中野みどりの紬きもの塾

染織家中野みどりの「紬きもの塾」。その記録を中心に紬織り、着物、工芸、自然を綴ります。

第9回 紬塾「紬の取合せはおおらかで自由」

2018年11月06日 | 紬きもの塾’17~18


今回の紬塾では着物、帯、羽織、小物の取合せのコツ、揃え方、素材の選び方などの話しと、紬の取合せの実践を交えて行いました。
単なる色柄のコーディネートではない、自然感や異なる素材、色、ものの力を意図的に絶妙に合わせる日本の取合せは奥が深く、レベルの高い世界です。
取合せワークショップでは着尺、帯数点、帯揚げ、帯締も用意して、その中から一人2パターンの取合せを季節や目的を変え考え発表してもらいました。五人五様の取合せでした。
みなさんの頬も紅潮して、真剣でした。でもとても楽しい時間でした。

気をつける点は「お揃いにしない(統一しない)」ことと季節感を取り入れること。
ものとしっかり向き合い、それぞれが引き立て合うような物のやり取りかと思います。
そのことは自ずとお揃いにしたり、目立ちすぎたり、控えすぎの役不足、つまらなさにはならないはずです。
それぞれが自立していて、なおかつハーモニーがあり、揃えすぎない少し外す破調も大事です。
自分の意志、感性で選び、取り合わせることは一歩づつ一生をかけて磨く価値のあることだと思います。
紬のような洒落着は自由でおおらかな取合せができます。楽しく、脳の活性化にもつながることです。

トップの画像、一点物帯揚げは草木の生木をチップにして染めたものを中心に用意して、ワークショップでも使ったものです。生地は丹後ちりめんのふっくらしたものです。
帯締めも草木の色合いに合うものをセレクトしています。19日からの個展でも多数ご覧いただけます。

後半は「観ることの優位性」というテーマで工芸評論家の笹山央氏にレクチャーをしてもらいました。

世の中的には創ることが崇められるようなところがありますが、過去においても豊かな文化が生まれた時代は観る人が文化を育てていた。
明治になって西洋文化が入り、日本の美術が捨て去られようとしたときにも江戸時代の感性を引き継いでいる人たちが日本の文化を守ってきた側面もある。
美術の話や、全体と部分を同時に観ることの例え、観る力は模写本能の力でもあり、優れた画家はよく模写もでき、よく観て描いているなど例を聴きました。
「見て覚えろ」ということが言われますが、確かに勘のいい人は覚えも早いし、いいものを創るように思います。
ものは光の中で見ることができるわけですが、フェルメールの作例を引き合いに出し、フェルメールのベースもものを正確に観ていこうとしたことにある。そして笹山氏は「明るいから見えるのではない。見えるから明るいのである」と話を締めくくりました。その普遍性を秘めた言葉に思わず納得しました。

予定時間オーバーでしたが引き込まれてみなさん聴いて下さいました。
来年はもう少し時間枠を広げようと思います。
ものを観る力は創る上でも着物を着る上でもとても大切なことです。参考にして頂ければと思います。





上の写真は福岡に出張されていた紬塾の方から頂いた太宰府にある藤丸の「銀杏の葉」という和菓子です。
黒いのは大徳寺納豆。薄い甘さに大徳寺納豆の塩加減は絶妙でした。
このお菓子にも自然や素材を見つめる目が、形や色、質感、味わいにも感じられました。
季節を取合せて紬を着たくなりました。。

次回12月は今回話しきれなかった取合せの話の続き‥、着物の着方、着物、帯の寸法などの内容になります。


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紬きもの塾 第5回「麻の伊達〆を縫う」ー運針から学ぶこと 

2018年09月28日 | 紬きもの塾’17~18

今年は紬塾のスケジュールがかなり変則的になってしまい、23日は第7回「織りの準備」、翌24日 第5回「麻の伊達〆を縫う」と2日続けての講座となりました。
ここでは運針について書きます。今までもほとんどの方が運針は出来ず、今年は運針にしっかり時間を取り、なんとか皆さんに型だけは覚えてもらいたいと思いました。
麻の伊達締め(伊達巻き)だけで十分なのですが、今期の方はヘンプの蚊帳生地を使ったバイアスの汗取りも縫いたいと希望があり、私としては伊達締めだけでも指導が大変なのにエライことになってしまいました.. (-_-;)


                                   半襟の付け方もやりました。

義務教育のうちに家庭科の授業で運針は教えるべきだと思います。本当に生きていく上で基本的なことですから(大げさなようですが、、)。
覚えると自家用のものなら大抵のものは何でも手縫いできます。
無心に針を動かすのは集中力を高め、達成感も得られ、本当にいい事ずくめです。
受験校で毎朝運針をする女子校(豊島岡女子学園)があるようです。自分なりの目標を一針でも先に進めることが大事なようで競争をするわけではありません。

ミシンももちろん便利ですが、手縫いは小さな針箱に針山と針、まち針、ハサミ、後は絎台があれば大抵のものは縫えます。
私の母は和裁を特にしたわけではありませんが、いつも手元に針箱を置いて、着なくなった服などもなんでもはぎ合わせて様々なものに作り替えていました。それを私は傍らで見ていただけですが、結局母と同じようなことを今しています。

運針は小学校の家庭科で一応習いましたが、本当に身につけられたのは母の姿を見て覚えたのです。
学ぶというのは真似をすることから始まると思います。真似の上手い人は技を身につけるのが早いです。
よく見て覚えろということは職人の世界などでも言われることですが、本当に見る力が大事だと思います。同じようにするにはどうしたらいいかを自分で考えるのです。

技というのは実は手取り足取り教えられるものではなく、示された手本を本人が見て受けとれるかどうかです。
お茶の教室でも“見稽古”というのがあるそうです。先輩の点前をじっと見て、その所作を感じ取り覚えることなのではないでしょうか。手順を覚えるだけではなく、どこをどう感じ取るかがないといけないのでしょう。
母の運針を見てリズミカルで、糸こきなどもシュッ!とカッコよくてあんなふうに縫いたいと私も真似して覚えました。

運針で学ぶことは布の素材感や織り密度、針や糸との関係性、針の長さ、太さ、糸の番手も奥が深い事にも気付きます。針目の大小も縫うものによって変えます。

昔は伊達締めや腰紐などは古い襦袢などから作ったと思います。幸田文さんの「きもの」の中でも腰紐を縫う話が出てきます。
古い布を少しためておくと何かに役に立つものです。

今の時代のなんでも断捨離というのも情けなく、薄ら寂しさを覚えます。
どんどん安いものを買い、2~3年着ない服はどんどん捨てるというようなことはやめにして、素材を吟味してとことん使う文化の豊かさや楽しさに気付きたいものです。
前々回の記事にかいた「ぼろの美」は布自体も美しいですし、針目や配置の妙味もあります。


