中野みどりの紬きもの塾

染織家中野みどりの「紬きもの塾」。その記録を中心に紬織り、着物、工芸、自然を綴ります。

夏の終わり、秋の始まり―道端の花、実

2018年09月15日 | 自然環境・脱原発
最近、仕事の合間に工房周辺のウォーキングを日課にしています。
血行不良の解消に努めています。

そして歩きながら道端の草や木を眺めるのが何より楽しみです。

周辺には戸建ての住宅がたくさん建っていますが、玄関先には鉢植えのようなものばかりで木を一本も植えてない家が多いです。
また公園も整備され、防犯のことなどから、強い剪定がされています。
他の樹木も落ち葉を嫌がるせいかここ数年で随分切り倒されました。
剪定など費用もかかりますので維持管理が大変なのでしょうけれど、とても残念なことです。

木々は日陰を作り、空気を浄化し、やすらぎも与えてくれます。
真夏に地面を覆う夏草もその役割があるはずです。
地表の温度を下げ、大地を保湿し、地中深く酸素を送っているそうです。
この周辺にも黒い防草シートをかぶせているところも見かけますが、美観という点からも、大地、地球、人間に対して百害あって一利なしと思います。敵対ではなく共生すればいいだけなのですが。

大変な災害に見舞われたこの夏でしたが、人間の傲慢さに対する天の怒り、地の怒りとも思えます。

しかし、わずかの地面からでも野草はたくましく生きてくれています。
それぞれの小さな花や実を付けています。
雨の中でしたが、20分ほど歩いて携帯カメラに収めてきました。
傘を差していたのでかなりブレてますが、、。^^;


マルバルコウソウ(朱赤が目に飛び込みます)


マメアサガオ(今日存在に気付きました!)


ヘクソカズラ(可愛い花なのに…)


ツルボ(工房の斜面にも一時たくさんあったのですが、、)


ニラ(いたる所に花咲かせています)


ハナミズキ(葉の紅葉も始まってます)


モッコク(工房のは実のならない雄株。染材としても重要)


ススキ(仲秋の候、月見をしなければ、、)


ヒガンバナ(白い花のもありますね)


名前不明(宮城の萩に似たマメ科の植物ですが、、)



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第3回 紬塾「とことん着尽くす」――『ぼろの美』額田昇作コレクション

2018年08月30日 | 紬きもの塾’17~18

                             「『ぼろの美』額田昇作コレクション」より

8月最後の週にずれ込んでしまいましたが、第3回紬塾「とことん着尽くす」の講座を行いました。

親から譲り受けた着物など古い着物の生かし方、更生の知恵など具体的に私の私物をご覧いただき説明しました。
母の遺品から、子供の頃の着物をはぎ合わせた手縫いの風呂敷や、戦時中に着ていた着物から作り変えた服なども見てもらいました。

また、18年前に出版された『ぼろの美』額田昇作コレクションも短時間でしたが紹介しました。
みなさん関心をもって見てくれていましたのでブログでも少し紹介いたします。

画家の額田さんがぼろの美に魅せられ打ち込んで収集したコレクション図版集です。
発売されてすぐに購入したものですが、今も手元において時折眺めています。

ぼろのコレクターはたくさんいらっしゃいますし、実物を見ることもありますが、この方のコレクションは特にアート、現代作品を見つめるような視点で選ばれたものが多いように思います。
それらのとことん使われ、幾重にもたたみ掛けるように継ぎはぎされた布は、自然発生的な、導かれるような模様やかたちを成し、美しく、またアート性を感じます。

文中に額田さんは『絵もこのように描けないものか』と書かれています。
画家のみならずこれらの布を見ると自分の仕事と重ねて衝撃を受ける方は多いと思います。
布を織るものとしてはいつもこれらの仕事を根底に据えておきたいです。

ほんの一部ですが本の中から写真を紹介します。
まずは手織り布自体の美しさ、針目の美しさ、特に擦り切れる部分に思いがけない模様が生まれてくる面白さ。
重ね配置される無数の布の調和。自然と人為が織りなす、見ても見ても見飽きないものです。
生きるか死ぬかの瀬戸際の繕い仕事から生まれてきたことは言うまでもないことですが、でも美しいものを使おう、作ろう、纏おうとしているからこその仕事に思えます。

入手困難な本ですが、図書館などにあるかもしれません。










                                        酒袋


                                                  右は麻袋



このコレクションでも思いますが、とことん使うに値するものを今の私達も使うことが大切ではないでしょうか?

継ぎ当てには不思議な力が宿ります。身近なものに継ぎはぎをするのは楽しいですし、布や糸質などの発見もあります。
工房の30代のアシスタントも、以前会社勤めの頃は服などをたくさん捨てていたようですが、最近はズボンやシャツに継ぎをあてて着ています。
それが案外面白い継ぎ当てで、織物もそのうちいいものを織るようになるでしょう、、と思っています。



麻のシャツの擦り切れたところに当て布をして並縫いをしたもの。あて布の色柄が見え隠れして面白いですね(額田コレクションの後に恐れ多いのですが、、)。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
次回紬塾はいよいよ運針で伊達締めとヘンプ蚊帳生地タオルで汗取り(補正用にもなる)を縫います。
運針は練習してきてください。指ぬきも自分のサイズに直してきてください。よろしくお願いします。







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暑さ対策(4)ーヘンプ手拭いで作る貫頭衣

2018年08月25日 | 自然環境・脱原発


夏休みは毎日縫い物や繕い、リメークなどをしていました。夢中で楽しい時間でした。

綿麻素材の少し長めの手拭い2枚で仕事着として貫頭衣を並縫いだけで縫ってみました。
胸のところだけ裏打ちをしてこれ一枚で着れるようにしています。
開いた袖口、裾、Vの襟元から風が抜けてとても涼しいです。
切り込みは入ってませんので解けばまた2本の手拭いになります。

肩にタックを2本寄せたのがポイントです!

