中野みどりの紬きもの塾

染織家中野みどりの「紬きもの塾」。その記録を中心に紬織り、着物、工芸、自然を綴ります。

繋ぎ糸 の仕事—―『中野みどり紬織45周年記念展』に向けて

2021年08月28日 | 制作工程
残暑お見舞い申し上げます。

お盆明けからまた暑さがぶり返しております。
またコロナも大変な状況で、先行き不透明ですが、ワクチン一本槍の科学に基づかない方策、何とかしてほしいです。。(-_-;)

紬塾も10月までお休みですが、みなさまお元気でしょうか?

私は10月にはこの紬織りの道に入って45年目を迎えますが、その45周年展用の最後の着尺を織り始めたところです。
繋ぎ糸を使った、少し時間がかかりそうな仕事です。

繋ぎ糸の話をいたします。

宗廣力三先生の下での修業ののち、独立して自分の着尺、帯、ショールなどの作品を織るようになってから400点以上になります。

経糸を機に掛け、最後まで織りますが、次に掛ける新しい糸と繋ぎ、綜絖にそのまま通すために8~9寸の経て糸を残します。
また、継ぎ草と言って、経糸が切れたりしたときのために、繋ぐための糸を整経の時に少しですが、余分を取っておきます。

それらの織り捨て分の糸を使って、再び織り糸として生かしていきます(繋ぎ糸を作るために新しい糸を切って使うわけではありません)。

45年の節目にその糸を見極めながら、過去の作品を思い浮かべ、繋ぎ、また一枚の布に再生できることは意味のあることとも思います。



古い糸も入りますので、強度などの確認もしながら、また絹糸は湿気などでカビが付くこともあり、先ずは洗います。
洗われた糸たち。シャンプーしてさっぱりしました!


また箱に納めて出番待ちです。


今回は薄グレー地のよこの段に使いますが、繋ぎ糸と言っても何でも繋げばいいのではなく、生かせなければなりませんので、繋ぎのベースは藍染めの濃紺とヤマモモの白汚しをある規則性を持たせて繋ぎました。

トップの画像にあるように、その間に他の色糸を少し挿していこうと思います。系統別に繋いでいきます。

多くの色糸を使いたいとは思いますが、カラフルにしたいわけではなく、静かな景色を思い浮かべながら選んでいます。

あくまでもパッと見には何気ない着尺にしたいのです。
こっそり、密やかに花を付けてる草の花のように。

かたちの「侘び」のブログでも繋ぎ糸のショールの画像をアップしていますが、繋ぎ織りもまさに侘びの精神です。あるものを最大限に生かしながら、自分を越えた世界へ導いてくれるものです。


糸の出方は一段ごとに毎回違います。一反に50カ所の段が入ります。
無作為に入れているような、意図的に入れているような、毎回新たな気持ちで織ります。
繋ぎ目(結び目)が面白いのですが、うるさく感じるときは少し切り詰めます。

また先日の半巾帯の時のような荒行に入ってしまいました。( 一一)
前にも着尺や帯の作品で繋ぎ糸を使ったことはありますが、大変でしたのでもう二度とやらないとその時々は思ったのですが、、。
我ながらこの懲りない性分に付き合うのは大変です、、。(;^_^A

さて、展示の詳細はまだ未定なこともありますが、一応下記のような予定です。

最新作から、回顧展として、公募展に出品していたころの旧作もまじえて展示します。
また、以前にもご紹介しましたが、中野帯作品と小川郁子作の帯留めの取り合わせも是非ご覧ください。 

……………………………
会場:ギャラリーコンセプト21(東京・北青山)
期間:2021年11月3日(水・祝)~8日(月)
 
出品品目:着物(仮絵羽)、着尺、帯、ショール、草木染帯揚げ
     江戸切子帯留め、切子小品/小川郁子作

企画:かたち21








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不戦を誓う

2021年08月09日 | こぼれ話
不戦宣言そののちゆるむ単帯  宇多喜代子

今日は長崎原爆忌。
また、17年前の暑い最中に亡くなった母の命日でもあります。

そして間もなく敗戦記念日です。
76年が経ちました。死者のこと、戦争のこと、平和のこと考えたいと思います。

今日の田上富 久長崎市長の魂のこもった挨拶の中で、印象に残ったのは、

「第1回締約国会議にオブザーバーとして参加し、核兵器禁止条約を育てるための道を探ってください。日本政府は、条約に記された核実験などの被害者への援助について、どの国よりも貢献できるはずです。そして、一日も早く核兵器禁止条約に署名し、批准することを求めます。」

また、広島原爆の日のニュージーランド・アーダーン首相の、メッセージも心強く思いました。
「専門家は、いかなる国家や国家の集団、国際的な組織も、核戦争の影響に備えたり、対処したりすることはできないと警告しています。」
そして「核兵器ゼロが広島と長崎の犠牲者への償いになる唯一のこと」と。

もう核の抑止力、という非現実的な考えから脱却しましょう!

