中野みどりの紬きもの塾

染織家中野みどりの「紬きもの塾」。その記録を中心に紬織り、着物、工芸、自然を綴ります。

芭蕉布・平敏子展と篠田桃紅展

2022年07月18日 | 工芸・アート


今月初旬の暑い日に、二つの展覧会へ行ってきました。(;^_^A 

まずは、[芭蕉布-人間国宝・平良敏子と喜如嘉の手仕事] 大倉集古館(~7月31日)へ。
今までも芭蕉布は古いもの、現代のもの、たくさん見てきましたが、特に平さんを中心とした仕事を見せてもらいました。

学生の頃に出会った柳宗悦の、「今時こんな美しい布はめったにないのです。いつ見てもこの布ばかりは本物です」のこの一文は忘れませんし、私も民芸館での初めての出会いの時にそう思いました。

糸を作るだけで大変な時間を要し、植物での染め、絣の括り、製織・・もう果てしなく労力をかけられたものですが、自然に随い導かれて生まれる美の世界です。
樹皮の外から中心の性質の違いを活かし、使い分け、人の手わざと組み合わせた持続可能な仕事。まさにSDGsです。

第二次世界大戦後に消滅しかけた伝統技法を復興させ、現代へ繋いだ平良さんも今年100歳になられたそうです。力がなくなって他の仕事は出来なくなったが、糸を績むことは今も続け、楽しいとおっしゃられています。
地下でビデオも観ることができます。気を浴びてくるだけで癒されます。
織り継がれていくことを願います。
私も芭蕉布の帯を一本もっていますが、この夏、気合を入れて!締めたいと思っています。( ^へ^)ノ




二つ目はすぐ近くで開催されている[篠田桃紅 夢の浮橋] 菊池寛実記念 智美術館  (〜8月28日)へ。
美術家・篠田桃紅(1913-2021)さんは以前のブログでも触れていますが、回顧展として纏まった形での展覧会を観るのは、先月の東京オペラシティーが初めてでした。この展覧会と内容は違いましたので両方観ることができ良かったです。





書の作品に特に引かれました。
部屋の中にも、小品のリトグラフの一つでも欲しかったなぁと改めて思いました。桃紅さんの描かれた着物と帯も展示されていました。

奇しくも仕事のジャンルは違いますが、強い意思をもって創作で生きてこられた100歳を超える女性お二人から、地に足を付け生きる事、仕事することに精進し続ける大切さをいただきました。

芭蕉布展は着物の女性が多かったです。






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帯のアトリエ「花邑」銀座店で展示のお知らせ

2022年05月26日 | お知らせ
最新情報はInstagramをご覧ください。
花邑銀座店での展示は7/12まで。

青葉の美しい季節となりました。
工房の片隅に生きる山紫陽花も咲き始めました。

さて、先日60歳前後のお客様から、紫ががった茶の崩し縞の紬(単衣仕立て/中野作)を5月に着るにはどんな取り合わせが良いか、工房にて相談を受けました。



お手持ちの帯や小物も数点お持ちいただき取り合わせをしてみました。

どの帯ともよく合っていましたが、新緑の5月となると爽やかさを取り合わせたいですので、その中のベージュ系の帯と藍の型染め帯を選びました。


いろいろ帯揚げや帯締めを合わせたのですが、お手持ちの帯揚げは色の合うものは袷向けの縮緬でしたので、染めたばかりの絽縮緬の柿染めの淡いクールグレーを添えてみました。着物との繋がりもとてもきれいで、帯と同調し過ぎず、涼し気になりました。

あとは帯締めは青磁色やレモンイエローのような爽やかな寒色系、着物と被らない色が良いのではないかとアドヴァイスさせてもらいました。

一枚の紬を3シーズン着るためには、帯や小物を変え、季節と馴染ませることが大事ですが、それは着物の醍醐味でもあります。

さて、銀座の花邑さんで、明日27日から6月下旬位まで、帯と帯揚げを展示販売します。


帯は単衣、盛夏に使えるもの、帯揚げは絽縮緬はじめ単衣にも使える縮緬以外の生地をセレクトしました。上の画像の少し濃いめのものは白地や薄地の着物のアクセントになります。また涼し気にするオフホワイト系も染材、部位、染め回数を違えて、微妙な色を染めました。画像で判断できるものではないので店頭でご確認ください。

また、先に述べた3シーズン対応できる紬着尺を数点花邑さんにお預けしてます(6/6以降でしたが6/10以降になります)。
展示はしませんので興味のある方は花邑さんへお声がけください。全て手紬糸、座繰り糸、草木染のものです。着心地は保証いたします!(^^)/

真綿紬なら何でもいいではなく、3シーズン着られる単衣に相応しいタイプというものがあります。
甘撚りの真綿紬糸は保温性と通気性両方の良さを兼ねているのです。

拙著「『樹の滴』ー染め織り着るー」にも単衣の装いについて触れてますのでお読みいただければと思います。
裾さばきが悪いと気にされる方も多いですが、仕立ての注意点もあります。裏地がない分滑りが悪いので、身幅の調整も必要です。工房でも仕立てのご相談も承ります。

またお手持ちの着物や帯ご持参でも構いませんので帯揚げも取り合わせてご覧下さい。実際に合せて見るのが一番ですので。
花邑さんの帯とも合わせてご覧ください。

花邑さんでは6月4日から夏の帯展も始まります。是非お出かけください。
作品集も花邑さんで扱ってもらってます。手に取ってご覧ください。


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DVD[華 いのち 中川幸夫]鑑賞会のご案内

2022年04月30日 | お知らせ
                  「センリョウハコ」1974(器・鈴木治)

前回のブログでご紹介したいけばな作家・中川幸夫さんの没後10年にあたり、
この節目の年に改めまして中川さんの仕事を振り返りながら私達が今の時代にどう受け止め、学んでいけるかなど考えたく、下記の通り会を催したいと思います。是非ご参加いただきたくご案内申し上げます。

TV等でも取り上げられる機会は晩年まであまりありませんでしたのでよくご存じない方もいらっしゃるかもしれませんが、70分程のDVD上映をいたしますのでどんな仕事だったのか、この機会にご覧頂くだけでも良いかと思います。

お申し込みはHPお問合せのメールからお願いします。
コロナ感染予防対策として換気のためドアを開けて行います。
みなさまには手指消毒、マスクなどご協力ください。
ご参加お待ちしております。

           < 記 >

再び花となり現れる
DVD[華 いのち 中川幸夫]鑑賞会


日時:5月28日(土)午後1時30分-4時30分(受付は1時15分より)
会場:鶴川ポプリホール 会議室3F (小田急線鶴川駅下車北口徒歩3分)
会費:2000円(菓子付)当日受付でお支払いください

プログラム: 
1. DVD鑑賞 約70分(速度少し早めて)[ダイジェスト版はこちらで]
2.基調報告「中川幸夫が語ったいけばな・花器・アート」
     報告者:笹山 央  (工芸評論家)   約30分
    (休憩10分)
3.フリートーク(感想、コメントなど) 約1時間
                            以上


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「中川幸夫没後10年回顧展」のお知らせ

2022年04月13日 | 工芸・アート
以前のブログにも書きましたが、2012年3月に93歳で亡くなられた前衛生け花の中川幸夫さんの没後10年回顧展が神奈川県藤沢市で開催されています。先日展覧会を拝見してきました。
会場は中川さんの従姉の方が住んでいらした古民家で、そのご子息でイメージ・テン代表の谷光章さんが企画されました。

展示作品は生け花写真、ガラス造形作品、書、中川さんが遺した言葉など。

中川さんを知らない若い世代、一般の方々にも見てもらいたい展覧会です。
風変わりな花を活けたのではなく、前衛というスタイルに嵌って活けたのでもなく、毎回花や器や環境と向き合い花の声、自分の内なるものを突き詰めていったのだと思います。ものの本質と真摯に向き合われたピュアな方です。

子供のころから親しんだ香川の自然、境遇、ジャンルを超えた芸術家との出会い、池坊脱退など、そして東京での様々な人や工芸、美術との出会い。全てが花に通じていたのでしょう。流派の型を破るためには型を知らなければならないとそのことも抑えた上での前衛だったのです。

中川さんの葦を使った生け花の実作を見た時は一週間位身体中の血がぐるぐる駆け巡ったことを覚えています。花は根、根は花と突きつけられたのです。根本を見詰めなければ花など咲かせられるはずもありません。
染織の仕事も表層を追っかけていては何もつかめない。いえ、どんな仕事もそうだと思います。


