中野みどりの紬きもの塾

染織家中野みどりの「紬きもの塾」。その記録を中心に紬織り、着物、工芸、自然を綴ります。

20年度の第12期「紬きもの塾」受講生募集の受け付けに関して

2020年03月23日 | 紬きもの塾’17~’20
                                       工房内から眺めた朝焼け

新型コロナウイルスの終息にはまだ時間がかかりそうですが、警戒しつつも、櫻工房内で行われます「紬きもの塾」は5月10日からの開催を現時点では考えております。
3月27日(金)から受講申込受付を開始いたします。 
(紬基礎コースはキャンセル待ちです)

感染予防対策として、工房では換気、湿度なども注意します。また、一人ひとりができる対策としては、手洗い、体調管理(体温や風邪症状などのチェック)などを個々にしていただきご協力をお願いします。

講座を行う部屋は8畳の和室ですが、機部屋が二間続きで14畳分あり、襖も開けておきます。風通しの良い高台にあり、密閉空間ではありませんのでご安心ください。換気扇、空気清浄機も必要に応じて使います。

今後、東京でも爆発的な感染拡大で、開催が難しい状況になった場合は、申込の方に延期のご連絡を差し上げます。
延期となる場合も、追加の日を申込者全員が参加できるように、調整を行います。
受講費などは開催が確定してからの納入になります。

いろいろと大変な時ではありますが、情勢を多角的に鑑み、最大限気を付けながら、紬や着物の学びを進めてまいりたいと思います。
過去のブログ記事、HPをご覧頂きお申し込みください。→

隣家の満開の桃の花

では、コロナウイルスの終息を願いつつ、善き出会いとなりますことを楽しみにしております!

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第12期「中野みどりの紬きもの塾'20」受講生募集のお知らせ

2020年02月27日 | 紬きもの塾’17~’20
第12期「中野みどりの紬きもの塾'20」の日程をHPにアップいたしました。
受け付けの開始は3月27日(金)午前7時からメールで受け付けます。
(現在キャンセル待ち)
お電話の場合は午前9時~午後6時。
まだ1ヶ月先ですが、スケジュール調整などご検討ください。

初回は5月10日を予定しておりほますが、新型コロナウイルス感染拡大の情勢を見ながら、日程の変更のある場合などはHPでお知らせいたします。

場所は、櫻工房[主宰 中野みどり] 町田市金井。
小田急線鶴川駅下車バス約10分下車徒歩3分です。
メールで受付後、折り返し担当からお返事を差し上げます。一両日中に返信のない場合はお電話でお問い合わせください。

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「紬きもの塾」では紬織りの基本と、上質の着物をとことん着ること、誰にでもできる自然で楽な着方などを学びます。現代社会で上質の紬を身にまとっていただくための、はじめの一歩を踏み出していただきたいと思います。また、着物をすでに着こなされている方も更に紬の本質に迫ることができます。ファッションとしての着物だけでなく、ものづくりの視点から「着物の奥深い美しさ」や質の高い着物文化を一緒に考えます。
  
・着物や日本の工芸、美術、手仕事文化、自然を大切にする方。
・着物を着たことはなくても関心を持っている方。
・紬着物への理解を更に深めたい方。
 ※着物をお持ちでない方でも参加できます。

お陰様でこの11年、紬のこと、着物文化や自然のことに向き合って下さる方々にご参加いただき、休みなく学びを続けてまいりました。遠方からの参加者を含め68名の方にご参加いただきました。皆さんの真摯な学ぶ姿勢に敬意を表します。
少人数制でかなり濃密な時間を一年間共に過ごしますので、ブログのカテゴリーから過去の「紬塾」をよくお読みいただき、内容、趣旨をご理解のうえお申し込みください。ブログにすべて細かくは書けませんが、大まかには掴めると思います。最終回の参加者の感想なども参考にしてください。創る立場、使う立場、両面からアプローチします。
内容に関してのご質問なども遠慮なくお問合せ下さい。

染織実習コースは基礎コース終了後、次年度以降に受けることができます。
基礎コースを終了した方、また染織コースを既に終了した方で更にもう一度やってみたい方もお申し込みが可能ですが、初めての方が優先となりますこと、ご了承ください。ただ、今期の染織コースはすでにキャンセル待ちとなっておりますが、ご希望の方は随時お問い合わせ下さい。2度目の方の内容は同じではなく個別に相談の上、考えます。

受講者は、毎日のように着物を着ている方から、お出かけの際にたまに着る方、着付け教室で着方は習ったもののほとんど着られない方、まだ全く着たことのない方など様々な方が参加されます。その違いは問題ではありません。着ることに関しては初回に一人一人にお伺いして、ニーズに合った内容にしていきます。年代も20代~60代以上まで幅広いです。世代の違いのある中で学ぶことはとても良いことだと思います。
知識というよりも実感していただけるよう、また自分で考えるきっかけを掴んでいただけるよう実践的な内容で進めていきます。
単なる“着物”ではない、上質の着物文化から学ぶことは多いです。

紬織りを通しての善き出会いを楽しみにしています! (*^^*)



工房の一角に小さな(高さ3.5㎝)土雛を飾りました。
学生時代に倉敷の郷土玩具館でお顔の表情が気に入り買い求めたものです。もう一対備前焼の渋~いのも一緒に買いました。50年近く前のことです。(^^ゞ
小ささ故、手軽に飾れて、しまえて毎年交替で飾ります。庭のミニの黄水仙を添えて。
有機米の雛あられは3日までおあずけ。。。^q^


畑の縁に群生するオオイヌノフグリとホトケノザ。子供のころから大好きな花。

新型ウイルスの感染拡大が一日も早く終息し、春の外出を楽しみたいです。
予防に努め、免疫力をつけて乗り切りましょう!
5月からの紬きもの塾のご参加をお待ちしています。




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19年度の紬きもの塾終了しました――来期の予告

2020年02月14日 | 紬きもの塾’17~’20
紬きもの塾基礎コース、染織実習コース、共に2月にずれ込んでおりましたが、無事終了いたしました。
今期の方もとても熱心に通ってくださいましたが、途中、おめでたの方がお休みになったり、お身内にご不幸があった方ありで、最終回は少人数になり寂しかったのですが、マンツーマンのようになって、内容は充実していたと思います。


基礎コースの最終回では紬布の皺にスチームアイロンを当てる注意点などもお話しいたしました。


また、紬は光に透かして見るとその良し悪しがわかることも実際に見てもらいました。

最終回の反省会兼打ち上げも、持ち寄りのおつまみが充実していて、ほとんど飲み会状態になってしまいました。。(#^^#)
というか、、、私も含めみなさん、終了してホッとされたと同時に、充実感もあり、思い思いのフリートークに花が咲きました。(^o^*

今期は新しいメニューも加わり、基礎と染織コースに分け1日増やしましたが、盛りだくさんな内容で、時間が足りないぐらいでした。


染織コースでは、最後は手持ちの布から作る、『女わざ』の会誌より、バイアス縫いの腰紐作りと、「観ること 使うことの創造性」についてのレクチャーを工芸評論の笹山央氏にお願いしました。
今回は千利休の侘び茶の美意識を解き明かしていこうとする話を聴きました。

日本の古代から中世までの和歌表現の歴史や、西洋文明では「見ること」の意義がどのように考えられていたかといった視野をも含んでのお話でした。
そして結論は、侘び茶の美意識が日本的な「見(詠)ること」の深化の到達点であり、桃山期から江戸末期の間は日本の造形表現が「人類の美術史」の先頭を走っていた、ということでした。

とても興味深い話でしたが、1時間では消化不良の感じもありました。美術も工芸もそうですが、日本の着物といえども着ること、仕立て、管理なども西洋の感覚が取り入れられている昨今、違和感を覚えることも多く、“侘び”の美意識から紬や着物を見直したいと思います。
紬とは何か、着るとは何か、深く考察していきます。このテーマでもう一度5月からの染織コースで話してもらいたいと思っています。

20年度の紬塾スケジュールは2月の末にHPにてお知らせいたします。
染織コースは、2度目の方も参加できますが、すでに定員に達していますので、キャンセル待ちで受付いたします。
基礎コースの受付開始は3月の下旬を予定しています。開講は5月中旬を予定しています。
受講希望の方は、趣旨をご理解の上、過去の紬塾のブログをお読みいただきご検討ください。ブログにすべては書けませんが、内容など参考にしてください。

第11期紬きもの塾’19の基礎コースの3名の方から終了後の感想、気付きなどを自分の言葉で寄せて頂きました。
少し長くなりますが、是非ご一読ください。

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毎回ワクワクするお話を聴くことができて、受講して良かったと感じた1年でした。
元々は、母や伯母から譲り受けた着物だけで自分のはほぼ無い状態で始めた着物生活でした。
布が好きというだけで知識もなく遠方にいる伯母達から得られる情報も乏しく、譲り受けたものの中には扱い方が分からない物もいくつかありました。我が家の収納スペースも限られているので泣く泣く処分してしまった物も…ネット等で着物情報を探しながら細々と続けて、こちらに伺うまでに少し年月がかかりました。

