋季 2020年まで)

4.販売価格―――――――――1冊1,100~1,300円(税込)

5. 主な内容

•作品紹介と評論―――「日々精進の結実としての創作」というところに主眼を置きます。
•一人3頁で構成
•1冊4人(16頁の場合)~6人(24頁の場合)
バックナンバー(冊子ご購読のお申し込みはこのサイトからできます。)

ものづくりの活動を、”日々精進”の観点から、個人別に紹介・論評していきます。

「人は日々」という言葉は、笹山が禅語の「柳は緑、花は紅」の後にくっつけてみたら、と思って造語したものです。


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<「現代工芸論」講義 (全10回)>

『現代工芸論』の著者、笹山央による公開講座です。

投稿サイトに上げることを目的としますので、音声収録を兼ねます。
今年度は、基礎編として、現代工芸についての基本的な知識や考え方について講義します。
どなたにもわかりやすい内容です。

会場 ●狩野グラススタジオ 東京都港区元麻布2-5-17  地下鉄南北線・大江戸線「麻布十番」駅

聴講料 ●1000円/回   ※予約お申し込みは必要ありません。

講義のLIVEに全回参加していただくに越したことはありませんが、1回ごとの参加も可です。LIVEに参加できなかった場合には投稿サイトをご利用ください(5月12日以降)。

LIVE講義スケジュール(日程・時間が変更される場合がありますので、ご来場の際は前もってご確認ください。)

第1回 5月11日 (金) 5:00~6:30p.m. 工芸と工業(決定的な違い)

①生産量の観点から   工業は大量生産、需要者は不特定多数。工芸は一品または少量生産。需要者は限定的。

②規格性の観点から  工業は規格が定められて均一的、消費期限を明示。工芸は限定されない。
(※その他―――工業製品は市場を伴い、他の製品との競争を免れない。工芸には価格競争はない。

第2回 5月25日 (金) 5:00~6:30p.m. 工芸と美術(決定的な違い)

③ コンセプチュアリズム  美術は概念性、思想性が求められる。工芸は求められない。
④ オリジナリティ  美術はオリジナリィを重視する。工芸は重視しない。「写し」が認められる。

第3回 6月15日 (金) 5:00~6:30p.m. 「伝統工芸」とは? 

⑥ 西洋志向とナショナリズム   民族的・国家的アイデンティティの拠り所としての「伝統」

⑦ 伝統工芸展と伝産  日本工芸会主催の「日本伝統工芸展」と「伝統的伝統的工芸品産業振興協会」の定義。

(以上かたちのサイトから転載)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
4回目以降、詳細はかたちのサイトからご覧下さい。
かたちHP 



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着物でパーカッション

2017年12月18日 | かたち塾、アート鑑賞いろは塾
永井さんリードのもとで演奏中。

先日パーカッショニストの永井朋生さんを講師にお願いしてかたち塾「音を体験するワークショップⅢ」を開催致しました。
ワクワク、ドキドキあっという間の3時間でした。余韻が未だに残っています。

2014年の冬、永井さんの心揺さぶられる演奏に出会ったことから音のワークショップが始まりました。

音を探すところから、鳴らし方、響き、リズム、そして自然な情景を写した映像と重ねてみると、ほぼ無作為に奏でた私達の音が思いの外合うことなどを体感しました。

また、合奏になることで一人だけではない他の様々な音に触発されたり逆に控えたり、人との会話のようになります。
リズムやルールが発生すると、そのことにとらわれがちになり、ノリまでに至るにはもう少し時間がかかりそうです。

ただ、このワークショップを音楽というジャンルでくくるというだけではなく、自然素材、身近な素材を日々使い、作り、ものと関わって暮らす中にたくさんの音があり、音そのものを大切にしたいという思いが湧いてきました。

音の世界も自然の合理、物理的要因の中で生じる素直なもの。いい音の出会いがいいコミュニケーションを作り世界を開きます。いい言葉を投げかければいい言葉が返ってくるように。

音の根源は生き物の原点、本能。古くなったり、色褪せることもなく、色付け、イメージ付けされたプリミティブではなく、音そのものと向き合うことがプリミティブ。

原始と現代は自然界において一続きのもので、広義のアート(紬も)は日々を根源に立ち返らせてくれる。それは安らぎ、喜び・・こんなことを終了後も思いを巡らせています。


今回3回目もそれぞれが音の出るものを探して持ち寄り、更に永井さんの方から様々な打楽器も持参してくださり、その両方をルールを作って取り混ぜたセッションとなりました。終わった時にはみんなが思わず緊張から開放され笑顔と拍手が起こりました。拍手も根源的音ですね。


こけしが打楽器?と思われるかもしれませんが、鳴子こけしの首を軽く回すと“キュッキュッ”と鳴るのです。バーズコールという楽器と同じような原理です。卵ケースに米を入れてきた方もあります。


私は庭の椿の実をガラス瓶に少量入れてみました。茶筒も叩くと案外いい音です。ペットボトルに少量の水を入れて振ったり、、。


縦長な大きな松かさの鱗片をはじくと小さいけれど乾いた音が出ます。永井さんがいたく気に入ってました。

私の中では音楽というジャンルとかではなく音という素材をまず楽しむという感じで参加しています。
紬を織る時にさまざまな糸や色糸を混ぜながら織ることにも似ています。望む姿勢は同じです。
しかし今回はリズムとグルーブ(ノリ)を主眼に置いたものでしたので、好きに鳴らせばいいわけではなく、結構大変で汗をかきました。

さて、今回は3人が着物で演奏をしましたが、袖とかも邪魔にもならず、洋服より体幹が決まる感じでパーカッションと着物いいかも、、です。
鳴子こけしを持参された方は私のグレーとグリーンの段の半幅を黒地の結城に締めて来てくださいました。時間がなく写真に収められず残念でした、、、がとてもカッコよかったです。


松かさを持参した人は工房作品の着物と帯です、帯や小物も限られていて十分な取合せではありませんが、紬塾にも参加した方でこれからの方です。いずれHP着姿集にもUpします。

