中野みどりの紬きもの塾

染織家中野みどりの「紬きもの塾」。その記録を中心に紬織り、着物、工芸、自然を綴ります。

中野みどりの紬のショール連作を公開します

2022年12月01日 | 紬のショール
         “ 冬木ま直ぐおのが落葉の中に立つ  大野岬歩 ”

様々な植物の紅葉を楽しみましたが、12月に入り、落葉を迎え木々は冬の装いとなりました。落ち葉は土に還り、また腐葉土としての役目が始まります。

秋からずうっと掛かっていた連作ショール、遅くなりましたが公開いたします。

今回は経糸は黒×オフホワイトのバイカラーですので、使う向きでかなり雰囲気を変えられます。服や季節に合せて使い分けることもできます。

色に関しては、私の撮影技術や画像編集ではなかなか難しく、手に取ってご覧頂くのが一番です。
立体感のある紬は、糸と光の乱反射で、季節、時間帯により、自然光であっても色は変化して見えます。

生地アップをご覧頂くとわかると思いますが、経糸に節のある糸を多用し、糸巻も、織るのにも手間がかかりました。織物の基本は経糸にあります。そこを軽く見てはいけません。機械には掛けられない、手仕事ならではの真価だと思っています。


経糸の節があることで織り密度をやや緩くできま、平織でもドレープ、バイアスがしっかりと立ちます。

立体感を出すために、着尺糸の2~5倍位あるものをいろいろ混ぜています。糸の太細や質感の違うものを敢えて混ぜることは、風合いや、使いやすさにも繋がりますが、異なる素材と一つの世界を作るアート性も加味されます。

価格の違いは使われている糸の重さも考慮しています。
重い方が暖かさはありますが、薄手のものも手つむぎの絹100%ですので、畳んで使ったりすれば冬も十分な暖かさがあります。真冬は羽織やコートと併用してお使いください。
部屋でシャツやセーターの上に軽く結んで掛けるのもよいです。

手洗いで、更によい風合いになっていきますので、洋服にも惜しみなくどんどん使っていただきたいです。使い始めは結んだりすると皺もできるのですが、だんだん皺になりにくくなります。冬の静電気もだんだん軽減します。
すべて草木染ですので、洗う際の浸け置きは避けて、軽く押し洗いしてください。洗い方はこちらで。

では一点ずつご紹介します。
以下に掲載の6点中、後半の3点は千成堂着物店での取り扱いとなります。
千成堂着物店さんのウェブサイトでご確認ください。

櫻工房のオンラインショップでは4点の販売となります。
直接町田市の櫻工房でも手に取ってご覧いただけますので、ご予約の上、ご来房下さい。

【茶系大格子(S-32)】





こっくりとした茶系の大格子です。一番地厚なものです。
綾織と平織を交互にしています。ダークな茶も、赤みを含んだ茶で顔周りを暗くしません。

【黄ベージュ×グレー×茶大格子(S-33)】




顔周りに濃淡どちらを使うかでかなり印象の違う作品です。
トップ画像は明るい方を顔周りに使ってみました。やや薄手で、春先にもよさそうです。すぐ上の画像の使い方ですとシックな秋冬の印象に。

【赤茶×グレー大格子(S-35)】





冬のコートなどは黒やグレーが多いですから、小物は赤系も映えると思います。こちらも厚手で、織も凝りまくりました! (*^o^*) 


以上新作3点+1点は櫻工房のオンラインショップでの販売となります。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

【七子織薄ピンク細段(千成堂着物店扱い)】



こちらは赤城の節糸をベースに、薄ピンクに染めたベトナムの極太の節糸を細い七子織で立体感を持たせました。エレガントで上品な印象もあります。やや薄手で、冷房の中などでも一年通してお使いいただけます。