最初の回は恐る恐るの参加でしたが、先生の紬を順に羽織りどんな顔色の人にも映えるのを見て、色が単一でない草木染めの糸で織られた反物の不思議さを知り、参加して良かったと感じたのを思い出します。
そして、自分では決して手に取ることがなかった本、幸田文『きもの』を読み、主人公の祖母の教えにこんな人が身近にいて欲しかったと思いました。

また、「とことん着尽くす」の回では、物を大事に生かして長く使う事や人付き合いの知恵等は頷く事ばかりでした。きものにはその諸々が凝縮されていることを再認識しました。
運針の練習ではもう少しお針が上手になれたらと自分が残念に思えたことも…

取り合わせの授業は楽しかったの一言です。用意された長着に皆さんと小物を選んで合わせる経験をして自分の揃えたい色が見つかりました。

最終回の着物の寸法についてはまだまだ自分の知識が足りないと思いました。
半幅帯の魅力も教わり揃えたい物リストに加えました。
まとめとして、自然に配慮した生活も見習いたいことがたくさんありました。
着物は華やかな面が注目されがちですが、実は堅実な衣類であること、その堅実な部分をもっと知り実践し伝えていきたいと感じた講座でした。

同期のお仲間にも恵まれ、着物の友達が増えてこれからも楽しみです。
1年間、ありがとうございました。
引き続き来年度の染織実習もよろしくお願いいたします。(K)


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基礎コース、とても楽しく通わせていただきました。
毎回講義を受けながら、自然からたくさんの恵みを享受している喜びのなかで、きものを作られる先生の生き方に感銘を受け、私自身もそうありたいと思いました。
先生は、使い捨ての便利さや気楽さに慣れてしまった私に「使いきる」ことの大切さを、そして欲しいものはなんでも手に入れたくなる欲深い私に、本当の豊かさとは決してたくさん持つことではない、と教えてくださいました。どんなものも「使いきる」こと、それはけっしてケチ臭く貧乏臭いことではなく、とても創意工夫の生まれる豊かなことというお話しは本当にそのとおりだと思いました。

授業では、蚕が首を振った分だけ糸が小さくくねくねと曲がっている様子を観察し、決して糸がまっすぐなものではないことを知りました。そんな自然なウェーブを不自然に張り詰めてしまわずに、あるがままの糸の姿を生かしてこそ、はじめて本来の紬の風合いが生まれることも学びました。

また、作り手としての視点から、帯の柄の位置の目安をおしえていただき、そこからいつも「だいたい、なんとなく」決めていた帯枕の位置にも、ここ!という決めの位置があることを学びました。
先生の授業は、詰め込みの知識と違い、感覚を呼び覚まして、実践していきたいと思わせる魅力に満ちていました。

これまで10年近く着付け教室に通い、きものを学んできたつもりでしたが、中野みどり先生と出会って、そもそも自分の「着方」がそれぞれのきものを生かした着方だったのだろうか、ということを考えさせられました。紬には紬の着方があることはわかっていたつもりでしたが、先生の授業では、着方以前に仕立てのサイズ感からしっかりと拘って紬のやわらかくあたたかい特性を最大限に表現できる着方を教えていただきました。
また、運針も教えていただいたり、これからの生活が楽しくなるヒントもたくさん示していただきました。

人間が自然からの恵みによって生かされていること、それに気づかされて、大切に生きていきたいと思えたことは、私にとってとても大きな収穫でした。
どうもありがとうございました。(U)

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中野みどり先生と初めてお会いしたのは、先生のお話会の席でした。
前知識なく漠然と染織への憧れを抱いていた私は、一本の絹糸の力について熱く語られる先生の話に感動し、草木染めの事典を大事に持っていて、どの草花をどの触媒に掛け合わせるとどんな色になるのか、そこから学んでいることを先生にお伝えしました。
ところが先生は、それは違います、ときっぱりと言われました。草木染めというのは、方程式で解けるものではない。季節やその日の天気、一日の中の時間、気温や湿度、さらに糸の持ち味の違いなど、いつ染めても一つとして同じものはなく、それ故にそうした一瞬一瞬の移り変わりに目をこらし、丁寧に向き合っていくしかない、とおっしゃったのです。
染織には自分が考えるよりもずっと奥深い世界があることに惹かれ、その世界を覗いてみたくなって、中野先生の紬塾基礎コースに通わせていただくことになりました。

紬塾基礎コースでは、染めと織に至る前の、もっともっと基本的なことが講義の大半だったと思います。講義の最中、先生が常に言ってらしたのが「とことん使う」という言葉です。きものが古びたら繰り回して仕立て直し、着られなくなったら布にもどして縫い合わせて風呂敷にし、布が古くなれば紐にし、縫い糸でさえ使い回す。とことん使うということは、もののいのちをとことん生かすことなのだ、と先生に教えていただきました。
最後の講義で先生がおっしゃった言葉も印象的でした。「織ることは食べることと同じ」。自然の恵みである糸を紡ぎ、自然の素材で染め、自分の身体を使って自分の手の届く幅で布を織り出していく。その工程のすべてが、自分がものと向き合う時間です。織ることには、まさにその人の生きる姿勢が写されているのだと思いました。

一年間の紬塾が終わってすぐに、仕事でインドに行き、ある工房を訪ねました。そこでは、古くからいる職人の人たちが手作業で椅子を作っていましたが、その座面を編んでいる紐が、実はタッサーシルクの絹糸を撚って作ったものでした。絹といえば高級繊維で繊細なもの、とはなから思い込んでいましたが、精錬せずに太く撚ることで、絹糸も麻布の如く大人の体重も支える丈夫な素材になるのだとわかりました。これもインドの人たちの生きる知恵から生まれたもので、蚕の糸をとことん使い倒す例だと思いました。

国は違えど自分の身体で自然やものと向き合い、その恵みをいただきながら大切に生かしていくのは人の暮らしならばどこでも同じで、そうした日々を暮らしていくうえでの根本的なことに気づかせていただいたのが、この紬塾基礎コースから学んだ何よりのことだと思っています。(I)


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第5回紬塾 名古屋帯を締める―前柄、太鼓柄をよく見る

2019年12月13日 | 紬きもの塾’17~’20
紬きもの塾は、前半は糸や染め、織りを中心に話を進め、後半はとことん着る着ものの合理性、そして実際に着物を着ることに関して学んでいきます。
11期の紬塾も残すところあと1回になりました。

今回は名古屋帯の寸法などの詳細を勉強しました。
今期参加のみなさまは、着物をよく着る方で、着付けの講師をしてらっしゃる方もあり、特に着方はやる必要もないかと思いましたが、帯結びに関して、太鼓のたたみあとが出てしまう、前柄の出し方で結びにくいものがある、短くて使えない、長くて締めにくい…など、帯に関してのお悩みがあり、問題点を徹底解明することにしました。

着付け教室で習った締め方に忠実なのはいいのですが、太鼓中心を把握されてなかったようで、今回スッキリ解決となりました!

帯も、ものによって、長さや柄の配置に幅があり、ワンパターンのやり方で締めますと、締めにくい帯、、、となってしまいます。
太鼓中心と前中心、関東腹、関西腹をよく見て手先の長さを決めていくと柄がうまく出てきます。
多少のことは融通が利くので、太鼓柄にせよ、前柄にせよ、中心にしたり、少しずらしたり、好みで締め分ければよいと思いますが、まずは自分の帯の全長、太鼓中心、前中心を測ってみるとよいです。

関東巻きしかしていなかった帯を、関西巻きにしたら、何のことはない、きれいに前柄が、中心よりやや左寄りに収まり、ご本人もビックリ!(*_*)
短くて太鼓柄が出ないとおっしゃっていた方は、帯枕の当てる位置が違っていて、確かに全長9尺の長さではちょっと短いのですが、なんとか使える範囲ということもわかりました。20~30年前の帯は、新しい帯反で仕立てても、仕立て上がり9尺3寸位でした。今は9尺8寸から一丈あるものもあります。着物も帯もなんでも大きめになり、使いにくくなっているようにも思います。

締め方は、捻じるやり方でも、仮ひもを使っても構わないのですが、手と垂れの交点から帯枕を当てる位置が太鼓柄の出し方に関わります。今はその長さをたっぷりとる締め方が雑誌などでも見受けられますが、帯枕を当てる位置は垂先から2尺3寸前後になります。そのように柄はついているはずです。



帯芯を使って柄の配置をわかりやすく見てもらうものを今回用意しました。
垂れは2寸(人差し指のながさ)のところに糸印を付けています。

太鼓中心(1尺8寸)から上下4寸のところに縫い印をつけてあります。
ここが太鼓になるところです。多少の中心のずれ(1~1.5寸)は大丈夫で、帯を二つ折りにたたんだ時の折りあとも正しく帯枕を当ててあるなら、太鼓に出ることはないのです。