私は久米島に自作の太い引き出し真綿の糸を使って織った縞の半幅縞帯です。文庫に結びにしました。


プリミティブな物に向き合い、しかもみんなでセッションするというのは自分だけではできないいろいろな学びがあります。
今後もまた機会を見て続けたいです。今回は部屋の関係ですぐいっぱいになってしまいましたが、次回よかったら“根源”に興味のある方ぜひご参加ください。音楽の知識や技術はいりません。

“着物でパーカッション”もいいですよ。







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味覚のシンフォニーを愉しむ――第14回「かたち塾」のお知らせ

2017年10月07日 | かたち塾、アート鑑賞いろは塾


今年の曇り空の中での中秋の月。雲の切れ間から顔を覗かせてくれました。住宅街の明かりと共に携帯カメラでパシャリ!
月は雲の中にあっても美しいものだと思います。

さて、第14回「かたち塾」のお知らせです。
秋の味覚をランチのコース料理で静かに味わいたいと思います。
カッコつけない、飾り立てない、自然体の優しい料理です。

かたち塾は初めての方もご興味のある方はどなたでも参加できます。
お早めにお申し込みください。紬塾の方もぜひご参加ください。

お問い合わせ、お申込みはこちらから。
メール確認後、折り返し詳細をご案内いたします。
返信がない場合は080-6775-4892(かたち21)へお問い合わせ下さい。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
タイトル―――味覚のシンフォニーを愉しむ
講 師――――笹山 央(かたち塾代表・工芸評論)料理店店主(料理人)
日 時――――2017年10月21日(土)  お申込みの締切は10月18日(水)
会 場――――東京都港区青山にある和食料理店
受講料――――10,000円  料理とお飲み物代含みます。
受講者数―――10名様まで(要予約)

これまで〈見る〉ことを中心に〈聴く〉〈嗅ぐ〉と五感のはたらきをテーマにした塾を開いてきましたが、今回は“味わう”にスポットを当てます。

私の場合、ここでの食事は単に「美味しいものを食べる」というだけではなく、コンサートを聴いたり、観劇したりするときの時間の流れに浸るような感覚を愉しんでいます。

小さな店ですが、 全席に窓があり、四季ごとに造作が変えられる坪庭の風情も愉しみの一つです。
向かいの壁に植栽の影が映り、それが時々刻々と変化していくのですが、抽象的動画を見ているような面白さがあります。

食後にはご店主にも、質疑応答形式でお話を聴くことになっています。 (かたち塾長・笹山)





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長谷川沼田居美術館を訪ねて

2017年09月12日 | かたち塾、アート鑑賞いろは塾
                                        
                           「かきつばた抽象」1965年頃(長谷川沼田居図録より)

初秋の一日、足利市にある長谷川沼田居美術館を訪ねました。

一昨年、渋谷区立松濤美術館「スサノヲの到来」で、また昨年少しまとめて足利市立美術館特別展示室で拝見しました。
また、同市ある長谷川沼田居美術館も是非訪れたいと思っていました。

そしてこの度のかたち塾としての開催になりました。
かたち塾の笹山さんのブログでも作品について書かれています。

そこは東武線足利市駅から車で15分くらいの浄徳寺というお寺の一角にある小さな美術館です。
沼田居は実力は認められながらも中央の画壇とはほとんど関わらず、生まれ故郷足利で無名のまま生きた画家です。いわゆる売り絵をしなかった画家ですので世の中に名が広まりませんでした。

1965年右目を摘出。ほとんど目が見えなくなり、73年全盲。83年78歳で亡くなります。90年に遺作保存会を中心とする多数の方々の寄付で美術館は建てられたそうです。現在も日曜日だけボランティアの方たちで開館しています。

まずは20点ほど(年4回の展示替え)の展示作品を各自じっくりと拝見し、その後、以前「塩香」を作るかたち塾で講師をしてくださり、「スサノヲの到来」にも出品していた造形作家の栃木美保さんのご紹介もあり、足利市立美術館学芸員で2002年の同館の「心眼の画家 長谷川沼田居」展の企画に携わった江尻潔さんに沼田居の画歴や師のこと、回りの人々との交流エピソード、作品などについて解説をしていただきました。

      図録表紙(二曲屏風「八手」1944年頃、とタイトルに有るのですが、実際は芙蓉が描かれてます)

絵の素晴らしさに加え、沼田居の魅力を江尻さんが図録(2002年足利市立美術館発行)も交えてわかりやすく端的に伺えたことがとても良かったのです。観賞を深めることが出来ました。

市の限られた予算で美術企画を立てるのも大変ということですが、こんなに素晴らしい心ある学芸員さんがいらっしゃるということを知り、嬉しく興奮を覚えました。

上記の図録はまだ在庫があるようです。実作を観るのが一番ですが、図録だけでも取り敢えずご覧になられるのもよいと思います。図版も文章もとても良いです。こちらから電話でのお申込み。
またいつの日か全国を巡回するような展覧会が開催されることを願いたいと思います。

沼田居の作風は多岐にわたります。作品は怖いぐらいの深い闇にたどり着くような凄みがあるものもありますが、初期~中期の作品はのどかな山水や鉛筆画で植物や身近な風景を書かれていたり、軽やかなほのぼのとしたイラスト風のもの、着物の図案のようなもの、抽象、半具象など部屋に飾って愉しみたいような作品も多いです。庭の草花を自ら育て絵に描いています。とは言え作品について簡単に書けるものではありません。

ただ、天賦の才能と、強靭な精神の持ち主であったこと、対象物を真摯に自分の血肉になるまで見つめていたのではないか、、とは思えるのです。

水墨画、日本画、洋画、墨、水彩、インク、鉛筆、クレヨンなど様々な技法や筆具のチャンネルを複数持っていたこと、だから全盲になってからも筆を折らず描けるもので描き続けることが出来たのではないかと江尻さんも話されていましたが、私もそう思いました。
画家として持つべき基礎があった。鍛え方があった。対象の見つめ方があった。

今回の美術館訪問で見た「霖雨(う)」と書かれた書。ピンぼけですが許可を得て撮らせてもらいました。図録には収められていません。

単に絵を描こうとしたのではなく、対象の本質を見つめ筆を、ペンを走らせ続け、肉体、精神の苦しみを乗り越えた身体――全身全霊で今を生きる最先端で、最前衛で描き続けた画家であったと思います。