チューリップの花弁が腐り黴が生えるまでを見届けた作品の写真。
(左)死の島 (右)魔の山


従姉の蝋纈染に触発されて制作した中川さんの作品。
こんなこともこなされたのですね。


中川語録が垂れ幕でいくつも展示されてます。




写真は会場で撮らせて頂いたものですが、14分にまとめたチューリップの「天空散華」の映像も見せてもらうことも出来ます。

この節目の年に中川さんと親交のあった、かたちの笹山さんが中川幸夫さんについて語り、映像「華いのち 中川幸夫 」(90分)を見ながら、今私達が中川幸夫さんから学ぶべきことを話す会を企画しています。映像にはパートナーの半田唄子さんの花の作品も出てきます。この方も凄いです。中川さんもかなり影響を受けているし、互いが欠かせない存在だったと思います。笹山さんからでなければ聴けない話もありますし、詳細はこれからですが、ぜひ多くの方にご参加いただきたいと思います。

日時は5月28日(土)13:30~
鶴川ポプリホール 会議室
関心のある方はHPからご連絡ください。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
【中川幸夫没後10年回顧展ー消えない衝撃と記憶】

・会期 ~4月30日(土)
・開場時間 10:00 —17:00(入場は16:30まで。月・火、休み)
下記のイベント、講演日(4/16)は展覧会のみの観覧の受付はありません。
・大人 1,000円  学生/20歳未満 500円 (税込)

[特別イベント]

[特別講演]
4月16日(土) 実川暢宏(元銀座自由が丘画廊店主)
「画廊店主と作家・中川幸夫」

講演は各2回(どちらかをお選びください)。
13:00~14:00  15:00~16:00  各回定員20名
2,000円(税込)★展覧会観覧料含む。
・会場 SHONAN 喃(nan)の風 神奈川県藤沢市鵠沼橘1-9-10(江ノ電 石上駅下車3分)
・ご予約・お問い合わせ:イメージ・テン(谷光)まで 
fwie3377@nifty.com  携帯 090-3802-2760







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鶯と花の絵が届きました!

2022年03月29日 | 工芸・アート
絵本作家のおまたたかこさんにお願いしていた鳥と花の絵が届きました!
早速工房の壁に掛けて朝の光で写真を撮りました。
絵自体は名刺サイズ程の小さいものですが、大きく感じます。とても生き生きした絵です。額もとても気に入りました!

リクエストとしては「鳥と花で」ということだけだったのですが、春告げ鳥の鶯とミモザ、草木瓜を描きこんでくださいました。
おまたさんは絵を色鉛筆だけで描かれますが、この絵には光のような輪が金泥で描かれています。羽毛のフワフワした感じ、嘴も本当に一生懸命囀っているようです。目が特にいいです!!
おまたさんの色鉛筆は何十色もあるでしょうが、更に重ねることで複雑さを表現していると思います。自然界の色も複雑さを秘めていますので。


可愛らしいラッピングで箱を開けるところから楽しませてもらいました。
繊細なリボンとシールも。


お手紙も添えてくださいました。

私は野鳥が好きでいつも庭に来る鳥を眺めていますのでお願いしたのですが、ロシアのウクライナ侵略にこころ塞がる思いでいる中、ウクライナには春分の日にだけ焼く小鳥のパンがあるということを知り、どこの国も春を待つ思いや平和への祈りがあるのだと思い、そのことも含め鳥をお願いしました。

また、庭に草木瓜の小さな一株がありますし、ミモザは花屋で買うこともあります。3/8のミモザデ―(女性の日)は大事な日と思っています。一昨年は、ミモザサラダをblogに掲載しました。

ジェンダーギャップ指数は2021年は156か国中、120位の日本です。政治分野においては146位です。女性の政治家が少ないわけですが、育てる環境さえ整っていません。選択的夫婦別姓を頑なに認めない(世界で日本だけ)自民極右勢力(教育勅語を復活させたい人達)を変えなければ前には進めないと思います。政府はSDGsを掲げながらポーズだけとしか思えません。


そしてメールには「鶯はどうしても囀っている姿を描きたかったのです。(なかなか難しかったです)先生の生き方と言ったらいいでしょうか、声を高らかにご自分の正しいと思う道を進んでいくお姿が鶯と重なりました。今ウクライナで、女性も武器を持って戦っている姿を見たことも絵に影響しました」
というメッセージも頂きました。
そんなに声高らかではなく、小さくです、、(^-^;

そういえば鳥のマークのツイッターで「つぶやく」という人多いですが、本来tweetは「囀り」です。独り言ではなく、囀り広めることです。鳥は縄張りや仲間に危険を知らせたり、パートナーを探す為に囀ります。生きるために囀るのです。



おまたさんには紬塾にも熱心に参加いただきましたが、私の草木染めの半巾帯(上の画像)もご愛用頂いています。平織と綾織、斜子織でランダムな段です。


半巾にも帯揚も合わせ更に色を添える着こなしもされていますが、帯揚があると結びの崩れも防げ安心とも仰っていました。確かに、、。
紬塾の時に工房の玄関先で撮らせて頂いた、この前柄の写真の帯揚は私のではありませんが、深い青系の私が染めた帯揚も使ってくださってます。男前な帯にクールな帯揚を選ばれる所は色の世界に生きている方で、さすが!と思いました。

さて、以前にもブログでご紹介したおまたたかこさんの『くまのしゅげいやさん』の絵本原画展が~5/10まで神奈川県横須賀市津久井浜駅前のうみべのギャラリー(2階)で開催されています。

この絵本はただ優しい色使いの子供向けの可愛らしいもの、という範疇のものではありません。そこには自然と共に仲良く暮らす動物たち、生活を大事にし、額に汗して仕事すること、ものを大事に慈しみ使うこと、自然を大切に平和に暮らす大事なメッセージが込められているのではないでしょうか?

詳細はおまたさんのInstagramから。
宜しければお出かけ下さい。

絵本はネットでも購入できます。
気持ちの優しくなる素敵な絵本です!!









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今年度の紬きもの塾に関して

2022年02月28日 | 紬きもの塾’17~’21
陽光の明るい季節となりました。
庭に来る鳥たちも活発に行き交っています。

お待たせしております紬塾基礎コースの開催に関しまして、22年度の開催は見送りということに致します。
お待ち下さっている方には申し訳ありません。
染織実習コースは5月に判断いたします。

自分の制作と並行して、染織の実技指導を11年近く、その後紬きもの塾を13年間休むことなく開催してきましたが、一人での制作や、今まで時間が取れずにいた様々な学びの時間をもちたいと思います。
自宅兼工房の狭い環境で、自分の時間や居場所を削るようなこともして走り続けてきました。
忙しすぎて、本を読む時間もほとんど取れず、積読ばかり。。少し自分の時間を取り戻したく思います。

また、コロナもオミクロン株の亜種も懸念されますし、日本での収束にはまだ時間がかかりそうです。

そして、世界は混沌とし、ついに戦争も始まってしまいました。対話での一日も早い終結を願います。
文化・芸術は平和が危うくなれば続けられません。着物を着るどころではなくなってくるかもしれません。

自由と民主主義は自分たち国民が育て守るもので、黙って上から降りてくるのを待つものではないです。
こういうことも含め、学び、考え、声を上げるべき点は上げていかなければと思っています。

染織を長く続けてきて伝えたいことは沢山ありますし、今の時代に大事なことが手仕事や着物の文化の中に沢山あるように思います。その思いを継続させるためにも私自身を充実させる大事な一年にしたいと思います。

トップの画像の半巾帯は連歌シリーズ作品Ⅴ「歳寒の三友」です。プロジェクト十本中の一本は自分用にしました。

寒さの中でも色褪せることのない松や竹の緑、寒さの中に咲く梅の花の強さを表す中国の言葉です。
できることならあやかりたいものだとの思いで制作しました。
残糸を色々織り混ぜましたので、結びで雰囲気が変わると思います。結びによっては絣が見えないようにも設計してあります。詳細はHP着姿にUpしました。