【市松大格子 グレージュ×薄ベージュ(千成堂着物店扱い)】





大きな市松の格子です。よこ糸は薄ピンク綾織×グレージュ平織でシックな中に顔色がよく見えるよう配色しました。自己表現やデザイン、色が先にありき、ではなく、使う人のことをいつも思って作ります。こちらは中厚手タイプ。

【綾織段 ピンク×草色×茶(千成堂着物店扱い)】






ベースは無地と細いグレーの段で構成し、アクセントに茶、サーモンピンク、草色の段を拝しました。こちらも色糸選びに悩みながら、地の部分も凝りました。(^<^)
洋服のコートなど、二つ折りにして首に巻き付ける使い方をするとアクセントカラーの3色の見え方も面白いと思います。やや薄手。

以上3点は千成堂着物店さんのウェブサイトをご覧ください。

ご紹介は以上です。

本来の紬らしい味わいのあるショールを織るのも、赤城で作られていた太細のある座繰りの玉糸はもう作られていませんので、染めて残っているものだけで終りです。その限られた糸を使い、あと数点織って、私のショールの仕事もキリをつけようかな、、と考えています。






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「紬の会'18-風合いを愉しむ」紬ショールのお知らせ[3]

2018年02月16日 | 紬のショール
今回たくさん織りましたショール、マフラーのご紹介です。
撮影は終わりまして、Webに上げるべく準備をしております。
20日正午~櫻工房online shopにて販売を開始いたしますのでご検討ください。
24日から3月4日の工房展示になるべくお越しいただき色や風合いをお確かめいただきたいところですが、お越しいただけない方は、画像の色のイメージにとらわれないで自然物の奥行きのある色を受け入れて頂ければ幸いです。
なるべく近づけてはいますが、時間帯や光源によって草木の色の見え方は大きく変わります。
モニター環境によってもかなり違いが出ます。その点、ご了解の上ご注文頂ければと思います。
ショップに先駆けて一部ご紹介します。
これから特に使いやすいやや薄手のものも作りました。重さをご確認ください。


こんな俳句も見つけました。

   挨拶をしつつ畳みて春ショール    檜 紀代


















幅の狭いものも作りました。道中着の襟元にも良いと思います。
ショール・マフラー男女兼用です。プレゼントにも良いかと思います。
使っていくうち、手洗いしていくうちに毛羽が取れ、柔らかさと滑らかさが増していきます。
是非お試しいただきたいと思います。



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'16新作紬のショール

2016年11月13日 | 紬のショール
合着の時期にも重宝するやや薄手のタイプ。(品番1611-03)




桜染の落ち着いた黄茶色。畝のところに使っている真綿引き出し糸はもう手に入らない貴重なものですが、空気を含み温かいです。(品番1611-04)


角型のビーズは天然石のヘマタイトです。

木枯らし1号も吹き、寒くなってきました。
昼間は温かくても夕方から急に冷えてくるのがこの季節です。

この時期特に役に立つ紬のショールはいかがでしょうか?
経糸、緯糸に真綿紬や太い節糸を使った、軽くて温かいショールです。
経糸の節糸使いが特徴的です。
草木染め、手つむぎ、一点ものです。

櫻工房Online Shopでも2点upしておりますが、ブログ掲載のものもご注文頂けます。

嵩張らずバッグに忍ばせてお出かけになると安心です。
使い込むうちに、シワになりにくくなるのもこの紬の特徴です。
真冬には四つ折りにしてグルグル巻でマフラーのように使うのも良いです。

ショールを織るのは織密度や打ち込み加減が着尺や帯とは違う難しさがあります。
この二十数年で徐々に改良を進めてきました。

肩にかけた時のドレープが綺麗で、なおかつ堅牢性も持たせるために節のある糸をタテ・ヨコに使い、柔らかいけれど地の目がずれないよう織っています。 
節のある糸は糸巻きも織るのもとても手間と時間がかかりますが暖を取るショールにもってこいの素材です。