沼田居を支えた夫人、お寺のご住職など遺作保存会の方々、足利の人々のお陰で今日こうして埋もれようとしていた作品に出会えたことにもこころから感謝をしたいと思います。

ものを創る端くれにいる私自身もその作風、生き方に突き動かされるものがありました。
素晴らしい芸術家はたくさんおられますが、沼田居は私の胸に深く刻まれたことは間違いありません。

沼田居美術館で絵葉書を購入してきました。1000円/8枚入

浄徳寺境内にある大イチョウの木。雷除けとして植えられたそうです。銀杏もなっていました。

樹勢はだいぶ弱っているということですが、根元から新しい幹が出てきています。沼田居も風景の中に描いています。

その後は足利市美、大川美術館をめぐりました。
刺激的でフルボディの味わい深い一日でした。帰りの東武線車中では缶ビールを飲みながら余韻に浸りました。
機会がありましたらご覧いただきたいと思います。

今回ご協力くださいましたみなさま、ご参加のみなさま、ありがとうございました。

さて、次回かたち塾は五感の探索シリーズ、「味覚のシンフォニーを愉しむ 」10月21日(土)昼食を共にいたします。小さな席数の限られた日本料理店での開催となります。こちらは完全予約ですので早めにお申し込みください。かたち塾もあと2回で終了となります。

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第11回「かたち塾」のお知らせ

2017年03月27日 | かたち塾、アート鑑賞いろは塾

                               庭の片隅にある木瓜の蕾。

ソメイヨシノも咲き始めました。たくさんの花のもてなしを受ける季節到来です。

今回のかたち塾のテーマは「日本のかたちに見る“空”の表現について」です。

[“おもてなしの美"の土台にある精神性が“空"]と講師の笹山さんは述べていますが、どんな話を聞かせてもらえるのか楽しみです。

究極のテーマではありますが難しく考えることでもなく、私なら織物を織ること、着物を着ること、料理でも、自然界のこと、日々生きることに当てはめて考えれば良いのかと思っています。

笹山さんの話は知識がなければ聞けないというようなことはなく、自分で考えるヒントをもらえるので面白いです。
かたち塾は今期の5回で終了になります。
ここを抑えておけば、、というような内容と思います。お聞き逃しのないよう!!
今回はご遠方からもお申込みがありますが、どなたでもご参加いただけますので是非お申し込み下さい。
お申込みは文末から。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
テーマ――日本のかたちに見る「空」の表現について
日時――2017年4月1日(土)1:30P.M.~4:30P.M.
会場――和光大学ポプリホール鶴川 3F練習室 (小田急線鶴川駅前) 
講師――笹山 央[かたち塾講師]
受講料――3,500円 茶菓子代込   ※要予約
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

以下は講師の笹山さんのブログより

“空(くう)”という言葉を聞くと、多くの人は仏教思想を表す“空”を連想するかと思います。
しかしここでは、抹香くさい話は考えていません。
講師(笹山)自身の体験を基にして、「日本のかたちに見る“空”の表現」へのアプローチを試みてみようと思っています。

出発は、高濱虚子の俳句
   
   花の如く月の如くにもてなさんです。

それから、こんなことも思っています。
  
  “空”を意識した創作は“空”を実現しない

みなさんのご参加をお待ちしています。

詳細、受講のお申込は当塾のHPでご覧ください。
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永井朋生「音」を体験するワークショップ[Ⅱ]――五感を開く

2017年02月11日 | かたち塾、アート鑑賞いろは塾

                                竹のスリットドラムで演奏する永井さん

先日のかたち塾「音のワークショップ」の報告です。
紬塾からも3名の方が参加してくださいました。
動画も撮ったり、音の録音もしたり映像とみんなの演奏を重ねたものも作ったりしているのですが、結構いい感じですが、また機会があればUpします。

五感を開くシリーズとして今回は「聴覚」。音を探すところから始め、物理的な音の出し方(奏法)を自分なりに探しました。今回は2回目でしたので音楽としても成立するように・・との思いもありました(1回目も音楽になっていると評価していただいたのですが・・)。

講師の永井朋生さんの提案で今回は映像と合わせたり(永井さんが旅先などで撮影した自然や雪の降った街の中を行き交う人の足跡などのシンプルな映像など)、また持ち寄った楽器を他の人と交換したり(奏法が人により違うので全く別の音になります)、一人10秒ずつずらしながら演奏をしたり(デュエットで)、自分の世界観だけではなく他の人の音を聴いたり、急にレベルアップでとても内容が濃いものとなりました。

眠っている感覚を開いたという実感が家に帰ってから早速ありました。
テレビの番組の背景にある効果音に気付きやすくなったり、何気ない日常の物音にも急に耳が反応するようになりました。

人の野性として本来的に聴覚は備わっていて危険や必要な情報を得るためにあるはずですが、日々の暮らしは雑音も多くなり耳を閉ざしているようなところもあります。

永井さんの演奏では、新作楽器で、一本の竹から節ごとに切り離して作ったスリットドラムの自然な心地よい響き、紀州の備長炭を長さの順に並べた楽器の不思議な旋律、おりんやガスボンベから作ったドラムの共振音の広がり、ドレミの音程にはない既存の楽器とは違う永井さんが耳を澄まし探りあてた“ものの音”を愉しませてもらいました。

竹の節は根元に近いほど厚く、節の長さは上へ行くほど長くなりますが、音程は上の節ほど低くなります。まだ青い竹でしたが、乾燥したら音も違ってきますね。思わず身体が動き出すような気持ちのよい演奏でした。

今の時代は音楽というとすぐにドレミの西洋音楽を思い浮かべます。またスマホで一人で音楽を楽しむ人も多いわけですが、原始から人々は生きるために音から情報を得、感情を音に表し他の人々と共有してきました。
自然界と自分を繋ぐ音、人と関わる音――。
無音も含めた様々なもの音に耳を澄ましていたいと思います。

五感は「気」を澄ませた状態の中で磨かれます。
気を澄ませた状態というのは偏りや思い込みのない素の状態でなければなりません。
聴覚も日々の中で磨くべき、人に備わっている大切な機能だと改めて思いました。
塩香のワークショップで栃木美保さんは五感を磨くことは六感を開くことに繋がる
という趣旨の発言をされていましたが、六感は五感を日々磨いた先にあるアンテナとも言えるかもしれません。
かたち塾、紬塾はそこを抑えていきます。


