中野みどりの紬きもの塾

染織家中野みどりの「紬きもの塾」。その記録を中心に紬織り、着物、工芸、自然を綴ります。

真綿から糸をつむぐ

2024年07月02日 | 紬塾’21~’24
染織実習コースの方に、真綿から糸をつむぐことをしてもらいました。
つむぎ方も幾通りかありますが、久米島式のつむぎ台を使っています。

真綿4g(一反分の緯糸の約1/100の量)から着尺より太い糸をつむいでもらいました。
久米島式は真綿が平らに開いていますので、太い糸もつむげます。
また、糸を切るということもほとんどなく引き出せます。
結城の工芸士さんにも糸つむぎを習ったことがありますが、結城の方式では糸を引き出すのに張力が掛かるので、特に経糸に向いていると思います。

安定した太い糸をつむぐことは初心者にはとても難しいのです。
太かったり、急に細くなってしまったりはしましたが、みなさん1.5~2時間でつむぎ終えました。


今期の方の中に、養蚕から真綿を作るところまでしている方があり、その方は別途個人指導の時間を取り、一人でもつむいでいけるよう、ご自分の真綿(上の画像の)でも4gほどつむいでもらいました。


この時は着尺用の太さでつむいでもらいました。
光沢のあるとても強い真綿で経糸もつむげそうです。



単純な道具を使うので、その人の感覚がよく出ます。
糸つむぎを見ると大体の力量や性質が分かると宗廣先生も仰られていました。
本当によくわかります。^_^

ただ細いだけではない、身体のリズムと真綿と一体になっておおらかな糸をつむぎたいものです。
織っていて、惚れ惚れするような糸のかたち、表情、景色に出会うと嬉しくなります。


私は、もうつむがなくても染めた糸がたくさんありますので、ここ15年程はまとまった糸つむぎはしていません。それでも手本を示しながら糸をつむげば、こころは落ち着きます。
糸つむぎのような微調整の仕事は得意な方です。(^^)/

以前のブログにも書きましたが、
ただ、大事なことは、「麻にせよ、木綿にせよ、紬にせよ、布を織ることや、糸つむぎは、今の時代は趣味的なことのように捉えられがちですが、機械的なものが出てくる以前は、生きるためのとても厳しい、時間のかかる過酷な仕事でした。」
そして、主に女性たちがその過酷な仕事を担わされてきた歴史もあり、低賃金で糸はつむがれてきたのです。
着心地の良い真綿紬の価値がもう少し真に評価され、末端の人も報われて欲しいです。そうしないと、技術も紬も未来へ繋がらないからです。
もう紬をわかる人がこの業界でも少ないのではないでしょうか?


紬塾で「糸つむぎ」をやるのは、紬の着物を着る方にも手つむぎ糸を引くことの難しさ、大変さを身体を通して知ってもらいたいからです。
文化は市民一人ひとりが育てていくものですから。

過去のブログもご参照ください。
2018.6.252019.6.072023.6.16 など。



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紬塾 第3回「とことん着尽くす」― 着物の更生・運針

2024年06月22日 | 紬塾’21~’24
紬塾では、環境や、エコの問題を話題にします。みなさんからも日々エコのことで工夫していることを伺ったりするのですが、紬とエコが繋がらない方もあるかもしれません。
紬のことや着物のことを学びに来たのに・・。

紬の前身は“絁(あしぎぬ)”と呼ばれる絹織物と言われています。
節のある織物で武士や僧侶などが着ました。
平安時代の法令集「延喜式」の中にも“絁”が出てきます。
学生時代に平安時代の衣の文化についての課題があって、調べた時に「絁」の文字を覚えています。

諸説あるのでここには書きませんが、いずれにしても、所謂生糸の平絹織物ではなく、繭を一度に沢山引き出す節糸や、出殻繭から直接引き出すずりだし糸や、繭を真綿にして引き出す真綿紬糸など、節は出るけれども無駄なく使い、織られたものです。
堅牢な織物として、その風合いや、野趣味、柔らかさも人々に愛され、今日では紬として続いているのです。
そこにはひと手間も、ふた手間もかけた創意工夫があって出来るものなのです。

また、着物の和裁の知恵というものも凄いものがあります。
昔は解くことを前提に縫われていて、ミシンのようなきつい縫い目ではなく、玉止めを取ればすうっと糸が抜けるようにできています。
衿肩明きだけ鋏が入っていますが、前身ごろと後身ごろを逆に使うこともできるのです。
この日着ていたこの紬も前後を入れ替えて仕立てかえてあります。
前身ごろに大きなシミをつくってしまい、表裏を返し、更に前後も入れ替え帯でカバーできるようになったのです。(^^ゞ

堅牢に織られた紬は3代に渡って着ることもできると言われていますので、これこそとことん使う究極のエコではないでしょうか?



襤褸(ぼろ)の写真集、「襤褸の美」(額田晃作)をいつもお見せするのですが、凄まじいものがあります。
何十枚もの継ぎ当てのある布団側や野良着。
しかしある種の美も湛えているのです。
日頃の自分のエコ意識などの生ぬるさを突きつけられるような思いになります。


私の母も着物地や子供たちの学生服のズボンやスカートで普段使いの座布団側を沢山縫っていました。
上の画像で私が手に持っているのは、扇風機を保管する時のカバーを古い母の夏のスカート(母が自分で縫ったギャザースカート)から作ってありました。

他にも沢山リメイク品があるのですが、運針だけで縫っているものがほとんどです。
子供の頃の銘仙の着物で縫った風呂敷も沢山あります。
今のようにビニール袋や衣装ケースのない時代、衣服を風呂敷で包んで茶箱に保管していました。


上の画像は、銀行の粗品の手拭いで、子供たちが飯盒炊爨の時に持って行くお米を入れる袋も作っていて、お見せしました。

母は自分用に、自家用に作っただけで、まさか娘が他人に見せるとは思ってもなかったでしょう。苦笑いしているでしょう。(#^^#)

秋にはみなさんにも何かあるもので創意工夫して縫ってもらうべく、夏休みには運針練習をしてもらうことになっています。
布を見詰める良い機会になればよいと思います。

エコ意識はクリエイティブな世界に繋がっています。
安いものをたくさん買って捨て続けるのではなく、気に入ったものを大切に修繕しながら使うことは、ものへの愛情も深まり、自分の気持ちも安定します。創意工夫は脳の活性化にもつながります。



五本指のお気に入りのソックスは二度三度とアップリケ状に継ぎを当てて履いています。
靴下の継ぎ当ても楽しいですよ!








