中野みどりの紬きもの塾

染織家中野みどりの「紬きもの塾」。その記録を中心に紬織り、着物、工芸、自然を綴ります。

岸野忠孝水墨画展のお知らせ

2011年06月25日 | 工芸・アート
中野みどりのHP



今日、岸野忠孝さんの個展の飾り付けを、京橋の加島美術さんですませてきました。
水墨作品に加えてパステルの彩色作品もあり、額装作品が多くなっています。
渾身の最新作が並びます。大震災の追悼の祈りの絵も3点あります。


3年ほど前に、今は亡き小説家の立松和平さんに展覧会用の推薦文を
お願いしたことがあります(そのときの企画は結局実現しませんでしたが)。
初めは、美術は専門ではないので…と断られたのですが、
私は立松さんならきっとわかってくださると確信していて、
後日作品を3点ほど送って見てもらったのです。


岸野さんは当時、手紡糸のタイ木綿の布に絵を描かれていました
(今展では一点あります)。
それをご覧になった立松さんのお返事は「すごい絵ですね! 原稿書きます!!」
ときっぱりと言われました。そのときの文章は、
岸野さんの作品を紹介しているサイト(こちらから「コメント集」をクリック)をご覧ください。


現在の岸野さんは体力も視力も歩くことも衰えてきていますが、
初日にはご子息の、伊賀でやきものをされている岸野寛さんとともにおこしくださいます。
小さなハガキサイズの作品など大変手ごろな価格の作品もあります。小さくとも本物を!
とにかく実物の迫力を是非ご覧いただきたいと思います。
スゴイです! かたち21ブログに詳細が書かれています。


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小さくとも本物を

2011年06月19日 | 工芸・アート

紬塾第1期の染織実習コースで学ばれた方で、
自分の紡いだ糸を使って織った布を額装にしたいという方から頼まれまして、
布を持参し、小さな額を探してきました。



既製の額に赤味の薄いグレーのマットを合わせ、布を上に乗せただけですが、
耳を少し覗かせることで織りの仕事の痕跡が見え、素敵なアート作品になったと思います。



一昨年の秋、工房へ向かう途中に道に落ちていた美しい柿の葉の赤や緑色を
ほんの少し織り込んだということです。

部屋の片隅にかけられた1枚の小さな布切れも、魂の入った本物の一片であれば、
引き込まれて見ることのできる、心の置き場所になるはずです。
かたちの会の冊子『かたち』(No.07)の床の間特集もご参考にどうぞ。
 
6月10日発行の最新号(No.08)特集「続 床の間奪回――原子力技術に代えて――」は、
今日の日本のありようを、そしてこれからをどう生きていけばよいのかを示唆する内容です。
「『社会的に作られた欲望』を求め振り回されていくのではなく、
自分が本当に欲しいと思うことやものを見極めていくことが大切」という考えに私も同感です。

また、「わざから発する」というコーナーで、帯のアトリエ「花邑」銀座店の店主杉江羽音さんが
文章を寄稿してくださっています。
古い着物や羽織、帯を解き洗い張りし、新しく帯として縫い上げ、甦らせる仕事をされています。
古布の色や柄の多様性、布の(織り糸の)風合い、着物が日常にあった時代の染織レベルの高さ
豊かさ、そして人々の着ることへの想いを感じます。
質の高い布はやはり大切に受けつがせてもらいたいと思います。
そして手間のかかる仕事ですが、仕立てや悉皆の職人仕事も大事にしていかなければ
着物を着る文化は守れないわけです。

この記事に合わせ、花邑さんから特別に3点の布も預からせてもらっています。
半巾、名古屋、どちらでも仕立てを承ります。冊子を含めご注文、お問合せはかたちの会まで。
冊子(No.8)は花邑銀座店でもお求めいただけます。

また3年前に羽音さんが工房を訪ねてくださり、その日のことをブログに書いてくださってます。
遅ればせながらご紹介します。是非ご一読いただきたいです。


 花唐草文様 和更紗  木綿(昭和初期)



黒地に花文様 絹(現代)



 芙蓉唐草文様 和更紗  木綿(江戸時代後期)


次回ブログは東京、京橋の加島美術という古美術の店で行われる水墨画の岸野忠孝さん
(震災後のブログで紹介した彫刻の岸野承さんのご尊父)の東京での初個展を企画させて
いただきましたがそのお知らせをいたします。(会期は6月27日(月)~7月3日(日))
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第3回紬きもの塾 真綿から糸をつむぐ

2011年06月11日 | 紬塾 '9~'12
中野みどりのHP




角真綿から糸をつむぐ実習です。
秋に小さな布を織ってもらうために糸を紡いでもらいました。
練習10分、本番1時間でみなさん約24~25mぐらいを紡がれました。




水またはツバで湿らせながら真綿を束ねるようにして糸にします。
このやり方は久米島方式と呼ばれています。(沖縄県の久米島です。)
やや太目のよこ糸を紡ぐにはよい方法です。
‘09の「真綿から糸をつむぐ」も参考にしてください。


途中、蚕の吐き出した糸がそろって出てくる様子に、
「きれいですね~」という余裕の発言も聞かれました。
紡ぎ台は単純な道具ゆえに、繊細な真綿の扱いは本人の微妙な指先の感覚や、
真綿が出やすいように全体を見わたしコントロールしていくセンスも大切です。
また心のありようが、ありのままに糸のかたちに引き出されてきて、なかなか面白いものです。
一人ひとりの個性も表われていたように思いました。
決して単純作業ではありません。




オハジキで糸を抑えながらカセ揚げをする


このあと、染め、デザイン設計、織りへと進んでいきます。



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