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[永井朋生―「音」を体験するワークショップⅡ]かたち塾お知らせ

2017年01月22日 | かたち塾、アート鑑賞いろは塾

高尾のアトリエで演奏する永井朋生さん

「かたち塾」のお知らせです。
今週末28日(土)に「音」を体験するワークショップⅡとして、パーカッショニストの永井朋生さんを講師にお迎えして行います。

永井さんの演奏との出会いは2014年に行われたチャリティーコンサートでした。
永井さんの演奏に私は心の底から震えるような興奮を覚えました。
ステージにはいわゆる既存の打楽器ではないものがいくつも並べられていて、色彩的にはほぼモノトーンの世界でした。
そこへ黒のシャツ、黒のパンツで右手に赤い蛇腹のホースを持ってステージに現れたのです。
その姿を見た時「この人はやるな!!」と確信したのです。
ホースの演奏もとてもかっこよかったのですが、金属の長いネジ棒にワッシャー(穴の空いた薄い金具)を上から入れてコトコト落ちていく小さな音、貝殻の風鈴のサラサラした音、金属造形で出る端材を叩く音、備長炭を並べた高い響きのある音、ガスボンベにスリットを入れたものを叩く不思議な音、まだまだ並んでいたのですが、そこに仏具の「おりん」もあったのです。
そのおりんについてのエピソードはこちらの永井さん制作のビデオ『旅するおりん』を是非ご覧ください。2011年3月11日午前中に岩手県大槌町から永井さんの元へ届いたおりんです。

私はこの演奏会の帰り道は音を探すことで頭が一杯でした。
帰って永井さんのHPから問合せをしたのですが、かたち21の笹山さんともつながりのある知り合いが何人もいたりで翌月には高尾のアトリエを尋ねさせていただくことになったのです。アトリエも家族で作ったそうで素晴らしいのです!

そして一昨年12月にかたち塾として1回目のワークショップを開催したのですが、それがあまりに楽しく2回めもお願いしました。

ワークショップはちょっと・・という方は演奏だけでもぜひお聴きいただきたいと思います。私は3回ほど演奏を聴きましたが、毎回心洗われます。

永井さんは「画家が絵の具で絵を描くように、私は音を使って空間に音の絵を描いています。音楽のアイデアはいつも様々な素材や空間との出会いから生まれます。木、金属、石、土、水などの自然物や様々な素材の中にはとても豊かで未知の響きがあって、それを丁寧に聴くことを大切にしています。」とおっしゃられています。
素材や空間との出会いから生まれる――、紬織りにも同じことが言えますが無限の広がりがあります。

身近なモノに摩擦、振動が加わると発する音に耳を傾けてみませんか?
いい音、響きのある音、優しい音、力強い音、面白い音、未知の音、探してみましょう。
またとない機会ですので是非お出かけ下さい。
詳細、お申込みはかたち21のブログをご覧ください。


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茶の湯の中の音と光

2016年10月19日 | かたち塾、アート鑑賞いろは塾

                                 雪後軒にて渡辺宗牛先生のお点前。

かたち塾「茶の湯の中の音と光」が終了しました。
おかげさまで充実したとても良い会となりました。余韻が今も残っています。


                               半東がお菓子を持って出られたところ。

まずはじめは、炭点前を宗牛先生がしてくださいました。私は耳を澄ませていました。茶の湯の音が始まっています。
そして「釜の湯がわくまでの間に一献差し上げます」ということで、お膳が運ばれ海のもの山のものを肴に3~4杯いただいてしまいました。茶席ということ、また初めてお会いする方もあり、緊張していたのですが、急にリラックス感が出てきました。(^^♪

昼間にちょこっと飲むのにいい感じの、やや甘口のお酒で、甘酢漬けのコハダと唐辛子入りの甘味噌をシソで包んで揚げたものと良く合っていました。
「お好きな方はたくさん召し上がって下さい」と先生はすすめてくださるのですが、いえいえ、これからお勉強ですから、、程々に、、自制しました。(#^.^#)

 障子越しの光で茶碗を拝見する。

先生のお手前を拝見しながら静寂な中に微かに聞こえる音。

袴の硬い生地の衣擦れの音、すり足で歩く時の畳の音、炭を扱う時のカサコソした音、羽箒をはたく音、茶筅通しの音、茶杓についた抹茶を茶碗の縁で叩く時の音、お茶を点てる茶筅の音、釜に湯を戻す音、湯の沸く音。
そして茶を戴く側では、最後に吸いきる音。
また時に合図としての少し大きな音もあります。言葉をかわさなくても最後に席入りする人が襖を少し音を立てて締める。もうみんなが席につきましたということを知らせる音、他にも入り口にある呼び鈴代わりの板木(ばんぎ)、あるいは席入りの合図のためのドラや鐘の音。
今までこんな風に集中して耳を澄ませたことはありませんでしたので、新鮮でした。ゆっくりの中に強弱や速度のリズムも感じました。


光に関しては時間の変化で当然ですが終わり頃にはだいぶ暗くなりました。
外はまだ明るかったのですが、和風の建築はひさしが深くみなさんの顔もわかりづらくなってきました。
そして普段はまだこのぐらいでは灯は点けないということですが、灯具も使ってくださいました。
短檠(たんけい)というい草の芯に菜種油を吸わせて火を灯す道具や行灯も火を灯してくださいました。
昼と夜ではお道具なども明かりを考慮して違えるということでした。

いい雰囲気になり、もっとこのまま時間を過ごしたい感じでした。

過剰に明るすぎる暮らしから、明かりをスポット的に使ったり、食事のときだけでもろうそくを灯すなど、気持ちを一点に集中させたり、くつろがせたり、明かりを意識して使いたいと思います。
日没前の30分、時には明かりをつけずにぼんやりと佇むのも良いなぁと思います。
室内の暗さは外の月明かりや街の灯りを気付かせてくれます。

