中野みどりの紬きもの塾

染織家中野みどりの「紬きもの塾」。その記録を中心に紬織り、着物、工芸、自然を綴ります。

第7回  紬のきものの取り合わせ

2009年12月19日 | 紬塾 '9~'12
紬塾もいよいよ終盤に入ってきました。
今回は紬の着物の「取り合わせ」がテーマです。


桜染めと杏染めの紬の着物に帯を合わせる。


着物のコーディネートと言えば何よりも帯との取り合わせですが、
その前に下着や腰紐などの小道具があります。
それら小道具を染や平絹の着物の着付け用ではなく、着崩れしにくい紬や木綿、麻の着物のコーディネートの場合に限定して、いかにシンプルに楽に着ることができるかという話から入りました。

肌襦袢や裾よけの役割・機能について、腰紐や伊達〆も素材別の使い分け、半襟も少し値がはりますが、絹のものはあとあと草木で染めることができるので、結局無駄がないこと、長襦袢や半襦袢の使い分け、帯板ぐらいとあなどることなかれ、など細かく一点一点お話しました。

着物と帯は1枚の着物に帯3本と言われるように、
その実例を私の手持ちのもので見ていただきました。
ただ色や柄だけではなく、素材や風合いによる組合せ、
紬のコーディネートは振袖や訪問着ではないので、
全部が主張しすぎないよう質をきわだたせるような見せ方が粋です。
また、同系色や反対色で統一する洋服感覚は、私には何かもの足りません。
日本の気候、風土、四季、光は、私たちに美しい取り合わせを自然に教えてくれています。
日本の文化は「統一」ではなく、異なる素材や色彩を絶妙に取り合わせる、
「破調」をよしとしてきたのではないでしょうか。

羽織、履物、バッグ、ショールなども含め、着物の取り合わせの深さに、
みなさんからはため息や歓声が上がるほどでした。
脳の活性化にも貢献したのではないかと思うほどに、かなり密度の濃い話になりました。


塾参加者の方が持参してくださった、珍しいうす茶地の久米島紬に、
古い着物などから作ったという帯を合わせ、
帯揚げや帯〆を加えることでどんな見え方になるかを、実際にやってみました。



休憩タイムは、熊本産の「天の紅茶」と、
生活クラブ生協を通じてオルタフーズのゆず饅頭でした。


[お礼]
前回お知らせしました「やすらぎの贈りもの’10」展に、ブログを見て来てくださった方ありがとうございました。
「さろん」に参加いただいた方々も、着物や紬に対する熱い思いを伺うことができてよかったです。
織物は人と深くかかわるものです。たいせつに継承し、育てていかなければと思っています。
市民のひとりひとりがその担い手だと思います。


次回更新は2010年1月20日過ぎの予定です。
みなさま、よい年をお迎えください。


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