中野みどりの紬きもの塾

染織家中野みどりの「紬きもの塾」。その記録を中心に紬織り、着物、工芸、自然を綴ります。

麻の肌襦袢&ローライズステテコ入荷と麻のバイアス汗取りのご紹介

2018年06月29日 | 麻ローライズステテコ&肌襦袢/長襦袢
麻(ヘンプ)の肌襦袢&ローライズステテコが麻福さんから入荷になりました!
ご予約いただきました方には準備が整い次第、発送致しております。

肌襦袢の襟ぐり(繰越)は着物や長襦袢並み(くり抜いていません)になっていて、汗で襦袢の襟周りを汚さないように考えました。
着用のときには背中心を軽く引いて着ると襦袢から隠れます。衣紋を抜いて着ることが肩周りの生地をバイアスにしますので体に馴染みます。

ステテコはゴム紐を替えられるようになっています。

届きましたら一度水洗いして表面の紡績糸の毛羽を流してからご使用下さい。
乾燥機のご使用は不可となっております。大麻の茎を割いたものを原材料としていますので、自然乾燥にして下さい。乾きやすく、夏は室内干しでもよく乾きます。

   肌襦袢の上にヘンプ、リネンの蚊帳生地タオル2本を接ぎ合わせてで作った汗取りを巻いています。(洗濯済のもの)

櫻工房のオンラインショップでは麻福さんの蚊帳タオルも2本一組、縫い方説明書付きで販売しております。

タオルはヘンプ×リネンというとても贅沢なものですが、麻わたよりも通気性がありますので汗取りタオル、補正タオルに最適です。汗取りワタの付いた肌襦袢も今まで着てきましたが、私にはこれがもっとも涼しく感じられ、ベストな方法です。
晒などで作る岩田帯(腹帯)の作り方をヒントに考案しました。

この蚊帳タオル2本を接ぎ合わせバイアスに縫っていくと、フィット感もありまた長さも出ますのでこちらも肌着とセットでお使いいただきたいと思います。9号サイズの方は2本まるごと使うと少し長い(3周目にかかる)と思いますが、補正用ならそれも良いと思います。
長い場合は布幅分(30cm)カットして、裁ち口をもう一本と接ぎ合わせてから斜めに縫っていきます。

オンラインショップで肌着お求めの方には作り方説明書をお付けします。

                                        巻き始め

                                        巻終わり
上の写真は9号サイズの方に巻いてもらいました(30cmカットしたもの)。
巻き始めは脇のあたりにして2周巻き付け巻き終わりは前で挟みます。
きつく巻かずにゆったり巻くほうが通気性が良くなります。赤糸のところが接ぎ合わせた箇所です。
洗濯はネットに入れ、ごく軽く脱水し天日で干します。

広幅生地のなかった時代に、小幅の布を斜めに縫ってバイアス使いする知恵は日本的感性です。
裁付袴、米や豆を入れたりする角袋、ねじりコン袋などもバイアス利用です。あずま袋、数寄屋袋もそうですね。

女わざの会の森田珪子さんに千利休の妻、宗恩の手がけたバイアス縫いの茶入の仕覆の作り方も伺ったことがあります。
森田さんにはたくさん教えていただきましたがバイアスの不思議というか合理を感じます。

ヘンプの肌襦袢、ステテコ、汗取りは浴衣下にも、木綿、麻、紬、染の着物にも!
下着は“着ること”の基礎になるもので、見えないけれど大事です。

とりあえず真夏のパジャマにして柔らかくするのもいいです!ロングスカート下にもいいです。
正座の時間の長いお茶席でも汗取りにステテコは活躍します。(^^♪

麻ですが平織りなので一年中使用できますのでこの爽やかさを体感いただきたいと思います。
早速、この夏からの快適な着物ライフにお試し下さい!

小ロットでコストがかかっていますが、只今2点で10%OFFにて販売しております。

櫻工房オンラインショップはこちらから。 →

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第4回 紬きもの塾――真綿から糸をつむぐ

2018年06月25日 | 紬きもの塾’17~’20

4月にスタートした「紬塾'18」は私の都合で2回お休みとなり、関係の皆様にご迷惑をおかけしましたが、ようやく昨日2回目の講座開催となりました。

今年も3名の方に久米島式で真綿から糸をつむいでもらいました。
2枚の角真綿(約3g強)を掛けました。上の真綿からきれいに一枚ずつ片付けてつむぐとスルスル真綿が出てきます。
一番つむぐのが難しい着尺2~3本合わせたような太さにつむいでもらいました。

1時間半、つきっきりで見ておりました。。(@@;
目が話せませんでした、、。(・・;

三人の方がつむいだ糸。違いがわかりますか?
織ったときの景色が楽しみです…(^^♪

大事なことは真綿の繊維をちぎらないようスルスルと出てきやすいように、人が真綿の状態をよく見て繰ればいいだけです。
五感を働かせて、よく観察することが大事です。

真綿作りもすべて手仕事で、繭一つ一つを指先で広げて重ねたとても手間のかかっているものですが、これ自体も不揃いであったり、不規則性もあり、こちらが素材に近づいてあやすように扱わなければならないのです。

糸をつむぐことは楽しい仕事でもありますが、着るためにつむぐということは厳しいことです。

糸つむぎの内容は初めての方は昨年の記事もご覧ください。→ 

糸つむぎの台は久米島にしても結城にしても、とても単純な道具です。
人が真綿から糸を引き出してくる際にどこかに真綿を止めておく(掛けておく)だけのための道具です。

固定している釘も少ないほうが繊維を切らないのでよいです。
竹の釘があればそれがベストと思います。いろいろ工夫すれば良いと思います。

素材や道具に素直に向き合う姿勢がないといい糸つむぎは出来ないと思います(なんでもそうですが、、)。

蚕が2日ほど掛けて吐き出す、あの0.02mmの細い糸は無理に引っ張り出せばどんどんちぎれてしまいます。
そのことに気づく優しい眼差し、素直な観察力が必要です。

次回7月1日は順序が逆になってしまいましたが、真綿や糸の話し、植物の中に潜んでいる色の話、風合いの良い布を織ることについて講義します。
「紬きもの塾」の一番核になるところを話します。





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小さきものたち

2018年06月14日 | 着姿・作品


今日は一日どんよりとした空、梅雨寒でした。

少し体調を崩してブログ更新も出来ませんでしたが、仕事に復帰して秋の展覧会向け着尺、帯の制作に励んでいます。


今朝、庭のねじばな(もじずり)を摘んで工房玄関入ってすぐの小さなニッチに飾ってみた。



小さな床の間スペースです。

ねじばなは毎年芝生の中からスック、スックと伸びてきて濃いピンクの花をつける。
梅雨の曇天の中でも小さいながら存在感をアピールしている。

モンシロチョウも蜜を吸いに来る。
ねじられた一つ一つの花を自分も螺旋に回りながら秩序正しく吸っていくのを昨日見て思わず笑った。(^^♪



額装は25年ほど前に伝統工芸展に出品した着物の織り付け部分で作ったものを合わせてみた。
こちらも絣の動きが花と少し似ている。

「セイロンの香り」と題した紅茶染めの地色。桜の黄茶、一位の紫、藍の縞を配して。



手のひらに収まるほどの小さな花器にもなるオブジェ(伊藤みちよ作)に活けてみた。
敷布は桜、シラカシなどで染めた帯の端布です。

小さきものたちになぐさめられる日々。



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