来年運針だけで貫頭衣を縫う講座もできればいいなぁと思っています。。

酷暑をエアコンだけに頼らず(必要なときは使うべきですが)着るもので工夫することも大切です。
私が子供の頃は夏にTシャツなどを着ている人はいませんでした。
麻の開襟シャツやサッカー、リップル、縮みなどの生地に凹凸のある服を着ていました。
下着も夏は編地ではなく織地のものを着ていました。
いつのころからか(50~60年前)カットソー素材が中心になりインナーは伸び縮みのするものに変わりました。しかし、編地のものはループを作るように編まれています。それだけ糸を多く使っていますので放湿、発散性には劣ります。
盛夏にもエアコンを使わない暮らしでは編地は向きません。

日本人は通風ということを考えることで、着るものはもちろん、住居にあっても、日本の高温多湿を凌いできたのです。
私は大学でたまたま被服学概論の講義も受けたのですが、繊維の特性や衣服の形による身体に与える影響なども学びました。

夏には体温を逃がす煙突効果のある衣類、逆に冬は襟元を締め、ズボンの裾ももんぺのようにゆったりして(体温を溜める)裾はすぼまっているものが一番体温を逃さず温かいです。
被服学の立場からの熱中症対策がメディアで語られないのは残念なことです。

人は本来自然に本能的に身を護る術を知っていると思いますが、あまりにまずエアコンが当たり前なことに疑問を感じます。
もう少し賢く暮らさないと地球は終わってしまうのではないかと危惧の念を抱かざるを得ません。

今年は異常な暑さと気象庁も言ってますが、この酷暑、集中豪雨が例外的とはもう思えません。
地球温暖化を食い止めるために世界中で様々な取り組みがありますが、個人もできることから始めたいです。
電気も再生可能な自然エネルギーを基本とした生活クラブの電気の共同購入をしていますが、まずは無駄な電気は使わないことが一番です。
CO2削減のためのたくさんの工夫を日々していますが、明日の紬塾でたっぷりお話します。

お粗末ながら、一句ひねってみました。^^;

風来たる木の葉をくぐり葦簀(よしず)抜け  

涼しさが届きますでしょうか? 


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夏着物と節糸紬半幅帯

2018年08月10日 | 着姿・作品


この酷暑の中でもこの近江上布を3回ほど着用しました。
麻縮ですので肌に触れている部分は風が通り涼しく、麻のUVカット効果で強い日差しも跳ね返してくれるように思います。
ただ、帯周りは麻布といえども幾重にも重なり蒸します。私は時々身八つ口をパタパタさせ風を入れたり、胸元も襟のところから体温を逃したり、帯も緩めに結び、体内の熱を放出するようにしています。また、長襦袢はラミー麻、肌襦袢やステテコはヘンプ麻をもちろん着用しています。

しかし今年の暑さはさすがに着物を着るには覚悟がいります。連日“命の危険”な暑さでしたから、着るには体調などにも注意して、無理はしないほうが良いです。

この近江上布は青山にある全国伝統的工芸品センター(現在の伝統工芸青山スクエア)で30年近く前に購入したものです。
修業を終えてすぐの若い頃は平日は染織の仕事、週末だけ工芸品センターの展示場販売スタッフとしてアルバイトをしていました。
全国の伝統工芸産地の工芸品が常設、また毎月開催される特別展もあり、いわゆる産地ものの振興をしている財団法人のギャラリー&ショップです。
染織品を始め、他の工芸品全般も勉強したかったこともあり、土日だけのアルバイトをしていました。ここでの経験が紬塾の講義でも役に立っています。

ある時そこでいくつかの産地による、夏の着物展がありました。私は夏の着物も大好きで、特に麻織物が好きです。この近江上布はオーソドックスな柄ですが、私でもなんとか買える価格でもあり、迷わず購入しました。
地味な着物ですが若い頃からよく袖を通してます。自分で手洗いもしています。上質のラミー麻でツヤもあり、なめらかな糸質です。



30年ほどの月日は流れいろいろなことがありました。
紬織りを一人で続け、なんとか工房を維持しながら生活も立ててきました。
少しずつですが、自分用の着物や帯も買いながら自作の紬と取合せたりして着ることの勉強もしてきました。
30代半ばで買った一枚の麻の着物が、30年前のことを思い出させてくれます。
着物を仕立て、麻の襦袢をつくり、一歩ずつ、着ることの難しさや苦労を味わいながら、今のようにネットもなく、身近に着物や仕立てに詳しい人もなく失敗もし、無駄な買い物もし、でも着てみたいと思い、選び、歩き出したのです。。



取合せの綾織半幅帯は四季を通してよく使っています。夏場も使っています。
太い節糸をベースに、細い玉糸を段のベースに使い緯絣を配しています。
ほんの少ししか絣糸がなかったのでポイント柄にしています。

半幅帯は手と垂れを逆に使うことも出来ます。ポイント柄の出方が予想と違っていてそれも面白いと思います。
結び皺はスチームアイロンで取れます。

汚れが目立ってきたら自分で解いて洗ってスチームアイロンで仕上げ、仕立て直せばよいのです。毛羽も取れ良くなります。
ただし、紬といっても盛夏にも使えるタイプは真綿系でないほうが良いと思います。
節糸、玉糸を中心に使ったタイプで、芯も夏芯をいれてもらいます。


別の半幅帯の取合せ。

こちらのページ下の方の中野の取合せもご覧ください。

人生はいつか終わります。健康であったとしても一人で元気にあちこち出掛け、活動できるのも後10年ぐらいでしょう。自分が選び着てきた残された着物たちは私の人生の縮図かもしれません。そう思うと悔いのないようにものと出会い、真剣に選び、使いたいと思います。
紬塾では過去の自分の失敗談や苦労話も時折交えて着ることの話もしています。
8月下旬の基礎コースの講義は着物をとことん着るための話です。

櫻工房ではこの秋の展示に備えて半幅の制作も予定しています。
真綿紬ではなく玉糸や節糸使いで盛夏にも使える重宝なものを作ります。
上質な手織りの半幅帯はシンプルな結びでも存在感があり、お太鼓では重すぎる場にもふさわしいと思います。
体調の悪い時、高齢になっても、また今年のように暑いときも楽です。
洗い張りしながら使う一生モノの半幅帯、お太鼓結びに慣れている方もいかがでしょうか?

