中野みどりの紬きもの塾

染織家中野みどりの「紬きもの塾」。その記録を中心に紬織り、着物、工芸、自然を綴ります。

半巾帯プロジェクト連作10本の返し歌

2021年07月21日 | 紬の上質半幅帯
半巾帯10本の連作をプロジェクト参加の方から、感想を頂きましたので紹介させていただきます。
それぞれの方が真摯に帯と向き合い、思い思いに綴ってくださいました。
共に分かち合いたく思います。

これで、発句を詠んだ私の役目は一応果たせたかと思います。
どんな歌が返ってきたのでしょう。。

いえ、これから身に付けていただき、一生を掛けて返し歌が生まれてくるのでしょう。今後がとても楽しみです。

少し長くなりますが、前の記事の半巾帯完成作品画像と比べながらご覧ください。


トップの写真は万葉集でも詠われてきたイヌタデ。
買い物の道すがら、白い蓼の花が咲いていました。清楚で心洗われます。
子供のころから好きだった赤まんま、藍の花、薄ピンクのサクラタデ・・。

この帯たちも楚々と静かに、でも存在感を持ちながら、それぞれの方のそばで活躍してくれることを心から願います。 

プロジェクトのご参加本当にありがとうございました。

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変奏曲「寒明ける」

先生の半巾帯は、既に一本手元にあります。
自然の輝きをまとった、とてもきれいでありながら、親しみを感じる素晴らしい帯です。
それなのに、さらにもう一本手に入れることを少し躊躇していました。
しかし、このような上質の半巾帯にはそう出会えるものではなく、プロジェクトへの参加を決心しました。

初めて見た「寒明ける」は、気高い光を放っていて、第一印象は、これを締めるのは緊張するなぁ、というものでした。
しかし、手持ちの着物にのせてみると、藍の面も、ピンクの面も、どちらにも良く合い、それぞれに全く違った雰囲気になります。
私の着物人生の最後まで、ずーっと長く愛用できると、ワクワクしてきました。
よこ柄のある部分はもちろん、そうでない部分でも、様々な味わいの糸が織り込まれており、何度眺めても、その都度違う景色が見えるのです。

私も自然の一員ですから、草木のような輝きを秘められるよう、この帯と調和できるよう、内面を耕したいです。
この度は、進捗状況を画像で少しずつ知らせて頂き、織り上がるまでの過程を拝見できたこと、素晴らしい帯を作ってくださったこと、本当にありがとうございました。
またいつか、姉妹の帯たちと再会できるのを楽しみにしています。 N.T.


変奏曲「雪間の草」

私は今回、変奏曲の1本を購入しました。初めて中野先生の作られた作品をいただいたのですが、なんだか不思議な気持ちです。とうとう!でもなく、かといって他の帯のように頑張って買っちゃった!でもなく、その時が来たのだな、という感じです。

心の中は静かで、手に入れた喜びよりもこれからどう使おうか、ということを考えていて、自分でも少し驚いていますが、たぶん中野先生の帯が私をそうさせているのだと思います。

まだ締めて出掛けてはいませんが、梅雨も明けたので、夏のお出掛けでもこの帯を締めるつもりです。

リバーシブルの赤系の面の色もとてもきれいだと思います。
果物の酸味を感じるようなさっぱりした赤で、こちらも楽しみです。

今後はとりあえず、この帯を合わせてみようと思っています。そうすることで、今までとは違うものを感じられそうな気がします。

「雪間の草」の銘が嬉しかったです。
先生がお披露目会で紹介してくださった歌を、かたち21の笹山さんのブログで見つけてノートに写しました。

花をのみ待つらん人に山ざとの雪間の草の春を見せばや

私はこの歌を、美しいものはあちこちに散らばっていて、それらを見つけることが楽しいことなのだ、という様に解釈しました。
これからこの帯を締めて、たくさんの発見があると思います。とても楽しみです。  U.E.


変奏曲「春の雨」、連歌「寒梅匂い」

中野先生を知ったきっかけは、雑誌の半巾帯特集を読んだことです。他では見たことのない優しい色彩と糸の放つ淡い輝きに心を奪われました。
幸運なことに、そのときちょうど今回のプロジェクトの参加者を募っていたので参加させていただきました。

先生は季節の移ろいや美しい自然の情景をとても繊細に捉えて作品に落とし込まれていて、先日のお披露目会で並んだ作品はどれも素敵なものばかりでした。
その中でも私の着物や私自身をイメージして製作していただいたものは私にしっくりくるような気がして、特別なものになりました。
先生の作品は全て銘がついていますが、銘を聞いた上で作品を前にすると、いずれも美しい日本の景色が眼前に浮かび上がりとても心地良く感じるので不思議です。

何人かの方と同じ縦糸を共有していることも、嬉しく思います。今後、冬の寒さのにも春の光を感じたとき、花が芽吹いたとき、春の恵の雨が降ったとき、菫が咲いたとき。。それぞれの季節の巡りを感じた折に皆さんの作品を思い出すような気がします。
色々書いてしまいましたが、まだまだ半巾帯初心者です。はじめて雑誌の誌面で見た先生の装いのような素敵な着こなしができるまでには時間がかかりそうですが、じっくり楽しんでいきたいと思います。  G.M.


