中野みどりの紬きもの塾

染織家中野みどりの「紬きもの塾」。その記録を中心に紬織り、着物、工芸、自然を綴ります。

第7期「紬きもの塾‘15」の日程が決まりました!

2015年02月28日 | 紬塾 '13~'16
今年度、第7期「紬きもの塾‘15」の日程が決まりました。

受講を希望の方は、HPの「紬きもの塾」を開いて、日程などご確認の上、メール、またはお電話で、末尾のかたち21からお申し込みください。
3月12日(木)から受付を開始します。
当初一部広報で、初回を12日としていましたが19日に変更となっておりますのでご注意ください。

紬入門基礎コースと染織実習コースに分かれています。

紬入門基礎コースのみを選択することはできますが、新規の方が染織実習コースのみはできません。
10回通うのが難しい方は、次年度以降に単独で染織コースのみを受講することもできます。

詳しい内容につきましてはカテゴリーから過去の『紬塾』ブログをご参照ください。
趣旨をご理解の上ご参加ください。

着物を着始めてみたい・・・と思っている未経験者の方から、着物はたくさん着ているけれど、更に織物についても深く学びたい方まで、少人数で一緒に学びます。
着方については講座の中ではポイントを話していきますが、オプションで個人レッスンも可能です。

少人数で一人ひとりに対応した講座ですのでトータルに自分が着ることをどう捉えていけばいいかを考えるきっかけになると思います。

今期も今まで同様に良い会になるよう努めてまいります。
お申し込みをお待ちしております。





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『現代工芸論』が都立高校の入試問題に採用されました!!

2015年02月26日 | 工芸・アート
以前のブログ記事でもご紹介しましたが、昨年4月に出版された笹山央『現代工芸論』(蒼天社出版)の第三章「美しいもの」であること の中の4.取合せの美の項が都立高校国語の入試問題に採用されました。

昨日の朝刊に問題や回答が挟まれていました。

とても驚きましたが、とりあえず私も早速問題を解いて見ました。結構読解力が試されますね。^^;

でもドキドキしながら答えを選びましたがお陰さまで問題の作成者の回答とも著者の笹山さんの回答とも合致してよかったです。(*^。^*);V

当の著者本人が「難しかった・・」と言ってました。(^O^;)

地道に現代の工芸や美術の領域で本当に大事なことと向き合いながらものを観続け、考え、言葉化し、どんなにマイナーな状況と遭遇しても前を向いて淡々と歩き続ける笹山さんの姿勢は尊敬してきましたが、やっと一般の人々の目に触れる場へ出て同志としてやはり私も嬉しく思います。

しかも中学3年生がこの問題に向き合い内容を理解しながら設問のメッセージも受け止め答えを出していくわけですから、あまりにフェイント攻撃的な内容も含め難しい問題ではなかったのではないでしょうか?
問題の⑤は特に難しいです。自分の経験も踏まえ取合せについて書くというのは・・・でも良い問題ですね。

かたちの会の方などからも「すばらしい!」「自分も読んでいたので本当に嬉しい!」とか「中学生に負けないように問題を解きます!」とか「」メッセージをたくさんいただきました。

ある方からは
「 最も的確な文語かつ正論で記することが困難なジャンルであるにもかかわらず、一般中学生を対象にした基礎読解力問題への採用は、すばらしいことです。
また、問題を作成したと思われる公立国語教諭の探索力とレベルの高さも、嬉しい事です。」
こんなメッセージをいただき、涙が出るほど嬉しく思いました。

こんな時代だからこそ本当のことを考え、伝え、実行していかなければならないと思います。

工芸や美しい手仕事、日本人の自然観や感性の気高さ、不自由さの中のに見出す自由さを大切にしたいです。

今日は嬉しくて『現代工芸論』の中にも名前が登場する曜変天目茶碗を再現された桶谷寧さんの黒織部のぐい呑で祝杯を挙げました。

個人的な喜びにとどまらず、多くの方に『現代工芸論』の本質を読み解いてもらいたいです。

この本を取り上げてくださった方、そして入試問題として承認下さった方々の見識の高さにも敬意を表したいです。

また、改めて、原稿を依頼してくださった編者のギャルリ・プスの市川文江さん、良い原稿だとしてマイナーなジャンルの内容にもかかわらず出版元を引き受けてくださった蒼天社出版の方にも感謝致します。