一枚の着物や帯と共に歩む人生もいいものだと思います。

さて、工房の夏休みは8月12日~19日までです。
休業期間中もオンラインショップのヘンプ肌着などご注文を承っておりますが、
メールの返信および商品発送は8月20日以降となりますのでご了承下さい。 

お盆休みにはお墓に参ったり、普段できない縫い物、繕い物、音楽鑑賞、溜まった新聞を読むこと、自然の観察など日々出来ないことをして過ごします。(^_^*;)

暑さが続いておりますが、涼しい格好(ヘンプステテコ、エアコン無しの部屋着に最高です!)で熱中症にかからないよう読者の皆様もご自愛下さいませ。








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新女わざの会 主宰・森田珪子さんと梅干し

2018年08月04日 | 工芸・アート
当ブログでも何度か書かせていただきました、女わざの森田珪子さんから「新女わざ通信N.16」と今年漬け上がったばかりの梅干しが送られて来ました。
下の写真の色の浅いオレンジ色のは杏です。梅酢で漬けてあるので味は梅干しですが、食感がサクっとしています。


通信の冒頭にはこんな事が書かれています。
「春雪がちらつく頃、ほのかな香りを庭に漂わせてくれた梅が、半夏生の頃には実を結び、8月には梅干しに生まれ変わった。ちょうど盂蘭盆会の頃。作業を見守っていたであろうご先祖様も『古い梅干しもいいけれど、できたても格別だね』と喜んでいるに違いない」と。

30年前にかねさんという方に梅干作りの手ほどきを受けたそうです。そのかねさんも93歳になられましたが、今年の梅干作りにも来て、若い人たちと紫蘇を揉んだそうです。

工房スタッフと共に、汗をいっぱいかいた午後のお茶の時間に梅干しを頂きました。
普段は生活クラブを通して奈良県王隠堂の梅干しを食べていますが(梅干しは作ったことがありません。梅酒はありますが、、^^;)、漬けたての梅は本当に格別です。以前にも森田さんに頂いて、その美味しさは知っていましたが、今年のこの暑さの中では本当~に身に沁みる美味しさです。
命を繋ぐ食べ物です。


また、一緒に岩手の一関の「亀の子せんべい」という長生きできそうなお菓子も送っていただきました。
これも小麦粉とごまと砂糖のパワーあふれるお菓子でした。
由来を読むと東北の女わざ的な生まれです。
歌舞伎座近くの岩手県のアンテナショップでも買えるのでまた行ってみたいと思います。

森田さんは85歳になられていますが、電話の声も大きく、でも慈しみにあふれる優しい声。
いつも意義深い話を聞かせてくださるのです。
東北の奥深い暮らしの文化は今の時代にもう一度見直さなければと思います。

ヘンプの蚊帳タオルで汗取りを今期の紬塾の人達は縫うことになっていますが、その時に女わざの冊子や本も紹介します。森田さんに伺った岩田帯からヒントを得たものです。
私の紬織りのバックボーンにあるものは女わざの会にもつながることです。暮らしに根ざして地に足の着いたもの作りをしたいのです。

この豊かな味わい深い梅干しを食べながら本当のことはすべてこの中にあると思いました。
熟した梅の実と海からの塩と赤紫蘇と天日と人の叡智と手わざと時間と――。

この暑さを1日1個の本物の梅干しで乗り切りたいと思います。



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第6回紬きもの塾――柿、桜で染める

2018年07月27日 | 紬きもの塾’17~18


毎日最高気温を更新して今週月曜日には東京でも40℃を超えました。

この暑さの中、冷房無しで、染色をするのことに慣れない方たちが無事に作業を終えることが出来るのか、、とても心配していました。
暑さ対策、着てくるものなどについても前もって注意しておりましたが、みなさんいろいろ工夫して準備してくださいました。

まずは染色の流れや注意点の説明などをして、工房の庭木を伐るところから始めてもらいました。

糸染めには柿の枝を使い、帯揚げには桜の枝と葉を分けて煮出し、灰汁媒染とアルミ媒染の二通りに染め分けました。
12時半から5時半過ぎまでビッシリの作業でした。

汗だくになりながらもとても真剣に取り組み、また楽しそうで、明るい笑い声、そして染められたものを見て「わ~きれい!」「わ~きれい!」という声がみなさんから聞かれました。私も何度見てもこの時期の植物の生命感に「わ~きれい!」を何度も言ってしまいます。

真夏の染色は暑くて大変ですが、すぐ乾きますので効率よく仕事を進められます。
半日しかない中でも、しっかり染められたと思います。


柿の枝を細かく切る。今回は葉は使いません。


150gの染材を煮出しています。


煮出している途中も小さなガラス瓶に染液を取り、やめ時を見極めます。長くすれば良いというものではありません。


糸を絞ったあとに風を入れるやり方を伝授。強く引っ張ったり、糸に素手でたくさん触ってはいけないことなども話しました。
糸を傷めないためにとても大切なことです。


放冷中も糸を繰る。温度が下がる時にも色素を吸収するのでムラになりやすい。


温度が下がるまで留め釜をして色素を定着させる。


干して乾かすことでまた色を定着させる。干すことも染めること。
柿でピンクベージュが染まりました。


帯揚げは奥が桜の枝の灰汁媒染。手前が葉と枝の混合のアルミ媒染。
ボールを使って糸を染めるように布をムラなく染めるには工夫やコツ必要です。
ここには書ききれませんが、紬塾ではその説明もします。

帯揚げは持ち帰って自分で洗って干し、1週間ほど室内で陰干しして色を安定させ、スチームアイロンを掛けてもらいます。
乾くと色は半減しますがどんな感じになったかは次回の紬塾に持参してもらいます。どんな仕上がりか楽しみです!