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着物を着ること、装うこと

2024年06月15日 | こぼれ話(着物)
先日、少人数の夜の会食に出かけました。
心尽くしの美味しいお料理はもちろんですが、主賓の国内外で活動されている方のフラットなものの見方に、学びがあり楽しい充実した時間となりました。

紅一点でしたので、私にしては華やかに装ってみました。(^^♪
桜染めの赤味を含んだ黄色地に薄紅色の細い縞です。
節のほとんどない、玉糸をたて、よこに使い試織したものです。



帯は20年前、たまたま銀座の画廊の前を通りがかった時に、ショーウィンドウに外国の古い美しい布が飾られていて、中へ入ると帯に仕立てたものも数点あり、その中の絹のサリーから仕立てたこの帯が気に入り買い求めました。

母を亡くしたばかりの悲しみのどん底にあった時で、私の体調も懐具合も悪かったのですが、母が「買いなさい・・」と背中を押してくれたような気がしました。
華やぎのある帯ですが、草木染の着物とも合う色合いです。
前柄の裏面(太鼓の左側)も素敵なのですが、今日はお祝い絡みの会ですので、赤を効かせた方を使いました。


野薔薇の洒落紋は、草木で染めた紬の経糸を十数色、職人さんにお渡ししてそれで刺してもらいました。
普通、日本刺繍は無撚糸の糸を使いますが、これは撚りが入ってます。
野趣のある、世界に一つの紋です。
この着物については拙著、「樹の滴-染め、織り、着る」にも掲載されています。

季節の料理とお酒。庭の植物を眺め、楽しく学びのある会話。
人との繋がりの中で、こんな時間を持てたことを幸せだと思います。

着物を着ることは、身体を包むだけではない、その場に何を着ていくのか、心を尽くして考え、選んでいくこと。それはとても高度な精神世界です。

昔の人たちは布や着ることに対して、今以上に大切にし、また拘りがあったと思います。

紬塾後半の、取り合わせの回の時に、ただの色合わせ、コーディネートをすることだけではないこともお話ししますが、"着ること(装うこと)"は人の生き方にも関係してくる奥深いものです。





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紬糸の糊付け

2024年05月31日 | 制作工程
経糸の糊付けや経糸巻ををしています。

私が使う糸は節や毛羽のある糸が中心になりますので、糊(布海苔+生麩)を付けて使います。
糊は付ければよいというものではなく、必要最小限にします。
風合い、打ち込み具合とも関連します。


糊付けの日の天候によっても付ける濃度を変え、糸巻や織りがしやすいようにします。
とても、とても難しいですが、風合いや堅牢性を高めるために大事な工程です。
基本的には緯糸も同様にしますが、濃度に関しては、経糸よりは薄くつけます。


それから糊付けの後、絹糸のウェーブを戻すためにやる重要な工程があります。
動画のように(インスタに上げています)、糸を高く振り上げ、2~3回テーブルなどに打ちつけます。綛を持つ場所を変えまた2~3回。
これはフワッと空気を入れてやる感じで、鞭打つように強く叩きつけてはいけません。


そして、干す時に、糸巻しやすいようにと強くはたいたりしているのをよく見かけますが、私は絹糸のもつウェーブを生かしたいので、ほとんどやりません。なるべく糸に触らず自然なままに干します。

この糸達は電動の糸巻機では巻けないのですが、手でゆっくり巻くほうが風合いの良い紬が織れます。

また、この糸を巻く時間にもこの糸のチョイスでよかったのか…など、次の作品への思いを巡らせます。ギリギリまで考え変更したりすることもあります。
必要不可欠な大事な時間です。


庭の緑を眺めながら、野鳥の囀りを聴きながら、風を感じながら静かに糸を巻きます。都下の住宅地の工房には、野鳥が年間20種類くらいは来ます。
毎日バードバスの水を替え、水浴びの場を確保してあげます。


桜の木の下の苔が茂ってきました。3種類あるのですが、手で触れるとひんやりと気持ちよいです。
真夏には山鳩もここに蹲り、身体を冷やしています。

東京でもこの環境で自然と共に仕事ができることは本当に幸せです。

風合いの良い紬を織るためには、織る以前の糸の扱いや、自然と共にある時間も大切なのだと思います。


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第2回 紬塾「糸、色、織」― 紬織りの糸・草木の染色・織の映像を交えて

2024年05月15日 | 紬塾’21~’24
いつものように第2回の紬塾は「糸、色、織について」の内容でした。

話だけではなく、実際に繭から糸を黒い紙に巻き取ってもらったり、真綿を道具を使わずに引き出してもらったり、ワークショップ付きで行いました。

糸はどんなかたちをしていたでしょう?
織物をしている人でも紬の糸についてどれだけ観察をしているでしょうか。
蚕から吐き出された最初の糸のかたちを美しいものとして、認識しているでしょうか?
その美しさを損ねないように染めたり糸巻をしたりしているでしょうか?