絎台があると、まち針を打つとき、糸こき、キセを掛けるときにもとても役に立ちます。
母は絎台がなければ裁縫は出来ないと言っていました。和裁の方は足の指で布を挟む方もありますね。

この写真の方は絎台を新しく用意して来てくれました。どうやって使うかもまったくわかってなかったのですが、終わる頃にはだいぶ慣れてきていました。机上絎台と木製のものを合体させて今回は使いましたが、テーブルなどに固定させる簡易式のものでも良いと思います。正座で使うには写真のような木製の折り畳めるようになっているものが良いと思います。針山も毛糸くず(油分のあるもの)など詰めて作っておくと重宝します。
今期の方もだいぶ良くなりましたが、まだきちっとは出来てはいないのです。。でも自分がやっていた方法は運針ではなかったことに気付いただけでも良かったのではないかと思います。基本を覚え、毎日手ぬぐいの長さ分1本でいいので、針と指ぬきをそばに置いて運針をしてほしいと思います。
秋の夜長、虫の声(コオロギ)を聞きながら「肩刺せ、裾刺せ、綴れ刺せ」と繕い物の時間はいかがでしょう?
この言葉を祖母が母に、母は私に伝えてくれました。虫の声が聞こえてきたら冬に備えて衣類や布団のほころびを直したり、作り直したりして準備しておきなさい、と。


この日は暑かったのですが、藍小格子の単衣の紬に壺文様のジャワ更紗の半幅を締めました。下着は半襦袢にヘンプステテコでした。
庭の萩の花も満開で、一輪挿しに活けてみました。
暑さ寒さも彼岸まで―、これから紬の季節でもあります。



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第3回 紬塾「とことん着尽くす」――『ぼろの美』額田昇作コレクション

2018年08月30日 | 紬きもの塾’17~18

                             「『ぼろの美』額田昇作コレクション」より

8月最後の週にずれ込んでしまいましたが、第3回紬塾「とことん着尽くす」の講座を行いました。

親から譲り受けた着物など古い着物の生かし方、更生の知恵など具体的に私の私物をご覧いただき説明しました。
母の遺品から、子供の頃の着物をはぎ合わせた手縫いの風呂敷や、戦時中に着ていた着物から作り変えた服なども見てもらいました。

また、18年前に出版された『ぼろの美』額田昇作コレクションも短時間でしたが紹介しました。
みなさん関心をもって見てくれていましたのでブログでも少し紹介いたします。

画家の額田さんがぼろの美に魅せられ打ち込んで収集したコレクション図版集です。
発売されてすぐに購入したものですが、今も手元において時折眺めています。

ぼろのコレクターはたくさんいらっしゃいますし、実物を見ることもありますが、この方のコレクションは特にアート、現代作品を見つめるような視点で選ばれたものが多いように思います。
それらのとことん使われ、幾重にもたたみ掛けるように継ぎはぎされた布は、自然発生的な、導かれるような模様やかたちを成し、美しく、またアート性を感じます。

文中に額田さんは『絵もこのように描けないものか』と書かれています。
画家のみならずこれらの布を見ると自分の仕事と重ねて衝撃を受ける方は多いと思います。
布を織るものとしてはいつもこれらの仕事を根底に据えておきたいです。

ほんの一部ですが本の中から写真を紹介します。
まずは手織り布自体の美しさ、針目の美しさ、特に擦り切れる部分に思いがけない模様が生まれてくる面白さ。
重ね配置される無数の布の調和。自然と人為が織りなす、見ても見ても見飽きないものです。
生きるか死ぬかの瀬戸際の繕い仕事から生まれてきたことは言うまでもないことですが、でも美しいものを使おう、作ろう、纏おうとしているからこその仕事に思えます。

入手困難な本ですが、図書館などにあるかもしれません。










                                        酒袋


                                                  右は麻袋



このコレクションでも思いますが、とことん使うに値するものを今の私達も使うことが大切ではないでしょうか?

継ぎ当てには不思議な力が宿ります。身近なものに継ぎはぎをするのは楽しいですし、布や糸質などの発見もあります。
工房の30代のアシスタントも、以前会社勤めの頃は服などをたくさん捨てていたようですが、最近はズボンやシャツに継ぎをあてて着ています。
それが案外面白い継ぎ当てで、織物もそのうちいいものを織るようになるでしょう、、と思っています。



麻のシャツの擦り切れたところに当て布をして並縫いをしたもの。あて布の色柄が見え隠れして面白いですね(額田コレクションの後に恐れ多いのですが、、)。

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次回紬塾はいよいよ運針で伊達締めとヘンプ蚊帳生地タオルで汗取り(補正用にもなる)を縫います。
運針は練習してきてください。指ぬきも自分のサイズに直してきてください。よろしくお願いします。







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第6回紬きもの塾――柿、桜で染める

2018年07月27日 | 紬きもの塾’17~18


毎日最高気温を更新して今週月曜日には東京でも40℃を超えました。

この暑さの中、冷房無しで、染色をするのことに慣れない方たちが無事に作業を終えることが出来るのか、、とても心配していました。
暑さ対策、着てくるものなどについても前もって注意しておりましたが、みなさんいろいろ工夫して準備してくださいました。

まずは染色の流れや注意点の説明などをして、工房の庭木を伐るところから始めてもらいました。

糸染めには柿の枝を使い、帯揚げには桜の枝と葉を分けて煮出し、灰汁媒染とアルミ媒染の二通りに染め分けました。
12時半から5時半過ぎまでビッシリの作業でした。

汗だくになりながらもとても真剣に取り組み、また楽しそうで、明るい笑い声、そして染められたものを見て「わ~きれい!」「わ~きれい!」という声がみなさんから聞かれました。私も何度見てもこの時期の植物の生命感に「わ~きれい!」を何度も言ってしまいます。

真夏の染色は暑くて大変ですが、すぐ乾きますので効率よく仕事を進められます。
半日しかない中でも、しっかり染められたと思います。


柿の枝を細かく切る。今回は葉は使いません。


150gの染材を煮出しています。


煮出している途中も小さなガラス瓶に染液を取り、やめ時を見極めます。長くすれば良いというものではありません。


糸を絞ったあとに風を入れるやり方を伝授。強く引っ張ったり、糸に素手でたくさん触ってはいけないことなども話しました。
糸を傷めないためにとても大切なことです。


放冷中も糸を繰る。温度が下がる時にも色素を吸収するのでムラになりやすい。


温度が下がるまで留め釜をして色素を定着させる。


干して乾かすことでまた色を定着させる。干すことも染めること。
柿でピンクベージュが染まりました。


帯揚げは奥が桜の枝の灰汁媒染。手前が葉と枝の混合のアルミ媒染。
ボールを使って糸を染めるように布をムラなく染めるには工夫やコツ必要です。
ここには書ききれませんが、紬塾ではその説明もします。

帯揚げは持ち帰って自分で洗って干し、1週間ほど室内で陰干しして色を安定させ、スチームアイロンを掛けてもらいます。
乾くと色は半減しますがどんな感じになったかは次回の紬塾に持参してもらいます。どんな仕上がりか楽しみです!