今まで、私の帯を締めてくださっている方の中にも、何人か畳んである時の折り目が太鼓に出てしまっている方を見ましたが、帯枕の中(背中)に帯がたっぷり入ってしまっていることになります。また逆に、太鼓中心が太鼓の折り返し(立ち上がり)にたっぷり入りすぎて、中心が下の方になっていたケースもありました。もちろんそれでも意図的にそうするなら、それはそれでいいと思いますが、、。

前柄はさすがに自分で見えますので調整すればいいのですが、前中心の位置も4尺2寸から4尺4寸くらいあって、自分の好みの位置にずらして調整します。


この帯は関東、関西、どちらの巻き方でしょうか?上のトップの太鼓の画像を見るとわかると思いますが、関東巻きです。左右の地色(縞)が少し違っています。
この帯は私に肌映りのいいブルーグレー系が上の方に来るように巻くことが多いです。でも着物によって関西腹も使います。

このような段縞の場合でも、前中心をどこにするか、鏡を見ながら決めます。
制作する際も、もちろん中心を決めてはいるのですが、ずらしてダメということでもないですので、着る方が全体を見ながら決めればよいわけです。

この日は、久し振りに若いころに買った(これも母に借金して買ったのですが、、、^-^;)、薩摩絣を着てみました。ブログの前記事の弓浜絣とは対照的な綿絣です。この自作の紬帯は芯が柔らかく、少し締めにくいのですが、超長綿の薄手の滑らかな木綿にはかっちりし過ぎず、良いかと思います。

帯芯と帯地との関係で帯の表情も変わります。仕立て屋さんも悩むところだそうです。仕立て依頼の際に希望が言えるようになれば一人前でしょうか・・。

それから、どなたも尺指しをお持ちでなかったのですが、着物をずっと着ようと思う方は二尺指しと一尺指しはぜひ持ってほしいと思います。
とてもシンプルに長さや幅を掴むことができます。自分の着物の寸法も覚えやすいです。

他には半衿付けも衿芯を半衿でくるみ、それごと洗うやり方も参考までにご紹介しました。自然な衿の形になります。

今回も盛りだくさんでヘビーな内容でした。
帯結びに関してのお悩み相談も「ミニ紬塾@工房版」でも承ります。



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第4回紬塾「日本の取り合わせ」――ものの力を合わせる

2019年11月15日 | 紬きもの塾’17~’20
紬の着物と言っても普段着から略礼装まで、おしゃれ度の高い紬も昨今は多いと思います。質感もそうですし、訪問着や付け下げの柄付けなど様々です。

紬塾の取り合わせワークショップでは着尺3反(グレー地、ピンクベージュ地無地系、焦げ茶地の縞)に帯を5本(紬帯、染帯、織り名古屋帯など)、草木染帯揚げ、帯締めも20~30色、用意しました。

創り手として、日々自然の色を見ています。隣り合う色で色の見え方は変わってきます。共鳴しあう色があります。織り物の陰影もあります。
紬を制作する上で、いつも着ることを、取り合わせられることを意識しています。私は着物コーディネーターではありませんが、色やものを見る力は日々鍛えているつもりです。そんなことで私なりの視点から取り合わせワークショップも行っています。

このワークショップになると、みなさんの発言にプライベート感が出てきます。(*^-^*)
装うとなると、いつ、どこへ、どんな場合、どんな心情で、誰と、、など。みんなでワイワイ言いながらの発表となりました。ストーリー(ありえそうな、、)を作るのも楽しいのです。

知り合いの素敵な男性ピアニストのコンサートへは女ぶりを上げるフェミニンな小物の色使いを、お客様をお招きしての利き酒会はホスト役としての落ち着きの中にも話題提供になる染帯をチョイス!能楽鑑賞には格を備えた吉野間道、親しい人とのお花見などは軽やかな色の取り合わせ、高級な温泉へは無地系の紬に格子の帯であまりかしこまりすぎずに、カジュアルエレガンスの雰囲気で。ガラスの美術館へは透明感を意識して、現代アートのギャラリー展示には作品の邪魔にならないようモノトーン系で抑えながらも帯揚げに少し華やいだもの、、などなど。

単なる色のコーディネートではなく、季節(移ろい)や心情も盛り込める自由さが紬(洒落着)の装いにはあります。紬の着物に紬帯、織り帯、染帯はもちろん、袋帯もものによっては合わせることもできます。


さて、取り合わせは帯や小物ばかりではなく、何より着る人と合わせなければなりません。
毎年、「取り合わせの回」では、私は一番似合わない紬を着てみなさんをお迎えしてます。過去のブログにも書いてきましたので、繰り返しになりますが、いまいち肌映りの悪い着物を着る場合の参考例として着ております。
25年ぐらい前に、必要に迫られ、急に在庫の中から作ったものでしたが、ピンク系の私の肌とは映りの悪い“秋色”。黄茶系が私は難しいのです。そこで帯や帯締め帯揚げ、八掛で少しカバーできることをみなさんに見て頂きました。

秋には秋の色を着たいと思うのですが、全部秋色にせず、ピンク肌と合う、シルバーグレイ地に青や黄色があしらわれた堺更紗の帯を合わせてみました。帯締めには紫みの焦げ茶、帯揚げは赤みのベージュを使いました。


似合わないから着ない―ではなく、そのものが、もし力のあるもの、包容力のある色相のものであるなら、なんとか取り合わせでカバーして着ることができます。また、年齢によって、季節によって着にくい着物も、加える色を工夫して、大事に着ていきたいです。
ものととことん付き合っていく、添っていくと、そのものの個性も理解し、受け入れられるようになる場合もあります。それは自分自身の柔かさ、しなやかさも要求されます。
この紬は、自宅近くの原っぱで、老いた母としばし佇み「きれいだね~」と言いながら眺めた草紅葉の美しさを思い描いて作ったものです。庭の小鮒草で染めたモスグリーンや黄色、茜の赤などが織り込まれています。だんだん自分のものになってきたように思います。

そして大事なことをもう一点、色や模様や、素材の取り合わせはもちろんのことですが、いくら色が合うからと言って、上質の紬に、力のないファブリック類で帯を作るわけにはいきません。
ものには格というものがあります。普段着、礼装の格の差ではなく、そのものが持っている格、品格です。それは素材であり、技であり、自然であり、魂であり、見識です。

そこを見極めて合わさなければ、ちぐはぐになってしまいます。
着物の究極の上質な取り合わせをするには、ものの力を合わせることから始まると言ってもよいかもしれません。

過去のブログも同じようなこと書いていますが、未読の方、興味のある方はご覧ください。






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第4回染織実習ー織る

2019年11月10日 | 紬きもの塾’17~’20
第4回「染織実習ー織る」を3名の方で行ないました。
織りは全く初めての方2名と、以前の紬塾で染織実習を体験した方1名でした。
今回もとても良い布が織り上がり、ホッとしています。
いつものように私が織るのと同じレベルのことをしてもらいました。

基礎コースを終えた方(終える方)で、来年度の染織コースを検討中の方は、私の方へお申し出ください。初めての方が優先ですが、2回目の方も席があれば可能です。


まず1番目の方は、繊細な微妙な色遣いで織り上げました。
初めてとは思えない完成度です。織り方も指示通りに織っていました。
布端の耳もきれいです。3人ともきれいですが、杼の置き方を気を付けるようアドバイスしています。耳端は織り物の柱のような大事な部分だからです。
簡単なテキトーな講習をしても意味のない事ですから、本格的に指導します。


機に座る姿勢も素晴らしいです!

以下はご本人の感想文です。↓
[先日は貴重な経験をさせていただきました、
経糸を毛羽立たせない、緯糸の太さから緯糸を入れる傾斜を判断する、足の踏み込み、作業は効率良く、緯糸の入れ方も片手で完結させるなど、気をつけるべきことがたくさんありました。
しかし、自分の糸のことや布のデザインに気を取られ、それらは二の次…いや、頭の外側に吹っ飛んでいました。
風合いとデザイン、どちらも満たしている先生の紬、出来上がるまでの多くの心遣いは、想像する以上の、そのまた上のものでした。
それでも、集中し、織っていく二時間はあっという間で、とても楽しく幸せな時間でした。
もっと、真綿を紡いでいたかったですし、織っていたかったです。ありがとうございました。 N.T ]



↑ 2番めの方は、太さがとても安定したよい糸をつむぎました。織り上がりもしっかりしています。普段はモノトーンの服や着物を着てらっしゃいますが、色糸選びではピンク系の濃淡を選ばれ、間にグレーとブルーの寒色系を配しました。
華やかな布になりました。思いがけないご本人の内面を見るような気もしました。

以下はご本人の感想文です。↓
[自分で真綿から糸をつむぎ、自然の草木の温さのある色を染めて、布を織る。
という貴重な経験をさせていただきました。

一枚の美しい布にはたくさんの愛情とたくさんの手間がかけられているのだということに改めて気づきました。
そして、そんな愛情を掛けて織られた着物は、次世代へ引き継がれ、着物で着られなくなれば、布になり、紐になり、最後は土に還る。その様に永く循環させていく事が大切と中野先生から教えて頂きました。
これから先は、そのことを思って着物を選び、着ていきたいです。