紬塾に参加の方には、真綿から糸を作ることがどんなに高度で繊細な手わざか、その一端でも感じてもらいたいと思います。

1回の体験では難しいかもしれませんが、1回目だからこそ感じ取れることもあるはずです。
上手く引こうとして、真綿を制圧するようなやり方ではなく、真綿に従えばいいだけのことなのですが、、。


そして、糸の美しさや特性を最大限に生かしながら、染め、洗い、絞り、叩き(風を入れる)に気を配り、糸を巻き、整経をし、織りに入ります。

その織る様子は私のビデオを見てもらいながら説明しました。
10丁の緯糸を入れる角度の違い、筬打ちのタイミング、耳糸の絡め方など、専門的すぎる話もしましたが、要は織り前を真っ直ぐ、無理なテンションをかけずに風合いよく、耳を綺麗に織ることが反物の良し悪しを決めるということを知ってもらいたいと思います。

今日の話には出せませんでしたが、踏み木の踏み方も大事です。柔らかく踏みこんだところで筬打ちします。最後はしっかり踏んで次の杼を入れます。
2段階で踏むことで経糸を毛羽立たせないようにしています。

身銭を切って買った反物の背縫いが割れてこられたらたまりません。
ワカメ(反物の耳側が波立っていること)になった反物はいくら上手な仕立士さんでもスッキリと仕立てることはできないでしょう。

使い手がしっかりとものを見る目が無ければならないのです。



さて、この日の浅葱色の紬は35年以上も着続け、洗い張りもし、裏返しもした色褪せた藍の小格子ですが、地割れや腰が抜けるなどは全くありません。



季節のポピーの型染めの帯を取り合わせました。
この帯地は経節紬でベースにも表情があります。
シックな中にも大人っぽい華やぎも感じられます。
ポピーの風に揺れる様子が、いく通りかの動きのある花弁で表現されています。

5月の爽やかな季節ですので、単衣紬を愉しみたいです。
薄くて硬い単衣着物よりも、空気の層がある真綿紬は放湿性があり、涼しく着ることができます。
真綿紬は洗い張り後に毛羽が取れ、滑らかさも出て格別です。

長く着られる単衣向け作品もございますので、色柄、価格等はお問合せください。
工房で随時ご覧いただけます。




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「春夏用 草木染ストール(ビーズ付き)」お知らせ

2024年05月02日 | お知らせ
「春夏用 草木染めストール(ビーズ付き)」オンラインShopにアップしました。

生成りのリネンワンピースに纏ってみました。
ナチュラルな服によく合います。
着ている本人もナチュラル、ノーメイクで失礼します。(^-^;

広幅は44cm巾でウエストぐらいまで覆いますので、電車などでの夏着物の帯の保護にも使えます。


こちらは柔らかなリネン100%で象牙色。
画像はアイロンを当てていますが、洗うとクシュっとした感じになり、私はノーアイロンで使っています。

首周りの夏の日差しを避けるために、また冷房除けに。
凹凸があるので、肌にべとつかない扱いやすいやすい生地です。


こちらのシルク二重織楊柳生地は、帯揚げとして、「入り組結び」には使える長さです。
こちらも肉厚感もあり、使いやすい生地です。
桜染のオレンジベージュは上品な稀に見る色です!





四隅には天然石ビーズ、いぶし銀の手作りビーズを付けました。
ビーズは全て違う色です。

草木染は自然光の中でも時間帯や季節で見え方が変化します。
そのため、ご覧のPC環境などによって色が実物と違って見えることがございます。その点をお含みおきの上、草木の色をお楽しみ下さい。

シャンプーなど中性洗剤で、手洗い可。浸け置き不可。
洗濯乾燥機は厳禁です。
Shopメニューバーの「紬ショールの洗い方」参考になさってください。

※送料無料でお送りしますが、スマートレターでのコンパクトな発送になります。ご了承ください。

櫻工房オンラインShopでお求めいただけます。




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第15期「紬きもの塾'24」開講しました!

2024年04月25日 | 紬塾’21~’24
紬塾は15期目を迎えました。
敷居の高い紬塾へようこそ。(*^_^*)

毎回、様々な年齢、立場の方が参加して下さっていますが、違いこそあれ、紬や織物や着物を着ることを知りたい、深めたいという方ばかりです。

今期は定員オーバーとなり、少し窮屈ですが、6名の方と一緒に紬織りを中心に、着物の文化について、また自然のこと、環境についても考えを深めていきます。
関西方面からも3名の参加ですし、交通費がかかってもそれでも尚!と、決心をされているのだと思います。

前年度の時にも書きましたが、
「紬塾の内容はブログには書けないことがたくさんあります。
その場に、一座建立してこそ伝えられることがあります。紬塾はそういう場を設けているだけです。そこに集まる一人ひとりが作っていく場です。」

場を設けることで、対話が始まります。私の仕事の姿勢にも触れてもらうことができます。
プロ、アマ問わず、この織物大丈夫??というようなものが沢山出回ってしまっている染織業界。
名のある、ない、○○会会員とか、そんな冠をかぶせても、ものの善し悪しとは別です。
自分に、ものの真贋を見分ける力を育てなければならないのですが、私はむしろ無垢な目を持つ人の中にいると思っています。

観ることの重要性は以前から言っていることですが、今期はその点を特に力を入れて伝えていきます。

ネットに上がっていないものは、ないものにされている現代ですが、染織の歴史はそんな底の浅い世界ではないはずです。

6名中、宗廣力三作品を見たことがある人はいませんでしたので、宗廣先生の仕事についても作品集を見てもらいながら解説しました。初期から晩年まで、作風の変化はありますが、根底には紬織りの原点を大切にした仕事をされた方です。
郡上紬の風合いの良さを語る方は多いですが、私の仕事はその骨格は受け継ぎ、見た目や色は私なりの感覚を取り入れています。