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第2回 紬きもの塾――糸の力、色の神秘

2018年07月06日 | 紬きもの塾’17~18


糸や色、布の風合いの話の回が紬塾の核になるところです。
布を見る上で、着物を着る上でも参考になるような話をします。
みなさんもとても熱心に聴講してくれました。

観察が大事ですので、まずは真綿や未精錬の糸、精錬後の糸、真綿紬の糸の様々もしっかり見てもらいました。
先に解説などしないようにし、知識はあとからポイントだけお話します。
繭から糸を繰る、真綿から糸をずりだすワークショップも行いました。

繭から繰り出される糸の美しさに感嘆の声が上がります。

黒っぽい紙に糸を巻き付けながら糸を繰ると、最初は太い糸束が出てきます。
その糸がだんだん蚕が吐き出した1本の糸になります。
繊細で震えるようなウェーブがきれいです。
お蚕さんは不眠不休で頭を大きく振りながら8の字をかくように2日ほど糸を吐き続けて繭を作ります。
その繭から私達が着る着物やシルク製品が作られるのです。


また草木の生木で染めた色に目が吸い付けられるようにみなさん見ていました。

人の肌にも、どの色を当ててみても似合わないということがないのです。
化学の色は、色相によっては人の肌に馴染む馴染まないがありますが、色素の複雑さと生き生きとした自然物にしかない発光するような色は私達の肌と呼応するのだと思います。


糸綛をノーメークの顔の近くに当てて見てもらいました。
ピンクベージュ、イエローベージュの糸、どちらも似合わないということはありません。

紬塾初回に、私が着ているピンク系、イエロー系の紬をみなさんに両方羽織ってもらいますが、今までどちらも似合わない方はいなかったと思います。
もちろんより似合う、、ということはありますが。

身近な自然がこんなに美しい色を宿し、与えてくれるのです。大切に有り難く利用しない手はありません。

最後は部屋の灯りも消して夕暮れのほの暗さの中で染糸を見てみました。
みなさんも改めて「この光の中でもきれい・・」「深みを増すよう・・」とつぶやかれていました。

次回、染織コースの方には実際に糸や布を工房の庭木で染めてもらいます。
結果だけではなく、過程も体感してもらいます。





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第4回 紬きもの塾――真綿から糸をつむぐ

2018年06月25日 | 紬きもの塾’17~18


4月にスタートした「紬塾'18」は私の都合で2回お休みとなり、関係の皆様にご迷惑をおかけしましたが、ようやく昨日2回目の講座開催となりました。

今年も3名の方に久米島式で真綿から糸をつむいでもらいました。
2枚の角真綿(約3g強)を掛けました。上の真綿からきれいに一枚ずつ片付けてつむぐとスルスル真綿が出てきます。
一番つむぐのが難しい着尺2~3本合わせたような太さにつむいでもらいました。

1時間半、つきっきりで見ておりました。。(@@;
目が話せませんでした、、。(・・;


三人の方がつむいだ糸。違いがわかりますか?
織ったときの景色が楽しみです…(^^♪

大事なことは真綿の繊維をちぎらないようスルスルと出てきやすいように、人が真綿の状態をよく見て繰ればいいだけです。
五感を働かせて、よく観察することが大事です。

真綿作りもすべて手仕事で、繭一つ一つを指先で広げて重ねたとても手間のかかっているものですが、これ自体も不揃いであったり、不規則性もあり、こちらが素材に近づいてあやすように扱わなければならないのです。

糸をつむぐことは楽しい仕事でもありますが、着るためにつむぐということは厳しいことです。

糸つむぎの内容は初めての方は昨年の記事もご覧ください。→ 

糸つむぎの台は久米島にしても結城にしても、とても単純な道具です。
人が真綿から糸を引き出してくる際にどこかに真綿を止めておく(掛けておく)だけのための道具です。

固定している釘も少ないほうが繊維を切らないのでよいです。
竹の釘があればそれがベストと思います。いろいろ工夫すれば良いと思います。

素材や道具に素直に向き合う姿勢がないといい糸つむぎは出来ないと思います(なんでもそうですが、、)。

蚕が2日ほど掛けて吐き出す、あの0.02mmの細い糸は無理に引っ張り出せばどんどんちぎれてしまいます。
そのことに気づく優しい眼差し、素直な観察力が必要です。

次回7月1日は順序が逆になってしまいましたが、真綿や糸の話し、植物の中に潜んでいる色の話、風合いの良い布を織ることについて講義します。
「紬きもの塾」の一番核になるところを話します。





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[第10期 紬きもの塾'18]開講しました!

2018年04月18日 | 紬きもの塾’17~18


「第10期 紬きもの塾'18」が開講しました。
お陰様で10年目に入りました。

今期は遠方からの参加者もあり、また以前から気になっていたものの、今年、やっと日程が合ったということで参加してくださった方もいました。和裁をされる方、お茶、お香、日舞など和の趣味の方もいらっしゃいます。

着物はみなさんお持ちで着ることもできるということです。
ただ、紬に惹かれながらもよく素材のことなどわからないということで参加をしてくださいました。

まずは私の師であり、紬の基礎の教えを受けた紬織人間国宝、宗廣力三先生(1914-1989)の作品集を一緒に見ながら、先生の創作の原点にあるものについてなど説明しました。


上の写真は竹文様の手結絣で、シンプルなデザイン、色数は抑えながらも織物の奥行き、深さを醸し出した作品です。
織は研究生が担当しますが、きれいに絣を合わせています。
シンプルなデザイン故に技量のある方でないと織れません。ごまかしがきかないのです。


こちらは緯絣で織り出した「十草縞」原寸大の部分写真を見ながら解説しました。私もこの絣縞は2~3反色違いで織らせていただきました。初めての絣でしたが括るのも大変、織るのも大変でしたが無心で夢中で仕事をしました。織り上がったときに先生の奥様から「絣が合いすぎね!」と皮肉交じりに言われたのです。悲しい気持ちになりました。。(;_;)
そばにいらした宗廣先生が、それに対して「始めは合い過ぎぐらいでいいんだ」とフォローして下さったことを思い出します。合わせられるからずらすこともできる、という意味だったと思います。
修業時代は辛いことも多い日々でしたが、宗廣先生の本質を突いた言葉に納得し、また支えられてきました。

先生は郡上の土地に根ざした郡上紬を興し、紬織の根源を見極めつつ独自の世界を創り出した方です。私もその仕事の根っこは学ばせてもらいながら今の時代の中で私なりの道を切り拓いていくつもりです。来年は宗廣力三先生没後30年になります。

みなさんからもどんどん質問が出て予定の時間をオーバーして説明させてもらいました。


中盤では私が着ている紬を2枚用意しまして、服の上からですが、交替で纏ってもらいました。

袷と単衣、真綿系と玉糸系、ピンク系と黄色系。
紬といっても対局にあるものを二通り纏ってもらうことでどんな感じを受けるのか、違いをみてもらいました。私からは先に何の解説もしていません。みなさんの根源的感覚を呼び覚ましてほしいからです。
次回、このことは糸や色、織についての解説の中で解きほぐしていきたいと思っています。



それにしても毎回そうですが、紬を纏うと自然な色や風合いに「ワ~ッ」とみなさんから声が上がります。
また初対面の方ばかりですが、着るところを見ている方からも笑顔がこぼれ、和やかに会話が始まります。

素直にものを観察するところから始まり、先入観や固定観念ではない“紬織”と出会ってもらいたいと思います。






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[第10期 紬きもの塾'18]募集受付3月12日(月)から開始!