変奏曲「山笑う」

自分の帯とそれから同じ経糸の姉妹のような帯と出会えて、素敵な御披露目会でした。

オーダー説明会の話しを伺った時は、私の頭の中にはぼんやりしたものしか浮かびませんでしたが、出来上がった帯を目の前に、命名に因んだひとつひとつの話を伺い、織り方や糸の色、太さで違っていく帯の表情は、連歌・変奏曲の命名の通りだと感じました。

季節を辿っていくのが、また興味深く、どの帯もいつまでも眺めていたかったです。

帯を結んだ時、ただ単にくるくる巻いただけなのにピッタリと綺麗に柄が出て、あまりの具合のよさに鳥肌が立ちました。
まだ、結んで外に出る機会はないのですが、まずは無地の濃い地の着物に合わせ、この帯を目立たせて着てみたいです。ありがとうございました。 K.Y.


変奏曲「柳の花」

中野みどり先生の帯をいただくのは、今回で2度目になります。
初めての帯は桜と木斛で染められた花織で、一見単色ですがよく見るとさまざまな色の粒子から成っていることがわかり、染織の奥深さを知りました。

今回の半幅帯プロジェクトでは多くの色を選ばれ、さまざまな織り方で織られると伺い、染織の違う一面を見てみたいと参加を決めました。

打ち合わせが始まる少し前に病を得て、リハビリのために昨年の春頃はひたすら野原や川辺を歩いたのですが、木々の瑞々しい芽ぶきや色とりどりに花が咲いていく様子を日々眺める中で、身近にある恵みの有り難さに気づき、感じた言葉を先生にお伝えしました。

先生が染めるのが難しいと言われた緑色を基調にした「変奏曲」にしましょうと決めてくださったこと、私が途中で色をご相談したところ、即座に「では菫の花も咲かせましょう」と答えてくださったことがとても嬉しかったです。

完成した連作帯は、微かな春の訪れの気配から初夏に向かう頃まで、季節の移り変わりが10本の織と色で再現され、ひとつの物語のようにも一曲のセレナーデのようにも思えて感動しました。

私の帯は最後の時期、柳の季節を描いたものですが、身につけるごとにあの頃の発見の悦びが蘇りそうで、とても嬉しく今から楽しみです。

先生にはいろいろ我儘を聞いていただきご苦労をおかけしましたが、素晴らしい作品をつくっていただき、感謝の思いでいっぱいです。ありがとうございました。  I.K.


連歌「日日是好日」

とても優しい色合いで心があたたまりました。
服の上から帯をしめてうれしくなりました。

ずいぶん手がこんでいて大変だったと思われます。
私の着物にもぴったりです。
なんと言ってもほっこりする気分になります。

いろいろご無理を言いましたが本当にありがとうございました。 N.K.


連歌「柳緑花紅」

去る7月4日のお披露目会では『変奏曲』『連歌』ともにそれぞれの主題とネーミン
グもとても素敵で、本当に【繋がりのプロジェクト】ならではの醍醐味を拝見させていただきました。

「柳緑花紅」 その名の通り、柳の新緑と ほんのりと色のさす花を思わせるような
段の差し色がほど良い存在感で、心を弾ませてくれます。

能動的に求めた初めての半幅帯。
今まで浴衣には締めても、着物には使いこなせるほどのものは持っていなかったこと
と、どうしても名古屋や袋でお太鼓…が慣れているので考えにも及ばなかったのですが、今回のこのプロジェクトに参加できたことにより様々な合わせ方や結び方、そして楽しみ方があるということを知りました。

当初は何となく「グレーや黒色系の単衣に合うように…」と、織っていただいたもの
の実際に手元に届き、その心地良い手ざわりと思っていた以上の極上かつ素敵な仕上りに、いまとなっては「やっぱり濃藍の袷の紬に締めてみたい」「桜鼠の小紋にも合うだろうな…」など色々なとりあわせが頭の中でめぐります。

中野先生に教えて頂いた様に、帯揚や帯締めも使ったりなどもして、様々なシーンで
無限の楽しみ方にトライできればと思っています。 O.Y.


連歌「ほととぎす」

この帯を見て、実物を自分の目で見ることの大切さを痛感させられました。いつのまにか、画像や動画への過信があったと気付かされます。

帯を眺めて触っておりますと、次々と現れる色の質感に飽きることがありません。多色でありながら、どの色も調和していて、全体に静かな華やぎ、艶があります。

もちろん結んでみました。割角出し、矢の字、吉弥。この帯だったら、私の年齢でも文庫もいける!と私は思いました。

先生から頂いた上の句(帯)を受け継ぎ、下の句(結び、取り合わせ)をこれからゆっくりじっくり考えていきたく、ワクワクしております。
プロジェクトを共有した皆様とお会い出来る日を楽しみに、こちらの帯を楽しんでまいりたいです。  K.M.





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