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百生やつるひとすじの心より

2018年07月20日 | 工芸・アート


暑中お見舞い申し上げます

西日本を中心とする豪雨で多くの方が亡くなられました。
また被災して今も困難な状況の中におられる方々、ご関係の皆様にお見舞いを心より申し上げます。
東京も今年ほど厳しい夏はなかったように思います。暑さには強いほうですが、梅雨明け後も湿度がとても高く身体に応えました。
海水温の上昇、温暖化をなんとか食い止めてほしいものです。

この酷暑の中、工房では秋の展示会向けの作品制作をしていますが、涼しくなりましたらアップいたします。
さて、工房内のささやかな床の間スペースに一服の“涼”を求めて加賀千代女、小川郁子、中野みどり、古いものと新しいものを取合せてみました。(^_^;) 



掛け軸は江戸期の俳人、加賀千代尼の句幅。
取合せとして、「江戸切子矢来紋蓋物」(小川郁子作)
敷布は紬織り藍染格子縞「「秋雨」(中野みどり作)

掛軸は10年近く前に古美術店で求めました。
「百生(ひゃくなり)やつるひとすじの心より」 加賀千代尼(1703-1775)


たくさんなっている瓢箪を詠んだ句です。瓢箪の季語は秋に分類されますが、来月になれば立秋ですから盛夏に掛けておく軸かと思います。
句の意味はなんとなくいいなぁ、、、でしたが、表装の裂地にもとても惹かれました。
当時のままの表具と思いますが、天、地は透ける生地に緑色の和紙で裏打ちがされています。それが生成りの絹を通して薄緑に浮かび上がっています。キビソ糸で織られていて表具に多く使われたと思います。糸の太細の落差の表情がたまりません。


中廻しと一文字の裂地は繊細な組織の織りでキビソとのギャップが大きい取合せもすごくいいです。地の目が通ったとても良い表具です。薄くて扱いにくい生地だと思いますが、手織りしかなかった時代の地の目を見れる職人技です。

千代女の「朝顔に釣瓶とられてもらい水」は有名な句ですが、この句も千代女のやさしさが感じられて味わい深くとても好きになりました。


取合せの小川さんの蓋物は2~3年前の個展会場でいただきました。
カットも色も他にも何点かありましたが、この透明な生地に伝統的な矢来紋の深い切込みが私にはむしろ斬新で力強く、小川さんの力量を象徴しているものに思えました。
木の蓋は外注するそうですが、身と蓋の取合せには苦労もあるとのことでした。
先日サボア・ヴィーブルでの個展を終えられたばかりですが、その時、工芸評論「かたち」の笹山さんが『人は日々』シリーズとして会場でインタビューした時の様子を動画にしたものが下記よりご覧いただけます。
敷布は10年ほど前の仕事ですが、同じ経てで縞帯を3本織った時のものです。そのうちの一本を私も半幅帯にしてよく使っています。
もう一本は、少し前の「和楽」記事に、森田空実さんが名古屋帯で締めてくださっていました。
私の半幅帯の着姿はこちらで。 

小川さんの個展会場での動画はこちらから。他の方も含めご覧ください。
「個展会場の臨場感と作家の「素(日々)の語り」を聴いていただくことを主眼としています」ということです。




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第2回 紬きもの塾――糸の力、色の神秘

2018年07月06日 | 紬きもの塾’17~18


糸や色、布の風合いの話の回が紬塾の核になるところです。
布を見る上で、着物を着る上でも参考になるような話をします。
みなさんもとても熱心に聴講してくれました。

観察が大事ですので、まずは真綿や未精錬の糸、精錬後の糸、真綿紬の糸の様々もしっかり見てもらいました。
先に解説などしないようにし、知識はあとからポイントだけお話します。
繭から糸を繰る、真綿から糸をずりだすワークショップも行いました。

繭から繰り出される糸の美しさに感嘆の声が上がります。

黒っぽい紙に糸を巻き付けながら糸を繰ると、最初は太い糸束が出てきます。
その糸がだんだん蚕が吐き出した1本の糸になります。
繊細で震えるようなウェーブがきれいです。
お蚕さんは不眠不休で頭を大きく振りながら8の字をかくように2日ほど糸を吐き続けて繭を作ります。
その繭から私達が着る着物やシルク製品が作られるのです。


また草木の生木で染めた色に目が吸い付けられるようにみなさん見ていました。

人の肌にも、どの色を当ててみても似合わないということがないのです。
化学の色は、色相によっては人の肌に馴染む馴染まないがありますが、色素の複雑さと生き生きとした自然物にしかない発光するような色は私達の肌と呼応するのだと思います。


糸綛をノーメークの顔の近くに当てて見てもらいました。
ピンクベージュ、イエローベージュの糸、どちらも似合わないということはありません。

紬塾初回に、私が着ているピンク系、イエロー系の紬をみなさんに両方羽織ってもらいますが、今までどちらも似合わない方はいなかったと思います。
もちろんより似合う、、ということはありますが。

身近な自然がこんなに美しい色を宿し、与えてくれるのです。大切に有り難く利用しない手はありません。

最後は部屋の灯りも消して夕暮れのほの暗さの中で染糸を見てみました。
みなさんも改めて「この光の中でもきれい・・」「深みを増すよう・・」とつぶやかれていました。

次回、染織コースの方には実際に糸や布を工房の庭木で染めてもらいます。
結果だけではなく、過程も体感してもらいます。





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麻の肌襦袢&ローライズステテコ入荷と麻のバイアス汗取りのご紹介