工房では感染予防の対策をして、随時作品はご覧頂けます。
ご来房の際は不織布マスクを着用ください。

また個人対象のミニ紬塾はいたしますので、織の着物を着るにあたっての全般のご相談ごとは受付いたします。ご希望がありましたらご連絡いただければと思います。


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篠田桃紅著『これでおしまい』ー着物は体を包むもの

2022年01月05日 | こぼれ話(着物)
新春のお慶びを申し上げます。
本年も宜しくお願いいたします。

年末の慌ただしさから一転、お正月はゆっくり朝酒、手作りお節で過ごしました。
初詣も済ませました(クリスマスに初詣忙しい(^_^;))。
神社の境内の梅林もまだまだ硬い蕾でしたが、八重咲の紅梅が少しほころび始めてました(上にかざして撮ったので手振れしてますが、、)。
今日は小寒。まだ寒さはこれからが本番ですが、青空に春の光を感じます。
このひと月は本を読んだり、展覧会を見に行ったり、自分の外にある世界に触れ、充電をしてこれからの仕事に生かしたいと思います。

去年の3月1日に107歳で他界された美術家の篠田桃紅さんの著書で、亡くなられた直後に発刊された『これでおしまい』を去年読みましたが、メモ書きがそのままでしたので、改めて読み返しました。

ずっと以前、個展を拝見したことはありますが、墨を使った抽象の作品を手掛けられた方です。そして着物で生涯通された方でもあります。

私は若いころに週末アルバイトしていた青山の伝統工芸品センターに篠田さんが、和紙と筆を買いにいらした時に接客をしたことがあります。
30年近く前のことでしょうか。篠田さんも80歳近かったと思いますが、とても素敵なお姿でした。
着物から作られたと思うシックな織物の長コートの裾から縮緬地の着物が覗いていました。
共に上質なものであることはすぐにわかりました。
女がまだ職業を持つことが難しかった時代に、桃紅さんの生き方への一番の理解者でもあったお母さまの物だったかもしれません。見惚れてしまいました。センスが素晴らしかったです。

もちろん私はスタッフとして、会計をし、包装をしてお渡ししただけのことですが、佇まいをはっきり記憶しています。その後もテレビや新聞で着物姿を拝見するたびになんてカッコいいのだろうと思ってきました。

本には着物について触れている箇所があります。
「着物と洋服、人の体を包むということでは同じ。非常に違うのは着物は包むのよ。洋服は入れるのよ。かたちの決まったものの中に人間が入っていくのよ。それは大変な違い。物と人との間柄の違いね。着物は人間に対して非常に謙虚。洋服は人間を規制している。私の中に入りなさい。私はこれ以上大きくも小さくもなりません。着物はどんなに太っても痩せても、同じ一枚で済むじゃない。私は人間が主人である着物の方が好きなの。洋服は従わなければならない。それがイヤなの。イヤというより情けないのね。」
何事からも拘束を嫌った篠田さんらしい見解です。

着物を拘束されている窮屈なものとして見る方も多いと思います。活動的ではない不自由なものとして。篠田さんにはそうではなく、むしろ自由なものなのだと。

私は着物は自由なものであるとも思いますが、人によっては洋服のような着方や扱いをすれば着物も不自由なものになると思っています。

以前のブログで「体格の大きい人も小さな人も縫い方次第で受け入れてくれる和裁の知恵はすごいリベラルなことです」と書きましたが、一枚の決められた小幅の布を繋ぎ、合理性を以て仕立てられている着物――。
このことを意識して着ている人と、単なる着る物として、洋服と同じような意識しかなければ、着物と言えども不自由なものだと思います。

例えば衣紋を抜いた着物の襟のカーブを丸くしないといけないと思い込んで、衿芯をプラスチックの差し込み式を使っていたり、洋服のように腕の長さに合わせ裄を長くしたり、皺を残さない着付けとか風情、侘びというものが無い。
直線を生かしつつ丸い体を包む。それこそが粋というものでしょう。

着物だけでなく、もう一度暮らし方含め、原点に思いを馳せものごとを見つめ直したいと思います。




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個展の感想ー堅牢の美とは精神のアーシンーグ

2021年12月28日 | 工芸・アート
今年も残り少なくなりました。
個展後も工房へお越しくださる方もあり、ありがとうございました。
私も本日このブログを書き上げて、仕事納めです。
たくさんの方の支えがあったおかげでコロナ禍にあっても仕事を続け、個展も終えることが出来ました。
お世話になりました皆様にこころよりお礼を申し上げます。

今年前半は半巾帯連作プロジェクトに明け暮れ、6月以降は45周年展の最後の作品作りに追われ、力を振り絞って心身ともにやり切った思いでいます。
来月ひと月は頭を無の状態にして45年の紬の仕事から少し離れて脳も肉体もほぐしたいと思います。

個展の会場で作品の感想、コメントを下さる方もたくさんいらっしゃり大変嬉しく思いました。
また言葉はなくとも明るい表情でうっとりご覧下さる方、真剣なまなざしでご覧下さる方、お金があれば買いたい!と率直に言ってくださる方、初めて見てこんな世界があるのかと驚かれる方、通りがかりに作品に魅かれて入ってきてくださる方など様々です。プロの作り手として嬉しいひと時です!

一言、今後のために苦言を呈させてください。
挨拶もなく入ってきて見るだけ見て黙って帰る方がたまにいますが、こういう振る舞いは個展会場では礼を欠きます。見る価値がないと思ったらサッと出ていくのは構いませんが、展覧会は作家のいのちを懸けた発表の場、あるいはギャラリーの生存をかけた展示・販売の場です。
織物の世界はアマチュア、セミプロの方が多く、マナーが悪く盗み見が野放しです。見たいなら礼は身に付けておきましょう。それさえわからないなら大したものは作れません。毎回必ず2~3組います。

私がいれば私と、いなければギャラリースタッフに一言素直な自分の言葉で感想を言いましょう。
織り物勉強中の方でも、一般のただ見てみたいという方もいらしてくださって構いません。実際今回そういう方にもこちらからも何人か案内も差し上げました。その方たちと作品について会場で話ができ楽しかったです。ジャンルの違う美術家の方もいらしてくださり刺激を受け合いました。

私は織り物以外でギャラリーで作品を見せてもらうことがよくありますが、作品について作家やギャラリーの方と話をしてきます。作者の思い、意図も伺いつつ自分の受け止めも話します。
手の届く気に入った作品があれば購入することもあります。見るとは作品を自分に引き寄せたり、作品の中へ入っていったり、やり取りをすることです。それが楽しみだし、このことが見る人も創る人も育つのです。文化を向上させます。

さてそんな中、私が不在の時にお越しくださった方が感想をスタッフに伝えてくれていたのですが、改めてメールで送ってくださいました。
とても的確に素直に見てくださり、書いてくださり、普遍性をもつものは共有するのが良いと思いますので、ご本人の許可も頂き公開します。

「アーシングというプラクティス」という言葉が文中にありますが、今までの個展や呉服店でのお客様の反応などで、似たようなことを見たり聞いたりしました。
呉服屋さんからは「中野さんの紬は体調の悪い時に着たくなる」というお客様が多いとか、病にある方が、医者から美しいものを見なさいと言われたと、個展をしていた時にいらして作品の前に長いこと佇みご覧になり、桜染めの花織の振袖(60歳近くの方)を買っていかれたこともあります。
また、首を傷めてギプスをはめている方が個展にいらして、本当に重病人のような表情でいらしたのに、帰りがけには別人のように明るくなって袱紗を一枚買って帰られたこともあります。
逆に作品の前で涙を流される方も今まで何人かお見かけしました。何かがほぐされていく涙のようにお見受けしました。
私にはもちろん他人様の病を直す力などありませんが、多分、大地から生まれてくる自然発生的なものからくる力なのではないかと思います。

翻訳家で出版社を経営する鄭基成さんです。

鄭さんは
「優れたアートには、人々の間にスピリチュアルな交流を促す力があり、それこそがその作品の真の価値ですね。現在の世界で最も必要とされる価値です」とも仰られていました。
作品を通してみなさんと交流できるよう真摯に自然や制作に向き合いたいですし、みなさんと交流できたらと願っています。

