中野みどりの紬きもの塾

染織家中野みどりの「紬きもの塾」。その記録を中心に紬織り、着物、工芸、自然を綴ります。

やすらぎの紬のショール

2012年09月26日 | お知らせ
ショールのOneline Shopを開設しました。

お盆明けから秋冬用のショールの制作にかかっています。
注文分も含め少し多めにつくっています。

札幌でかたちの会の作家を中心にした取合せの展示会「かたち in SAPPORO」(10月3日から9日)があり私はショールを中心に出品します。着物と帯も数点予定しています。

ジュエリー作家の鴨下蓉子さん、皮革バッグの高瀬季里子さんとの取合せとなります。
洋服にも合うモダンなものを出品する予定です。

鴨下蓉子さんは会場となるギャラリーKamokamoのオーナーです。
私も昨年4月にお伺いしてきましたが、環境のよいところにあり、建物はモダンなデザインの半円形で光溢れる素敵なギャラリーです。

ぜひゆっくりとお時間をとられてお出かけいただきたいと思います。

作品画像を含め詳細は「モノ・語り」で。


私のショールはタテもヨコもすべて手紡ぎの糸でネップも多いものを使っています。
最初はゴワっとした感じもあるのですが、使ううちに、あるいは洗うほどに滑らかで柔らかくなります。
また不思議なくらい使っているうちにシワにならなくなるのです。
着物に限らず洋服でも重宝な一枚になります。

ショールについては3年前の「やすらぎの贈りもの'10」展のブログ記事を参照下さい。

エッセイストで「スペースたかもり」主宰の高森寛子さんの著書「日本の美しい道具たち」「心地いい日本の道具」2冊にわたってショールを紹介していただいていますが、高森さんには15年ほど前に黒っぽい地色のものをお求めいただきました。
今も何度も洗濯もして、お使いいただいてるそうです。 

私の個展には最初の頃から来てくださっていたのですが「着物は着ないから・・・」とキッパリとおっしゃられていました。そして何回目かの個展で洋服にも合うショールを気に入って下さり、ご愛用くださってはいたのですが、ある日突然着物が欲しいとご注文をいただきました。着物は着ないと言っていたのに・・・
人の気持ちを変えてしまう紬のショール・・・みたいです。

昨年の4月の初めに福島県いわき市にお住まいの方が、その本を読まれお電話をいただきました。
原発事故で外へも出られず、気持ちもふさがっているけれどこの本のショールが欲しいという問い合わせでした。
ちょうど少し前に織ったばかりのもので、お求めの黒系のものが1枚あり、それを送らせてもたいました。本の写真の印象とは違ったようですが気に入っていただけました。

原発事故のことはなんともお慰めする言葉もありませんでしたが、一枚の布が少しでもやすらぎにつながり身も心も温まって頂ければと思います。

着物や帯もそうですが、一生ものの使い込むほどに良くなって愛着が増していけるような、
堅牢で美しいやすらぎのあるものを作っていきたいと思います。

東京でも11月に展示会を予定しています。

詳細が決まりましたらブログでお知らせいたします。
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第3回[アート鑑賞いろは塾]のお知らせ

2012年09月13日 | かたち塾、アート鑑賞いろは塾
 歌川広重の版画の説明を聴いているところ。

先月18日のアート鑑賞いろは塾へお越しくださいましたみなさまありがとうございました。
感想のメールやお電話もありがとうございました。続ける励みになります。

今月29日(土)には第3回アート鑑賞いろは塾が行われます。
終了後のワイン付き雑談も楽しいですよ~(差し入れ歓迎!)。お気に入りのマイカップも是非ご持参ください。

第2回も終わってから内容を反芻するようなもので、もう一度この話を聞きたいと思いました。
ものを観るうえでも、創る上でも本当に重要な内容でした。
空間、3次元、奥行き、西洋絵画と東アジア絵画の違い、日本の浮世絵が西洋に与えた影響など・・・
作品画像の映写を見せてもらいながらの聴講です。

笹山さんはすごい話をサラッといろはのレベルで淡々としているのですが、観ることを鍛えてきた人の話から学ぶことは多いと思います。

以前オランダのゴッホ美術館で観た花咲くアーモンドの小枝がグラスに一輪活けられた小品(「グラスの中のアーモンドの花」)の絵の前でずうっと一人佇んでいました。
なぜその絵が私を惹きつけたのかが今回の話を聴いて明快にわかりました。
西洋の遠近法的な奥行き感ではなく、小さな画面に広がりや奥行きを描き、観る者は深く絵の中に分け入っていけるように描かれていたのだと思いました。
水墨画にも通じるものがあったのです。ゴッホはちゃんと描いていました~

私は観ることも好きで、若いころは観たり聴いたりしたことの感想を日記に書き続け、決して言葉は得意ではないのですが、ただよかった、つまらなかったではなくなぜそう思えたのかを言葉化するようにはしてきました。
次回の内容にもありますが、観ることを養い育てていくことは生涯の自分と向き合うものとなっていくことでしょう。

笹山さんはプロとして工芸、美術評論の文章を書いてきた方ですので、審美眼を養い持つていることはもちろんですが、文献から学んだことも自分の身体を通して消化して語ってくれるのでわかりやすいです。
さすが!!と思います。ありがたい話でした。

小学6年生の男の子も参加してくれたのですが、最後までしっかり話を聴いてくれました。
途中ちょっと眠くなったようですが、笹山さんが一生懸命話しているので頑張って聴いた、ということです。

彼も自分で書いたカニの絵と「感情」というタイトルの文が添えられた抽象画を持ってきてくれました。
画面いっぱいに獲物を捕らえたカニが目を金色に輝かせている絵は少し前に描いたものですが、「感情」は打って変わって大人びた内容のものでした。どうして悪い心があるのだろう?という。

その子の母親もこんなことをいつのまに考えるようになったのか、、、と驚いている様子でした。
野球クラブではピッチャーをしている彼は文武両道のようですが、会場の準備や片づけも手伝ってくれて助かりました。よき大人に成長してくれることを願います。

 第1回目では身近な植物の葉や石の形の話から始まりました。 ジャコメッティの創作について
 着物での参加の方もおられました。

週末の午後、ちょこっとワインを飲みながらフラットに語り合えることは至福の時です。
何の垣根もなく知識のあるなしでもなくどなたでもアートや手仕事に興味をお持ちの方はご遠慮なくご参加ください。

第3回の内容の詳細は笹山さんのブログをご覧ください。左側のブックマークから入れます。
是非ご予約の上お越しください。


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