2018年03月07日 | 紬きもの塾’17~18

「紬の会18」工房展が終了しました。展示会中は工房ならではの話や個別のご相談にも応じることができ実のある会となりました。ご来房くださいましたみなさまありがとうございました。

さて次は、[第10期 紬きもの塾'18]の募集受付が来週3月12日(月)から始まります。

お陰様で毎回着物や紬、自然と真摯に向き合ってくださる方にご参加いただいてきました。

少人数制でかなり濃密な時間を一年間共に過ごさせてもらうことになりますので、ブログのカテゴリーから過去の「紬塾」をよくお読みいただき、内容、趣旨をご理解のうえお申し込みください。ブログにすべて細かくは書けませんが、大まかには掴めると思います。

創る立場、使う立場、両面からアプローチします。
内容が盛りだくさんで毎回駆け足のようになっており、今期より入門基礎コースの回数を1回増やします。それに伴い基礎コースの受講費が変更となっていますのでご確認ください。

今期の詳細とお申込みはこちらから。

受講者は、着物を毎日のように着ている方から、週1回のペースでお稽古に着ていく方、お出かけの際にたまに着る方、着付け教室で着方は習ったもののほとんど着られない方、まだ全く着たことのない方など様々な方が参加されます。その違いは全く問題ではありません。

きものを着ている、着ていないにかかわりませんが、日本の上質の手仕事、布、工芸、自然に興味があり、文化として大切に考えてくださる方々と共に学ばせて頂けることを願っています。
知識というよりも実感していただけるよう、また自分で考えるきっかけを掴んでいただけるよう進めていきます。

募集の受付は3月12日(月)午前零時からメールでお申し込みください。 
お電話の場合は午前9時からになります。

「1.入門基礎コース」、「2.入門基礎+染織実習コース」のいずれかと、
ご住所(〒)、お電話番号、お名前を必ず明記してください。


折り返し担当からメールで受付のお返事を差し上げます。一両日中に返信のない場合はお電話でお問い合わせください。(受付後、工房地図など詳細を郵送いたします)

紬織を通しての善き出会いを楽しみにしています。(*^^*)



工房展では梅染刺子織絣単衣紬にヤマモモ染綾織半幅を結び、もう1日は染の半幅帯を同じ着物に合わせておりました。
紬塾の最終回には上質の半幅帯の結び方や半幅のメリットなど細かな説明もいたします。
中野の着姿ページもご覧ください。

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第10回紬きもの塾最終回 「上質の半巾帯を愉しむ」

2018年01月24日 | 紬きもの塾’17~18
2018年、第10期「紬きもの塾」の日程を公開しました。申込受付は3月12日からです。
こちらから→




第9期の紬塾最終回は三河芯を使った半衿の付け方、名古屋帯をクリップを使って締めるやり方、半幅帯の結び方、仕立のこと、総括、打ち上げと6時過ぎまで、盛り沢山な内容で無事終了しました。
基礎コースの方は全6回、染織コースも取られた方は全10回。ほぼ皆勤でみなさん通ってくださいました。

毎回、写真を撮る暇もなく最後の記念写真さえ撮れませんでした。上の画像は取合せの回のワークショップ風景です。

みなさん熱心に最後まで真面目に臨んでくださり、私も一生懸命紬織や着物に関しての話をしました。
着物や手織りの布が身近でなくなった時代こそ根源的な着ることの意味や布に触れること、自然をみつめ、その恵みを享受することの大切さを少しでもお伝えできればと、知識だけではなくワークショップ、幸田文著『きもの』を読んでの感想発表などを交えてなるべく実感、実体験してもらえるよう進めてきました。

今年も気持ちよく10回の講座を開くことができました。協調性のあるみなさんのお力添えのおかげです。
それぞれの気付きや学びを日々の暮らしや着物を着ることに生かしていただきたいと思います。一年間ありがとうございました。

来期は日曜日を主に使って開催する予定です。ホームページでご確認下さい。

みなさんから受講後に一年を通して学んだこと、気付きなどのレポートが届きましたので以下ご一読ください。
長文もありますが、大事なことを押さえていただいたと思います。
4月からの第10期の紬塾をご検討いただいている方は参考になさってください。


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趣味で茶の湯を習っているため、きものを着るのは特別なことではなかった。
ただ、その時のきものは“とりあえずきもの”で、なくてはならないルールのようなものであり、型にはまった制服の存在だった。

たまたま「紬きもの塾」のパンフレットを見た時、自分ときものとの間にぽっかり空間があることを感じ、この間を埋めてもらえる場所だ!と直感したためだろうか、時すでに1回目の授業終了にも係わらずすぐさま電話し入塾を希望した。幸いにも2回目から参加で受け入れていただいた。

先日基礎コースを終了し、振り返ってみると、きものの源とも言える蚕(繭)まで遡ってきものになるまでを想像してみたこと、運針(全くできなかったが)に挑戦したこと、麻布を裁断して伊達締めを縫ったことは稀有な経験だった。
また、受講前から関心があったことは、衣類を直しつつ最後まで着尽くすコツや衣類との上手な付き合い方だった。
先生より紹介された『きもの』(幸田文著)には、日々の暮らしの中で着尽くされるきものがまるで分身のように活き活きと描かれていた。
片や自分の普段の衣服の後始末「適当な大きさに切って掃除布にすること」がいかに薄っぺらいやり方かと痛感した。

最後に、この塾はきものに限らず生きていく上で大切なことを受講生に気付かせてくれる学びの場だったと思う。それは、自分の手で作ること、感じること、工夫すること、そして作り出したものから自分を高めていくことではなかろうか?と思う。
まずは今手持ちのきものからキチンと向き合っていこう!と一部のきものを修繕に出した。  K.N
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これまでの全6回の紬塾基礎コースでは、沢山の貴重なものを観る機会を与えていただきました。