全文はリンク先をご覧ください。
「核兵器ゼロが広島と長崎の犠牲者への償いになる唯一のこと」
【広島原爆の日・メッセージ全文】 | ハフポスト (huffingtonpost.jp)

 
日本は唯一の被爆国です。平和のリーダーとなることが世界から尊敬される存在になります。是非来年の会議には参加してほしいです。

戦争体験の記憶がある方々も少なくなっていきます。
私も戦後生まれではありますが、戦争だけは繰り返してはいけないと学生のころから思ってきました。

ただ、私の若いころから徐々に政治の右傾化が始まり、まさかここまでと思いながら、ついには民主主義に否定的な保守政権が長く続くことになりました。
日本の防衛費(軍事費)は世界でも8番目ぐらいに位置しています。
戦争を放棄している国なのにです。。
それでいて、世界各国の男女平等の度合いをランキングした2021年の「ジェンダー・ギャップ指数」は120位。
ここに人権を軽んじる偏った思想が現れています。

彼らにとっては国民が大事なのではなく国家(自分たち権力者)が大事なのです。
お国のために戦ったり、いのちを捧げてくれるロボットのような無思考の人が大事なのです。
女性は子を産み男を支えるものであればいいのです。

憲法改正はコロナのどさくさに狙っていることも透けて見えます。
民主国家からまた独裁国家に徐々に塗り替えていくことになります。
一般国民に気付かれないように徐々にですが。

戦わないことが勝つことです。
そのためには憲法を遵守した政治が行われているか、支持政党だろうとなかろうと、国民が政治に関心を寄せ、政治家、権力者を監視していなければならないのです。

よく、コロナのことでもそうですが、批判はしてはいけないような空気があります。
そうではなく、怖いのは沈黙が加担することになっていることにさえ気づかないことです。
声を上げないと取り返しのつかないことになります。

NHKの偏向報道も極まってきましたが、テレビだけ見ていては、偏った情報しか入りません。
公的なものなら安心などということはないのです。公的機関やメディアを圧力を掛けコントロールするのは簡単なのです。

今はネットがあります。ツイッターもコントロールされることもありますが、手遅れになる前に、匿名で声を上げていきましょう。SNSも玉石混交ではありますが、情報を一番集めやすいと思います。もちろん鵜吞みにせず、自分でも調べたりして判断することが大事です。

自分からさまざまな声を聞く努力をしないと、もう若い人の未来はないかもしれません。
それぐらいひどいことになっています。
戦場に子や孫を送り出さないためにも変だと思うことは、小さな声でも上げていきましょう。

冒頭の句は私が尊敬する俳人の宇多喜代子句集『森へ』の2017年の8月に収められていました。

単帯と言えば産地のものでは博多帯でしょうか。
上等の手織り物ならゆるむこともないでしょうけれど、安直なものは見た目は良さそうでも締めればすぐわかる。この微妙な感触の違いは政治を見るときにも大事です。

帯は腰や体幹を決める大事なもの。
安心してゆるまない帯を締めて平和に普通に暮らしたいです。

私達は戦争を体験はしなかったけれど、体験者の話は聴けた最後の世代になります。
平和や自由、自然は自分たちで意識して守らなければならないもの。
小さな声でもみんなが集まれば大きな声になります。
声を上げていきましょう。
知らず知らずのうちに悪い方向へ加担しないために。


工房の桜の木では蝉がたくさん止まり、あらん限りの声で一斉に大合唱しています。
分かり辛いですが、上下にアブラゼミ2頭写ってます。
ウルサイぐらいなんですけど、、本当に時雨てます。(^-^;
でも鳴きたいだけ鳴きなさい。
自分の存在を知らせるためにいのちのかぎり。

トップの写真は鉢に植えたペンタス。
星のような形なので、花言葉は「願い事」「希望が叶う」だそうです。

コロナの収束を願いましょう!








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