今回の内容は奥が深すぎて、ここに書ききれませんが、利休の教えなども引用されたり、言葉少ない中に示唆に富んだ奥の深いお話を聞かせていただきました。参加者の皆さんからも質疑応答など、様々な話題に広がりました。

今回の数時間のために朝からお手伝いの方と準備をしてくださり、終わってからも片付けにもだいぶ時間がかかったと思います。私たちに見えない時間が、このような心のこもったおもてなしにつながっているのだと改めて思います。
宗牛先生に心からお礼を申し上げます。参加してくださった方々、雪後会社中のお手伝いの方々もありがとうございました。

かたち塾の会報にこの報告を掲載しますので、参加してくださった方は特に印象に残った点を手短にまとめた感想をかたち21のメールで笹山さんまでお願いします。

今回の学びを普段の暮らしにも活かしていきたいと思いました。






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第9回かたち塾「茶の湯の中の光と音」のお知らせ

2016年10月15日 | かたち塾、アート鑑賞いろは塾

残席あと1名席です。10/15

知り合いが新宿区戸山にある雪後会でお茶を習っています。
時折、講師の渡辺宗牛さんの教えを聞かせてもらうことがあるのですが、
その教えに共感することも多く、かたち塾でも一度講師をお願いしたいと思っていました。
その教えというのは、たとえば点前の中で、柄杓に残った湯を釜に戻す時の音なども、「いい音ですね」などとおっしゃられ、また夕方になっても室内の灯かりをすぐつけないで仄暗い中で稽古を続けたりするそうです。
さらには稽古の後の水差しに残った水や釜の湯は、清いものから順に洗いながら湯水を無駄なく使い回すよう指導されているとのこと、お道具を大切に扱うように、水も湯も大切にする想いも伝わってきます。

お茶のお稽古というと私の中ではいいイメージばかりではないのですが、ぜひ宗牛さんのお点前を拝見しながら、その音や光、雰囲気に自分の五感を働かせてみたいと思います。
ようやく今月16日に下記のとおり塾を開催する運びになりました。

茶室にまだ入ったことのない方も、その幽玄な世界の一端を垣間見ませんか?
本格的なお茶を習いたいと思っている方も、見学を兼ねるのも良いかと思います。
作法など全く心配なさらずにいらして下さい。宗牛さんも初めての方を歓迎されています。
心得のある方ばかりだと案外面白みはないようです。^^

20年以上前に私もお茶を少々、不熱心に勉強してましたがさすがに身についておらず、、^^;、でも久しぶりに本格的茶室でお菓子とお薄をいただけることを楽しみにしています!! あっ、音と光に五感を開きながら、、、ですね。 0(*´∀`;)0
またとない贅沢なひと時となることでしょう。

服装は洋服でも大丈夫です。ゆったり目の服の方が足もしびれにくいです。香水などは避けて下さい。
男性はジャケット着用、ノーネクタイが良いと思います。
茶室の清潔を保つために、替えの靴下をご持参下さい。
塾形式の茶会ですので、落ち着いた感じであれば紬の着物で大丈夫です。

準備の都合がありますのでお申し込みは下記よりお早めにお願いいたします。

*************************************************************************
第9回かたち塾 ―――茶の湯の中の光と音

雪後軒は都心に在りながら、一軒家の本格的な茶室です。
軒主渡辺宗牛さんを講師に、薄茶をいただきながら、
茶の湯の中に生れてくる光や音に気を澄まします。 

企 画――――かたち21・かたち塾
講 師――――渡辺宗牛(雪後軒軒主 表千家講師)
日 時――――2016年10月16日(日)13:30~16:30(13:00開場)
会 場――――雪後軒[東京都新宿区戸山1-5-11]
    (最寄駅/都営大江戸線 若松河田駅 メトロ東西線 早稲田駅)
受講料――――6,000円(水屋料ふくむ)
受講者数―――10名(要予約)  ※茶道の未経験の方、男性も歓迎です。

お申し込みはこちらから。
折り返し受け付けの返信をいたします。
こちらの塾長のブログもご覧ください。


都心の一軒家の「雪後軒」の佇まい。
画像は「雪後軒」のHPより転載させて頂きました。

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生まれ来るものへのメッセージ―――「塩香」ワークショップを終えて

2016年09月24日 | かたち塾、アート鑑賞いろは塾


コメント欄もご覧ください。9/25追記
かたち塾第8回「塩香を作り、愉しむ」、造形作家でアロマセラピストの栃木美保さんを講師にお招きしたワークショップはとても学びのある会となりました。今回のワークショップでの学びの興奮がなかなか冷めずにいますが、その一端を書かせてもらいます。

栃木さんが足利のご自宅の庭などで育て、摘み、干して下さった植物を中心に11種類と、ちょうど咲き始めた菊の生花を用意して下さいました。あとは各自持ち寄った植物も使いながら作りました。香りの植物を探していく過程もとても面白かったです。
今年採集して干したフジバカマを嗅ぐ。

香りはたとえ植物性のものでも、人によって合う合わないがあり、強すぎるのもかえって良くない点もあるとのことです。
まずは1種類づつ単品で嗅ぎ分けていきます。特に好むものをチェックしておき、相性のよさそうなものを組み合わせますが、強いにおいのものを下に詰めていきます。
参加者に妊婦さんもいらしたのですが、この時期は香りに特に敏感になるそうです。妊娠初期、後期でも違うそうです。
自分に合う香りを身近な植物から作る塩香は、くつろいだり、呼吸を深くしたり、リフレッシュしたり、時間をかけて楽しめるのがいいです。
粗塩と植物を交互に詰めていきます。楽しそうです。。。

18年前に栃木さんが作られた塩香を嗅がせて貰いましたが、まだとても良い香りで、熟成している感じなのでしょうか。香りはどれくらい持つのでしょう?