さて、初回の私の装いはいつものように、修業時代の最後に、母の為に夜なべでつむいだ太い糸で織った井桁絣の着物。染料は阿仙と丹殻、藍です。

木綿の紺絣の一番オーソドックスなのは井桁絣か蚊絣と思いますが、その基本を修業の最後に身に付けておきたくて、敢えて素朴な木綿柄を織ったのです。
我ながら、見る度に思うのは、シンプルゆえに絣のずれは目立つのですが、経も緯も絣が綺麗に合っていて、若いエネルギーの真剣勝負の仕事だったと感心しています。もう出来ません・・(*^_^;)

帯は僅かな残糸の絣を駆使した半巾帯で、地糸ももう手に入らない太くて荒くて扱いにくい赤城の節糸です。長さも短いので、矢の字結びにしました。

今日の取り合わせは、ありあわせ、残りものだけれど、力強いエネルギーに満ちたもの同士です。
更に帯留めも自作ですが、これも銀の板の端材を拾ってきてハンダ付けしたものです。
以前のブログにも取り上げた、イタリアの画家ジョルジョ・モランディは自然界は丸と四角と三角で出来ていると言っていましたが、普遍的なもののかたちは見る人が自由に想像を膨らませることができます。私はそういうものが好きです。
オール手前物!オール中野で簡素にまとめてみました。(#^^#)

紬きもの塾が「紬」や「きもの」という既存の概念に囚われるのではなく、また先入観や刷り込まれた知識で捉えるのでもなく、自分の目で素直に、自然を見詰め、見極められる目を養うことができれば、あるいはそのきっかけになればと思います。
紬塾では一人ひとりが自分で感じ、考えながら進めていきましょう。
本物と出会いましょう。





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「紬の会’24春―崩し縞を着よう!展示&受注会」お知らせ4

2024年04月04日 | 紬の会
「紬の会」のお知らせの4.です。

工房展示
4/6(土)~13(土)10時~16時
[8日(月)と10日(水)を除く]
※ご予約、お問合せは 
HPのお知らせをご覧下さい。

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ポプリホールでの「紬の会’24春―崩し縞を着よう!」展示&受注会にご来場いただきありがとうございました。
シンプルな無地感覚の崩し縞系をご覧頂きましたが、光によって経糸、緯糸の複雑な色の見え方や、風合いの柔らかさにみなさん気付かれ、驚かれた様子でした。

ポプリホールの年配の守衛さんが部屋の外から、2回も長いこと佇んで中を見てらして、はじめは見回りか何か?それとも用事かしら…と思って2回目の時に近づいて行ったら、「綺麗ですねえ・・、いいですね・・、落ち着きますね・・」と仰られ、中にお招きしてご覧頂きました。

着尺と帯を撞木に7~8反掛けただけの、華やかな強い作品などはない展示なのに、遠くから見ても、何の予備知識など無くても、ものの力を感じて頂けたのかと思うと驚きと共に、とても嬉しく思いました。
以前(2021年12月28日 )にもブログに書きましたが、精神のアーシングでしょうか。
大地の力、植物の力、自然物の力だと確信します。(*^^)v

さて、今週末4/6(土)からは、工房内に展示します。
工房は東南からの光が入ります。
お肌の色と合せながらのセミオーダーも可能です。
また、取り合わせたい着物や帯などありましたらその旨もお書き添えください。

洗い張りするごとに風合いを増す堅牢性と柔らかさを兼ね備えた紬を是非ご覧ください。

上の画像は会場でも崩し縞の見本資料の一つとして、自ら着ておりました。
「桜染め(&一部ワイン染)(^^ゞ此の手縞単衣」に、緑味のグレー格子帯「緑蔭」です。ピンクとグレーもよく合います。

帯留めはガラス素材の端っこを小川郁子さんのアトリエで見つけて小川さんに加工してもらいました。
「湖畔」と名付けました。湖畔を彩る桜の風情でしょうか…。

この着物は洗い張りもして真綿の毛羽が取れ、とても着やすいのです。
織と織りの取り合わせですが、襦袢はセピア色の桜模様を忍ばせてみました。


工房の遅咲きの桜も花曇りの中、灰色に咲き始めました。
今年がここでの最後のお花見になるかもしれません。

**************************************
<櫻工房(町田市)>
4/6(土)~13(土)10時~16時
[8日(月)と10日(水)を除く]

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「紬の会’24春―崩し縞を着よう!」展示&受注会 お知らせ3

2024年03月28日 | 紬の会
今週末、3/30(土)、31(日)に鶴川ポプリホール会議室で「紬の会’24春―崩し縞を着よう!」展示&受注会を開催します。

明るい会議室ですが、なるべく明るいうちにお越しください(~17時まで)。
生木で染めた草木染の色は、時間帯で見え方が随分違ってきます。
初めての方は、まずは自然光でご覧頂くのが良いと思います。

お知らせ1、2では、中間色の着尺をアップしましたが、3シーズン着られる単衣仕立てにもできるタイプのものです。

また、この画像のような濃い地の「崩し縞」と「小格子」は袷にして秋から春先まで、様々な帯合せが浮かんできませんか?

様々な機会に汚れをあまり気にせず、沢山お召し頂き八掛の裾が擦り切れてきたら洗い張りに出して下さい。
私の紬は洗い張り後は格段に滑らかな良い風合いになります。
ショールもそうですが、着物も洗ってください!!洗うほどによくなります。

以前、呉服屋さんでの私の個展に初めていらしたお客様が「紬は硬くていやだ」と私の前で仰られたのです。私は「そんなことはないです・・」と心の中で思ってましたが・・。(^_^;)
でも確かに硬くて着心地の悪いものもあり、その方の感覚は正しいのだとも思いました。

