中野みどりの紬きもの塾

染織家中野みどりの「紬きもの塾」。その記録を中心に紬織り、着物、工芸、自然を綴ります。

第5回 紬塾「日本の取り合わせ」――ものの力を合わせる

2023年10月20日 | 紬塾’21~’24




" 木犀に帯締めながら目をやりぬ  星野立子 "

半巾帯の連作に集中しながらも、庭の金木犀、銀木犀がふっと香ってきます。

初旬に行いました紬塾「取り合わせ」についての報告です。

毎回盛り上がる着物の取り合わせワークショップ。
T.P.O.を考え、一人2パターンずつ取り合わせを発表してもらいました。
着ていく場や、季節、どんな心持で着るのかなども話してもらいます。

反物と帯、帯揚げ、帯締めをセレクトしてある中から、自由に選んでもらいましたが、みんな違う組み合わせでした。それぞれが真剣勝負で向き合ってくれました。

取り合わせに沢山のルールなどありません。一人ひとり条件が違いますから。
私は日本文化として、取り合わせで気を付けなければならないのは、「異なるものを合わせる」1点だけです。揃える合わせ方は、取り合わせとは言いません。それは単なる色合わせです。

俳句でも取り合わせという言い方をしますが、いかにも予定調和のようなものは評価されません。意外性を持ちながらもハッとさせる関係性を持ち合わせている。

あとはもののクオリティの高いものを下着類から小物に至るまで、選ぶことです。ものの力を合わせることです。

そして、着物は人が着るもの。飾っておくものではありませんので、自分との取り合わせとして、肌映りのよいものを選ぶことがもちろん大事です。
でも、合わないものや、年齢で変わってきたりしますが、その場合も小物や帯で似合う色を使うことで、幾らかカバーできることなども詳しく話しました。



私のこの日の取り合わせは、前にも「羊歯文帯」で書きましたが、拙作を何点かお求め頂いたご高齢のお客様から、もう着ることはないので、引き継いで欲しいということで頂いた着物です。
30代後半の仕事だったと思います。シンプルですが、地が崩し縞になっていて、布に奥行きが有ります。
太めの糸で織られていますので、単衣に仕立て替え、真冬を含め長く着たいと思います。

寒色系の中に、帯揚げだけは暖色の赤紫を使って、秋の色を加えました。

HP着姿を更新しました。


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