2018年06月29日 | 麻ローライズステテコ&肌襦袢/長襦袢
麻(ヘンプ)の肌襦袢&ローライズステテコが麻福さんから入荷になりました!
ご予約いただきました方には準備が整い次第、発送致しております。

肌襦袢の襟ぐり(繰越)は着物や長襦袢並み(くり抜いていません)になっていて、汗で襦袢の襟周りを汚さないように考えました。
着用のときには背中心を軽く引いて着ると襦袢から隠れます。衣紋を抜いて着ることが肩周りの生地をバイアスにしますので体に馴染みます。

ステテコはゴム紐を替えられるようになっています。

届きましたら一度水洗いして表面の紡績糸の毛羽を流してからご使用下さい。
乾燥機のご使用は不可となっております。大麻の茎を割いたものを原材料としていますので、自然乾燥にして下さい。乾きやすく、夏は室内干しでもよく乾きます。


   肌襦袢の上にヘンプ、リネンの蚊帳生地タオル2本を接ぎ合わせてで作った汗取りを巻いています。(洗濯済のもの)


櫻工房のオンラインショップでは麻福さんの蚊帳タオルも2本一組、縫い方説明書付きで販売しております。

タオルはヘンプ×リネンというとても贅沢なものですが、麻わたよりも通気性がありますので汗取りタオル、補正タオルに最適です。汗取りワタの付いた肌襦袢も今まで着てきましたが、私にはこれがもっとも涼しく感じられ、ベストな方法です。
晒などで作る岩田帯(腹帯)の作り方をヒントに考案しました。

この蚊帳タオル2本を接ぎ合わせバイアスに縫っていくと、フィット感もありまた長さも出ますのでこちらも肌着とセットでお使いいただきたいと思います。9号サイズの方は2本まるごと使うと少し長い(3周目にかかる)と思いますが、補正用ならそれも良いと思います。
長い場合は布幅分(30cm)カットして、裁ち口をもう一本と接ぎ合わせてから斜めに縫っていきます。

オンラインショップで肌着お求めの方には作り方説明書をお付けします。


                                        巻き始め


                                        巻終わり
上の写真は9号サイズの方に巻いてもらいました(30cmカットしたもの)。
巻き始めは脇のあたりにして2周巻き付け巻き終わりは前で挟みます。
きつく巻かずにゆったり巻くほうが通気性が良くなります。赤糸のところが接ぎ合わせた箇所です。
洗濯はネットに入れ、ごく軽く脱水し天日で干します。

広幅生地のなかった時代に、小幅の布を斜めに縫ってバイアス使いする知恵は日本的感性です。
裁付袴、米や豆を入れたりする角袋、ねじりコン袋などもバイアス利用です。あずま袋、数寄屋袋もそうですね。

女わざの会の森田珪子さんに千利休の妻、宗恩の手がけたバイアス縫いの茶入の仕覆の作り方も伺ったことがあります。
森田さんにはたくさん教えていただきましたがバイアスの不思議というか合理を感じます。

ヘンプの肌襦袢、ステテコ、汗取りは浴衣下にも、木綿、麻、紬、染の着物にも!
下着は“着ること”の基礎になるもので、見えないけれど大事です。

とりあえず真夏のパジャマにして柔らかくするのもいいです!ロングスカート下にもいいです。
正座の時間の長いお茶席でも汗取りにステテコは活躍します。(^^♪

麻ですが平織りなので一年中使用できますのでこの爽やかさを体感いただきたいと思います。
早速、この夏からの快適な着物ライフにお試し下さい!

小ロットでコストがかかっていますが、只今2点で10%OFFにて販売しております。

櫻工房オンラインショップはこちらから。 →
お支払いは、後納とヤマトの代金引換(現金・クレジットカ-ド・デビットカード可)をお利用いただけます。

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第4回 紬きもの塾――真綿から糸をつむぐ

2018年06月25日 | 紬きもの塾’17~18


4月にスタートした「紬塾'18」は私の都合で2回お休みとなり、関係の皆様にご迷惑をおかけしましたが、ようやく昨日2回目の講座開催となりました。

今年も3名の方に久米島式で真綿から糸をつむいでもらいました。
2枚の角真綿(約3g強)を掛けました。上の真綿からきれいに一枚ずつ片付けてつむぐとスルスル真綿が出てきます。
一番つむぐのが難しい着尺2~3本合わせたような太さにつむいでもらいました。

1時間半、つきっきりで見ておりました。。(@@;
目が話せませんでした、、。(・・;


三人の方がつむいだ糸。違いがわかりますか?
織ったときの景色が楽しみです…(^^♪

大事なことは真綿の繊維をちぎらないようスルスルと出てきやすいように、人が真綿の状態をよく見て繰ればいいだけです。
五感を働かせて、よく観察することが大事です。

真綿作りもすべて手仕事で、繭一つ一つを指先で広げて重ねたとても手間のかかっているものですが、これ自体も不揃いであったり、不規則性もあり、こちらが素材に近づいてあやすように扱わなければならないのです。

糸をつむぐことは楽しい仕事でもありますが、着るためにつむぐということは厳しいことです。

糸つむぎの内容は初めての方は昨年の記事もご覧ください。→ 

糸つむぎの台は久米島にしても結城にしても、とても単純な道具です。
人が真綿から糸を引き出してくる際にどこかに真綿を止めておく(掛けておく)だけのための道具です。

固定している釘も少ないほうが繊維を切らないのでよいです。
竹の釘があればそれがベストと思います。いろいろ工夫すれば良いと思います。

素材や道具に素直に向き合う姿勢がないといい糸つむぎは出来ないと思います(なんでもそうですが、、)。

蚕が2日ほど掛けて吐き出す、あの0.02mmの細い糸は無理に引っ張り出せばどんどんちぎれてしまいます。
そのことに気づく優しい眼差し、素直な観察力が必要です。

次回7月1日は順序が逆になってしまいましたが、真綿や糸の話し、植物の中に潜んでいる色の話、風合いの良い布を織ることについて講義します。
「紬きもの塾」の一番核になるところを話します。