絹は手入れが大変と思われがちですが、紬に関してはウールよりも楽なんです。
絹糸自体が縮む事はありませんので、中性洗剤やシャンプーで手洗いをしていただき、5秒脱水で竿などに干し、後はスチームアイロンで整えるだけです。

洋服にも惜しげなくお使いいただき、洗って毛羽が取れてきた頃のなめらかになる風合いも楽しんでいただきたく思います。左右の向きを替えるとまた違った印象になります。
リピートしてくださる方も結構いらっしゃいます。

草木染の色は微妙で写真での再現も難しいので、ご覧の環境(PCやブラウザの違い)によって実物とイメージが違う場合はご容赦下さい。
ブログ掲載の作品価格は共に85,000円(税抜き)です。

櫻工房Online Shopでご覧ください。


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紬のショール

2013年12月14日 | 紬のショール

初冬を向かえ本格的に寒くなってきました。工房のサザンカも美しいです。

「紬の会」以降もひき続き紬のショールの制作にあたってきました。
その紬のショールを少し画像でご紹介します。

私が作る着物もそうですが、ショールも似た感じのものはありますが、1点もので、毎回違うものを作ります。

使う糸は全て手紡ぎ、座繰りの糸を使います。染は植物染料です。
着尺用の糸を合わせることもありますし、元々太い糸も、艶のある糸、ない糸、
太細のある糸、ない糸、本当に様々に組み合わせて作ります。
単調な糸と違い、手間はかかるのですが、布の表情が生き生きと感じられるように工夫し、制作にあたっています。残念ながらもう手に入らない特別味わいのある糸を使っているものもあります。

それと、何よりの特徴は真冬以外の時期にも真価を発揮してお使いいただけることです。
立体感のある絹ですので、上質ウールのジャケット1着分にも相当する暖かさがあり、首周りもチクチクしたり、汗ばんだりせず、春先、秋口にも活躍します。
長さは、着物の場合は長すぎると全体のバランスが悪くなり短めなのが普通です。
ただ、洋服にも合わせていただけるようやや長めの170cm(房別)前後です。
この長さですと155~165cmぐらいの身長の方にちょうど良い感じです。

手紡ぎ、手織り、草木染め、と手間のかかるもので、価格もどうしても高価になってしまいますが、私たち制作者にとっては正直、割の合わない仕事でもあります。
ただ、工業製品にはない風合いや、色、使い込むほどに馴染んでくる一生ものとしては決して
無駄なお買い物ではないと思います。
ショールの価格帯は7万6千円~8万8千円(税別)です。

今年も、帯のアトリエ、 「花邑」(銀座店)さんと櫻工房online shopでも販売をします。
花邑さんの銀座の店頭でご覧いただけますし、ウェブショップでもご覧頂けます。
そして、花邑さんの帯も着物や羽織、更紗などの古布から仕立て替えた、1点ものです。
きちっと洗い張りをして、仕立て替えられ生まれ変わる帯たち。
根強いファンの方が毎週の更新を楽しみにされていると思います。私も何点かゲットさせてもらってま~す。^^Y

外出の多い時期ですので、ショールと帯、合わせてお役立ていただきたいと思います。
是非、羽織やコートとも合わせてご覧下さい。

かたち21では、こちらのOnline Shopでご覧いただけます。
他にも用意していますのでお問い合わせいただければ櫻工房内でご覧いただけます。

以下、画像をご覧ください。

たての綾織と平織の組み合わせ。3色の切り替え。
 
七子織と平織の段。 

よこ総綾織。肉厚ですが、綾織は突っ張らず、肩に馴染みます。暖かいです。 

七子織と平織の大きな切り替え。丹殻(マングローブ)染の赤味の色が、地味目のコートやなどのアクセントカラーにもなります。

平織の横縞。やや薄手。房にはトルマリンのビーズがさりげなく付いています。 

七子織と平織を細かく交互に織り立体感があります。丹殻染の、温かみのある色合い。 


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