まだ『現代工芸論』お読みでない方もぜひお手元でじっくりお読みいただきたいです。
図書館でのリクエストも有難いです。
作り手、一般の方にかかわらずおすすめしたいです。

ネットでは現在品薄のようですが、かたち21でも取り扱っています。→

新聞をとってない方は、入試問題はこちらでご覧いただけます。
P.4からですが文章はまだ許諾申請中となっています。
設問は見ることができます。

笹山央さんのブログもご覧ください。

◎紬塾'15のお知らせは今月末28日(土)に致します。


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煌く紬はどこから来るのか

2015年02月24日 | お知らせ


3月7日に櫻工房で行われます「かたち塾」第2回[気韻を軸に“紬織・水墨画・現代美術”]では光を受けてガラスの粉を撒いたかのように煌く布の様子を見ていただきたく午前中の開始にいたしました。
晴れるといいのですが・・・

画像は機にかかっている状態の梨で染めたグレー地の着尺ですが、
直射を当てるとお蚕さんが吐き出した1本の糸が持つ波状に光が当たり本当に美しいのです。
写真では取りきれませんが、、、。

これは糸を伸ばさない状態の真綿系の糸や節糸に見られます。
絹でも糸を伸ばして扱っているものには見えにくいのです。

たくさんの紬の着物をお召のお客様から「中野さんの紬はなぜ艶があるのですか?」と尋ねられたことがあります。
「いや~~、別に特別な繭とかで引いた糸ではないのですが・・・」(*^_^*)
「多分糸を伸ばさないことを全ての工程で気をつけているからではないですか?」とお答えはしたのですが、
そのあと自分でもよく観察してみてそれで間違いはなさそうだと思えてきました。

風合いの良い紬を織りたい一心で38年続けてきましたが、風合いという点では仕事のやり方、方向性に間違いはなかったと思います。


今回のテーマの「気韻」というものは修練だけでもなく、もちろん気合だ!気合だ!(>_<)でもなく、ものを見抜くフラットな眼差しによる洞察力がなければ始まらないのではないかと思います。

美しい世界に気付き、見極められるようになれると
何があっても減ることのない一生の宝物になります。

そんな話を一本の糸を見つめるところから話していきたいと思います。

さて、7日の「かたち塾」、あと2~3名の席があります。
気軽にご参加ください。
桜の花芽もふくらんできました。
桜のスモークも美味しくできそうです!!

お申し込みなどの詳細は前記事をご参照ください。
お早めにお申し込みください。



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第2回かたち塾「気韻を軸に“紬織・水墨画・現代美術”」のお知らせ

2015年02月14日 | かたち塾、アート鑑賞いろは塾
今年度より始まりました「かたち塾」は先日第1回が江戸切子の小川郁子さんをゲストに行われました。小川さんの仕事を裏付けている創作の姿勢を、インタビューを通して垣間見ることができました。

また作風からアシンメトリーな形や動き、ずらし、破れが感じられるものもあり、笹山先生の話は古田織部の話になっていきました。


私は敬意を表して初下ろしの小川さんの手による切子の帯留めをしていきました。
小川さんの切子の帯留めはガラスを超えている感じです。
かといって宝石のような威圧感もないので紬の帯とも馴染みます。

小川さんも紬に堺更紗の帯、赤い切子の帯留めを取合せていましたが、古いものと新しい感覚が調和していてとても素敵でした。写真を撮らせていただけばよかったのですが、、、残念!