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小さきものたち

2018年06月14日 | 着姿・作品


今日は一日どんよりとした空、梅雨寒でした。

少し体調を崩してブログ更新も出来ませんでしたが、仕事に復帰して秋の展覧会向け着尺、帯の制作に励んでいます。


今朝、庭のねじばな(もじずり)を摘んで工房玄関入ってすぐの小さなニッチに飾ってみた。



小さな床の間スペースです。

ねじばなは毎年芝生の中からスック、スックと伸びてきて濃いピンクの花をつける。
梅雨の曇天の中でも小さいながら存在感をアピールしている。

モンシロチョウも蜜を吸いに来る。
ねじられた一つ一つの花を自分も螺旋に回りながら秩序正しく吸っていくのを昨日見て思わず笑った。(^^♪



額装は25年ほど前に伝統工芸展に出品した着物の織り付け部分で作ったものを合わせてみた。
こちらも絣の動きが花と少し似ている。

「セイロンの香り」と題した紅茶染めの地色。桜の黄茶、一位の紫、藍の縞を配して。



手のひらに収まるほどの小さな花器にもなるオブジェ(伊藤みちよ作)に活けてみた。
敷布は桜、シラカシなどで染めた帯の端布です。

小さきものたちになぐさめられる日々。



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麻ローライズステテコ&肌襦袢 先行予約受け付けます!

2018年05月19日 | 麻ローライズステテコ&肌襦袢/長襦袢
今年は4月に夏日が何日も出るほど暑く、春をのんびり楽しむ暇もありませんでした。
5月も暑かったり寒かったり、寒暖の差が大きく爽やかな5月が恋しいです。

こういう時期に真綿系の単衣紬は保温性と吸放湿性に優れ重宝しますが、着物だけでなく下着類も重要です。

2年前に数量限定で作りましたヘンプ(大麻)の肌襦袢、ステテコは完売しておりましたが、麻福さんの協力で追加で作っていただくことになりました。
素材の良さ、柔らかな平織りという点でも希少なものだと思います。

ヘンプは吸放湿性、消臭性、抗菌性、紫外線防止効果などに優れています。
麻の中(リネン、ラミーなど)でも抗菌性、紫外線防止効果は特筆すべき点のようです。

また、麻は接触冷感と言われ、身体にヒンヤリした感触があり夏には特に快適です。
麻はチクチクしてダメ、、という方にもこのヘンプ生地は心配いりません。
1~2回水洗いすると身体に馴染んできます。

ある程度の数の把握もしたく、先行予約を受け付けますのでショップの注文フォームからお申し込み下さい。
※櫻工房にメールアドレスをご登録いただいている方はメールでお申し込みくださっても構いません。

ステテコはM、Lサイズがあり、肌襦袢はフリーサイズです。
ステテコは身長160cm以上の方は細身の方でもLのほうが長さがあって良いかと思います。

上の写真のモデル身長は158cm、体重53kg、Mサイズ着用。丁度ピッタリの感じです。
肌襦袢は9号、11号向きですが、その前後の方も紐である程度は調節していただけると思います。
衣紋は抜いて着て頂く仕様です(衿を最初からくり抜いていません)。

ステテコは和装だけでなくスカート下にも最適です!
真夏に冷房なしで過ごす方向けの室内着、パジャマ!?としてもオススメです!!

夏ももちろん快適ですが、中空繊維の麻は保温性もあり、一年を通して快適です。
納期は6月下旬を予定しています。

尚、ヘンプの蚊帳タオルも一緒にお申し込みいただくことができます。
汗取り、補正用にバイヤス縫の説明書をお付けします。

初めての方は2年前の詳細記事もお読みください。
☆1、 ☆2

肌着のshopはこちらから。

入荷になり次第ご連絡の上、発送いたします。

ヘンプ素材に魅了され、運針の練習も兼ねて作ったシーツなども一年中使っています。
また、紬塾でも3年前から麻の伊達締めはヘンプ生地を切り分けて縫っています。

櫻工房の着心地の良い紬とともに、爽やかな着心地のヘンプローライズステテコ&肌襦袢を是非ご活用いただきたいと思います。




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『かたちーー人は日々』創刊と「現代工芸論講義」お知らせ

2018年05月08日 | かたち塾、アート鑑賞いろは塾
笹山央『現代工芸論講義』第1講が音声投稿サイトで聴くことができるようになりました。
こちらからご覧ください。 →  5月18日追記


諸事情でブログ更新ができないでいましたが、ようやくなぜか丹沢山系の山並みや新緑を眺めながらPCに向かっております。。。(^_^;)

今日は工芸評論家かたち主幹の笹山央さん(紬塾の発案者)が創刊しました『かたち―人は日々』のご案内と「現代工芸論講義」のお知らせです。

笹山さんは美術記者時代から工芸、美術評論、陶100、陶21などの執筆編集に関わり、多摩美術大学でも現代工芸の講師なども勤め、評論活動40年になるようですが、この冊子を自身の日々精進の集大成のような気持ちで発行されるようです。どれだけ多くの方の仕事を見てきたのでしょう。。。
つくり手やその周辺で関わってきた方、ベテランから若手まで、日々精進が認められる方々を論評、紹介していきます。

ジャンルは問いません。3年間の発行を予定しています。
また、19年は若干名、20年は記事掲載の余裕がありますので笹山さんの評論を希望する方は初めての方も含め、かたちのサイトからお問い合わせください。
購読希望の方はできれば年間購読でということです。
因みに私は20年に掲載予定です。