ではじっくりお読みください。そしてよいお年をお迎えください。

*************
中野みどりさんの作品に接して

ギャラリーに一歩入り、中野さんの作品群が視界に入った時、周りの空気が一瞬にして変化したのを覚えている。清浄、落ち着き、安堵、自然、工夫、てらいのない確実な技術。いろいろな言葉が頭を過ぎる。
作品を間近に観て、そっと触ってみることで、一つの想念から二つ目へ、そしてシャボン玉が増えていくように止めどなく思考やイメージが広がっていく。   
なぜそうなるのか。作品を前にして、他にすることもないということかもしれない。
それだけではないだろう。思い出や、謎解き、普段あまり考えることのない想念やイメージ。
それらはどれも実は、自分が生きることにおいてかなり大切なこと、深いところに仕舞い込んでいるテーマや命題だということに気がつく。
自分の体と精神が、中野さんの作品との出会いによって、それらが意識の表面に引っ張り出されてきたということかもしれない。
「バイアスのバランス」、「堅牢な美」という笹山央さん(註)の言葉に共感するものがある。

ところで、健康管理のためのアーシングというプラクティスがある。
不調なときや、時差ぼけのときに、土の上を裸足で30分ほど歩くだけのことだが、そうすることで、体調が戻り、時差ぼけも早期に治るそうだ。
素足を通じて、地球のプラス電極と体のマイナス電極がバランス良く中和され、地球のエネルギーを体内に取り込むことができた結果だという。
中野さんの作品に触れて、生きることの本質に関わる想念が呼び起こされたのは、体と精神にバランスとエネルギーが取り戻され、本来あるべき体制になったからだと、ほぼ確信している。
「堅牢な美」という概念を僕はそのように理解した。
中野さんの作品は、だから、まさに、精神のアーシングのための地球なのだ。これ以上に堅牢な美が、他にあるだろうか。    
                             鄭基成               


(註)笹山央―工芸評論家で今回の私の展覧会企画者


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第13期「紬きもの塾」受講生の紬塾レポート

2021年12月20日 | 紬きもの塾’17~’21
                          ドウダンツツジの冬芽

工房の満天星躑躅も葉をすっかり落とし、マッチの軸のような枝先の冬芽に赤く灯をともしています。

今年度の紬塾が終了し、みなさんから6回の内容を振り返ったレポートを提出して頂きました。
今期のみなさんもしっかり内容を受け止めてくださったようで、主宰として嬉しく思います。
少人数で個人レッスンに近いので、私も一人一人と向き合うことになりますが、とても熱心に真摯な向き合い方をしてくださいました。

着物をたくさん着ている人ほどショックは大きいようなこともあるかもしれませんが、みなさん目からウロコを落としてくださったようです。(@_@。
変えられない方もたま~にいらっしゃいますが、着物の世界の奥は深く、着飾るだけではないことを学んでいただければと思い厳しいことも申し上げたりしています。

着飾るということがどういうことなのかもわからず、ただ高級だからとか、有名ブランド、有名作家のだからとかで着ることではないのです。
仮装行列の1回だけの衣装ではなく、一生かけて付き合うのが紬織の着物というものです。
それを引き受けるだけの力を付けていかなければ本当に着ることはできないです。

自分の目で確信を持てるか、実際に着てどうなのか、それは簡単ではなく自問自答しながら一生をかけて身に付けるものでしょう。それなりに経費もかかります。

運針もハードルは高いようですが、それなりにできるようになっていますし、何より楽しくなったと言ってくださってます。この指導は毎回本当に大変なんです~(;'∀')
畳の部屋なので私がそれぞれの方の元へ膝をつきながら移動し、何度も何度も手本を示したり、進捗を見てあげたりで、翌日は腰のサイド、中殿筋が痛くて動けなくなります。このやり方はもう変えなければ、と思うのです、、。

では以下に4名のかたのレポートを掲載します。
少し長いですが、みなさんの素直な感想ですのでお読みいただけたらと思います。
紬塾は来年の開催は未定ですが、検討中の方はよくお読みください。

**************
程よい緊張感のある、刺激的な紬塾の日々が終わってしまうことを寂しく感じておりますが、これからは先生や同期の皆さまから得たヒントを、実践・実感することに取り組んでいきたいと思います。

着物(紬、木綿)や素材としての布が大好きです。
大好きな布を纏える着物(紬)が好きです。
着物(紬)を着なくても困らない時代に着物(紬)を着る意味はなんだろうか、なぜ着物(紬)が好きなんだろうか。
そんな疑問のヒントが紬塾にあるような気がしたのと、単純に中野先生の布をたくさん見たり触ったりすることができるのではないか、という下心が受講志望理由でした。

繭から糸を取らせてもらいました。ウェーブのあるゆらゆらとした糸で、
繊細なのに意外としっかりしていることに驚きました。

自然光のもと、先生の着物を2枚羽織らせてくださいました。
着物を見せていただいたときにすぐに脳内で「ピンク系」「オレンジ系」と分類しておりましたが、羽織ってみると、自分含めほかの参加者の皆さまも、二枚ともそれぞれに似合っており、草木染めの色の奥深さを感じました。

紐や下着、着物のお手入れ、アイロン、着物の引き受け方など実践的かつ自然な方法をたくさんご教授いただきました。



特に運針は、中学校の家庭科の授業以来で、私は裁縫が大の苦手です。
初夏の紬塾で糸を付けず針の動かし方の基本を教えていただきました。
次回の秋の紬塾まで期間がありましたので、夏の間は、赤い残り糸を付けて、
着物の紐に運針をして練習しました。急に上手くなるわけはなく、方向も縫い目もガタガタですが、運針ができれば、自分が思いついたときに、紐や伊達締めを作ったり、敷物に作り変えたりと、とことん着尽くすための工夫ができるという教えは、目の前の世界が広がる思いでした。
今は運針は練習で終わってしまっていますので、これから紐1本、作ってみようと思います。 
出来上がった紐に刺繍でもしようかしら、と苦手ながらワクワクしております。
註:上の画像はご本人から送られたもの

春夏秋冬を通じての紬塾、先生の取り合わせが自然で無理がなく、場とその季節の空気に馴染んでいたことが印象的でした。
『着ることは生きること、その人そのもの』という先生の言葉を先生の取り合わせを通じて感じることができました。

日常生活にある着物(紬)の景色がこれからも日本にあってほしい、と願ってやみません。
いかに素晴らしい着物(紬)であっても、美術館の中で保管されていては、着物(紬)の生き生きとした姿ではないように思います。

紬塾での学びは、きっと、私のこれからの着物(紬)との付き合い方の土台となります。
本物・より良きものを見分けること、実際に手と頭を動かす(使う)こと、
感覚や季節・美しさを感じる力を研ぎ澄ますために精進することを大切に、
1日でも長く、着物(紬)と付き合っていきたいです。
先生、ありがとうございました。(K.M.)

***********
6回にわたり、『紬とは?』から始まる『生き方』の勉強をさせて頂いた。
 
毎回のテーマが興味深くかつ「何となくわかっているつもり」の部分もあると思いきや、実は全然わかっていなかったという事実と、それをわからずに着物に接するのは恥ずかしいという気持ちが認識でき、
草木染や紬、着物に対する愛着が深まったと感じる。

特に2回、3回と進んでいく中、糸や織物の『色の深さ・奥行き』を見る目であったり、
『バイアスがきれい=堅牢性』といった『織物の風合い』を見る目であったり、具体的でわかりやすく教えを頂きとても貴重な体験であった。

また物を大切に使うということに始まり、自然環境をいたわる生活の知恵などからは、真のサステナビリティを
改めて考えさせられ、自分レベルの「やっているつもり」の甘さを突きつけられた気がする。
とことん使うの回で「小豆3粒包めたら布は捨てない」というお話を伺ったが、身が引き締まる思いがした。                                 

後半の帯や小物の取り合わせや色の選び方などは、長らく同じような視点できてしまっていたところから
まさに目から鱗が落ちたようで、『先入観を持たずに、モノを見る目を養う』新たなスタート地点に立てたようである。
 
最後の回で『着ることは社会との繋がり=他者との関わり』という先生のお言葉が印象的だった。
ある著名な洋服のデザイナーの自伝に「服は着ることによって自分らしさを表現できるツール」という意味の
文章があったのを覚えているが、そこに通じるものも感じた。
先生の御著書【樹の滴】のなかにある『着物は人の身体を包むもの、そして気持ちを支えるもの』という一文にも着ることの意味の大切な一面を納得できる。

毎回持ち回りで自分の中でのポイントを発表した、幸田文氏の著書「きもの」を読破することは根幹であり
紬塾のゴールとしての『ものを見る力をつける』入口のエッセンスが、物語全てを通してちりばめられていたと思う。
「きもの」の後半以降の描写で関東大震災の混沌の中
「肌をかくせればそれでいい、寒さをしのげればそれでいい、なおその上に洗い替えの予備が一そろいあればこのうえないのである。ここが着るものの一番初めの出発点ともいうべきところ、これ以下では苦になり、これ以上なら楽と考えなければちがう。やっと、着ることの底が直に分かった思いだが、これを納得したのは下町総なめのこの大火事にあったおかげなのだ。それにしても大きな損失に対して、あまりに小さい納得とはいえ、しかしまた逆に考えると、それほどのひどい目にあわなければ、着物の出発点は摑むことができないくらい、女は着るものへ妄執をもっている、ということでもある」
と主人公に考えを持たせている。

以上のように今まで自分のなかで着物とは、大好きなものであり、衣食住の一部のある意味スペシャルステージとして位置付けていた程度だったが、今回紬塾での学びを通して、もっと違う次元の大切なものに大きく変わった。

そして最後になりますが、ご指導いただいた『運針』練習はこの後の人生の課題の一つとなりました。 (O.Y.)   
                                