小川さんも着物を着るようになったことで作品作りにも良い影響をもたらしているということでした。

会報「KATACHI-JUKU」も発行されていますので、興味のある方はかたちの会にお申し込みください。

さて、第2回は「気韻を軸に“紬織・水墨画・現代美術”」、3月7日(土)櫻工房にて開催します。

私の織物の話とそこに生じている「気韻」についての考察から始まります。
「気韻」という言葉は元は「気韻生動」からきていて、中国水墨画の評価に付けられた言葉のようですが、それは水墨画に留まらず現代美術、上質の手仕事系にも置き換えても良いでしょう。

そのあたりのことを私も学びたいと思います。私の方からは紬塾でも話しているような糸や布を構成するタテ、ヨコ糸のバランス、テンションなど具体的にお話していきます。

光と布の関係もあります。晴れていれば立体感を残した紬糸の光の反射をご覧いただこうと思います。ガラスの粉を散りばめたように紬布が光るところを。

後半は笹山先生からはジャンルを超えた普遍的な話をしてもらいます。

着物、織物、絵画、工芸などのカテゴリー分けではなく、全てに通じていくような内容です。
私は20年ほど前、紬織りにひたすら打ち込んでいる時に水墨や現代美術の作品と出会いました。
高校生の時古い芭蕉布や丹波布と出会った時と同じような、吸い寄せられ、引き込まれていく感動のように。
その後も自分の仕事とそれらの気を発している水準の仕事はなんら区別なく、今の仕事を支えてくれているように思っています。

受講にあたって専門知識は必要ありません。平易な言葉でテーマの奥深くまで話していきます。

アート塾もそうでしたが、毎回それぞれが自分の中に気づきや発見を得ることができます。
「美しさや心に響くものとは何か――」に関心を寄せている方ならどなたでもぜひご参加下さい。

紬塾の方たちには特にお勧めです!着物を着ていく上でも参考になると思います。
また紬塾に1年を通して通えない方もこの機会を生かしていただければと思います。

そして櫻工房のもてなしとして、床の間スペースに狩野養川院筆『雪月花』の三幅対のお軸を掛けご覧いただきます。

終了後にご都合のつく方は観楼会もご参加ください。
有機野菜と、工房の桜のチップで簡単スモークを何か作る予定です。
お酒も少々用意します。桶谷寧さんのぐい呑で試飲もしていただけます。

取り寄せ品の都合がありますのでお早めにお申し込みください。

お申し込みと詳細ははこちらから。
笹山先生のブログもどうぞお読みください。

※紬塾'15のお知らせは2月28日を予定しています。


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経絣着尺の準備

2015年02月05日 | 制作工程


黒地に藍の絣模様の着尺の準備を進めています。ちょっと難しい縞です。
狭い工房の室内でくくりますので、私は経巻機のドラムに絣糸の束を巻きつけ、もう片方は機にくくりつけてやります。


部屋を斜めに使います。


くくり幅の広い絣の場合は内側にポリエチレンの袋を切り開いたものをまず巻きつけます。


それから梱包用のシボのある紐を使ってぴったりと引き締めながらくくっていきます。
下に防染用のシートがあっても草木で濃い色を染める場合は留め釜もしますのでかなり丁寧にキッチリ巻き付けます。


一束がくくれたので、木枠に巻きとります。

私は刷り込み絣はしたことはりませんし、する気もありません。
くくり絣の方式が好きです。手くくりの絣の美しさはくくり際の絣の足に現れます。
ズレてしまうのではなく、意図的にずらしたり、合わせたりする中にあると思います。

くくり絣は手間ひまがかかり、どうしても高価になりがちですが、不自由さの中の、制約の中の美しさを呈しててくれます。

さて、くくった後も、染色、絣の解き、糊付け、仮筬前の地糸との割り込み作業。これは綾を落とさないよう割り込んでいくのでとても緊張します。

機にかけるまで、そして機にかけてからも絣糸を合わせたり、ずらしたりしながら織っていきます。
試練はまだまだ続きます。。。。





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