私が実習させて頂いて、一番大変だったのが、木を切り細かくして糸を染めるという工程がとても大変でした。織るという作業はデザイン含めてとても楽しく、ずっとやっていたいと思いました。

糸をつむぐ方や草木染めをする方がどんどん減ってしまうというのもこんなに大変な工程があるからだとつくづく感じましたが、なんとか、自然の恩恵、手作業の工程を次の世代に継承していかれるようにしていきたいです。
今回余った糸は持ち帰らせていただいたのですが糸も愛おしく感じました。 M.M ]


↑ 3番目の方は、織りは2回目です。以前もよく織れていましたが、今回はお祖母さまの羽裏を裂いたものと、自分でつむいだ糸も混ぜながら設計をしました。
筬打ちもしっかり中央を持ち、程よい音で打ち込んでいました。
トップの画像のものですが、色のチョイスも明確です。
柔らかな羽裏を裂いた端っこの毛羽も面白い景色を醸しています。ハサミで切るのとは違います。また、裂き糸だけで織るのとは違う糸の質感のギャップも生きています。
そして、2回目ということで、経糸を見る余裕が生まれたのでしょうか、しきりに経糸と緯糸の重なりによって生まれてくる色や陰影を語っていました。
織り物ならではの醍醐味の気付きがありました。さすが!と思いました。

以下はご本人の感想文です。↓
[実習は今回で二度目でしたが、前回からだいぶ月日が経っていたので、機に座るときはとにかく緊張していました。
真綿から紡ぎ、染めた自分の糸一色と先生の糸二色、祖母の羽裏を裂き糸にしたもの、全部で4種類を使いました。
経糸が濃い色だったので紡ぎ糸と裂き糸と交わってどんな表情になるのか、不安と期待が入り混じりつつ織り進めました。
糸の思いがけない太さにより設計した通りにいかないながら、臨機応変に緯糸を入れていくのもまた楽しいものでした。たった三寸五分の長さでしたが、とにかく集中。拙いながらシャトルのカラカラと滑る音、筬をトントンと打ち込む音。とても贅沢な時間でした。
織りあがった布はとても気に入っています。同色系でまとめたこと、裂き糸に乗った経糸の色。想像以上の表情が生まれました。
箪笥に眠っていた祖母の羽織りがこうして美しい布に生まれ変わった事もとても嬉しくてなりません。
経糸の整経など大変な作業のない、いいとこ取りの実習でしたが、帯一本着尺一枚を織ることがどれだけ体力、精神力を使って成されるかを再確認しました。
身近にある布が大量生産なのかそうでないのかに拘らず、どんな過程を経てきたのか、どんな意味があるのかという事に思いを馳せるきっかけとなりました。
ありがとうございました。 H.J ]




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紬塾「とことん着尽くす」――浪費社会の中で

2019年10月04日 | 紬きもの塾’17~’20
 
先月末の日曜日は紬きもの塾「とことん着尽くす」でした。
10月に入っても真夏日となっている東京ですが、この日も、30度に達する暑い日でした。床の間に庭の斜面で見ごろを迎えていたハギの花を投げ入れて、みなさんをお迎えしました。私はいつもの単衣紬に単衣・夏用の帯を締めました。
 
帯揚げは分かりづらいですが、祖母の着物の胴裏地(薄手の節絹)を薄茶に桜で染めたもので、秋の気配も取り入れました。しかし、汗をかくことは必至でしたので、襦袢は綿麻半襦袢にしました。
 
この紬自体が、着物の更生の話の一例になりますので、この回にはいつも着ているのですが、若気の至り(!?)で、大きなシミを前身ごろに付けてしまい、アルカリ剤で洗い、生地を裏返し、前身ごろ、後身頃をひっくり替えして、仕立て直してあるもので、講義の中では、武勇伝と共に、恥ずかしながらご紹介してます。(#^^#);
 
みなさんからも着物の更生品や、リメイクした小物や浴衣からスカートにしたものなどお持ちいただきました。長襦袢の袖丈が短いものの直し方で、肩山を切って足し布を入れるというのは初めて知りましたが、目からうろこでした。私の方からも母の羽織や着物からコートなどの仕立て直しを参考に見てもらいました。手縫いの襤褸雑巾の果てまでお見せしました。最後はトイレの床など拭いてお役御免となります。
 
   
体調不良でお休みだった方からは、薄手のリネンのパンツに何か所も継ぎを当てながら使い続けているということで画像(上)を送ってくださいました。ロングスカート下に使っているということですが、必然が生み出す素敵な継ぎ当てですね。
私も仕事用のパンツは膝やお尻、内腿が擦れてどれだけ継ぎを当てたかわかりません。でも、継ぎ当てしてからの方が、もっとそのものに愛着がわくのは不思議です。いわゆる教科書的な継ぎ当てとは違って、ワンポイントアクセントや、アート性も加味された楽しい継ぎ当てです!
他にも野菜や果物の皮も上手に利用しているなど、すべてのものを慈しみながら、工夫されているとのことでした。
 
また、義理のお父様を亡くされ、四十九日の法要を高岡の方で済まされたばかりの方は、義理のお母さまから、小さな袋を旦那様の分と渡されたそうです。中にはお義父様が、着ていらした寝間着の布切れが入っているとのことで、命日までは身近に持っていて、見守ってもらい、無事を見届けて、仏様は空へ還るのだそうです。「遺骨のかけらを身につける方がいるように、義父の体や魂そのものとして、形見分けのように分けてくれたのだと思います。」とのことでした。
人の着るものに魂が宿るということでしょう。人と布の密接な関係を改めて思います。
着るものを、布をおろそかにしてはいけないと思います。
 
また、着物以外でも、普段の暮らしの中でもとことん使う、あるいは資源、エネルギーの無駄をしないことなど話し合いました。創意工夫は創作の仕事と同じです。
 
紬の着物を着ることと、自然環境問題は密接だと思っています。自然素材を、また季節を纏う取り合わせもとても大切だからです。まずは資源や、エネルギーの無駄を省き、とことん使い、別の形にしても再利用する取り組みを普段の暮らしの中でも身に付けておきたいものです。
 
軽減税率という名のもとに、悪法が始まりました。自衛のために消費税が上がる前に買いだめするのもいいですが、最初から無駄な買い物も多いのでは、、とTVの買いだめする人たちを映す報道を見て思いました。洗剤や柔軟剤、そもそも本当に必要でしょうか?浪費しながら、買い込む。日本人はこんなに愚かだったのでしょうか?
 
少なくとも戦前の暮らしはこんなではなかった。戦後、民主主義の世になり、戦争のない世になり本当によかったけれど、豊かな自然や文化を捨て、そして得たものは、大量のごみや環境汚染、そして格差社会でした。
 
私は電気釜も大型テレビも大型冷蔵庫も全自動洗濯機も乾燥機も持っていません。土鍋でご飯を炊けばエネルギーも少なく、おいしく炊けます。停電でもカセットコンロがあれば7分で2~3合なら炊きあがります。電子レンジはもともとついていたので使っていますが、ほんのわずかな時間しか使いません。
洗濯もすすぎの楽な炭酸塩を使います。天日で干します。
染色でも水やガスの無駄を省くよう後先を考え、工夫しながら、やりくりします。ここに細かくは書けませんが、自然素材を使いながら、資源を無駄にしたり、環境を汚染してはいけません。
 
かと言ってものを持たないミニマリストにはなりたくありません。衣食住、慎ましくも上質なものを大事にしたいです。日々の器やアート、庭の植物、着物。経済の許す限りのことしかできませんが、人間らしく生きる大事なものです。
 
着物というのはシンプルな日本的な合理性に裏付けされています。それは奥深いけれど安心な世界です。
とことん着ることはみじめではなく、知的で、創造的で幸せなことです。着物だけでなくすべての物事に通じると思います。
 
 
さて、最後は問題の運針でした。。。
やはり運針はみなさんご存じなく、針に糸は通さずに手拭いの端をチクチクしてもらいました。苦戦しておられましたが、最後は写真で見ると、なんか出来てそうな、、感じになってきました。(*^-^*) 
型が少しはつかめたと思います。次回、もう一度やってみることになりました。
 
運針ができれば、服の直しや、ちょっとしたものならミシンを使わずとも気楽に縫えるようになります。そして、手縫いは解くのも早いのです。縫い直しが着物はよく行われるのは解けるように縫われているからですね。
ぜひ次回までに練習を重ねてもらいたいと思います。一生の楽しみになりますよ。
 
 
 工房の床の間にてポーズとってます。
 
 
 
 
 
 
 
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梅シロップの実リメイク――梅酢漬け

2019年08月02日 | 紬きもの塾’17~’20


先日紬塾の染織コースの第2回「草木で糸や布を染める」を行いました。
桜と柿を使って、糸や帯揚げ、古い半衿を染めました。家でもできるよう、帯揚げの少しトーンを落としたいものなどの媒染材を使わない染め方も話しました。生木がなくても紅茶などでもできます。