*********
紬塾へ通っていた友人の紹介で2015年の個展に足を運んだのが中野先生と先生の作品との出会いでした。
そのとき羽織らせていただいた着物は、優しい色合いで美しく、羽織ったとき優しくて温かい気持ちになり思わず笑みがこぼれました。そのときの気持ちは忘れられません。

そして2019年、やっと紬塾の申し込みをして学びが始まりました。
初めて伺った桜工房の和室からはお庭の木々が見え、自然の光の中に先生の織り機などがあり、家も呼吸しているようでした。先生の作品に通じる心地よい空間で、ここに来ただけでも参加できてよかったと思いました。

参加者の皆さんのお着物や着姿を見て、堂々と楽しんでいらっしゃることが素敵だなぁと思いました。
一方で、私は着付けを学んだことが少なく自己流だったことを不安に思ったり手持ちの着物に自信がなく、毎回緊張して参加しました。

学んだ中で変わったことは、自然への尊さを日々の暮らしの中で感じることが増えたことです。
その間に引っ越しをして、畑や庭仕事を始めたたことも大きかったですが、
畑も表面的に“自分がやっていること”に焦点が当たりがちになり、そこに満足してしまうようになるのですが、
紬塾に参加して、自分の目で見て、ひとつひとつ感じて、実践していくことの大切さを学び、
また先生の姿からも・・・上手く言い表せないのですが、深い学びをいただきました。

暮らしの中での違和感を見てみぬふりをしていたこと、乱暴だったなぁと思うこともありました。
とことん着尽くすの回だったと思います。古い繕い物(襤褸)の美しさを本で見せていただき、私も心から「美しいなぁ」と思いました。
そのとき自分でたのしくやっていた繕い物なども、みなさん関心を寄せてくださり驚きました。
人様に見せたら笑われると思って半分は恥じていたのですが、私も自信がないからと自分のやっていることを恥じることなく、真っ直ぐな目で見て、自分が納得いかなければもっと改めていけば良いことなのだと、思いました。

着物についても、人に認めてもらう必要もなく、ただどのような印象を与えているかという配慮や
今の自分だけでなく、自分がいなくなってからも引き継ぐ方がいるかもしれないことへの配慮など
他者に媚びるわけではないけれど自分のことばかり考えているわけではない生きる姿勢を中野先生のお話からも、ふとした瞬間からも、学ぶことができました。

また、和裁については妊娠出産で遠ざかってしまいましたが、学校で運針を習得できたことは本当に幸いだったと思いました。それもできるだけでは宝のもち腐れなので、日々の暮らしに活かしていきたいし、人には見えないところでもそのような時間を作ることが着物を着たとき周りに与える印象へも影響してくるんだろうなと、思っています。

紬塾に通おうと思ったきっかけにあった、中野先生のような自然体の着姿に憧れるけれど、どうしたらいいかわからないという疑問の答えは、何か知識を得ることで解決することではありませんでした。それでも、やっとわかったことがありました。大きかったのは、自分がずっと表面的なことに囚われて、深く真っ直ぐにモノを見ようとするのを避けてきたことに気づけたこと。そして、答えは一人ひとり違うということ。
自分の感性で、ひとつひとつ選んでいったことや日々の暮らし方が現れているのだということが、痛いほどわかりました。

紬塾で教わった中にはすぐ実践できることもありましたが、真似するだけで先生のようになれるわけではありません。これからの暮らし方をまた一から見つめ直し、自分の感性で着物と向き合っていきたいと思います。

また、高価で手の届かないと諦めて、拗ねてた部分もありましたが、それも本当に無駄な想いでした。
モノを見る目が深まったことで、今あるものへの扱い方、選ぶことに責任を持つことが変わったように感じます。
そしてこれから私が働くようになったとき、先生の作品を手に取りたいという想いで働くのも張り合いがあって楽しいだろうなと、希望を感じています。

先生の作品の背景にある、暮らし方、生き方、お人柄を知ることができ、自分の生き方を見つめ直し改める第一歩となりました。
また、一緒に学んだ皆さんとの交流も暖かく、お会いするたびに着物を楽しんでいこうと前向きな気持ちになれました。
本当にありがとうございました。(O.M.)

**************
紬塾での時間から

5月にはじめて先生と皆様にお会いして、あっという間の、でも、しっかりとした何かを感じられた、そんな「とき」を過ごさせていただきました。
それぞれの回での印象に残ったことをお伝えしたく思います。

第1回
この日、先生の作品を羽織らせていただいたのですが、緊張していてよくわからなかったというのが正直なところです。最後の回、いろいろ学んだ後なら、また違ったものがあったのかもと、せっかくのチャンスをなんと勿体ない、とあの日の自分を責める気持ちです。

印象的だったのが「心が動く瞬間をみつめる」との先生の言葉でした。
それこそが、私個人がここ数年、求め続けていて、取り戻したいと思っていることでした。
17年ほど前から東日本大震災の数年後までの約10年間、仕事と家事と育児と学生生活の4つの役割のなかで走り続けていた私は、その間に祖母と妹と父と母を亡くし、季節の移ろいや音楽や読書や、たのしいと感じる時間と力(余裕)を無くしていました。
最後に母を亡くしたあと、母を思い出す中で記憶がたどりついたのが母の着物姿でした。
このことは、第一回のそれぞれの着物との馴れ初めでお話ししたと思います。

この日に、先生が宗廣力三先生の作品集を見せてくださいましたが、作家物などにあまり興味のない私は初めて聞くお名前でしたので「へぇ、この方が先生のお師匠さんなのね」と淡々とした気持ちでいました。
ところが、この後日、私は「心が動く瞬間」に遭遇しました。日本民芸館に出かけたとき、こころ惹かれる作品がありそれがなんと!宗廣力三先生の作品だったのです。なんという偶然。それは圧倒的な力で、ものを観る力のない私にも素晴らしいと感じさせる布でした。

先生と出逢い、紬塾でお話を伺って、宗廣力三先生を知り、郡上紬という布をみて、わくわくするような「心が動く瞬間」を得ることができた、と今とてもうれしく思っています。

第2回
この回で、繭から糸と引き出したときのなんとも言えない気持は、一生忘れないと思います。なんと細い、なのに途切れずにするすると糸がでてくる、とても不思議でずっと引き続けたい心持ちでした。同時に、この細い細い糸を紡いで、それがしっかりした糸となり、反物となるまでのながい時間とひとの手と思いを想像せざるを得ませんでした。

この日、先生は「理にかなった“糸”の扱い、動作」というものがあると話してくださいました。このとき、私は、“糸”に限らず、ひとやものもその個性や特性に応じて対応するとそれぞれの良さがいきるという風に理解し、布を織るということは、もしかしたら社会のなかにあることと似ているのだなと考えました。
出来上がってすぐの反物(布)は、毛羽やかたさがあるが、長く着て、何度かの洗い張りを経て柔らかくからだに沿うようになることと、社会に出たての新人がいろんな経験を経て人間的深みを増すこととを重ねました。そして私自身がよい紬、愛される紬のように生きたい、なりたいと、考えました。