蚕が吐いた極細い波打つ糸から作られた繭、繭からつくる様々な糸、それを自然のもので染めた色々な糸、またその様な糸から織られた優しく柔らかな紬等です。
そして先生の紬を纏わせていただいた際には、心地良い温かさがありました。
とことん着尽くすの回では、伊達締めを縫い、先生が大切にされている昔の布や衣服を見せていただきました。昔の人のものに対する向き合い方に触れ、現代に生きる人たちは、ものに本気で向き合い暮らすという事を、一生懸命しているだろうかと考えさせられました。
日本の取り合わせの美の回では、着物、帯、帯揚げ、帯締めについて、いくつかの中から選んで組み合わせを考えました。初めての経験でしたが、どれとどれを合わせたら良いだろうかと自分なりに想像を膨らませました。一つを別のものに替えるだけで全く違った装いになり、洋服では味わえない楽しみを感じました。
自然で楽な着方の回では、着物の着方をひとつひとつ教えていただきながら、初めて自分で着る事が出来ました。まだまだ練習は必要ですが、着物を身近に感じられる様になりました。
そして最終回では、先生が織られた半幅帯をお借りして、いくつかの結び方を教えていただきました。勿論初めての事でしたが、帯が体に馴染んで締め心地がよく、半幅帯に大変興味が湧きました。

一回一回がとても濃厚で、本当に貴重な経験をさせていただきました。この様な機会を与えていただけたことに大変感謝いたします。

この紬塾に出会えて本当に幸運でした。先生が紬塾を開いてくださったこと、また参加させていただけたことに、大変感謝致しております。
これから課題は沢山ございますが、一歩一歩見極めながら進んで行きたいと思っております。  Y.H
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ふと入った、お店に中野先生の紬きもの塾のパンフレットがあり、目に留まりました。
それまで、「着物が大好き」という以外、ほとんど紬に対する知識もなく、「着物を着たい」と思いながらも、いろいろな制約で難しさを感じていました。 
紬きもの塾の講座の中には、これから着物を着ていくうえでの、指針のようなものがあるのではと感じ、思いきって紬入門基礎コースに申し込みました。

講座では、紬織の糸、草木染の染色など紬について学び、また、幸田文著「きもの」を読み、着物が日常に深く根ざしていた時代について知りました。また、着物をとことん使うこと、日常生活をていねいに暮らすことや、日常的に着るための楽な着付けについても学びました。
中野先生の紬に取り組む、真摯なご姿勢や熱意、着物のみならず生活全般をていねいに暮らされているご様子を、教えていただきました。
生糸を繭から引かせていただいたのは、大変興味深かったです。
また、先生の作品を羽織らせていただいた時には、今まで私が知っていた着物の印象が変わりました。暖かく、優しい、包み込まれるような美しさがあり、どなたにも似合う寛容さがあり、本物の紬とはこういうものかと、目が覚めた気持ちがしました。
着付けについても、極力紐を少なく、ゆったりと楽に着ることを教えていただきました。私にとって、着付けは、「こうあらねばならない」と決まりの多いものとの思いがあり、なかなか、一人で着ることに慣れませんでした。今まで、2か所の着付け教室にも通い、本も買い込み、「何とか一人で着られるようになりたい」との思いは、長年あったのですが、実現できずにいました。今回、日常の着物に接し、目からうろこが落ちた感じです。

今回の講座は、着物初心者の私には、盛りだくさんの内容で、ついていくのがやっとのところもありましたが、これを機に、自分自身の五感を大切に、いろいろなものの本当の美しさを見て感じることができるようになっていけたらと思います。
また、今度こそ着物を着ることを生活の一部としていきたいと思っています。
いつか、私にとってのとっておきの一枚の着物に出会えることを楽しみに。
中野先生、講座をご一緒した皆様、1年間ありがとうございました。  S.Y
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紬塾を受講したきっかけは、手紡ぎの糸で織られた布が好きで、学ぶ場所を探していた時に、 立松和平さんの著書『染めと織りと祈り』の中で、中野先生の取材記事を読んだことでした。
“つくりたい、織りたいという気持ちが強くあれば、染織の仕事はどこでもできる”と語られている言葉に惹かれ 基礎コースと、染織コースを受講しました。
今まで絹の素材に触れる機会があまり多くなく、着物もほとんど着たことが無かったのですが、 糸のことから、運針や、染織、着物の着付けなど、幅広く教えて頂きました。
<紬の着物・糸について>
先生の作品を羽織らせて頂いたり触らせて頂くと、とても軽く手触りが滑らかであたたかく、糸自体がふっくりした様子や、 穏やかな色合いで光の加減によっても色が変わり、このような生地があるのだとびっくりしました。
糸について、経糸、緯糸ともに節のある糸を使い、やや太目の糸を使うことで糸が切れずらくなったり、着心地がよくなることや、蚕は八の字を描きながら糸を吐き出すため、そのウェーブを大事にすることで、保温性、通気性が高くなるなどのお話を伺いました。
単に美しさだけでなく、着心地や、堅牢性のあるものをつくるため、そのような細やかな心遣いがなされていることに、とても奥深さを感じました。
また、糸を引き出す体験ではとても細くてキラキラした糸が、 つ、つ、つ・・・と引き出される感触がとても新鮮で、木綿などの植物の糸とはまた違った、動物から生まれる糸なのだと実感しました。

<物を大事にすること>
・着物の更正
着物の更正の授業では、中野先生のお母様が、娘時代の着物を再利用して作られたふろしきなどを見せていただきました。
様々な柄の布を丁寧に合わせて作られたものは、とても素敵で、 物を大事にするということが理屈で考えるのではなく、いいなあと思えました。
・ 幸田文著「きもの」を読んで
著者の少女時代の自伝的な作品で、小さい頃の着物をツギを当てながら大事に着たり、家族の寝巻きを自分で縫ったり、物が限られた時代の暮らしの知恵にとても凄みを感じ、知るきっかけがあってよかったと感じました。

<手を動かすこと>
基礎コースでは麻の伊達締めを縫う授業があり、染織コースでは、糸を紡ぐことから、染め、設計、織りまでを体験しました。 縫うこと、糸の扱い、どれも頭でイメージしていても、実際に手を動かすこととは全く違っていて、日常から手を動かさないと動かないと改めて感じました。
<着物を着ること>
着物は興味がありながら敷居が高く、ほとんど着たことが無かったので 着付けの授業では、楽な着方を教えていただき、着物の世界が少し身近に感じられるようになりました。
祖母の帯を持っていき、練習が出来たのですが、実際に祖母から直接着物の話を聞く機会がなかったので、とても貴重な経験でした。

<日々の生活を大切にすること・物をみること>
紬塾の最終日、先生が陶芸家の河井寛次郎の「物買って来る 自分買って来る」という言葉を取り上げて、買って選ぶものは自分自身がそこに反映されるというお話をされました。
もし立派な着物を買ったとしても、箸一膳をおろそかに選んでいたら、どうなのか。日常から、ひとつひとつのものを大事に選ぶことが大事、と。
物への接し方、姿勢の積み重ねが、きっと美しさを見出すことに繋がるのだと感じました。
また、よく授業では、布を見る時、縫ったりする時、どうなっているか良く見て、とおっしゃられていて、物をみることに注意深くなることも、とても大事だと感じました。