梅雨寒から急な暑さになり、冷房を使わない中で作業ができるか心配されましたが、無事に染めることができました。今年は日照不足のせいか、桜の色も赤みが少なかったように思います。
チップを作りながら、「この作業をいつもなさるんですね。。」とつぶやかれているかたがありましたが、そうなんです!これが草木の生木で染めるときの苦労でもありますが、直に枝にハサミを入れてもらうと、植物がどんな風になっているかなどの観察にもなり、ただ染料で染めるだけの実習とは違うところです。樹皮と芯材とその間は随分色も繊維の状態も違うということをチップづくりの中で気付くと思います。観察がいい染をする上で大切です。

今期から以前受講された方も再受講可能になり、2回目の方がありましたが、染材の煮出し作業なども落ち着いてこなされていました。昨年の様子はこちらから。

さて、話はガラッと変わりますが受講者のお一人が、梅シロップを作った後の青梅の実を赤梅酢に漬けたものをお茶請けにと持ってきてくださいました。汗をかきましたので、夕方みんなでおいしく頂きました。

シロップ漬けですので甘いのですが、梅酢の塩と酸味が合わさって甘じょっぱく少し酸っぱくて、汗をかいた後にピッタリでした。疲労回復効果のクエン酸と塩分、甘み、梅の三味漬けです!

シロップ漬けの梅の実はそのまま食べたり、ジャムにすることが多いようですが、梅干しを漬けたときの梅酢さえあれば、火も使わずこれはとても簡単ですので梅干しを漬けている方、梅シロップも作って来年お試しください。

柔らかな果肉の梅でしたが、ご本人に伺うと、「梅シロップの作り方で、青梅を冷凍してから砂糖に漬けると組織が壊れて早くエキスを抽出することができるのですが、そうすると梅がしわしわになってふっくらしません。昨年の梅シロップは凍らせずに漬けたのでふっくらでした。ですのであのような仕上がりだったのです。」
また、漬け込む期間は「梅酢に漬けたのはひと月程です。ジップロックなどのビニール袋で真空状態にして漬ければ梅酢は少しで済むと思います。」とのことでした。冷蔵庫で保管です。

私は梅ドリンク、梅ゼリー、梅干しも奈良の王隠堂農園のものを生活クラブから購入していますが、この甘じょっぱいタイプの商品はありませんので、作るしかないですね。。(^-^;

もう都心はエアコンなしで暮らせない暑さになってしまいましたが、上手に汗をかくことも大切とよく言われてますね。本来は汗をかくことで体温調節の機能を人間は持っているわけですから。エアコンの普及で汗をかきにくくなっているようです。無理はよくありませんが、でもエアコンに頼りすぎないで、程よく気持ちよく汗をかき、この猛暑を乗り切りたいと思います。そんな時に梅の三味漬け!?や梅干しは最高です!!(^^)/

工房では暑さに馴れたお盆明けから染色に入る予定です。

さて工房は8月9日(金)~18日(日)まで夏季休業となります。オンラインショップのご注文の受付は致しますが、発送作業はお休みとなります。19日以降の発送となりますのでご了承ください。





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第2回 紬きもの塾「紬織りの糸・草木の染色・織りの映像交えて」

2019年06月27日 | 紬きもの塾’17~’20


この日曜日は基礎コースの紬塾2回目でした。
紬糸や草木で染められた色について、着物や帯としての織物の風合い、堅牢性について5分ほどの織りの映像も交え見てもらい解説しました。また、糸を引き出すワークショップもしました。よく観察することは作る上でも、着る上でも基本です。

説明が先になって、単に知識や一般的イメージを植え付け、先入観を強くしてはいけませんので、まずは一人一人がよく観察、感じたこと、気付いたことを発表してもらい、そして次は繭から糸を引き出したり、真綿から糸をつむいでもらいました。その後に私から、紬糸の基本的なことの解説、発表してもらったことの裏付けにもなることに触れながら、絹の糸、紬織の原点を少しですが体感する学びになるよう行いました。

植物の色についてもじっくり見てもらい、照明を消した薄暗がりでも見てもらいました。色を見るときは光源が大切です。色を○○色と決めつけない見方も大切です。目の前にある事実を観るわけです。

織物の堅牢性と風合いの関係など、背縫いの地の目が割れたりしないような生地の選び方など説明しました。



手で感触を確かめてますね。。



また、機の構造やたての節糸の毛羽、開口させた時の状態なども実際に踏み木を踏んで見てもらいました。




みなさんも着物でお越しくださいましたが、曇りながら蒸し暑い日でしたので、私は藍の小格子にざっくりした半幅帯でお迎えしました(もう少し引きで撮って欲しかったのですが…(^-^;)。
浅葱色のこの紬は35年ぐらい前の仕事で、その頃は藍の着物をよく織っていましたが、紺屋さんも少なくなり、その後はあまり織ることはありませんでした。この着物も褪色がかなりあり、私一代で終わりそうです。6月、9月の普段着です。帯をあれこれ変えてどれだけ着たでしょうか‥。洗い張りもして着ています。

この着物については作品集「樹の滴」にも詳しく書きました。よかったらご覧ください。

半幅も30年ぐらい前に半幅帯として初めて手掛けた試織用のものです。
久々にリバーシブルのピンクの縞のほうにしてみました。3回目のピンクを身に着けたい年ごろとなりました。。(^^









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真綿から糸をつむぐ―紬きもの塾19 染織実習1

2019年06月07日 | 紬きもの塾’17~’20


工房展の前に染織実習コースの方に糸つむぎの講習をしました。

糸つむぎは、私は郡上紬の宗廣先生から受け継いだ久米島式を採用していますが、結城紬のつくし方式の良いところも加え、また自分なりの工夫もしています。やや太めの糸(着尺の緯糸向き)を引き出すのに向いています。

色々な引き出しかたがあるのですが、大事なことは真綿の長繊維をなるべくちぎらないよう気をつけると毛羽立ちの少ない糸がつむげます。
私は真綿をほとんど引っ張らずにそのまま台に掛け、上の真綿から1枚ずつ綺麗に片付けながらつむいでいきます。
上の画像は真綿を4g掛けたところ。


まずは私が2尺ほどデモンストレーションしながら引き出し方のポイントを説明します。
その時、よく見ていることが大事です。手の位置や動かし方、真綿の量をどれぐらい摘まむかなど真似することがまず大事です。
理屈が先に立つとなかなかうまくいきません。理屈は後からついてきます。

どうしても素材や道具を自分に引き寄せようとしたり、制圧するようなやり方をしてしまいがちですが、それではうまく糸を引き出せません。

真綿は理に適わないことには付き合ってくれません。正直です。
真綿の繊維の量をいつも同じぐらい摘まむよう見極め、単純な道具を上手に使いこなしながら、力強く大らかな味わいのある美しい糸をイメージしてつむぐことが大切です。
織をしている人の方が糸のかたちをイメージしやすいです。初めての方は難しいと思いますが、それでも最初から上手な方というのが稀にいらっしゃいます。。^₋^


今回は4gの真綿を1時間半かけて引いてもらいました。
一反分の緯糸は約380g~400gですので100分の1位つむいでもらいました。

上の画像は真綿がたっぷり引き出されています。ちょっと多すぎですが、、。(^^;


程よい真綿の量を見極め、上の方からをひとまとめにして、


右手の指に水を付けながら捻るようにして左手元までしっかり抑えていきます。


つむぎ終わったら綛揚をします。おはじきは糸を綛揚げする際に糸同士がくっついて引っ張り上げられないようにするためです。
豆などでも良いです。
着尺用3本合わせぐらいの糸をつむいでもらいました。これはつむぐにはとても難しい太さなのです。
でも、とにかく4gの真綿から安定した太さの糸がつむげました。


みなさん真剣に取り組んでいます。

この糸は7月に工房の庭木で染め、11月には実際に織ってもらうことになります。

いつかせめてマフラー分ぐらいは全てつむいで織ってもらいたいですが、、。
真綿から糸をつむぐことは大変な労力を要する仕事ですが、心を無にしていける仕事です。
有史以来、人が生きていくための根源的な仕事でした。
多くの方に体験してもらいたいです。

仕事としていくには賃金も法外に安く、お小遣い稼ぎぐらいにしかならないので、後進が育ちませんでした、というより育てようとはしてこなかったと思います。以前手紡ぎ糸を購入していた長野の糸商さんはもう十数年前に廃業されてしまいました。私は機織りがきつくなったら、糸つむぎをたくさんしたいと思っています。

繭から引き出す座繰り糸は赤城でもまだいらっしゃいますし、後継者の育成もされているようですが、昔あった座繰りの太い糸は引ける方がいなくなったということで、寂しい限りです。私はショールなどに以前はたくさん使ってきました。

紬は経糸が大事なのですが、緯糸の真綿の毛羽ばかりが目立つ紬も多いです。
タテヨコバランスの取れた、それでいて味わいのある力強く洗練された紬を織りたいです。

詳しい紬糸のことは次回紬塾の講義で話ます。






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[第11期 紬きもの塾19]開講しました!