第3回
運針の回でした。
和裁を学んでいながら、運針ができない私はここで「基本の大切さ」というものを深く考えました。運針は頑張って練習しています。

この回で先生は「ほんとうに上手な人の縫った着物は、着心地だけでなく、解くことを前提に縫われている」と仰いました。実はこのことは、和裁中に何度かお直しを経験して実感していたことでした。
改めて先生からそう聞いたことで、相手の気持ちや行動を考える、目の前にいるひとだけでなくその先のもっと先にいるひとのことも想像して縫う、着物という洋服とは違う、繰り返し引き継がれていくことのできるものの、奥深さと、ひとへの思いやりを考えることができました。

第4回
着物の取り合わせの回。
この数年きものを着てきて、格や晴れと卦の違いをうまく理解できずにいたので皆さんの作った取り合わせをもとに説明いただけたことがとても勉強になりました。そして、私の取り合わせのとき先生が帯締めを別のものに変えられた途端、あっ!と思うほど素敵になったことがなによりも印象的でした。帯締めに限らず、小物ひとつ選ぶことがいかに大切かがよくわかりました。
引き算の美。色合わせだけでなく質感を合わせる。物の力をみて合わせる。
これがこの日の先生の言葉でこころに残った3つです。

似合わない地色のきものも、帯や帯締め、帯揚げに似合う色をつかうことで自分に似合うようにできますよ、というお話し、ここでも私はまた、あまり好きではない相手とも工夫次第でうまく付き合うことができるかも、と人間関係につなげて考えておりました。

第5回
実は、この日、紬塾へ着ていく着物を前の週に考えて決めておりました。それは、前回の取り合わせの回で教わったことを参考に考えて決めたものでした。
ところが、前日の金曜日のお昼ごろ、先生から「明日は、マイサイズを書いて持ってくるように」とメールが届き慌てました。決めていた着物は、着丈が短いけれど何とか着ているものでマイサイズとはいえないものだったからです。
夜、仕事を終えてから、改めてマイサイズで仕立てた着物を中心に取り合わせを考えました。この回には、先生の個展でいただいた『林檎で染められた帯揚げ』をお見せしたかったので秋田黄八丈の苅安色の着物で伺いました。黄八丈も草木染なので、事前に考えていた取り合わせよりよかったと思います。

この回で「着ることは生きること」という言葉がありました。
着ているものからそのひとの“人となり”が見えると。自分に自信がない私は、すこしドキドキしました。そして自信が持てるよう努力しようと思いました。

第6回
半幅帯の回
苦手意識があってほとんど締めたことがない半幅帯でしたので、YouTube でみた方法で自宅から締めて出たのですが、なんとなく背中が落ち着かない気持ちでした。でも先生が教えて下さった方法だとスッキリとして背中に違和感もなく、着心地よかったです。

見せていただいた蚊帳ふきんの補正と、先生が使っておられたアイロン台(マット)は、さっそく作ってみたいと思います。市販のアイロン台を使っているのですが 1 センチほどの高さがあり、また、幅が反物とほぼ同じで使いづらく悩んでいたのです。

この回で改めて、取り合わせについては頭で考えないで、無垢な目でまっさらな気持ちで美しいものをみること、と伺いました。そして、着物を着ることはひとの目に触れている、社会に関わっていることだとし自覚してきちんとしようと思うこととの言葉がありました。

当日の感想でも言葉にしましたが、紬塾で先生から得た学びは、まさにそのことでした。
ひとに優しく、自分にも優しく、地球や環境にも優しく、他者とのかかわりを大切にし、美しいものをみて美しいと感じ、自分中心ではなく全体を思い、大切に生きること。

紬塾に参加できたこと、このご縁に感謝しております。ありがとうございました。(T.K)


                       以上
 



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第6回 「上質の半幅帯を愉しむ・仕立について」―半幅帯結び・帯の仕立寸法について

2021年12月13日 | 紬きもの塾’17~’21
HP着姿も更新中! 12/14追記

工房では現在個展にご都合のつかなかった方、改めてご検討中の方などにお越しいただいております。草木染帯揚げ、帯締めなどの割引もありますのでこの機会にお出かけ下さい。
12月18日までお受けできますのでHPお知らせからお問合せ下さい。

紬塾も今年度の最終回を迎えました。
最後は半巾帯の結び方、名古屋帯の寸法のことなど駆け足でしたがやりました。
頂いた帯が短く締めにくいということでお持ちいただきましたので、測ってみました。
確かに古い帯で柄付けも今とはだいぶ違います。9尺もない長さでした。
そこで太鼓から先に背中に背負う締め方をしてみました。


ポイント柄ですから前柄はなくなりますが、普通の結びと変わらないように綺麗にお太鼓を作ることが出来ました。前柄がなくとも普段着なら帯締めや帯留めを活かして愉しむのも良いかもしれません。全通柄なら問題ないです。

今の時代は何でも大きめの寸法になっていますが、体型によっても自分にふさわしいサイズを把握して注文できると良いですね。


半巾帯は文庫のアレンジと、吉弥結びをしました。
半巾結びは苦手な方も多いのですが、コツがわかれば便利なものですし、上質な素材ならお洒落着にも十分対応できます。
上の写真、文庫結びのアレンジ中。
羽根の部分を屏風畳にするとヴォリュームも表情も出てきます。

最後は紬にスチームアイロンも掛けてみました。
みなさんアイロンを掛けていいのか不安に思われているようですが、染色がしっかりした紬であれば当て布無しでも大丈夫です。スチームを生かし、強い圧迫は加えないように掛けると風合いもよくなります。注意点をお話ししました。
毎回幸田文著「きもの」も読み込みましたが、最後は私の感想を発表しました。また少し先で読み返すと新たな気付きもあると思います。
そして紬塾の一年を振り返り、最後まで盛りだくさんでした… (;^_^A

塾終了後は打ち上げもしました。
みなさんの気持ちもほぐれて和やかなひと時でした。
感想がとても面白かったです。感極まる方もいましたが、みなさんが自分の気持ちを飾らず素直に話してくださるところもよかったです。
紬の話もたくさんしましたが、日々の暮らし方も見つめ直しより良い暮らし、社会になってほしいです。

受講者レポートは次のブログでまとめてアップします。


上の画像は床の間の井上まさじさんのペンの手描き作品をご興味をもたれた方に説明しているところです。
必ず季節に合せたアート作品を床の間に掛けてみなさんをお迎えしています。
着物や着物を着ることはアートです。アート作品と向き合うように一枚の布と向き合えばいいのではないでしょうか?


写経のように淡々と毎朝の日課の仕事だそうですが、身体の動きやペン先の太細が微妙に揺れ面白い作品だと思います。自然発生的な下のインクだまりも模様になっています。
一生をかけてアートも着物を着ることや布を見る目も養っていきたいと思います。

来年の紬塾は開催が未定です。2月末までにはっきりさせますので、HP、ブログでご確認ください。


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第5回「自然で楽な着方」― 下着の揃え方・半衿の付け方・着物の仕立寸法

2021年11月25日 | 紬きもの塾’17~’21
HP着姿も更新中! 12/4追記

工房では現在個展にご都合のつかなかった方、改めてご検討中の方などにお越しいただいております。草木染帯揚げ、帯締めなどの割引もありますのでこの機会にお出かけ下さい。
12月18日までお受けできますのでHPお知らせからお問合せ下さい。

勤労感謝の日は紬塾でした。
働けることに感謝した日でした…(^-^;

楽で自然で時間のかからない着物の着方をやりました。
下着類の素材や洗い方、三河芯に半衿を先に取り付けるやり方なども説明しました。


半衿付けの苦手な方は多いと思いますが、このやり方は最も簡単なのではないかと思います。私もあまり好きな仕事ではないですが‥


先に半衿を衿芯をくるむように取り付け、その後襦袢に襟肩開きのところだけまつり縫い、あとは大針か安全ピンでとめるだけです。
普通は長襦袢に三河芯を付け、半衿を縫い付けると思いますが、それでももちろんいいのですが、このやり方は縫うところが少ないのです。
衿芯ごと洗います。
差し込み式の衿芯はせっかくの着物姿を台無しにすると思います。風情がないです。

着付けは皆さんできる方ですが、意外と自分の着物の寸法などは初めに決めた寸法で、見直すこともなく着ているようでした。
なんというか、いきなり着付け教室とかで着方から入るというのは遠回りの始まりのようにも思います。
身近に適切にアドバイスをしてくれる人もなく、仕方ないかもしれませんが。

