中野みどりの紬きもの塾

染織家中野みどりの「紬きもの塾」。その記録を中心に紬織り、着物、工芸、自然を綴ります。

帯結び――関西巻きと関東巻き

2017年08月18日 | 着姿・作品
帯を締める時に左から右(時計回り)へ巻きつけるのが関西巻き。その逆の右から左(反時計回り)へ巻きつけるのが関東巻きと言われています。

私は手先を肩に預けないで胴に巻くやり方のせいかどちらからでもほとんど何の抵抗もなく締めていますが、関西巻きが出来ない、あるいはやりにくいという声を多く聞きます。
着物に慣れている慣れていないには関係ないようです。
右脳か左脳タイプかなどの脳の関係もあるかもしれませんが、、。

全通柄ならやりやすい方から巻けばいいわけです。
腹の両面にあるポイント柄や両面が違った色合いの縞帯などはどちらからでも結べるといいですね。

私は帯を創る時に前柄を両面使えるよう少し違えて作ることが多いです。
縞や格子の帯でも全くのシンメトリーの場合を除けば、前柄を見比べてみると違っている場合がありますので、季節や着物によって、帯締の色によって変えてみると良いと思います。

経縞や格子織物の場合はお太鼓と前は続いているものなので、染や刺繍などのポイント柄とは少し条件が違いますが、非対称の縞や格子は二つ折りの前部分をよくご覧いただきたいと思います。

下の写真は名古屋帯の藍縞帯ですが、不規則な縞です。

自作の此の手縞に合わせた初夏の装いです。


藍の縞が上下に別れる感じの方です。帯揚げは絽目のものです。


12月の装いは久米島に合わせています。藍の縞が固まって上の方にきます。帯揚げは上と似た色ですがやや深いネイビーブルー。


前回のブログでご紹介しました上の名古屋の縞によく似ている半幅帯も表裏でやや色糸の配色が違いますので、少し橙色がはっきりする面で同じ宮古上布に締めてみました。少しはっきりした縞になりましたので、帯留も存在感のあるものを使ってみました。詳細はこちらで。

少しの違いでもやはり印象は変わります。この着物にはこちら、この季節にはこちら、この帯締には、、、などいろいろやってみると良いです。

どちらから巻くのが正しいのか?などという質問をする方もいますが、柄がうまく出る方、あるいは取合せによって両面使い分ける巻方をするというのが正解です。

一本の帯で二通りに締められるというのはお得です。(^_-)!
是非結びに慣れて両方楽しまれると良いと思います。

関西、関東、文化圏の違いで帯の前柄の付け方が違ったり、長襦袢の形が違ったり、好まれる色合いも違ったりしますが、それはそれで時代や歴史的背景などもあるわけですから興味深いところです。

帯によっては仮紐やクリップを使って締めることもありますが、紬塾では手先を肩に預けないで胴の幅分の手先を巻きつけ、捻るだけのやり方をしますので皆さん案外初めての方もどちらからでも結べています。
ただ、たくさん着ている方ほど“慣れ”がありますので、自分のやり方をすぐ変えられないケースも見受けられましたが、、。でもまた慣れればいいことです。(*^^*)

色々なやり方も試しながら、ものに合わせて自分のほうが自在に対応できるのが私は良いと思います。
脳の活性化にも繋がります。







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