2019年05月10日 | 紬きもの塾’17~’20


今年もお陰様で紬きもの塾19が開講しました。
今期から基礎と実習コースを分けてのスタートとなりました。

基礎コースの方全員着物でお越しくださいました。
HP、ブログを数年前から見てくださり、ようやく日程が取れるようになって臨んでくださる方もありました。


いつものように紬織り人間国宝・宗廣力三先生の作品集を見ていただき、まずは私の仕事の元にある師の仕事を知ってもらいました。
師匠のデザインを真似てはいけませんが、師が大切にしていた糸のこと、染色のこと、着ることなど受け継ぐものは受け継がせてもらいました。
シンプルな色使いの中に奥行きをもたせる色使いで日本的な奥ゆかしいものの美を大切にされていたと思います。
先生の元で仕事をさせて頂けたことを幸せだと思っています。


続いて黄色系の着物(単衣)とピンク系(袷)の私物の着物を全員が交代で羽織って頂き、どんな感じか、一人ひとり話してもらいました。
柔らかい、軽い、纏うと色の見え方が違う…などの声が聞かれました。

ピンク系も黄色系もみなさんよく似合っていましたが、特にピンクの着物を羽織ると表情が生き生きと明るく笑顔になった方もいらっしゃいました。また黄色系はしっとり落ち着き、より女らしさが引き出されてくる感じがありました。両方共、誰でもが似合った、という感想も聞かれました。

自然界のピンクと黄色は基本の色で、いずれにしても包容力のあるものだということがわかって頂けたかと思います。また、真綿系と玉糸系、袷、単衣の感じの違いも感じとってもらいました。

今期の方はみなさん着物歴も長く、お茶やお香を嗜まれたり、着付けの講師をされている方、和裁士さんもいらして、いろいろ知識、技術はお有りのようですが、紬塾ではそれらを一旦無しの状態にしていただき、新たな目でこれからの講義に臨み、改めてもう一度自分で良く見、感じ考えてほしいという趣旨の話もしました。


この日私が着ていた紬は修業時代の最後に宗廣力三先生から真綿一反分を頂き、つむぎ、母のために織った着物です。仕事を終えた夜の1~2時間毎日つむぎました。太目の糸が表情豊かで味わいと力強さがあって私は好きです。

紬塾の初回には私にとって原点となる40年程前に織ったこの紬をよく着ています。井桁絣も木綿の紺絣によく使われますが、整経が良くできていないとズレが生じたり、シンプル故にアラも目立ち、きちっとするには技量を要します。


紬は固くて着にくいという声もよく聞かれるのですが、この紬は一般のものに比べかなり地厚ですが、みなさんに袖を触ってもらいました。まだ洗い張りはしていませんが、その柔らかさに驚かれていました。
糸を細くして、織密度を高くすると固くて着にくいものになりますが、かと言ってただゆるければいいというものではなく、判断のポイントがあります。

帯は30年近く前、着物を着始めて間もないころに村田染織ギャラリーで購入した両面使いのオールドのジャワ更紗です。この日は柄がおとなしいB面で久々に締めてみました。 
自作の着物を着始めたよちよち歩きのあの頃から、ずいぶん時間が経過しているのだと、感慨深くいろいろ思い出します。

次回からは紬とはどういうものであったか核心に迫りたいと思います。
また堅牢でありながら着心地の良い紬の元になる紬糸や織り方についても話していきます。










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第10期紬きもの塾―半幅帯を愉しむ(最終回)

2019年02月09日 | 紬きもの塾’17~’20

2月にずれ込んでしまいましたが、第10期の紬きもの塾が終了しました。
みなさん熱心に通ってくださいました。大阪、静岡からの参加者も休まずに来てくださいました。
最終回も盛りだくさんの内容でしたが、まずは半幅帯について。

上質な半幅帯は蒸し暑い時期にも、体調が悪い時にも、忙しい時にも重宝なものですので、浴衣や普段着だけと決めつけないで、お洒落着としても活用したいものです。長さや、生地感などで結び方も相応しいものを選ぶと良いです。

皆さん着付けのできる方ばかりでしたので、今回は私がやるのを幾通りか見てもらいました。
この日私が締めていた半幅は20年以上前に試作で織ったもので、長さが短く矢の字か貝の口ぐらいしか結べないのですが、割り角出しを一周だけ巻き付けて垂れを上に乗せてみました。巾は4寸3分ありますので、なんとか格好がつきました。太い糸で織ったリバーシブルです。
半幅は高齢になってからもいいかと思います。
可愛いおばあちゃんを目指したいです!(意地悪ばあさんにならないように…
HPの着姿ページ、半幅の取合せも更新しています。


毎回、幸田文著『きもの』の感想を発表してもらいましたが、最後は私も発表をしました。

形見分けのところを取り上げました。るつ子のおばあさんがテキパキといろいろ仕切って形見分けの段取りなど教えてくれます。私は祖母や母の時のことに思いを重ねました。
人が生きるために使われる道具や着物。そして遺された身の回りの道具たちや着物。
遺された者たちにとってはたくさんの思い出と重なるものでもあります。
自分の着物もあとはどうなるのでしょう。。引き受けて着てくれる方に渡ってほしいなぁと思いますし、手入れをしてきちんと着ていかなければと思います。次世代に手渡せるものを大事に使うという戦前の暮らしからも学びたいです。
この『きもの』からも本当に多くのことを教えてもらっています。

他に着物の寸法の確認やまた紬塾が目指すものについて復習しました。
紬塾のベースにあるのは「自然」です。自分の生き方や環境に照らし合わせて命ある着物をどう着ていくか、自分らしい自然な着姿を探り、高めいく。ただ、本質を見極めながらもあまりタイトに難しく考えすぎずに一歩づつ自分の歩みで進めばよいのです。

参加者のお一人が(着物歴7年だそうですが)、主にお祖母様から受け継いだものが多いのですが、着物ノートを付けてらっしゃいます。
着物や帯の写真が貼られているのですが、着物の写真のそばには何時どこへどんな取合せで出かけたかが記録されています。
出番の多い着物は一目瞭然です。

また、帯の写真ははずせるようにしてあり、取合せを考える時に着物のページで当ててみることもできるのです。長襦袢、コートなども入ってます。
出番の少ないものは合わせる帯が少なかったり、サイズの直しが必要だったり、分析するにもいいですね。
とても素晴らしいと思いました。ご本人は改善点があるとおっしゃられていましたが、自分らしい着物ライフを送る上でもまたどんな変遷をたどるのか興味深いです。

この一年、参加のみなさんのご協力のおかげで、前半の私の体調不良も乗り越えて無事務めることができました。
終わってしまうのは寂しい‥と言ってくださる方もありますが、時々はブログも覗いて下さい。
本当にありがとうございました。

以下は18年度の紬塾に参加してくださった方々の紬塾レポートです。
「紬塾」を振り返り、自分と向き合いそれぞれの言葉で綴って下さいました。
長文もありますが、お時間ある時にゆっくり読んで頂ければと思います。
次期紬塾受講を検討されている方は特に参考にお読み下さい。

19年度の紬塾スケジュール詳細は2月下旬にHPでお知らせ予定です。
募集受付開始は3月中旬です。

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堂々とどんな場面でも締められる半幅帯が欲しいとずっと探していました。
よくある半幅帯に何か物足りなさを感じたまま、私のイメージするものはないのだと諦めかけていたとき、中野みどり先生のブログ、上質な半幅帯に辿りつきました。

紬塾、面白そう…偶然にもちょうど紬塾募集開始の一週間ほど前のことです。
着物が好き、でも、着るだけではなく、着物に関わることをもっと知ることができるのではないかと思い、思い切って参加することに決めました。
一番の決め手は、ブログで拝見する、先生の自然で柔らかな着姿、取り合わせが素敵で、先生にお会いしてみたいと思ったからです。

紬塾では、着物を着ることも学びますが、それは、自分らしく布をまとい、その布の良さを活かしきるためのものでした。
さらには、先生のお話を聞き、皆さんと幸田文著『きもの』を読んで、それぞれが印象的であった箇所やどう感じるのかを発表し合いました。

物事を選び、それらを取り合わせ、着付ける又は使い込む。
そこには、自分をどう見せたいか、ではなく、意図せず自分が表れてしまっていること…自分なりに解釈して気づきを持ったつもりです。
それは、先生が最後におっしゃった、河井寛次郎の「もの買ってくる、自分買ってくる」にも通じるのでしょう。
だからこそ、「良いものを選び取る力、その魅力を引き出す取り合わせができる力をつけて育てていくこと」「オシャレ〜!とかセンスいいね!とか、そんな簡単なものではなく、滲み出るものを感じてより良いものへと発展させていくこと」が大切なのだと思いました。
そして、そのことと、自然の素晴らしさと自然を守ることを意識して日々過ごすことは、別のことのようで繋がっているようにも感じられます。