着物の寸法と着方についても少し話しました。着にくい着物の代表格が身丈が長い、身体は細いのに裄丈は長いでしょうか。
ジャケットの袖丈と着物の裄丈は構造が全く違います。
着物の本質を分からない人たちが関係者に多すぎます。

あと、単衣の紬などは身幅が広すぎると裾さばきが悪くなりますので、その辺も仕立て関係の方はアドバイスしてほしいです。
私は紬の単衣の裾さばきが悪いと思ったことないのですが、、。

着物や和裁の世界は本来はシンプルで合理的なものだったのではないでしょうか?そこに日本人の美意識が宿ってる。

私の着方を皆さんに見てもらいましたが、あまりにシンプルでえっ!という感じだったようです。私は着物のモデルさんではないので昔ながらの自然体の着方でいいと思っています。皺ひとつない木目込み人形みたいな着方は撮影用ならいざ知らず、街着にむしろ野暮、補正下着とか老けますね。。
作り上げたボディはなんとも不自然です。もちろん補正の必要な方もありますが、最小限にとどめたいです。

長襦袢に麻の伊達締め1本、着物にメリンス腰紐1本、短め胸紐1本、帯は仮ひもなしで結び、帯板はボール紙1枚、帯枕にガーゼは掛けない。以上です。
撮影用や礼装用の着方ではないのですが、普段街着にする程度ならこれで十分です。

また、染めの着物地と真綿紬地は同じ絹でも全く別物です。素材の違いで着方を変えるのも当然のことと思います。

今の時代は頭が先行、知識、情報ばかりで自分の身体感覚に欠けているように思います。それでいて知恵はないのです。(ーー;)
美意識や身体感覚は本来通じるものです。もう一度無垢な目でものを素直に観る、目を閉じてものに触れる。そういうことを最初の紬塾でも話したと思いますが、そこを気付き、鍛えないといい着物に出会うことも、いい着物姿になることも無理と思います。

次回、最終回になりますが、名古屋帯の関西巻きができないという方が多いようですので、なんでなのか?検証してみたいと思います。楽しみです。(^^♪


この日は、久米島に縞の帯を合わせました。
独立して間もないころに織った反物から作りました。
最初の個展で着物を揃える経済的余裕もなく、ツーピースにしたのですが、その残布とスカート部分を解いて、名古屋帯に仕立てました。写真は外光が強すぎて色が飛んでますが、産地の普段着とよく合います。
帯締めは緑を感じる青の寒色系を添えてバランスを取りました。

着物は少し古い時代のもので、以前にも書いたかもしれませんが、経糸が節があって素晴らしいのです。
呉服屋さんで、状態の良い上質の古いものも少し置いている店が以前あって、別件でお尋ねした際に棚の一番下にあるのを見つけ、見たときは今まで見てきた久米島とは違う糸質に釘付けになりました。
工房を維持するための支払いもあり、最極貧にあった時でしたが、とりあえず取り置いていただき、後に購入しました。八掛は茶がついていましたが、自分で濃い紫茶に染め替えました。

この糸を繰り、つむぎ、デザインし、絣を括り、染め、織り、砧打ちし、そして購入した方々への敬意をもって着続けたいと思っています。

HP着姿も更新中!



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45周年記念展来場者の方の着姿から

2021年11月18日 | 着姿・作品
先日の個展の会場へ私の着物や帯で来場くださった方がかなりいらしたのですが、写真は一部の方しか撮れませんでした。ギャラリートークの日は全く撮れませんでした。
またせっかく撮らせて頂いたものの、色があまりうまく出なかったりでした。
ゆっくり場所を設定するところから決めないといい写真は撮れませんので、残念ながら掲載できないものもありましたが、少しご紹介します。

まずは個展のギャラリートークで聞き手を務めてくださった「美しいキモノ」副編集長の吉川明子さんです。
この日は私の桜染めの紬に沖縄の紅型染めを合わせてくださってました。辛子色の帯締めも、本来紬にあまり使わない絞りの帯揚も吉川さんの明るいパワーが溢れて力強かったです。紬は自由に取り合わせられますのでそこが楽しいです。
着物は少し前(!?)の40代半ばの作品で、いい無地系はどうすればいいのかを追求していたころのです。濃淡のある色、色相の違う糸、糸質の違うもの、真綿の糸、玉糸、節糸をブレンドし立体感を出した作品です。
一色の無地は織ったこともないし、これからも織る気もしないのです。
静かそうで中は複雑な無地が好きです。


この着物の背中には桜の小枝の洒落紋があります。私が織りで使う草木染の経糸を職人さんにお願いして刺してもらいました。桜の葉が持つ複雑な色相にしてもらいました。


こちらの着物「秋麗」も遠目に無地のようでかなり複雑です。この方も紅型のざんぐりとした帯と合わせてくださいました、いつも型にはまらない自由な少し調子を破るような取り合わせをされている方です。前のアップは撮り忘れましたが、帯締めが柔らかなココア色の茶で抑え、かなり高度な選び方と思いました。とても素敵でした!帯揚げはクリーム色。作品集「樹の滴」にも掲載されています。



こちらの方は着物と帯と帯揚と帯締めも私のセレクトで一式揃えてお出掛け頂きました。オリーブグリーンのような茶にピンクが入ってとても凝った組紐です。
帯締めも草木染の帯に馴染むように1本ずつ慎重に選んできますが、私の帯をお使いの方には随分ご利用いただいてきました。


白地も単純な白ではなくもちろん数色を混ぜています。「真珠の彩」と銘を付けましたが、光線でピンク系にもブルーグレー系にも、本当に真珠を感じさせる紬です。この着物は実作でないと良さがわかりにくいと思います。
白地の着物は秋は寂しいかと思いましたが、ビワで染めた赤味の茶で、真綿糸の帯が暖か味を添えていました。この帯も無地のようで無地にあらず、、です。


帯を使ってくださっている方もご紹介します。
以前にご紹介したモッコク染めの薄ピンクの「御身衣」の姉妹で「御身衣II」です。花織の模様の出方が少し違います。
染めの着物と合わせてくださって、アイボリーの帯揚も私の染を使ってくださっています。帯も色々な着物に合いますとおっしゃってくださってました。
安心の一本になってお役に立てればと思います。



こちらは半巾プロジェクトのシリーズを名古屋帯になさった方です。
型染めの紬と合せて下さいました。帯揚も紫味の梅染のグレーです。濃い紫の帯留めは小川郁子さんです。半衿も刺繍が入ってますが、それぞれの色や素材が異なりながら、静かに調和しています。


この日は前を関東柄を前に出されていますが関西巻きではピンクベージュの縞が出るようになっています。着物で使い分けて頂ければと思います。



この方も半巾帯プロジェクトに参加して下さった方です。
「山笑う」をお手持ちの大島に合せてくださいました。
大島の濃厚さに程よく添う感じです。
着物をたくさんお持ちですので、色々な結びで合わせて頂ければと思います。

かるた結びにされています。
よこ吉野を配していますので、半巾でも重みがあります。貫禄あります!
私はあまりかるた結びはしてきませんでしたが、いいですね。私も練習します。

ここでご紹介できない方の分もHP着姿集に順次上げていきますのでご覧ください。

私自身も毎日違った取り合わせで出ていたのですが、1枚しか撮ってもらう余裕なく終わってしまいました。。

それにしてもコロナで外出も控え、気持ちも塞がっていた方が多いでしょうに、個展でお会いした女性たちの着ることへの意欲はすごいものがあります。
それは着飾るだけではない、まずものを観るということ、そして着るということへの真摯な眼差しであり、着ることは善く生きることなのだという意思、自律した女性の根源的強さを感じました。

私も個展の残務が済んだら自分の着ることを真剣に考えたいと思っています。(;'∀')/


工房では現在個展にご都合のつかなかった方や、取り合わせを改めてお考えの方などにお越しいただいております。12月中頃までお受けできますのでHPお知らせからお問合せ下さい。
帯揚、帯締めも色数が少なくなってまいりましたので、工房での販売に関して帯締めは20%offで販売いたします。帯揚げは10%お引きできます。もし合うものがあればご利用ください。


上の写真は、個展初日からお問合せを頂き、遠方の方に通販で対応させて頂きました。
何度も確認しながら一式お選びになりましたが、画像のやり取りとはいえ、すでに私の帯を2本お持ちの方ですので大体の色のイメージがお分かりになるのだと思います。
こちらである程度合うものを選び、その中から最終決定をしていただきました。
ビデオ通話でお話ししたりしましたので、メールだけではないお人柄もある程度分かりますので、私の目から見てもベストなチョイスだったと思います。

