中野みどりの紬きもの塾

染織家中野みどりの「紬きもの塾」。その記録を中心に紬織り、着物、工芸、自然を綴ります。

[第10期 紬きもの塾'18]開講しました!

2018年04月18日 | 紬きもの塾’17~’19


「第10期 紬きもの塾'18」が開講しました。
お陰様で10年目に入りました。

今期は遠方からの参加者もあり、また以前から気になっていたものの、今年、やっと日程が合ったということで参加してくださった方もいました。和裁をされる方、お茶、お香、日舞など和の趣味の方もいらっしゃいます。

着物はみなさんお持ちで着ることもできるということです。
ただ、紬に惹かれながらもよく素材のことなどわからないということで参加をしてくださいました。

まずは私の師であり、紬の基礎の教えを受けた紬織人間国宝、宗廣力三先生(1914-1989)の作品集を一緒に見ながら、先生の創作の原点にあるものについてなど説明しました。


上の写真は竹文様の手結絣で、シンプルなデザイン、色数は抑えながらも織物の奥行き、深さを醸し出した作品です。
織は研究生が担当しますが、きれいに絣を合わせています。
シンプルなデザイン故に技量のある方でないと織れません。ごまかしがきかないのです。


こちらは緯絣で織り出した「十草縞」原寸大の部分写真を見ながら解説しました。私もこの絣縞は2~3反色違いで織らせていただきました。初めての絣でしたが括るのも大変、織るのも大変でしたが無心で夢中で仕事をしました。織り上がったときに先生の奥様から「絣が合いすぎね!」と皮肉交じりに言われたのです。悲しい気持ちになりました。。(;_;)
そばにいらした宗廣先生が、それに対して「始めは合い過ぎぐらいでいいんだ」とフォローして下さったことを思い出します。合わせられるからずらすこともできる、という意味だったと思います。
修業時代は辛いことも多い日々でしたが、宗廣先生の本質を突いた言葉に納得し、また支えられてきました。

先生は郡上の土地に根ざした郡上紬を興し、紬織の根源を見極めつつ独自の世界を創り出した方です。私もその仕事の根っこは学ばせてもらいながら今の時代の中で私なりの道を切り拓いていくつもりです。来年は宗廣力三先生没後30年になります。

みなさんからもどんどん質問が出て予定の時間をオーバーして説明させてもらいました。


中盤では私が着ている紬を2枚用意しまして、服の上からですが、交替で纏ってもらいました。

袷と単衣、真綿系と玉糸系、ピンク系と黄色系。
紬といっても対局にあるものを二通り纏ってもらうことでどんな感じを受けるのか、違いをみてもらいました。私からは先に何の解説もしていません。みなさんの根源的感覚を呼び覚ましてほしいからです。
次回、このことは糸や色、織についての解説の中で解きほぐしていきたいと思っています。



それにしても毎回そうですが、紬を纏うと自然な色や風合いに「ワ~ッ」とみなさんから声が上がります。
また初対面の方ばかりですが、着るところを見ている方からも笑顔がこぼれ、和やかに会話が始まります。

素直にものを観察するところから始まり、先入観や固定観念ではない“紬織”と出会ってもらいたいと思います。






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3月の装い――此の手縞の紬

2018年04月13日 | 着姿・作品


先月初旬の工房展へご自身で車を運転されお越しくださいましたお客様の着姿をご紹介いたします。

お母様の介護やお孫さん達の世話などここ数年の忙しさも重なり体調がお悪かったようですが、この日は久しぶりにわざわざ着物でお出かけくださいました。

春らしい色の此の手縞紬に現在90代のお母様が使われていた帯を合わせて来てくださいました。
落ち着いた赤茶の縮緬地の染帯です。辻が花風の絞りがほどこされています。
紫の指輪はアメジストでしょうか、、?暖色系でまとめた取合せに紫が効いていて素敵です。
お母様との思い出や想いも一緒にまとっている安らぎの取合せでした。


以前のブログでもご紹介しました森田空美さんの『灰色光』をご覧になられたいということでしたが、その後姿を撮らせていただきました。

この着物は色出しが難しいのですが、桜や杏で染めた落ち着いた柔らかなピンク系です。
「娘に合いそうだから・・」とおっしゃられてお求め頂いた着物ですが、まだ娘さんは袖を通されていないようです。。。(^_-)

此の手縞というのは濃淡のある色糸だけで経、緯の筋を織りだします。
緯糸も濃淡のある糸を一越おきに織ります。
此の手縞は色を替え何反か織ってきました。
濃淡の対比を大きくすると力強さや素朴さが増し、少なくすると無地感覚になり品良くなります。私も単衣でよく着ています。
紬糸の味わいを愉しむ事ができ、帯合わせもいろいろ出来る織りです。次の個展にはまた織りたいと思っています。



こちらは数年前の写真ですが、この取合せは帯も私の藍の縞帯を合わせてくださいました。
染め帯と織り帯、暖色と寒色の帯合わせでかなり違う雰囲気になっています。

山あり谷ありの人生ですが、折りに触れ安らぎの紬に袖を通して頂けたなら創り手冥利に尽きますし、今は子育てで忙しい娘さんもいずれバトンタッチされていくことになると思いますが、次の代へ手渡していくことも大事なことですね。

この日は今頃の季節にも合いそうな藤色の帯締めを一本お求めいただきましたが、どちらの帯にも合いそうでしたので、帯締めを替えてまた愉しんでいただけると思います。

昨年5月に単衣紬で工房へお越し頂いたときのこちらのブログもご覧ください。





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