改めて、中野先生が植物で染められた様々な糸を見たり、 ご自分の着尺を仕立てた着物を着られている姿を拝見したり、 着物の取り合わせの授業などで、受講生の方や先生と一緒に、素敵だなあと感じたことを話し合ったり出来たことは、 とても楽しく、貴重な経験だったと感じています。

自分が何を好み、どのようなものを選ぶのか、 日々の心がけから、生活が生まれて、 心がけが反映されるということは、鍛錬の厳しさを感じるとともに、 例え織っていなかったり、着物を着る機会がない時でも、いつでも始められるのだと思う。

「どこでも染織は出来る」という言葉とともに、 一年間の経験を糧に、日々の生活を自分なりに見直して、よりよくしていけたらと思います。
中野先生、それから紬塾の受講生の方々に深くお礼を申し上げます。  S.S

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第9回紬塾「自然で楽な着方」――着物を着る

2017年12月05日 | 紬きもの塾’17~18
紬塾も残す所あと1回です。いよいよ着物の着方に入りました。

全く着物を持っていない方、着たことのない方も浴衣や私の紬を使って着てみたら、案外形になっていたのでご本人もホッとされたようでした。
下着や襦袢はいいものを揃え、きちんと着て、滑りにくい生地の紬や木綿の着物は楽にゆったり着れば良いと思います。
帯も仮紐を使わないでなんとかお太鼓の形になりました。

あとは何を纏うのか、どんなものを着たいのか、じっくり研究して自分にふさわしい、一生大切にしたい上質の佳い着物と出会うことです。

幸田文『きもの』の中にるつ子が好きな格子のきものを胸から下はハギだらけになっているけれど着続けている話が出てきますが、そういうものに出会えると良いと思います。

あと、着物や帯の仕立の寸法の話も今回は時間をかけました。
合わないものを初心者が着るほど難しいものはありません。

一般に身丈、裄丈は大きめに作られがちですが、紬や木綿の普段着をゾロっと着るのはヘンです。微妙な寸法は着ていかなければなかなかわかりませんが、どういう着方をしたいのかも追々自分で追求していくと良いと思います。

着物は簡単ではないけれどちょっと乗り越えさえすれば奥深さがわかってきて、むしろもっと着たくなるものではないでしょうか?
また、取り合わせる帯や小物を選びあれこれ逡巡する時間も自分を磨く楽しい時間です。

受講者のお一人、お茶をされている方が染めの着物しか持っていないということで綸子縮緬の着物でいらっしゃいました。
20歳頃に作られた着物を一度染め替えをされたものです。質の良いいい色の着物でした。
ただ、裾の八掛が擦り切れてしまっているということで仕立て直しをしたいということでした。

そんな時に自分のサイズを見直してまた一生着続けられると良いと思います。
上質の着物は長く使うことができ、愛おしさも増してきますし、結局お得なのだと思います。

染と織では生地感が違いますのでやはり着付けも微妙に違えると良いと思います。
私はコーリンベルトは使いませんが、滑りやすい素材の場合などはそういうものもお使いになれば良いかと思います。


着物の着方を簡単に言ってしまえば、着物を羽織る、自分の体型に沿わせて着物の裾を床スレスレに決め、動かさないようにして前身頃を合わせ身を包み、腰紐でおはしょりを作る。上身頃、おはしょりを整え衣紋を抜いて衿を合わせ胸紐(伊達締め)で押さえる。
これだけのことをクリアすればよいだけです。

お太鼓結びは慣れるまで少し時間はかかりますが、お茶の割り稽古のように服の上に伊達締めだけ締めて練習すると早く覚えられます。

自然で楽そうで、なおかつきれいな着付けの方を見るとうっとり、ホッとします。
きっちり補正下着で整えた木目込人形のような着方は私は苦手で息が詰まりそうになります。不自然な感じがします。
少なくとも紬の着方に関して言えば自然で楽なのがいいと思っています。


本日の私の着姿は地厚な3シーズン単衣紬(修業時代の最後に真綿から糸をつむぎ母のために織ったもの)にオールドの両面使えるジャワ更紗を締めてみました。

毎日着ているわけではないので完璧な着付けもできません。
静止画像は恐ろしくもありますが、、、写真に収めることで着方のチェックにはなります。
できれば自撮りではなく誰かに後や横からも撮ってもらうと参考になります。

帯も暫く使ってないと手を長めに取ったほうが良かったのか、短めが良かったのかなど忘れていたり、生地質や、帯芯の堅さも違います。お付き合いを長くしていかないとそれぞれの帯の個性を自分のものとしてこなすことはなかなかできません。

帯揚げの処理なども慌てるときれいにできてないこともあります。
しかしなんとかなる範囲であればとりあえずいいかな・・?と思います。(^_^;)

撮影用のモデルさんの着付けのようにしなければと思うと本来の着物を着る楽しみから離れていきます。
自分の体型に沿わせて着物の前身頃を合わせ身を包み、おはしょりで着丈を決め衣紋を抜いて着れているなら、多少の皺や襟元の緩みぐらいは徐々に直していけます。

とにかく着てみようという気持ちを大切にしてほしいです。

次回最終回はもう一度名古屋帯の仮紐なしのやり方をおさらいします。
帯が短い場合や地厚な生地の場合のクリップ使いもやってみます。



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第7回紬きもの塾ー紬布を織る

2017年10月14日 | 紬きもの塾’17~18
染織実習コースの4回目。小さな布を織る実習です。
小さいと言っても中身はかなり濃いものとなっています。単なる織体験ではありません。

私がいつも使っている経糸は節や毛羽もあり扱いにくいのですが、それと同じものを用意しました。
私が織る時と同じような杼の投げ方、踏木の踏み込み方、筬打ちの仕方、1時間半ほどの間にたくさんのことをしていただきました。
みなさん真剣勝負で一生懸命機に向き合い、自分にも向き合っていたと思います。
普段余り使わない脳の部分をかなり使ったと思われる高揚感がみなさんにありました。


今、ご入院中のお祖母様に見せてあげたいと、一番バッターで一生懸命織りました。色の響き合いがとてもきれいです。


織る人の傍らで、次の順番を待ちつつ緯糸を管に巻いている人。


足元は滑りにくいよう木綿の足袋を用意されました。


一分方眼紙に3寸の長さでメジャーを作ります。慣れていれば即興でやれることですが、初めての方ですので大まかに糸量を計算し、目安を作っておきます。5本書かれていますが右端が本番用です。つむいだ糸もストローに巻きました。


機の前にコンピューターを使ってデザインを拡大したものを用意した方もあります。
しかし、紙に書いたようにはいかないのが紬織りです、、。(^^) 