「かたち」の題字はかたちを立ち上げた若い頃に書家の井上有一さんに書いてもらったそうです。その後生け花の中川幸夫さんの字にかわりますが、初心に戻るということでしょうか。
このお二人からも数々の教えを受けてきたのだと思います。

創刊号の挨拶文の一部を抜粋させてもらいます。工芸評論という難しいジャンルにおいて、今の時代に語り続ける決意表明と受け止めます。

[禅宗の修行でも茶の湯の稽古でも、日々の精進こそが肝要だとされている。
スポーツでも足腰を鍛えるための基本的な身体訓練は、たとえ技の頂点を極めていても、それで止めるということはないようである。
アートにも、ものを見る力をつけるための日々の訓練を死ぬまで続ける人もいる。
基礎的な訓練の日々の積み重ねこそが人を遠くまで導いていくのである。
してみれば、日々精進がその人を育てていくのであり、どのような果実を稔らすかということは、その人の日々の精進にかかっているのである。
かくして、理念やコンセプトに基づく価値観のヒエラルキーがすべてノイズ化して漂流するこの時代に、一人一人の個別性に即しての「日々精進」を見ていくことにした。

この人(作る人、観る人)はこれまでに自分をどのように創ってきたのか、今ここで何を創ろうとしているのか、そしてものづくりというメディアを通して自分をどのように育てていこうとしているのか、私の身辺近くに見えている人について、そういったあたりにまなざしを向けてなにがしかの言葉を紡ぎだしていく、それを私自身の「日々精進」としていきたいと思っている。]

先日プロフェッショナルな訓練を受けた方々を間近で見る機会がありました。
心身ともにブレない軸が有り訓練を受けた上での日々の精進のたまものなのだろうと思うことがありました。相手にいい意味での程良い緊張感を与えつつ穏やかな冷静な対応。

多くの方がそれぞれの日々精進をされていますが、私も染織の道を淡々と日々精進していきたいと思いました。

この冊子がジャンルを超えて何らかの刺激となり相乗効果をもたらす内容になって欲しいと期待します。

ぜひ読んでいただきたいです。
お申し込みはこちら。 

「現代工芸論講義」の方は第1回目は今週11日(金)5時から6時半です。
昼間の時間帯の日もありますので、都合の良い時だけでもぜひ参加してください。

毎回参加できない場合は音声の投稿サイトに投稿するとのことですからそちらで前半の話だけ聴くことができます(有料)。
どの内容も現代工芸の基本的なことですのでつくる人、使う人、観る人、どなたでも関心のある方は聴講してください。
笹山さんの話はテーマを投げかけてくれ考えさせてくれるのでそれぞれの人なりの理解があるように思います。ひとつのテーマは15分くらいにコンパクトにまとめて話れるということで聴きやすいと思います。とてもいい話を聴けると思います。
私は初回は残念ながら参加できませんが以後を楽しみにしています。

会場は都内元麻布の狩野グラススタジオです。

概要は下記の通りです。

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<冊子「人は日々」>

この冊子は、基本的には1979年の季刊工芸評論誌『かたち』創刊以来、今日まで断続的に継続してまいりましたプリントメディア「かたち」のシリーズの最新版として発行するものです。
今回はサブタイトルを“人は日々”として、「かたち」主幹の笹山が、工芸・アートの創作とその周辺で活動する方々を個別的に紹介・論評させていただくという編集方針をとっています。

1.誌名・サブタイトル――――「かたち――人は日々」

2.体裁―――――――――――B5版16頁または24頁、4色刷

3. 発行回数―――――――――年間2回(春季・秋季 2020年まで)

4.販売価格―――――――――1冊1,100~1,300円(税込)

5. 主な内容

•作品紹介と評論―――「日々精進の結実としての創作」というところに主眼を置きます。
•一人3頁で構成
•1冊4人(16頁の場合)~6人(24頁の場合)
バックナンバー(冊子ご購読のお申し込みはこのサイトからできます。)

ものづくりの活動を、”日々精進”の観点から、個人別に紹介・論評していきます。

「人は日々」という言葉は、笹山が禅語の「柳は緑、花は紅」の後にくっつけてみたら、と思って造語したものです。


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<「現代工芸論」講義 (全10回)>

『現代工芸論』の著者、笹山央による公開講座です。

投稿サイトに上げることを目的としますので、音声収録を兼ねます。
今年度は、基礎編として、現代工芸についての基本的な知識や考え方について講義します。
どなたにもわかりやすい内容です。

会場 ●狩野グラススタジオ 東京都港区元麻布2-5-17  地下鉄南北線・大江戸線「麻布十番」駅

聴講料 ●1000円/回   ※予約お申し込みは必要ありません。

講義のLIVEに全回参加していただくに越したことはありませんが、1回ごとの参加も可です。LIVEに参加できなかった場合には投稿サイトをご利用ください(5月12日以降)。

LIVE講義スケジュール(日程・時間が変更される場合がありますので、ご来場の際は前もってご確認ください。)

第1回 5月11日 (金) 5:00~6:30p.m. 工芸と工業(決定的な違い)

①生産量の観点から   工業は大量生産、需要者は不特定多数。工芸は一品または少量生産。需要者は限定的。

②規格性の観点から  工業は規格が定められて均一的、消費期限を明示。工芸は限定されない。
(※その他―――工業製品は市場を伴い、他の製品との競争を免れない。工芸には価格競争はない。

第2回 5月25日 (金) 5:00~6:30p.m. 工芸と美術(決定的な違い)

③ コンセプチュアリズム  美術は概念性、思想性が求められる。工芸は求められない。
④ オリジナリティ  美術はオリジナリィを重視する。工芸は重視しない。「写し」が認められる。

第3回 6月15日 (金) 5:00~6:30p.m. 「伝統工芸」とは? 

