中野みどりの紬きもの塾

染織家中野みどりの「紬きもの塾」。その記録を中心に紬織り、着物、工芸、自然を綴ります。

Nさんの着物取り合わせの記録より

2022年12月09日 | 紬の上質半幅帯
18年度の紬塾に参加され、拙作の半巾帯や着物を着てくださっているNさんが、久々にメールを下さり、取り合わせの写真(スマホ自撮り)を送ってくださいました。写真も沢山送ってくださったのですが、ご本人の了解を得て一部、コメントと共にご紹介します。

お祖母やお母さまの遺された着物が沢山あり、それも引き継がれています。
トップ画像の半巾帯「糸箱」を合わせてくださっているものもその一枚で、「この着物も、祖母のもので、母もお気に入りだった、袷のお召です。所々に牡丹色が浮き出ています。三代にわたってのお気に入りの着物です」ということです。

紬塾でも、「とことん着る」をテーマに話してきましたが、あるもので活かせるものはぜひ活用しながら、また新しいものも取り合せて、古めかしくならないよう、現代の着方をすることを提唱していますが、それを実践して下さり、本当に嬉しく思います。

着用時の取り合わせをスマホで自撮りするようになったご本人からは、
「着る着物の偏りをなくすため記録用に始めましたが、画面を見るたびガチャガチャしていてお見せできるものではありません。色を繊細に感じることができないのです、学び、感じ続けなければなりません」と仰りながらも、「先生の半巾帯を合わせることで、半巾帯でもきちんとした品のある着姿になります。帯自体も合わせやすいので、他の着物、何にでも合わせています!いわゆる半巾帯の仕上がりにはならないところが、本当に重要なのです。着付けの時間が短縮され、また背中が楽なので、ちょっと着物着ようかな、という気持ちになるので、着る機会が確実に増えました!」とも。
主に街着として、ちょっとしたお出かけに着てくださっているそうです。

まだ若い方ですが、これから年を重ねたり、体調を崩したりするときにも気持ちの負担にもならず、でも上質の半巾帯は“きちん”とした感じにもなり重宝します。


もう一枚は凝った型染めの小紋に合せてくださっています。
「グリーンの着物は、祖母のお気に入りだった単衣の小紋。身丈が短いですが、将来の繰り回しのことを考え、継ぎを入れずに頑張ってます。」
そうですね、着物として着潰すなら胴に継ぎ足せばいいですが、羽織などに仕立て替えるなら、そのまま着る方がいいですね。それと、今時の身丈は妙に長くて、おはしょりを上に持ち上げたり、長さを調整するのが当たり前のようになっていますが、案外短めが着やすいです。

Nさんは本当に熱心な受講生でしたが、当時も着物の取り合わせノートを最後の回に見せていただきました。
この時のことは以前のblogにも書きましたのでよかったらご覧ください。紬塾を終えての感想も一番上のかたです。

当時のノートも進化しているようです。謙虚に学び続けてくださり嬉しく思います。



また、私の着物も引き継いで着てくださっているのですが、それにもいろいろ取り合わせてくださっています。今回は無地紬の八寸を合わせた写真をご紹介します。
「着物を着始めた頃、柄と柄の組み合わせが苦手で、母の小紋に合わせるために無地のものを選びました。今回の写真は、黄色の帯締めは春、多色の帯締めは秋の写真で、季節感を気にしたつもりです。」



紬塾でも取り合わせの回で季節や場、心情などを意識して取り合わせる話をしますが、これも実践してくださってます。

梅染格子着物「淡紅梅」は私が2回目の個展の際のメインにした、シンプルのようでいて、内容は凝った格子の紬です。その後、仕立てて着ていたのですが、3年ほど前にその着物を解き、洗い張りして、引き継いでもらったのです。この件に関しての詳しいblogはこちら。

「淡紅梅」に関してNさんは、
「柄のある紬が欲しいと思っていたので後継を立候補したのです。私にとっては洋服では着ない、着物ならではの色柄ですから、「あー着物が着たい!」という気分の時にぴったりの着物です☺︎そして、100%褒められるのです!」
洋服ではピンク系は絶対着ない、という方も草木染のこの系統のピンクや黄色は不思議に手が出てしまうみたいで、何人もそういうお客様がいらっしゃいました。
兎にも角にも、私の後を有効に、愛情をもって活かして頂き、生みの親としてはこんなに嬉しいことはありません。

半巾帯も名古屋帯と変わらない価格になりますが、ご要望があればまた織らせてもらいたいと思います。
HPからお問合せください。在庫も1点ございます。

いろいろリンクが多くて、長くなりましたが、、HPの着姿集の「淡紅梅」「帯の着姿集ー半巾帯」にも追加しましたので、時間のある時にそちらも是非ご覧ください。



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