今回は私は2回目でしたので、欲を出さず、ごくシンプルな塩香を作りました。
一本は(左)工房の桜葉と月桂樹、桜の花の干したものも詰めました。トップには桜の新芽を乗せて「秋麗」と銘をつけました。
もう一本はベースにヒノキの鉋屑、次がフジバカマ、次がレモンの皮、上にはスダチの枝葉、トップにはスダチの葉と菊の花(生)を飾りました。スダチは今まさに果汁を蓄えた青い実をつけていますので、銘は「秋の露」です。
5日置いただけで桜やスダチの生葉の青臭さに変化が出てきました。桜は桜餅の匂いがかすかに聞こえてきます。
時々瓶の蓋を開けて愉しみたいと思います。器も素敵なものに入れたくなりました。
瓶には日付と使った植物を下から順番に記したラベルを貼っておくとよいです。


男性の参加者で、花などにあまり関心がないとおっしゃる方が、作った2本を会社のデスクに置きます!とおっしゃられてとても気に入られたようです。塾長の笹山さんは「一家に一瓶」とスローガンを掲げていました!

季節と向き合いながら、時間を掛けて発酵させる香りを現代の暮らしに生かしたいです。
人の五感(栃木さんは人には第六感もあるとおっしゃられていましたが)の嗅覚は心地よさ、あるいは危険など生きる上で必要な匂いを嗅ぎ分けるためにあると思います。人の野性としての嗅覚も磨き、自然体であることを大切にしたい。

香りといえば、強い人工香料に悩まされている方も多いですが、過剰な香料に健康を害することもあるようです。芳香剤など何日でも押し付けがましく残るカオリとは一体何なのでしょう?幼い子供たちはそれから逃げることもできません。

人がものを作り、使い生きていくことは、過去、現在、未来へと一直線でつながっているわけです。分断されたもの作りやその場しのぎのものは何も生み出さないのです。文化を形成することもないのです。安価さを売りに、人の本来の感覚を壊していくものたちに私たちは“No!”と言わなければなりません。

栃木さんは美術表現で創ることは未来への責任がある、という趣旨のこともおっしゃられていました。
自然素材から糸を取り、植物から色を抽きだし、人の手わざでと労力で布を織り、使うことも同じことです。未来への責任があります。過去を知り、未来へのメッセージも視野に入れ、現在とかかわり作り、使う。

着物文化ももう本物が残らない、残せない時代になってきましたが、私たちはその場しのぎのものに迷わされず、本当の安らぎにつながる道を迷わずに行くことだと思います。
それは生まれ来るものへのメッセージにつながります。

栃木美保さんの指導と話の中で、植物の香りが語りかけてくるものに触れさせて頂きました。植物(生物)は香りでコミュニケーションをとっているという話もされていましたが、自然の神秘、合理に、鼻も六感も磨きたいと思います!

栃木美保さんのご協力にこころよりお礼を申し上げます。参加して下さいました皆様もありがとうございました。

次回かたち塾 10月16日(日)「茶の湯の中の光と音 」です。
茶道の心得の有無に関係なくどなたでもご参加いただけます。
次回は聴覚、視覚と向き合います。
詳細は後日お知らせいたします。






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かたち塾「塩香を作り、愉しむ」栃木美保さんをお迎えして

2016年08月26日 | かたち塾、アート鑑賞いろは塾

9月18日の第8回かたち塾「塩香(しおか)を作り、愉しむ」は少し先のお知らせになりますが、準備の都合がありますので早目にご案内いたします。
“塩香”というのは植物を塩漬けにするモイストポプリです。密閉しておけば、時間をおいても香りが飛ばず、むしろ発酵してまろやかな香りになってきます。身近な植物が持つ香りについて関心を寄せてみたいと思います。

“香り”といえば合成洗剤や柔軟剤、シャンプー、芳香剤、衣類の防虫剤、トイレットペーパー、化粧品、食品等々。身近に強い香りが充満しています。強い匂いに苦痛を感じている方も多いのではないでしょうか?私はこれらの“香り付き”製品が苦手です。押し付けがましい人工の香りは神経を苛立たせて決してくつろがないのです。ご近所から漂ってくる洗濯洗剤の匂いに仕事中も悩まされています。(ーー;)

しかし、草木で染色をする際に煮出しをしますが、その時には思わず深呼吸して匂いを嗅いでしまうぐらい、いい香りがします。植物によってその香りはもちろん違い、ただ木を眺めているだけでは感じられない匂いもあります。
植物がもつ香りは生き物としてのそれなりの役目があると思うのですが、改めて植物の香りを聞いてみましょう。
昔から日本人もその香りを暮らしに利用してきました。たとえば衣類の防虫剤としてクスノキから作る樟脳は今も使われています。


今回は身近な植物、あるいは果物の皮、スパイスなども含め、栃木さんが用意してくださる乾燥させたものをベースに、持ち寄ってもらう生の植物の葉、茎、花、実など、香りを嗅ぎ分けながら、自分に合う心地よいものを数種類ブレンドして塩漬けにしていきましょう。
森林浴などすれば一番ですが、小さな瓶に身近な草木の匂いを詰め、改めて“香り”を確認しましょう。

造形作家でアロマセラピストの栃木美保さんにご指導をいただきながら作業を進めます。
栃木さんは和紙や麻布、植物、精油など使った作品を創られる方です。

この7月にも栃木さんの「 天の川 -七夕まつり- 」と題された展覧会(ギャラリー 水・土・木)で、麻布に竹の葉を挟んで縫い止め(手縫いですごかったです!)、天井からたくさん吊り下げた作品を拝見してきました。
七夕に絡めたものですので、来場者は願い事を和紙の短冊に書き、竹飾りに付けるという参加型のインスタレーションでもありました。

11年の同ギャラリーでの栃木さんの展覧会を観ての当ブログ記事はこちらから。

昨年松濤美術館などを巡回した「スサノヲの到来」展にも展示されていました。細い麻布を272本垂らした円形のスペースで、ふたつきのガラス容器の蓋を開けて、四季を意識してブレンドした植物の香りを体験できる展示でした。
また塩香のワークショップもあり、栃木さんから指導を受けて作りましたが、今もいい香りで工房に置いてあります。透明なガラス瓶に詰めておくと眺めても楽しめます。

昨年の紬塾の染の回では急遽、庭の金木犀の花で塩漬けも作りました。
上の画像の左端が一年後の金木犀です。色は茶色になってますが香りは残っています。
こちらのブログもご参考までご覧ください。

自分が好きな香りの植物を1~3種ぐらい持ち寄りましょう。
庭がないかたでも公園や道端でホンの少し葉をちぎって匂いを調べてみてください。思いがけない発見が意外にあると思います。野菜や果物、ハーブでも使えるものもあるかと思います。