そして、初めはこわばっていた表情が、店の人にフィッティングしてもらうと、急に眼が輝き始めたことがありました。身体に纏った時の柔らかさに気付いて頂けたのか・・?
兎に角、ベージュ系の着物をお求め頂いたことは忘れられません。
風合いを大事にしたいと修業中もそのことばかり考えて織り方の工夫もしてきましたので。
そして織り方もありますが、織り密度や糸の撚糸や打ち込みや、経糸緯糸の太さと密度のバランスなど複合的なのです。
しかし柔らかければいいというものではなく、布を斜めに引いた時に出るバイヤスがヘタってしまうようではダメなのです。
バイヤスが綺麗に柔らかく立ち上がる布は着心地がよいはずです。

強い主張、表現はないけれど、自然からの恵みの布、自然体の紬。
噛めば噛むほど味が出る・・そんな紬をこの機会にご覧下さい。(^-^

今回は、ご成約の方には特典も用意しております。
初めての方もお待ちしております。

詳細はHP「お知らせ」をご覧下さい。






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「紬の会’24春―崩し縞を着よう!」展示& 受注会お知らせ2

2024年03月20日 | 紬の会
「紬の会」お知らせ2です。

紬と言っても現代では色々なタイプのものがありますが、私が手掛けてきた紬は宗廣力三先生の郡上紬の流れを汲みながら、赤城の節糸との出会いもあり、経糸に節糸も使う、より立体感のある紬です。
郡上紬は着やすいと、紬通の方から聞きました。また私自身も着やすく、疲れない紬だと確信しています。その理由はここでは伏せておきます。
緯糸は長野の、真綿手紡糸です。
帯はたて、よこ共に赤城の節糸がメインの糸になります。真綿だけとは違う光沢が生まれます。

どちらも今は手に入らない、あるいは入りにくい糸ですが、蚕から吐き出されたウェーブの形を伸ばさないゆっくりとした糸の作り方です。繰られた糸をすぐ枠から外すので、ウェーブがより強く出ます。

また真綿の糸は、私が修業に入った直後に、久米島方式で真綿から糸をつむぐことを教わり、その糸の綛揚げもしたのですが、自分でつむいだ糸のウェーブの美しさに、「わ~綺麗・・」と側に居られた宗廣先生につぶやいたことを記憶しています。
先生からは「どういう仕事をする人か大体わかりました・・」と言われました。(*^^)v

そしてその時から47年。紬織物の美しさは糸の揺らぎの中にあるとの思いは今も変わりません。


赤城の節糸の糊付け後の捌くところ。

手つむぎ糸は蚕の吐き出すウェーブと人の身体から自然に生まれるウェーブが合わさったものです。

評価されにくい「風合い」。
画像でも伝わりにくく、着た方にしかわからないものなのですが、間近で見て触れれば幾らかでも分かると思います。
立体感のある糸からしか、立体感のある深い布は生まれません。
是非ご覧頂きたく思います。

詳細はHPお知らせをご覧下さい。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
<ポプリホール鶴川会議室3F >
3/30(土)14時~17時、31(日)10時半~16時
小田急線鶴川駅下車3分 

<櫻工房>
4/6(土)~13(土)10時~16時
[8日(月)と10日(水)を除く]

※工房は要予約
お問い合わせ、ご予約はこちらのメールから
※ご予約の際にご希望日時をお知らせ下さい。
第2希望日時も添えて頂けると助かります。

鶴川からバスで12~13分、下車3分です。
お車の方は工房のカーポートをお使いいただけます。
受付の際に詳しい道順をお知らせします。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・




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「紬塾24」受講生募集のお知らせ

2024年03月11日 | お知らせ
「紬塾24」申込受付は3/16(土)から
※受け付け終了しました。

樹々の花も次々と咲き始め、春本番を迎えました。

さて、工房のことに関して流動的な事案があり、「第15期 紬きもの塾24」の開催が出来るかの判断に時間を要しておりましたが、少し見通しがついてきましたので、取り敢えず開催に向け、受講生の募集を進めていくことに致しました。
日程、詳細はHPの方に公開しました。

ただ、後半は日程の変更などが発生するかもしれませんが、その際には予備日を25年1月に設けましたので、それを使ってなるべく変更のないようにと考えています。やむを得ず変更の場合は参加者全員の都合がつく日に変更します。
今まで全7回のコースでしたが、来期染織実習コースを加えることが出来るか分かりませんので、工房の庭木を使った染色実習(帯揚げ、半衿等を染める)を今年度の方には1回加えた全8回のコースにします。
それに伴い、受講費の変更があります。HPでご確認ください。

申込受付は3/16(土)から。初回は4/21(日)です。※受け付け終了しました。
定員になり次第締め切ります。
※定員は4名(定員に達しない場合は開催を見送ることがあります)。

参加希望の方は、当ブログ「紬塾」のカテゴリーから、過去の塾の様子をよくお読みいただき、趣旨、内容をご理解の上お申し込みください。
不明な点は遠慮なくお問合せ下さい。

お申込みの際はメールにお名前、郵便番号、ご住所、電話番号を明記してください。
お申込み受付後、一両日中に空き状況や詳細をお知らせします。
一両日中の返信が無い場合は電話でご連絡ください。

また、3月末の展示会などもご覧頂き、中野の作品にも触れて頂きたく思います。
お申込み、お問合せはこちらから。

トップの仄暗い画像は23年度初回の塾の風景。
あえて蛍光灯は点けずに、自然光だけで私物の2点の桜染めの紬の色を見てもらっているところ。色と光の関係を意識して見てもらいます。

昼間でも当り前のように蛍光灯が使われている現代ですが、本当にものを観るというのは均一な光線の中だけにあるのでしょうか?

着物の知識や先入観なしに、素直にものを観察するところから紬塾は始まります。ものと向き合うことは自分と向き合うことです。
素直なピュアな気持ちで参加して下さる方をお待ちしています。

また、塾の様子の画像を上げる場合、受講生の許可を得て使っていますので、写さないで欲しい方には配慮しています。





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「紬の会’24春―崩し縞を着よう!」展示& 受注会お知らせ1

2024年03月02日 | 紬の会
                  (左)「一崩し」(右)「此の手縞」

久し振りの「紬の会」です。
シンプルな柄行きの縞や小格子、崩し縞を中心にした着物と帯の展示& 受注会を下記の通り行います。

手つむぎ糸を経糸にも緯糸にも使った風合いの良い、堅牢な真綿紬を纏ってみませんか?