経糸の中に挟まれた緯糸をご覧ください。織前に対しての入れる角度(傾斜)も糸の太さによって毎回変えます。一つ上の写真の方は浅い角度です。太さの違う糸をたくさん使っていますので。
初めての方にはかなりハイレベルな実習ですが、初心者向けなことを低く見てはいけないのです。やる意味がなくなります。
仮に上手く出来なくてもなぜうまくいかなかったかを考えればそのことこそが学びになります。


メジャー通りではないですが、途中アレンジも加えながら柔らかな奥行きのある美しい布が生まれました。


おやつは庭の無農薬の柿と、天然酵母、国内小麦の鶴川の隠れた美味しいパン屋さんのココア生地のパン、有機栽培インスタントコーヒーでした。

さて、以下は今期の4名の方が織り終えての染織実習のレポートです。
普段文章を書き慣れていない方の中には思いをうまく書ききれなかった方もいると思いますが、行間にある素直な思いをお汲み取りいただきながらお読みいただければと思います。

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この染織実習は、下記の4回の講座で構成されていました。
①角真綿から糸をつむぐ
②その糸を柿か桜で染める
③織りの設計をする
④織る

作業内容は以下の通りです。
ハンカチ大の角真綿4gから34mの糸をつむぎました。
昨年の紬塾で繭から糸を引き出した時に、糸がきらきらしていたことがとても印象に残っていました。真綿はどんな感じなのか興味がありました。真綿はとても軽くて重さを感じません。まるで綿あめのようでした。糸をつむぐ際にはすっと糸を引き出すことができました。ただ、引き出す量の調節が難しく、糸の太さにばらつきができてしまいました。
糸は柿の枝で染めました。柿の枝を切って、色が出やすいように小さくチップにするところから始めました。植物の量は染めるものの重さを目安に決めます。植物を煮出した時、ほんのり柿の香りがしました。染める作業は重労働で、たくさんの糸を染めるのは大変なことだと思いました。
織りの設計はイメージがつかめず、その上寸、尺といった単位が身についていないので混乱しました。私の糸は太いところ、細いところがありますが、織幅で長さを割る98越し分ありました。3寸の中に約98越し分使えるという計算を立てました。
織りはまず糸を管に巻き取ることから始めました。紡錘状に巻き取るのですが、先生の所にある糸は巻き取りやすいのですが、自分の糸は毛羽で絡まってしまって時間がかかりました。
機に座って織るのは、大変な集中力が必要でした。一つのことに気を取られると、次にすることが後手に回りあれっ?ということになります。3寸の布を織るのにどのくらいの時間がかかったかは覚えていないのですが、かなり集中した時間でした。贅沢なことに先生がお使いの道具を使わせていただき、このような経験ができたことを感謝申し上げます。織りの際には杼を機にぶつけてしまったりと、不調法で申し訳ありませんでした。

「自分で真綿からつむいだ糸を染めて布を織った」ことは貴重な経験になりました。
今回教えていただいた一つ一つの工程は、大昔からたくさんの人たちが工夫してきたことをさらに中野先生がよりよく考えられた方法なのだと思います。本来、一枚の布にはたくさんの叡智が込められていたのだということに気づきました。これから先は、そのことを思って着物を選び、着ていきたいです。 (U.E)


実習では真綿からの糸つむぎ、染め、デザイン設計、織りを体験しました。
糸つむぎの際、無理に綿を引き出さないということや、染める時に湯通しで使った水など使える水は再利用するというように、素材を丁寧に扱うこと、染材として使う柿や桜の枝葉をより細かくすると染まりやすいなど準備に手間を惜しまずに工夫することの大切さを学びました。
デザイン設計では、これまでの紬塾に参加された方々が作られた布を見せていただきましたが、お一人お一人の柄が綴られていて何よりも柔らかな風合いに魅了されました。
織りの際には、織る時に力を入れ過ぎないこと、とのことで柔らかに織ることで柔らかさと同時に堅牢さもある布を作られていることを知り、堅牢さ=強く打ち込むことかと思っていたのでとても不思議で新鮮に感じました。
また、糸が太さや細さによって盛り上がり影が落ちるところや、糸の量、織り込まれた後の色など様々な要素が加わり、想像した柄とは全然違うものになり改めて糸という物を使って作る、織るという行為、さらに蚕から手で紡いだ糸の持つ表情の豊かさに触れることが出来本当にうれしかったです。
そして実習を通し美しく風合いのある布はあらゆることに心をくだき、愛情を注がないと作れないのだととても感じました。
織り実習の後、余った糸を持ち帰らせていただいたのですが糸が、ウェーブしていて光沢がありとてもきれいで命のあるものから頂いたのだと改めて感じました。
実習ではなかなか思うように出来ないことが多く、改めていかに普段の生活の中で手を動かせられていないかを実感しました。
自分が学び取れたことはほんのわずかと思うのですが、少しでも日常に取り入れていきたいと思います。 (S.S)


糸つむぎの実習では、真綿の端を引いていくと長い繊維がするするっと出てきたのですが、中野先生が仰る「自然に自然に」というのが私には中々難しく、それでもとても楽しい時間でした。
また染めの実習では、桜の葉を水で煮出していると桜餅の様ないい香りがして、まるで料理をしているかの様でした。ひとつひとつの植物からどんな色が出てくるのか、とても興味が湧きました。
そして自分でつむぎ、染めた糸でどう織るかを考え、色と色が隣り合ったらどんな布になるのかとわくわくし、いよいよ織るという時にはとても緊張しました。経糸に、真綿の緯糸を一越一越入れていくと、その度に表情が変わるのがとても楽しく、織りあがった布の風合いの良さに見惚れてしまいました。

4回の実習で、大変貴重な経験をさせていただきました。実際に見る、触る、やって見る事の大切さを感じています。 (Y.H)


4回の実習で、角真綿を手つむぎし、柿の枝で糸を染め、設計して、織る、という工程を教えていただきました。
初回の手つむぎの実習では、角真綿から糸の引き出し方、毛羽の押さえ方、ひく時の力加減など、やり方を丁寧に教えていただきました。
なるべく太さを均一にするように気を配りましたが、作業は感覚的でかなり難しかったです。
2回目の染めの実習は、染材の分量や、色の見極め、湯の温度など作業中に常に気配りが必要な工程だと感じましたが、私たちは、先生のおっしゃる通りに進めれば良かったので、桜の葉を煮出す良い香りを嗅ぎ、布や糸が染まっていく過程を観察し、心が癒される楽しい時間でした。
3回目の織り設計では、糸の長さを計算で求め、尺貫法で自分の糸が何越し分あるかを計算し、色糸と合わせて3寸分の布の設計をしました。
この工程は、かなり頭が混乱しました。後の織り実習で分かったことですが、この設計は、必ずしも厳密である必要はありませんでした。3寸の布を織るために、自分の糸だけでは足りないので、足りない分を何色の糸を混ぜるか、指し色は何色にするか、くらいを決めておき、織りながら変更することが可能でした。
そして、最終回の織り実習。実習のクライマックスで、期待を裏切らず感動的でした。自分が紡いだでこぼこの糸が、先生の機織り機で、ひと織りごとに、ぬくもりのある紬になっていったのです!自分の糸がとても愛おしく感じました。