栃木さんは乾燥させたものを用意してくださいますので、みなさんには生の状態のものを用意してもらいます。当日採集か前日などの場合は水に活けておいて、生気ある状態でお持ちください。
みんなで順番に嗅ぎ分けながら、好きなものをチェックし、あとから塩とともに瓶に詰めていきます。
蓋付の瓶1本はこちらで四角いタイプのものを用意します。
一人2本作りたいので、もう1本はご自分でご用意ください。

100円ショップでも密閉瓶は売られています。ジャムの空き瓶などの場合は150~200ccまでの容量でお願いします。上の画像の真ん中、うめジャムの瓶は200ccです。

私は桜の葉を持っていこうと思いますが、そのまま嗅いでもあまり匂いはないのです。煮出していると桜餅の匂いがするのですが、塩に漬けることで香りが出てくるのでしょう。桜餅の葉は大島桜の葉を塩漬けにしたものですから。
とにかくいろいろ試して何か発見なり、気付きがあれば良いと思います。

どなたでも参加できます。準備の都合がありますのでお早めにお申し込み下さい。
不明な点はお問い合わせください。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
第8回かたち塾 「塩香をつくり、愉しむ」
造形作家、アロマセラピストの栃木美保さんを講師に迎えて、
塩香=“香りの塩漬け” 作りのワークショップと、「香りと匂い」をめぐるレクチャーを行います。

ゲスト: 栃木美保(造形作家・アロマセラピスト)
コーディネーター: 笹山 央(かたち塾主宰)
日 時: 2016年9月18日(日)13時15分~16時30分
会 場: 小田急線成城学園前駅近くの施設(お申込の方に詳細お知らせします)
受講料: 3,500円 材料代、茶菓子代込(かたちの会サポート会員は3,000円)
持ち物: 身近な植物の花や葉など香りのあるものを1~3種類
    ※塩香の材料(瓶、塩、植物等)はご用意いたしますが、お好みの香りのものをお持下さい

お申し込みと詳細はこちらから。

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第2回かたち塾「気韻を軸に“紬織・水墨画・現代美術”」のお知らせ

2015年02月14日 | かたち塾、アート鑑賞いろは塾
今年度より始まりました「かたち塾」は先日第1回が江戸切子の小川郁子さんをゲストに行われました。小川さんの仕事を裏付けている創作の姿勢を、インタビューを通して垣間見ることができました。

また作風からアシンメトリーな形や動き、ずらし、破れが感じられるものもあり、笹山先生の話は古田織部の話になっていきました。


私は敬意を表して初下ろしの小川さんの手による切子の帯留めをしていきました。
小川さんの切子の帯留めはガラスを超えている感じです。
かといって宝石のような威圧感もないので紬の帯とも馴染みます。

小川さんも紬に堺更紗の帯、赤い切子の帯留めを取合せていましたが、古いものと新しい感覚が調和していてとても素敵でした。写真を撮らせていただけばよかったのですが、、、残念!

小川さんも着物を着るようになったことで作品作りにも良い影響をもたらしているということでした。

会報「KATACHI-JUKU」も発行されていますので、興味のある方はかたちの会にお申し込みください。

さて、第2回は「気韻を軸に“紬織・水墨画・現代美術”」、3月7日(土)櫻工房にて開催します。

私の織物の話とそこに生じている「気韻」についての考察から始まります。
「気韻」という言葉は元は「気韻生動」からきていて、中国水墨画の評価に付けられた言葉のようですが、それは水墨画に留まらず現代美術、上質の手仕事系にも置き換えても良いでしょう。

そのあたりのことを私も学びたいと思います。私の方からは紬塾でも話しているような糸や布を構成するタテ、ヨコ糸のバランス、テンションなど具体的にお話していきます。

光と布の関係もあります。晴れていれば立体感を残した紬糸の光の反射をご覧いただこうと思います。ガラスの粉を散りばめたように紬布が光るところを。

後半は笹山先生からはジャンルを超えた普遍的な話をしてもらいます。

着物、織物、絵画、工芸などのカテゴリー分けではなく、全てに通じていくような内容です。
私は20年ほど前、紬織りにひたすら打ち込んでいる時に水墨や現代美術の作品と出会いました。
高校生の時古い芭蕉布や丹波布と出会った時と同じような、吸い寄せられ、引き込まれていく感動のように。
その後も自分の仕事とそれらの気を発している水準の仕事はなんら区別なく、今の仕事を支えてくれているように思っています。

受講にあたって専門知識は必要ありません。平易な言葉でテーマの奥深くまで話していきます。

アート塾もそうでしたが、毎回それぞれが自分の中に気づきや発見を得ることができます。
「美しさや心に響くものとは何か――」に関心を寄せている方ならどなたでもぜひご参加下さい。

紬塾の方たちには特にお勧めです!着物を着ていく上でも参考になると思います。
また紬塾に1年を通して通えない方もこの機会を生かしていただければと思います。

そして櫻工房のもてなしとして、床の間スペースに狩野養川院筆『雪月花』の三幅対のお軸を掛けご覧いただきます。

終了後にご都合のつく方は観楼会もご参加ください。
有機野菜と、工房の桜のチップで簡単スモークを何か作る予定です。
お酒も少々用意します。桶谷寧さんのぐい呑で試飲もしていただけます。

取り寄せ品の都合がありますのでお早めにお申し込みください。

お申し込みと詳細ははこちらから。
笹山先生のブログもどうぞお読みください。

※紬塾'15のお知らせは2月28日を予定しています。


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アート鑑賞いろは塾――床の間奪回!