「崩し縞」は上質な手つむぎ糸でこそ味わいが出るものです。
今まで定番としてたくさん織ってきました。そろそろ私も最終盤の仕事、初心に返り、改めて自分の仕事の原点を見つめたいと思います。

味わいと機能性を持った真綿紬は洗い張りするほどに毛羽も取れ、光沢を増し着やすくなります。

無地感覚の紬は街着から、ドレッシーな装いまで、帯を替えることで幅広い着こなしができます。古くて新しい、飽きることのない長く着られる紬です。そして次世代に残せる紬です。

見本布や糸からご注文も承ります。
お肌の色を見ながら使う糸をお選びします。価格などはお問合せ下さい。



受注会は草木染の糸や布見本を参考にして、崩し縞着尺のセミオーダーを承ります。草木染の糸質や色は画像では表現が難しく、今回は直接お越しいただける方のみの受け付けになります。
納期は、染めてある糸をそのまますぐ使える場合は3~6ヶ月。染重ねなどがある場合は8~18ヶ月。詳細は個別にご説明します。

遠方の方などには完成作品のお問い合わせいただければ、詳細画像をお送りいたします。HPお問合せのメールからご相談下さい。

今回の展示では無地感覚の着尺以外に、シンプルな紬の帯もご覧頂けます。
お手持ちの着物との取り合わせもご遠慮なく、お持ちください。帯は30万円~(+税)。

場所は、和光大学ポプリホール鶴川と櫻工房内で下記の通り行います。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
<ポプリホール鶴川会議室3F >
3/30(土)14時~17時、31(日)10時半~16時
小田急線鶴川駅下車3分 アクセス

<櫻工房>
4/6(土)~13(土)10時~16時
[8日(月)と10日(水)を除く]

※工房は要予約
お問い合わせ、ご予約はこちらのメールから
※ご予約の際にご希望日時をお知らせ下さい。
第2希望日時も添えて頂けると助かります。

鶴川からバスで12~13分、下車3分です。
お車の方は工房のカーポートをお使いいただけます。
受付の際に詳しい道順をお知らせします。




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第7回 紬塾「上質の半幅帯を愉しむ・仕立について」&受講生レポート

2024年01月31日 | 紬塾’21~’24
※24年度の「紬塾」開催につきましては、3月中頃に詳細をお知らせします。

14期の紬塾「基礎コース」が最終回となりました。

最後の回は、総まとめ&半巾帯結び、名古屋帯の寸法、柄付けについて確認しました。
ポイント柄の場合は太鼓中心がズレた結びや、前柄が上手く出てないなど、たまに見かけます。
基本の柄付け位置を確認しました。
帯によって、昨近はその位置も長めに取られていたりで、慣れた自分の結びだと、若干ズレることもあり、調整が必要です。

今は何でも長め、大き目の寸法になりましたが、注文できる時は帯巾や長さも自分の体型に合うものにすると良いと思います。

また、羽織丈や乳の位置、羽織紐のタイプについても話題に上りました。
最近は羽織紐の位置が下になり、上等の羽織が茶羽織のようになっているのも見かけます。私は帯揚げの少し上が粋で可愛くて好きです。
羽織紐も短い「女短」と呼ばれるものが好きです。
長羽織なら、蝶結びのもバランスは良いかもしれませんが・・お好みで。

自分の体型や好み、ものによって、様々で一概に言えないのですが、私なりの考えはお伝えしましたので、参考にして、自分の感覚も加えれば良いと思います。
ネットの情報しかない時代、身近にアドバイスをしてくれる人も少なく、テキトーなSNS情報もたくさんありますので、その真偽をよく見極めていくしかないのです。

半巾帯も普段着と決めつけないで、上質のものを一本持っておくと重宝します。慣れるまで、案外お太鼓より難しい面がありますが、慣れてしまえば、蒸し暑い季節に帯揚げ無しでもいいので楽です。
五十肩とか腕が後ろへ回らないときにも前で結べますし、良い点も沢山あります。

さて、紬塾をまだ続けて欲しいと仰ってくださる方もあるのですが、エネルギーをかなり使って開講しています。
体力的なこと、今後の最後の仕事のことなど、考える時間を少し頂きたく思います。
15期の紬塾開催の有無に関しましては、3月中旬位にお知らせします。



この日の私の装いは、桜染めすくい織の着物に、抽象柄の半巾帯です。
詳細はHP着姿集で。

受講者のかたは4月から1月まで全7回に渡って本当に熱心に通ってくださいました。関西方面から列車を乗り継ぎ、泊まり込みの方もありました。
お一人は途中体調を崩されたり、家庭の事情など、残念ながら最後までの参加は出来ませんでしたが、また機会があればご参加ください。

そして、真摯に自分と向き合ってくれた受講者のレポートを下記に載せますので、紬塾に興味のある方は参考になさってください。
少し長いですが、体験したことをそれぞれの言葉で振り返り綴ってくれました。みなさんのレポートに私も、開催して報われる思いがします。良き方達との出会いに感謝します。↓

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私にとって着物を着るとは、装うことでした。
がっちり補正に不自然なくらいに型の決まった襟の抜き。
着付け教室に通うも、いつまでたっても着物に着せられている感がある自分の着姿を見て、これはどうにかせねばならない・・・と思い悩んでいた折、紬塾とのご縁をいただきました。