⑥ 西洋志向とナショナリズム   民族的・国家的アイデンティティの拠り所としての「伝統」

⑦ 伝統工芸展と伝産  日本工芸会主催の「日本伝統工芸展」と「伝統的伝統的工芸品産業振興協会」の定義。

(以上かたちのサイトから転載)

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4回目以降、詳細はかたちのサイトからご覧下さい。
かたちHP 



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[第10期 紬きもの塾'18]開講しました!

2018年04月18日 | 紬きもの塾’17~18


「第10期 紬きもの塾'18」が開講しました。
お陰様で10年目に入りました。

今期は遠方からの参加者もあり、また以前から気になっていたものの、今年、やっと日程が合ったということで参加してくださった方もいました。和裁をされる方、お茶、お香、日舞など和の趣味の方もいらっしゃいます。

着物はみなさんお持ちで着ることもできるということです。
ただ、紬に惹かれながらもよく素材のことなどわからないということで参加をしてくださいました。

まずは私の師であり、紬の基礎の教えを受けた紬織人間国宝、宗廣力三先生(1914-1989)の作品集を一緒に見ながら、先生の創作の原点にあるものについてなど説明しました。


上の写真は竹文様の手結絣で、シンプルなデザイン、色数は抑えながらも織物の奥行き、深さを醸し出した作品です。
織は研究生が担当しますが、きれいに絣を合わせています。
シンプルなデザイン故に技量のある方でないと織れません。ごまかしがきかないのです。


こちらは緯絣で織り出した「十草縞」原寸大の部分写真を見ながら解説しました。私もこの絣縞は2~3反色違いで織らせていただきました。初めての絣でしたが括るのも大変、織るのも大変でしたが無心で夢中で仕事をしました。織り上がったときに先生の奥様から「絣が合いすぎね!」と皮肉交じりに言われたのです。悲しい気持ちになりました。。(;_;)
そばにいらした宗廣先生が、それに対して「始めは合い過ぎぐらいでいいんだ」とフォローして下さったことを思い出します。合わせられるからずらすこともできる、という意味だったと思います。
修業時代は辛いことも多い日々でしたが、宗廣先生の本質を突いた言葉に納得し、また支えられてきました。

先生は郡上の土地に根ざした郡上紬を興し、紬織の根源を見極めつつ独自の世界を創り出した方です。私もその仕事の根っこは学ばせてもらいながら今の時代の中で私なりの道を切り拓いていくつもりです。来年は宗廣力三先生没後30年になります。

みなさんからもどんどん質問が出て予定の時間をオーバーして説明させてもらいました。


中盤では私が着ている紬を2枚用意しまして、服の上からですが、交替で纏ってもらいました。

袷と単衣、真綿系と玉糸系、ピンク系と黄色系。
紬といっても対局にあるものを二通り纏ってもらうことでどんな感じを受けるのか、違いをみてもらいました。私からは先に何の解説もしていません。みなさんの根源的感覚を呼び覚ましてほしいからです。
次回、このことは糸や色、織についての解説の中で解きほぐしていきたいと思っています。



それにしても毎回そうですが、紬を纏うと自然な色や風合いに「ワ~ッ」とみなさんから声が上がります。
また初対面の方ばかりですが、着るところを見ている方からも笑顔がこぼれ、和やかに会話が始まります。

素直にものを観察するところから始まり、先入観や固定観念ではない“紬織”と出会ってもらいたいと思います。






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3月の装い――此の手縞の紬

2018年04月13日 | 着姿・作品


先月初旬の工房展へご自身で車を運転されお越しくださいましたお客様の着姿をご紹介いたします。

お母様の介護やお孫さん達の世話などここ数年の忙しさも重なり体調がお悪かったようですが、この日は久しぶりにわざわざ着物でお出かけくださいました。

春らしい色の此の手縞紬に現在90代のお母様が使われていた帯を合わせて来てくださいました。
落ち着いた赤茶の縮緬地の染帯です。辻が花風の絞りがほどこされています。
紫の指輪はアメジストでしょうか、、?暖色系でまとめた取合せに紫が効いていて素敵です。
お母様との思い出や想いも一緒にまとっている安らぎの取合せでした。


以前のブログでもご紹介しました森田空美さんの『灰色光』をご覧になられたいということでしたが、その後姿を撮らせていただきました。

この着物は色出しが難しいのですが、桜や杏で染めた落ち着いた柔らかなピンク系です。
「娘に合いそうだから・・」とおっしゃられてお求め頂いた着物ですが、まだ娘さんは袖を通されていないようです。。。(^_-)

此の手縞というのは濃淡のある色糸だけで経、緯の筋を織りだします。
緯糸も濃淡のある糸を一越おきに織ります。
此の手縞は色を替え何反か織ってきました。
濃淡の対比を大きくすると力強さや素朴さが増し、少なくすると無地感覚になり品良くなります。私も単衣でよく着ています。
紬糸の味わいを愉しむ事ができ、帯合わせもいろいろ出来る織りです。次の個展にはまた織りたいと思っています。



こちらは数年前の写真ですが、この取合せは帯も私の藍の縞帯を合わせてくださいました。
染め帯と織り帯、暖色と寒色の帯合わせでかなり違う雰囲気になっています。

山あり谷ありの人生ですが、折りに触れ安らぎの紬に袖を通して頂けたなら創り手冥利に尽きますし、今は子育てで忙しい娘さんもいずれバトンタッチされていくことになると思いますが、次の代へ手渡していくことも大事なことですね。

この日は今頃の季節にも合いそうな藤色の帯締めを一本お求めいただきましたが、どちらの帯にも合いそうでしたので、帯締めを替えてまた愉しんでいただけると思います。

昨年5月に単衣紬で工房へお越し頂いたときのこちらのブログもご覧ください。





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