先生のおっしゃることはシンプルなことです。
「糸をよく見る、そして布をよく見る」
笹山先生の講義でも、見る力のお話がありました。「部分と全体を同時に見る」
でも、そのシンプルなことを自分なりに理解して深めてゆくことはとても難しいのです。
毎回、夢の中の出来事のように濃厚な時間を過ごしながら、でも先生の伝えようとしてくださることは高度で、自分の中に落とし込めていないという焦りもありました。
しかし、自分なりの気づきや、今後大切なことに思い至る種を持ち帰ることはできたと思っています。

布のこと、もっと理解できたらいいな。
先生みたいな着物と帯などの取り合わせ、着付けができるようになりたいな。
そんなこと考えて参加し始めた紬塾でしたが、そんな目に見えるものではなく、自分の中にあるものを強くするためのヒントを学ぶ場でした。

ここに全てを書ききることはできません。
私の言葉では、学んだことの素晴らしさも、私が感じたことも、ほんの少ししか表現できていませんが、紬塾の皆さまに、そして今回参加できた不思議な巡り合わせに、感謝の気持ちでいっぱいです。(N)

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この度は中野先生とのご縁をいただき、ありがとうございました。
染織を習うことはかねてからからの念願でございましたが、お習い事はどなたにお教えいただくかが何より肝要かと思いますし、またひとたびご縁を授かれば紬きもの塾生の関係になりますので、、、
先生の紬塾を訪ね、先生にひと目お会いしただけで私がさがし求めていたお方だと確信いたしました。
永年の夢が叶いまして感謝の思いでいっばいでございます。
毎回心して講義に、励んでまいりました。
心に残っていますことは講義の中で紬は"かたもの"と言われますが先生の頭の中では柔らかものですと。。。
紬は硬いというような固定観念を持たないことが大切です。改めて認識いたしました。
また、染織実習の糸染めのときに、先生が糸を丁寧に扱う真摯な姿勢がとても印象に残りました。(W)

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[紬入門基礎コース ]
本当の紬とは何かということで、糸や草木染めの話をお聞きしたり、映像を見せてもらいました。
絹糸の縮れは、キラキラして、美しいです。
また、紬を着るために、麻の伊達締めや、汗取りを運針から教わって作りました。
運針が、できれば、着物をとことん着尽くすことができます。
最後まで、使い切ろうと作ったものを見せていただきました。その精神には、脱帽いたします。
紬を、楽に、着るための着付けや帯結び、半襟の付け方も教わりました。着物を、日常的に着るための工夫だと思います。
そして、美しく着るための、取り合わせ。
着物の取り合わせは、小物ひとつ変えるだけで、全然変わってしまいます。
洋服とは、考え方がまるで違い、柄オン柄なので、奥が深く、日本人の美意識は、素晴らしいと思います。

[染織実習コース]
真綿から自分でつむいだ絹糸を、先生の庭の木の枝葉を煮出して、染めて、自分の設計図にしたがって、高機で織りました。
真綿は、ウールと違い、縒りをかけなくても糸になるのが、素晴らしいと思います。

11回の両コースをとおして、紬を作るところから、紬のきものを着ること、着尽くしての始末まで、紬きものに関する全てを、学ばせていただきました。
たくさんのことを、教えていただきましたが、その根底にあるのは、中野みどり先生の、人生哲学そのものでした。
染めの時も、ガスも水も、無駄に使わない。空調に頼ることなく、風を取り入れ、風通しの良い服装をする。蛍光灯をなるべくつけず、自然光の中で物を見る。(茶話会の時の、夕暮れの間接照明、ステキでした。)床の間で自分の美意識を磨く、等々。
人工的な便利さを求めることなく、自然の恩恵を最大限に取り入れて、感謝する。
ものは、大切に使わせていただく。
美意識は、研ぎ澄ます。

技術的なことから、精神的なことまで、たくさん学ばせていただきました。
深く感謝いたします。(A)

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紬塾を終えて。
先生の講義の中で印象的な言葉がありました。
「きれいな布が織れた」だけでは意味がない。誰かが着て活きるもの。
最終的にエンドユーザーに届かなくては意味がないことは、私も仕事を通してわかってはいましたが、これまでワークショップでその場限りの手作りしかしてこなかった私には、改めてものづくりを見直す機会となりました。

紬塾に来ただけでは時間も限られますので得られるものも限られるかもしれません。
ですが、紬塾には
・ものづくりと仕事
・真綿に触れる
・たくさんの草木染めの素材(糸、生地、着物)
・染め液の美しさ
などなど…紬塾ならではの体験がありました。

工房には作家目線の家選びがあることにも気づきました。
実習で、ぐらぐらと染め液を煮だしているとき、エアコンがついていないことが気になりませんでした。ほぼ亜熱帯と化した日本の夏でエアコン要らずなのです。
風の通りがものすごく良いのです。風だけでこんなに不快な暑さが和らぐものかと感動しました。
家選びには、風の導線も考えられていました。

今後は、紬塾で得た知識を自分なりに広げて行くことが大事なのだろうと感じています。
そのきっかけをもらえる貴重な時間でした。
ありがとうございました。 (H)

********************************************
二年半前に先生の作品に出会ったとき、ふわりと軽くて手触りが本当に柔らかく、優しく自然な穏やかな色合いで本物の紬とはこういうものかと衝撃を受けました。
それからずっとずっと気になっていて、二年越しでやっと塾に通えるようになり、毎回の先生のお話が本当に勉強になる貴重な時間でした。

今回本当にたくさんの事を教えて頂いたのですが、私が特に印象に残ったことは

<自然を大切にする>
必要なものを使わせていただいていく気持ちで、自然へ感謝して丁寧に暮らす。
それが「美しさ」につながる。

<次の世代も使えるものを持つ>
本当に良いものを一生手入れしながら着続ける。
とことん着尽くす本物の良さ。

最終日には、先生が陶芸家の河井寛次郎さんの『物買ってくる=自分買ってくる』という言葉を取り上げて、買ってくるものは自分が反映されているというお話をお聞きしました。

自分が何を好み、どのようなものを選ぶのか、それが全てに通じるということです。
それは当たり前の事のようですが、現代には物があふれ、何でも安価に手に入る時代です。私もこれからは自分の意識を変えて少しずつでも実行していきたいと思っております。

そして今後、私自身まだまだ学ぶことはたくさんあるのですが、着物をはじめとする和文化や手仕事文化のすばらしさをみなさんに伝えていきたいと思っております。

最後に、中野先生に出会えて着物だけではなく生活を丁寧に暮らす大切さを学ばせていただき、自分のこれからの人生が変わった気がします。
紬塾に参加させていただけたことに、大変感謝致しております。一年間ありがとうございました。(M)










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第10回紬きもの塾「自然で楽に着物を着る」

2018年12月13日 | 紬きもの塾’17~’20
第10回目の紬塾は紬などの着やすい着物を「自然で楽に着る」というテーマでした。

まずは下着や小道具について素材を見ての選び方、扱い方、また、着物の洗い張りをいつすればいいのかと言うような質問もあり、私の見解を述べました。
袷着物は基本的に洗うようにはできていないのでまず汚さないように着ること。ファンデーションなど使う方は顎のあたりはあまり塗らないほうがが、、。化粧の後はよく手を洗わないと、油汚れは時間が経つと黄変のもとになります。
着方も人それぞれで、一様ではないですが、洗い張りに関しては八掛の裾が擦り切れたタイミングで手入れをすればよいのではないでしょうか?
立体感のある真綿紬は汚れにくいです。
肌着や長襦袢、半襦袢についてでは、肌襦袢の襟元をしっかり首元にかかるように着ると長襦袢も汚しません。

私は日々の洗濯の殆どが炭酸塩です。あとは純石鹸を使います。合成洗剤は使いません
肌襦袢、ステテコなど汗がついただけのものなど、よく落ちてすすぎが簡単な炭酸塩がオススメです。
長襦袢は普通の絹の縮みにくい織り地を選び、洗える仕様に生地を伸ばさない仕上げにしてもらえば自分で洗えます。
日常に着物があった時代なら、いくらでも生きた知恵があったのでしょうけれど、今は洗濯さえも機械任せで素材による扱いの違いなどを皮膚感覚、身体感覚で受け止められないようになっていると紬塾の中でも思うことがあります。



着方に関しては、着物は着られる方ばかりでしたので、名古屋帯を仮紐無しで締めるやり方を中心に説明しました。短い帯や、前帯を汚してしまった場合、ポイント柄を見せずに無地を出したいときなどの、太鼓から結ぶやり方も参考までデモンストレーションしました。
前柄がうまく出ない場合の確認方法や、体型による帯仕立て寸法について。
7号サイズぐらいの方が、今の標準寸法の太鼓幅8寸2分ですと大きすぎるように思います。太鼓の端が脇の方へ回り込んでしまう感じになります。反物から仕立てられるときは、帯もマイサイズで仕立てると良いと思います。ただ、マイサイズはジャストサイズという意味ではなく、全体のバランスや帯の柄、質なども考慮するとよいです。