2014年12月11日 | かたち塾、アート鑑賞いろは塾



毎回、気づきや発見のあるアート鑑賞いろは塾ですが、今期最後の塾は櫻工房で7日に行われました。女性ばかりの参加となりました。

いくつかのテーマの中で、特に「床の間奪回」の話と共に、具体的に床の間に、かたちコレクションの絵画や置物を置いて鑑賞したり、他の物と置き換えてみたり参加者の若手アーティストの作品も飾ったり、、の実践は特に面白かったです。

床の間の飾り方は西洋的な単品の鑑賞方法ではなく、2点、3点を取り合わせるところに意味があるのですが、参加の若いアーティーストも、「自分の作品をこんなふうに展示してみたことはないので新鮮でした!」と言ってました。

波長の合うものを時間をかけて探すのも楽しいです。

床の間は必ずしも伝統的スタイルのものでなくても、見立てで良いのです。
自室の一角に、玄関の下駄箱の上に、床に板を一枚敷き、一段高くすればそこは床の間空間になります。

そこに何かを飾り取り合わせる。絵を掛け、置物や花や石やとりあわせる。
ものと向き合ってみる。
自分に出会えるかもしれませんね。

参加のお一人から一昨日、床の間の画像が添付されたメールが届きました。
ご本人の許可を得て少しご紹介します(斜体が引用文です)。

20代の方で、現在アルバイトをしながらいろいろ勉強中なのですが、糸や布、手わざ、古いもの、現代のもの、民俗的なものなど様々に興味を持って見聞きすることに夢中のようです。

この日の講義を受け早速一人暮らす家に帰り床の間に手持ちのものを置いてみたようです。



「飾る絵がなく上に視線を逃すことができず糸巻きなどごちゃごちゃ置いてしまいましたが、
一つ間違えると古道具屋の商品棚ですね。

左にある女神像は半身虫食いでぼろぼろなのですが、こう取り合わせると、過酷な労働の時代の女性を彷彿します。
病的なところが人々の身代わりのようでなんとなく気になって購入したものですが、床の間に取り合わせるとまた違う目線で見られます。
(中略)
これまでも写真にある机の上に抹茶腕や水差しを置いていたのですが、
どちらかといえば飾り棚に近い感覚でした。
なので、今回取り合わせて物を置いたことで、やっと床の間へ昇格です!!

知っている人にしかわかりませんが、写真の座繰り機は新潟のものなので、
水が飛んでも凍り付かないように、歯車が隠れています。
そこに寒さ(自然)の条件に対する人の知恵を感じるので、そういう気分で
眺めると良い感じです。ちなみに実用してみる予定です。」




いわゆる茶道などでいうところの床の間飾りとしての体は全く成していないのですが、私は前衛的な強い印象を受けました。

私も床の間を美術品の鑑賞や自分の心の置き場所としたりはしているつもりですが、こんな取合せを考えたことはありません。
道具を置くなんて・・と思いがちですが、糸は本来は人の命を守るために紡がれてきたわけですし、仏像も悲しみ、苦しみを抱えた人々の祈りの対象物ですから彼女の取合せの発想もうなずけます。

彼女が提示してくれた画像からもう一度糸のことや布を織ることの歴史、道具の叡智と美しさを再確認させてもらいました。

自分の身の丈に合わせ、今の自分を反映させ、取合せを考え、心の置き場所にもなっているこの床の間飾りは私にとって刺激的でした。
自分が大事にしたいものや事を少し高く掲げてみる。

美術館で名品を眺めるのも良いことですが、現代の暮らしにも床の間空間を持つことは誰にでもできるし、自分の美意識や興味を高め鍛えることにもなります。

お正月前の大掃除で少し片付けをして、自分の暮らしに床の間スペースを確保してみませんか?

アート塾でも今後も「床の間」は継続していきます。

今回のアート塾は20代の方が3名参加してくれていたのですが、フレッシュな空気が漂ってよかったです。

また紬の着物に先日お求めくださった小川郁子さんの帯留めを締めて参加してくださった貫禄充分!の60代の方もあり、様々な年代、立場の方と終了後も飲み会に突入し楽しい時間が過ぎました。

モノと出会い、毎回新しい目でモノを観続ける――。
新陳代謝のある床の間を奪回したいですね。

来年も充実した内容で開催していきますので、ぜひたくさんのかたの参加をお待ちしています。





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「第14回アート鑑賞いろは塾」のお知らせ

2014年11月27日 | かたち塾、アート鑑賞いろは塾


工房のドウダンツツジです。間もなく本格的冬の訪れですね。。。

今期最後の「第14回アート鑑賞いろは塾」を下記のように開催します。

今回は会場を櫻工房で致します。
紬塾の方も是非ご参加ください。
着物を観る上でも、着る上でも参考になる話が聴けると思います。
初めての方もご遠慮なく。
あと3~4名大丈夫です。
終了後には軽くやりましょう*^-^*


以下講師の笹山さんのブログから転載。
。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。

日 時:12月7日(日)P.M.1:30~ (開場P.M.1:20~)
会 場:櫻工房(町田市金井 小田急線鶴川駅よりバス10分)
テーマ:観ること・使うこと――作り手ではなく、鑑賞者が文化を創 る 
講 師:笹山 央(「かたち21」主宰)
受講料:2,500円(飲物代込み)
※マイカップ、マイ盃ご持参ください。

・作ることだけが文化の創造ではない。観ること・使うことはある意味、創ることよりもより高尚な精神活動であるということ。
 観ること・使うことが一定レベル以上にできていない人が創作をしても一人よがりになるだけであること。

・日本文化は、観る・使う文化であり、その立場にある人間が文化をリードしていったこと。

・そして「文化を育てる経済学」について。

といったことについて話します。

必ずご予約の上ご参加ください。

参加申し込みはこちらまで。



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第12回アート鑑賞いろは塾のお知らせです

2014年09月09日 | かたち塾、アート鑑賞いろは塾

左/ 月に薄柄鏡 銘「天下一吉次作」 江戸時代、右/ 栗柄鏡 銘「天下一家重作」 江戸時代(東京国立博物館本館8室にて)

秋の気配が感じられるようになりました。

今週末の13日土曜日に迫ってまいりましたが、第12回アート鑑賞いろは塾のお知らせです。
町田市鶴川駅すぐのところにあるポプリホール3階です。
テーマは[ものの美について(中級編)日本の形を例にして」

詳細は塾長の笹山央さんのブログをご覧ください。

とても興味深く、重要なテーマだと思います。

知識とかではなく感じたことを素直に言葉にしていきながら鑑賞を深めていかれたらと思います。
中級編となっておりますが初めての方もご参加いただけますのでぜひお越しください。
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