ご遠方でも何かございましたらHPよりお問合せ下さい。


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中野みどり紬織45周年記念展終了しました

2021年11月11日 | 個展・展示会
45周年の個展は初冬の晴天に恵まれ無事終了しました。
最終日の午後だけ一瞬時雨ましたが、丁度良いお湿りになりました。

多くの方と作品について話したり、実際に新たに着物や帯を引き受けてくださる方も多く、大変充実した会になりました。ありがとうございました。

私の着物や帯で来場して下さる方も多かったのですが、写真を撮ったり、インスタに上げたりする時間の余裕もほとんどなく過ぎていきました。お客様の着姿はまた後日少しですがご紹介できると思います。

トップの画像は7日ギャラリートークの日の私の取り合わせです。
ピンクベージュ桜染めのすくい織り着物に吉野格子の帯です。小川さんの緑の魚々子の帯留めもしました。



ギャラリートークも定員を越える方に参加して頂きました。
聞き手の「美しいキモノ」副編集長の吉川さんの軽妙な問いに私も話しやすく、ギャラリートークというより普段通りの会話のようになりました。。
上の写真は一瞬マスクを外して。私はノーメイクの乱れ髪、、で失礼します。
左が吉川さんです。ヘアメイクもこの日のために朝から予約してくださって恐縮です。。
吉川さんの紬は洒落紋入りで私の作ですがまた改めてご紹介します。


江戸切子の小川郁子さんも控えめな方ですが、言うべきことはおっしゃる方で作り手として尊敬できる方です。
写真は制作に関して意気投合しているところを動画から切り取りました。
着物を着るようになって、そのことは作品作りにも良い影響があったと以前お話を伺いましたが、着こなしも自然体で素敵です。気持ちよく仕事をさせて頂きました。現代彫刻のような帯留めも多くの方にお使いいただくことになりました。

トークの録画を見返しましたら、マスクをして話しましたので、前半は聴き取り辛い箇所があり、申し訳ありませんでした。

さて、まだ個展の残務や仕立ての手配、取り合わせのご相談など来房の方々もあり、12月上旬まで作品はしまわずにおきます。個展でも展示してないものもありますので、もしご覧になりたい方、取り合わせる着物や帯のご相談などHPお問合せからご予約の上お越しください。どういうものをお探しか具体的にお問合せ頂けますと準備できますので幸いです。

ギリギリまでの制作、準備、そして個展に突入。短期間でしたが体力の衰えを身に沁みて感じました。少々くたびれました。。(>_<)

多くの方のお力添えで走り続けた45年でしたが、12月の最後の回の紬塾の後は、少し身体をほぐし、充電期間としたく思います。

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中野みどり紬織45周年記念展お知らせ<その4>3日13時半開場となります!!

2021年11月01日 | 個展・展示会
庭の白菊も咲き乱れ、むせるような香りを放っています。蜂も忙しそうです。
ブログ更新もギリギリになってしまいましたが、明日夕方の作品搬入、3日午前中に飾りつけです。
初日は13:30からですのでお気を付けください。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
《中野みどり紬織45周年記念展》
会期:2021年11月3日(水・祝)~8日(月)
   11:00-18:30(初日は13:30から 最終日15:00迄)

会場:ギャラリーコンセプト21(東京都港区北青山3-15-16 ) 
出品品目:着尺、帯、ショール、草木染帯揚、袱紗、卓布、額装
       小川郁子作/江戸切子帯留め・切子小品

※7日(日)ギャラリートーク(13:30-14:30)
    キャンセル待ち     受付終了しました 
一般の方はなるべくこの時間帯を避けてお越しいただきますようお願いいたします。
※不織布マスク着用でお願いします。

中野みどりWebサイトお知らせもご覧ください。

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45年の節目を迎え、振り返れば長かったような短かったような。
兎にも角にも時間は積み重なり、作品も休むことなく生まれ続けてきました。
命をかけて仕事したつもりです。その一端である最新作と、30年近く前の公募展出品作品などを3日からご覧頂きます。
大半の作品は手元を離れましたが、どなたかのお役にたてていればいいと思います。

作品はすべて販売可能なものです。身に当ててご覧になりたい方はスタッフにお申し付けください。男性向けの広幅、角帯もあります。
すべてが自然な植物の色から染めたものですので、なるべく外光のある時間にお出かけいただければと思います。

小川さんの帯留めや振り出し、蓋物などもまだ拝見しておりませんが、会場の様子はInstagramでご紹介できるかと思いますので、アカウントをお持ちの方はフォローをお願いします。アカウントお持ちでない方も時々チェックしてください。

帯をたくさん用意しましたので、小川さんの帯留めと合わせてください。
小川さんの帯留めと私の帯を使ってくださっている方も多いのですよ。(*^-^*)

切子の振り出し(一輪活けとしても)や蓋物にも合わせられるよう卓布や袱紗も準備しました。お部屋の彩にしていただければと思います。

会場へはなるべく1~3名でお越しいただければと思います。
スタッフも一人での対応ですので、お買い物の際にはお待たせすることもあるかと思います。私は午後13時から17時くらいまでは在廊するようにしますが、午前中の方はお声を掛けていただければ早めに出ますのでおっしゃってください。




上の画像、工芸評論の笹山央さんの会報『かたち』が最終号となります。
私もその最終号の6名の一人に取り上げてもらいました。
これ以上ない評論を書いていただきました。
個展の会場でも販売いたします。また郵送をご希望の方は工房宛のメールでも対応させて頂きます。お名前、ご住所をお知らせ下さい。
普通郵便で発送いたします。
送料込みで1300円です。HP「お問合せ」からお申込み下さい。

また、コロナも第六波も懸念されます。会場へは不織布マスクでお越しください。

では会場での新たな出会い、再会楽しみにしています。


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中野みどり紬織45周年記念展お知らせ<その3>新作帯・すくい織り帯と吉野格子帯

2021年10月24日 | 個展・展示会
会期:2021年11月3日(水・祝)~8日(月)

会場:ギャラリーコンセプト21(東京都港区北青山 ) 
出品品目:着尺、帯、ショール、袱紗、草木染帯揚、
     小川郁子作/江戸切子帯留め・切子小品

    ※詳細はHPご覧ください
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まだまだやるべき仕事がいろいろ残っていて落ち着きませんが、今回の新作から帯を2点ご紹介します。

トップ画像はすくい織り「石組」太鼓部分。
すくい織りの帯で、石庭をイメージして大小の石を表していますが、抽象柄としてご覧頂ければよいと思います。


前柄は関西、関東両方の腹に大きさ、形を違えて入れていますし、垂れ下にも平たい石を配してみました(上の画像)。この部分だけでも草木で染めた8色ぐらいの緯糸を使っています。
平織と七子織を組み合わせて織りましたので、踏み木を踏みかえながら案外手間がかかっています。
すくいも修業時代に吉野帯と組み合わせて、気の遠くなるようなのを織りました。(--;)
時間のかかるものですが、柄出しが自由で捨てがたい技法です。
今回は二本織る予定でしたが、肩が凝りまくりくたびれて一本になってしまいました。。

シックでお洒落な帯です。小物が色々楽しめます!



吉野格子帯「冬萌 I」
吉野帯は修業時代にたくさん織らせてもらい、独立してからもよく織りましたが、今回、織りはアシスタントにしてもらいました。体力勝負の仕事ですが、しっかり織れています。
緯糸の微妙な色を決めるところはかなり時間をかけました。
画像にはどうしても映せない色調です。実作をご覧いただくしかないのです。

吉野格子自体が存在感の強い帯ですが、色は優しく着物に合わせやすいよう配慮しました。
紬だけではなく江戸小紋、小紋、お召しなどとも合わせて改まった感じの装いもできると思います。
帯揚や帯締めで色を添えて楽しめるのではないでしょうか?
2本織りましたが、もう1本はもっとシックで甘さは控えめです。

これらの帯は他と比べて少々お高いのですが(40万円は越えませ~ん(*^-^*))、長く様々なものに合わせてお使いいただけ、小物の取り合わせもいろいろできる自由度の高い帯です。
小川郁子さんの帯留めともとてもとても相性がいいです!!会場で着物と合わせてご覧頂きたいと思います。




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