着物は補正をする必要があればすればいいですが、補正をするものと思い込んでいる方もあります。
なるべくその方の体型に沿わせて着れば良いと私は思います。補正肌着はいきいきした着こなしを削ぐように思います。その方の体型そのものが神様が作ってくださった理想形なのですから。
着方や柄、色選びでもカバーできる点もありますし、着方をややこしくすると、ますます着るのが面倒になります。蒸し暑い時に肌着の上に綿のタオルを巻きつけると暑いです。

先日のワッツでの個展で会場にふらっと入ってこられた方が、着物は着たいのだけれど、着付け教室についていかれなくてこんなにめんどくさいならもう着物は諦めたと言っておられました。最初からややこしいことはせず、腰紐1本、胸紐1本で着ればよいのに、、と。慣れてきたら少しずつ自分の理想系にすればよいと思います。

着付けのお手本が身近な人になく、雑誌のモデルさん(人に着せてもらった姿)を参考にするしかなくなってしまったので仕方ないのですが、着物もいいなぁと思ってくださってるのに、着方のせいでやめてしまうのは本当に勿体ないことです。
撮影用の着姿と、実際に目の前で見る着姿は違います。カメラのレンズと肉眼のちがいも大きいです。

確かに自然で美しく、こなれた着方をマスターするには修練が必要であることは言うまでもないことですが、みんなお揃いのような着付けをしないといけないかのような雰囲気になっては悲しいことです。
私自身はグズグズの着方をしていて、、、もう少しピシッと着たいと思って毎回少しずつは気をつけるようにはしています。ただ、基本的に簡単、楽な着方が好きです。(^^ゞ

あと、着物の仕立寸法が着姿に大きく関係しますので、最終回の紬塾でその点をお話します。私も寸法が合わないまま着ている着物はどう頑張っても時間もかかり、スッキリしません。洗い張りのタイミングで直していきます。


上の画像は30代のアシスタントの着姿ですが、彼女も着付けを習ったことはなく、自己流で着ていましたが、紬塾も受講し、今は自然な着方をしています。たまにしか着ませんが、着付けも早いです。最初はリサイクルの着物を着ていましたが、この「木守り」と題した紬着物は私の下で織ってもらったものです。着物も帯も小物も数は数点しかないのですが、気に入ったものを大事に少しずつ増やしていけばいいと思います。帯は向かい鶴文様の和更紗です。帯揚げの芥子色は玉葱で染めたものですが、光によって見え方が大きく変わる色です。

ミニ紬きもの塾の工房版もありますので、私でわかることでしたら、紬を着るにあたっての個別のご相談も承ります。
ホームページからお問い合わせ下さい。





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第8回紬きもの塾ー紬はかたもの?

2018年12月08日 | 紬きもの塾’17~’20


個展終了翌日の日曜日は織りの実習「布を織る」でした。

今期3人の方も無事織り終えることができました。
受講者のみなさんももちろんですが、私もこの瞬間ホッとします。

設計通りの方、設計図を見ながら多少の変更を加えて織った方、メジャーは最初だけで、あとはほとんど即興で織った方、三人三様の布になりました。
真綿から自分でつむいだ白い糸と、工房にある色糸を自由に選んでいただきデザインを考えてもらいますが、真綿の太い糸の表情、面白さを見てもらうことが大きな目的です。
織り上げた布は私の方で湯通しをして糊を抜き、塾最終回にみなさんにアイロン仕上げをしてもらい切り離します。
この時3寸ほどの手紬布として完成します。




湯通しはヒタヒタぐらいのお湯の中でまず糊(布海苔、生麩)をふやかすために軽く押してしばらく置きます(あまり長くすると糊が逆に戻ってしまいます)。その後、水を替えて2度すすぎます。軽く脱水し干します。

紬は水の中で、木綿やウール、麻などのように糸そのものが縮むことはほとんどないのですが、糸にウェーブがあり伸縮性があります。
湯通し後はスチームアイロンでほぼ元のサイズにします。
ゴワゴワした硬い紬ではなく、ふっくらした柔らかな紬になります。


よく染めの着物を"やわらかもの"といい、織りは"かたもの"と言われますが、私の頭の中では紬は柔らかいものです。(^^ゞ  
いえ、本来の紬は、というべきかもしれませんが。。

硬い紬があったとするなら、強い糊が落とされてないか、細い糸を使い、織り密度が高く、糸の撚りも強いものです。
密度の高いものはいくら着ても、いくら洗っても柔らかくはなりません。

本来の紬は着るほどに、洗うほどに柔らかく体に馴染み、着やすいものです。
それでいて適度な張り感もあり、まとわりついてくるような感じはありません。

よく見もしない、よく分からないうちに、着物の知識(!?)として、染め物は柔らかく、紬は硬いというようま固定観念を持たないことが大切です。

硬そうで柔らかいのが本来の紬、柔らかそうでいて、密度高く、硬く織られているのが染生地というものだと思います。

タテ、ヨコのテンションを強く織ったものは硬く、収縮も強いです。
また、そうかと言ってゆるゆるのものは布として自立しません。

程よいテンションで糸を巻き、織ることが紬では大事です。
昔のいいものは、染め生地もしなやかでふっくらしているのは糸に無理がかかってなかったからでしょう。

布を見れば、あるいは布にに触れれば、織りでも染でも生地質、着心地の良さなどはわかります。感覚のいい人は瞬時にそれを判断できます。

先入観でものを見るのではなく、素直な感覚を意識して磨いていきたいものです。





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第9回 紬塾「紬の取合せはおおらかで自由」

2018年11月06日 | 紬きもの塾’17~’20


今回の紬塾では着物、帯、羽織、小物の取合せのコツ、揃え方、素材の選び方などの話しと、紬の取合せの実践を交えて行いました。
単なる色柄のコーディネートではない、自然感や異なる素材、色、ものの力を意図的に絶妙に合わせる日本の取合せは奥が深く、レベルの高い世界です。
取合せワークショップでは着尺、帯数点、帯揚げ、帯締も用意して、その中から一人2パターンの取合せを季節や目的を変え考え発表してもらいました。五人五様の取合せでした。
みなさんの頬も紅潮して、真剣でした。でもとても楽しい時間でした。

気をつける点は「お揃いにしない(統一しない)」ことと季節感を取り入れること。
ものとしっかり向き合い、それぞれが引き立て合うような物のやり取りかと思います。
そのことは自ずとお揃いにしたり、目立ちすぎたり、控えすぎの役不足、つまらなさにはならないはずです。
それぞれが自立していて、なおかつハーモニーがあり、揃えすぎない少し外す破調も大事です。
自分の意志、感性で選び、取り合わせることは一歩づつ一生をかけて磨く価値のあることだと思います。
紬のような洒落着は自由でおおらかな取合せができます。楽しく、脳の活性化にもつながることです。

トップの画像、一点物帯揚げは草木の生木をチップにして染めたものを中心に用意して、ワークショップでも使ったものです。生地は丹後ちりめんのふっくらしたものです。
帯締めも草木の色合いに合うものをセレクトしています。19日からの個展でも多数ご覧いただけます。

後半は「観ることの優位性」というテーマで工芸評論家の笹山央氏にレクチャーをしてもらいました。

世の中的には創ることが崇められるようなところがありますが、過去においても豊かな文化が生まれた時代は観る人が文化を育てていた。
明治になって西洋文化が入り、日本の美術が捨て去られようとしたときにも江戸時代の感性を引き継いでいる人たちが日本の文化を守ってきた側面もある。
美術の話や、全体と部分を同時に観ることの例え、観る力は模写本能の力でもあり、優れた画家はよく模写もでき、よく観て描いているなど例を聴きました。
「見て覚えろ」ということが言われますが、確かに勘のいい人は覚えも早いし、いいものを創るように思います。
ものは光の中で見ることができるわけですが、フェルメールの作例を引き合いに出し、フェルメールのベースもものを正確に観ていこうとしたことにある。そして笹山氏は「明るいから見えるのではない。見えるから明るいのである」と話を締めくくりました。その普遍性を秘めた言葉に思わず納得しました。

予定時間オーバーでしたが引き込まれてみなさん聴いて下さいました。
来年はもう少し時間枠を広げようと思います。
ものを観る力は創る上でも着物を着る上でもとても大切なことです。参考にして頂ければと思います。





上の写真は福岡に出張されていた紬塾の方から頂いた太宰府にある藤丸の「銀杏の葉」という和菓子です。
黒いのは大徳寺納豆。薄い甘さに大徳寺納豆の塩加減は絶妙でした。
このお菓子にも自然や素材を見つめる目が、形や色、質感、味わいにも感じられました。
季節を取合せて紬を着たくなりました。。

次回12月は今回話しきれなかった取合せの話の続き‥、着物の着方、着物、帯の寸法などの内容になります。



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