先生から「着物はもっと身近に自分なりに着てよい」との教えを受けて、私には「着る」ということに積極的な姿勢が必要なのだと感じました。

まずは今の自分のことを良く知ること。自分の顔、体形を直視し、仕草や発する声の調子、雰囲気もどんなものかを見つめてみて、等身大の自分に違和感のないものを身につける。型にはまった着方が自分に合うとは限らない。
「着ものはその人自身をあらわす」とのこと。
それを知ってしまえば、着ることに責任を持たなければ・・・と少し気負いますが、でも積極的に関わる能動的な生活が1つ始まると思うと、わくわくするような喜びも感じます。

これからは着物を着る機会を増やし、自分なりの自然な着方を涵養していきたいです。

取り合わせの回では大変勉強になりました。
今まで着物地の一色から同色を、帯、帯締め、帯揚げに選んでおり、その取合せに「これなら大丈夫」とどこか安心している自分がいましたので、同色を選ばないコーディネートはとても斬新でした。講義での私の取合せ(紺地の反物+染めの青い花柄の帯)は先生からNGをいただき、内心ショックを受けながらも異なる世界を絶妙に合わせる「日本の取合せ」のご教授に感銘しました。

それこそが着物を粋に着たいと高く目標を掲げている私に大きく響きました。日本の取合せは面白いです。見渡せばほぼ西洋文化に浸かっている暮らしの中で、日本の取合せを見ることは難しくなっていますが、自分の中で意識していきたいテーマの出会いとなりました。
      
着物は、繭や真綿より引き出された細い1本の絹糸が織りなされて面になり、人の身に沿われて立体になります。できあがるまでにどれだけの人の手と想いを経るのでしょうか。絹糸になるまでには蚕の命の授受もあります。紬塾で学んだことを時間がかかるかもしれませんが理解を深めて、とことん着つくすことで、着物の作り手の方々へ敬意を表したいと思います。       

中野先生、密度の濃い貴重なご教授を有難うございました。(K)


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全7回の講座を受講し終わり、とても盛沢山で充実した時間だったと感じております。

きものというキーワードを通して、布の事、着る事、縫う事、取り合わせの事、仕立ての事等はもちろん、日本の昔ながらの物を大切にする思想や生きる事、そして現代社会で忘れがちな大切な哲学的な事に至るまで。
様々な事を知ったり、思いを馳せるきっかけをいただけた機会でもありました。
日本の美しい文化がどうか未来に残ってゆくよう願ってやみません。

実際に着物を着るという事についても沢山の事を教えていただきました。
サイズや取り合わせの事など、昨今の風潮とは異なる昔ながらの考え方を教えていただけた事は、他で知る機会がなかなかない貴重な経験だったと思います。

特に印象に残っているのは、着物と帯、小物はリンクさせるのではなく異なるものを合わせるという事。
着物と帯締めの色を合わせる、色を拾うという事は、普段当たり前のようにしている事であり、通常の洋服のコーディネートと同じように、むしろそれが良い事のように思っておりました。
新たな視点と気づきで今後の取り合わせに活かしてゆきたいと思います。

そして、運針も今までなんとなくでやっていました所、きちんとしたやり方をご指導いただき、まだまだではありますが本来のやり方が分かり勉強になりました。
手縫いの良さにも改めて気づきましたので、今後活用してゆきたいと思います。
昔の人の知恵や、解くことを前提に着物が作られている事など、とことん布を大切に使う事につながり、大量生産・大量消費が当たり前の時代に改めて考えさせられる時間となりました。

先生の長年のご経験と知見がこもった講座を受けさせていただき、とても感謝しております。本当にありがとうございました。(I)


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中野先生の展示会等に行った事も無く、参加させて頂くのには勇気がいりましたが、もっと着物というものを知りたいと思い参加させて頂きました。

絹織物は、蚕の繭から作られることは知っていましたが、蚕の口から吐き出された糸は、とても細く、ウェーブのかかった物でした。桜の木から染められた糸も色々な色があるのにも驚かされました。光の取り入れ方によっても色の見え方は変わり、着物は様々な表情を見せてくれました。
(初回に)先生の私物の紬を羽織らせて頂きましたが、纏う人によって印象が異なり、その人に寄り添うようです。

毎回季節に合わせて、先生が着物を召されるのも楽しみの一つでした。
帯合わせや、小物の取り合わせも勉強になり、着物を仕立てかえ着ておられるのも参考になりました。

着物は特別な日に着る物だと思っている所がありましたが、考えてみれば、西洋の文化が伝わる前には、日常着だったという当たり前のことに気付かされました。

生活様式が変化して着物から洋服へと変わり、色合わせも同系色の物が取り入れられ、若い人は黒を好み、スーツと言えば黒となってしまいました。
着物には洋服にない帯や帯揚げ、帯締めと形は決まっていますが、小物を上手く使い、色の組み合わせや素材を変えれば、それぞれの個性を表現できるのかと思います。

講座の中で副読本として使われた幸田文さんの「きもの」には、日々の生活の知恵、着物の役割り、親から子へと受け継がれるべき事が書かれていて、忘れてはならない物だと感じました。
着物の布は、解いてはコートや帯にも仕立てられますが、布団や袋、紐にと形を変え、無駄なく使っていくことが出来ます。
日々の暮らしの中でもっと身近に着物を着ていけたらと思います。

今回、中野先生の生き方から学ぶ事も多く、その人柄に触れることが出来たこと、一緒に学ぶ事となった方々との出会いもかけがいの無いものとなりました。多くの事を学ぶ場を頂いたことに感謝申し上げます。(Y)


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

私が紬塾に参加したのはただ着物の知識を深めたいそんな軽い気持ちでした。
それが7回の講座と一緒に学んだ友人達のおかげで想像以上にいろいろな事が学べ感謝しております。
それぞれの講座について振り返り印象に残ったことを述べさせていただきます。

第一回
中野先生の作品に触れ実際に羽織らせていただきました。ふわっと軽くて着心地が良く自然の色の優しさや肌馴染みの良さに感激。

第二回
繭から糸を引きだしたり真綿から糸をつむぐ体験をさせていただき、改めて糸作りの大変さや奥深さを知りました。また草木の染色や織についても教えていただき、実際目で見る貴重な体験をさせていただきました。

第三回
古い着物や譲り受けた着物の活かし方、更生の知恵など教えていただきました。
私の周りには着物を着る身内があまりおらず、唯一人ずっと着物で過ごしていた祖母は体が小さくサイズが全く違ったので、亡くなった時にサイズが合わないからとすべて体の小さな叔母達に譲り、この知識を知っていれば祖母の形見として大切に身近で使えたことを知りました。このことは私にとって益でしたし、サスティナブルである着物がどれだけ幅広く使えるかということを、他の方々にもお伝えしたいと思いました。

第四回
前回初めて和裁の運針を教えていただき伊達締めを縫いました。不器用で、先生が熱心に教えてくださる指導にお応えできるような技術は身につきませんでしたが、和裁の知識をわずかながらも知ることができました。

第五回
日本の取り合わせについて学びました。洋服のコーディネートとはまた違った、糸作りや染織もなさる中野先生ならではの美学を教えていただき、なるほどと思いました。この講座を受けてから私の着物の取り合わせがより自然な感じに変わったように感じています。

第六回
自然で楽な着方について学びました。美しく着るだけでなく、着ていて楽で早く着れるというのは、より着物を着るハードルを下げてくれました。

第七回
より気軽に身につけることができる半幅帯についてや、最後に先生が着物についてぜひ知っておいて欲しいと思うことを話してくださいました。
半幅帯はあまり身につける機会がなく使用することに消極的でしたが、素敵な結び方を教えていただき活用してみたくなりました。

そしてこの講座を通して先生がぜひ読んで感想をと言われた幸田文さんの「 きもの 」と言う本が、着物が日常着だった頃の代々伝えていきたいような大切なことがたくさん散りばめられており、何度も読み返しました。

このように着物について、たくさんの気付きや学びをいただき、講座に参加して本当によかったと思っています。
また、先生や一緒に学んだ方々とも素敵なご縁ができ嬉しく思います。
学んだことを生かせるよう精進していきたいと思います。
ありがとうございました。(S)





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半巾帯連作「ちいさい秋みつけた I、II、III」(続々)

2024年01月27日 | 紬の上質半幅帯
前の記事の続き・・
そして、[I]の方は着物(御召し地に”源氏香の図”刺繍入りと、濃いピンクの色絣の入った大島)をお預けくださったのですが、許可を頂き、その着物の上にものせて撮影してみました。

ご自分で選ばれたという「御召地に刺繍”源氏香の図”」。

緑系の面の方は寒色でキリっとしますし・・


オレンジピンクの縞も柔らかさが出て両面使えそうです。気に入っていただけるとよいのですが・・。
上質で、手刺繍も控えめな色で構成された素敵なお着物でしたので、格を落とさないよう力が入りました。

こちらは、お母様から譲り受けた「濃いピンクの色絣の入った色大島」。

細かな凝った絣と縞帯はよく合います。お互いを引き立てあえるのです。
モダンになります。


こちらの面も着物の濃いピンクと被らないように黄色味のサーモンピンクの縞にしましたので、合い過ぎにならず、両面使えます。
あと一色は着用される方が、季節や場面に合せて帯締めや帯揚げを加えて完成させます。

半巾帯の自由さは普段着や浴衣と決めないで上質の着物にも使いたいです。
ただ、上質な力のある着物に、いわゆるファブリック類のものでは力不足で、糸に力のあるものであることは必須だと思います。
長さも1丈足らずでも十分存在感を示せると思います。



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半巾帯連作「ちいさい秋みつけた I、II、III」(続)

2024年01月18日 | 紬の上質半幅帯
連作の半巾帯が仕立て上がりました。
仕立て上がるとギュッと中身が見えてきます。

リバーシブルになっていますので、季節や着物や気分で使い分けられます。
旅先に一本持っていけば、使う面で印象を変えることもできます。
結びによっては帯揚げを使ったりするのも、この手つむぎ糸の力強さ、上質さには良いと思います。


[I]

制作中にはテーブルに、使えそうな沢山の色糸を出していろいろ試し織りしてみるのですが、合わせる着物や主題の経糸の事などを考えると、結局引き算していくことになるのです。
壁に掛けるタペストリーを織っているわけではないので…。


[III]

上の[I]と[III]は遠目に縞に見えますが、地色と少し違う色の変化組織の織を加えることで厚みや重みが出ます。
お二人とも合わせる着物が濃厚なものや、シンプルだけれど深みのあるものでしたので、帯はそれらと調和しながらも、ただ馴染むだけでなく、引き立てあえるようにしました。

それでも地糸や、地に近いオフホワイト系を選ぶのには随分いろいろ試みてみました。
黄色系とピンク系の白茶を使ってます。



[II]の方は少し色糸も使いましたが、この帯に合う着物をこれから考えるそうです。
色と言っても強い格子ではないので、多分お手持ちの着物とも合うと思います。
お顔の色はオークル系で、髪も少し茶系に染めてらっしゃるので、秋の中間色が良くお似合いの方です。そのことを頭に入れて、緯糸の色を選びました。

[III]の方は、私の紬と合わせてくださいますが、またいつか着姿を撮影させてもらえたらと思っています。

そして、[I]の方は着物(御召し地に”源氏香の図”刺繍入りと、濃いピンクの色絣の入った大島)をお預けくださったのですが、許可を頂き、その上にものせて撮影してみましたが、その報告は次回に・・。

肌や髪の色、その方の印象、合わせる着物に合うよう制作することは、普通の制作よりも難しいけれど、今回もまた自分を鍛える機会となりました。
幸せな時間でした。

勇気をもって、遠方よりご参加下さった方々に敬意を表し、心よりお礼を申し上げます。




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