私が今回の実習を経験して一番印象に残ったことは、織りあがった布を見ながら先生がおっしゃった「ハーモニー」という言葉です。「ハーモニー」=「調和」というのは、手つむぎした均一でない糸が経(たて)、緯(よこ)に織りなす風景で、個性の違うものがまとまり、全体としてバランスがとれた美しさだと受け止めました。
「蚕が生み出した糸、植物の温もりのある色、重層的な色の組み合わせによる風合い、こうした素材の持ち味を十分に引き出して布を織り、着物という形に仕上げ、自分で纏う。着物は、着る人の命が果てても次世代へ引き継がれ、着物で着られなくなれば、布になり、紐になり、最後は土に還る。その循環の中に自分がいる。」ということが、中野先生が実践し、教えてくださったことなのだと理解しました。
実習を終え、中野先生への感謝とともに、自然の恩恵、手作業の工程を継承してきた先人にも、感謝の気持ちが沸いてきました。
貴重な機会をいただき、ありがとうございました。 (O.M)






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第6回紬きもの塾――織物設計

2017年09月22日 | 紬きもの塾’17~18
染織実習コースの方4名と次回の紬布を織るための緯糸のデザイン設計をしました。
自分で紬いだ糸は前回柿でベージュに染めてあり、それを全部使い切ってもらいますが、9寸幅で3寸の長さを織るためには他の色も混ぜながら織らなければ足りません。

私の方で用意してある糸からプラスする地糸を選び、更に色糸を加えることもできますので、糸の本数を考慮して各自2時間ほどかけて方針を決めていきました。それぞれの糸をベタ使いだけではなく、混ぜていく箇所を必ず作ってもらうようにしています。
織物は糸を混ぜることで生まれてくる色があり、それが布の奥行きや陰影、風合いを生み出すからです。

限られた糸ですので糸量を掴まなければなりませんが紬糸は太細もあり、ゲージをきっちり出すことができません。また紬糸は弾力が大きく長さもきっちり出すことができません。
紙の上に鉛筆で描くように、定規で測ったようにはいきません。大まかに掴みつつ、実際の時には臨機応変に対応するということも含め話しました。


上の写真は上から順番に第1期から昨年の第8期までの42名の方が織った布です。織られたものから1寸5分程の幅で資料として残していただいています。真綿の糸を中心とした風合いの良い布が出来ることを確認してもらいました。


経糸に節糸や紬糸があることで、この立体感や存在感が生まれるということも見てもらいました。殆どが身近な植物の色です。皆さんも一人ひとりの布を引き込まれて見ていました。

同じ条件でも、プラスする地糸も数種類しかありませんが、随分違ったよこ段柄になります。
はっきりした色使いのもの、柔らかな色調のもの、可愛らしいもの、クールな感じ、シックな感じ、シンプルなもの、複雑なもの、様々です。3寸ほどの小さな布ですが、初めての方にもかなり高度なことを体験してもらいます。


さて今期の方の布はどんな布になるのでしょう、、。
上の糸の写真は4名の方が真綿から手つむぎした糸に柿の枝で染め、布海苔と生麩で作ったうす糊を付けたもの。
各自、色糸印でわかるようにしてあります。この写真の部分だけで見ると右端の方のがやや細めの糸に見えますが、織ってみるとどうなんでしょう、、、。(^^)

絹糸は叩くと伸びてしまいますので、私はタテ・ヨコ共に糸は叩きません。むしろ縮める工程を加えています。
糸巻きしにくいですが、風合いは格段に良くなります。
糸のウェーブはお蚕さんのいのちの“かたち”ですので。

自分で紬いだ立体的な糸が力強く生かされたデザインになるように考えてください。


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第5回紬きもの塾――桜、柿で染める

2017年08月02日 | 紬きもの塾’17~18


今期の紬塾も5回目を通過、5合目まで来ました。
曇天の蒸し暑さの中、自分で紬いだ糸と帯揚げ、半衿などを工房の桜と柿を使って染めました。
参加者のお一人が自分の記録のため撮っていた写真を何枚かブログに使わせていただきました。

工房は庭木の剪定を終えたばかりでしたが、今日この時間のために桜も柿も一部剪定せずに残してありました。
高枝鋏は初めて使う方も多いのですが、伐るところを指示してそこを伐ってもらいました。


その枝をハサミでチップにしました。細かくするほうがよく抽出されます。ハンマーで叩いたりしてもいいです。
樹皮と芯材を分けたりもします。この時に樹皮や芯材の様子、匂い、質感に触れることができます。ここから草木で染めることが始まります。
ん?右の方のハサミの持ち方逆ですね。。


柿は枝のみ使いました。もう少し早い時期の若葉ですと緑味の黄色も染めることが出来ます。煎液はかすかにぬめりがあります。


桜は枝と葉を分けて使いました。葉ももう少し細かくちぎるほうが色が出やすくなります。今日は時間がなくて、ザッとちぎっただけで煮浸しの感じですね。。
煮出すととてもいい香りで、みなさん美味しそう!などと鼻をクンクン聞かせていました。(^ω^)
自然ないい香りは呼吸を深くしてリラックスできます。笑顔も自然にこぼれます。


染め方の詳細は誤解を招くといけませんので書きませんが、工房秘伝のタレ!?に漬けて・・留め釜中。
糸を染めるようにしてムラなく染めてしまいます。(^_-)


染の放冷の時間を使って休憩もとりました。紅芋餡の葛菓子をいただきました。
みなさん何がおかしいのか嬉しそう・・(*^ヮ^*)
何故か麻のコースターが妙に散らばってますね。。^_^;;

植物は日々刻々と色素の状態も変化していて今日はどんな色になるのだろう?と楽しみでもあり、コワゴワな気持ちもあります。濁りやクスミが出ることもあるからです。
皆さんが半襟や帯揚げを家庭で染めるために、媒染剤がなくても堅牢で深い色に染められる方法なども説明しました。

よく染液の状態を観察することです。草木染めと言っても媒染剤色のものをよく見かけますが、自然な味わいの色もいいものです。

「自分の好きな色はOO色」という思い込みを離れて「色とは何か――」を多少なりとも垣間見て頂けたのではないかと思います。

草木を生の状態で染めるということは時期、染液の煮出し方、時間の経過、媒染でも色は大きく変わってきます。
染め重ねでも違います。

今回2枚ずつ染めたアルミ媒染の帯揚げと、灰汁媒染の帯揚げを4人でジャンケンで分けました。共に黄色系に染まりました。
この時期、この染め方の桜の色です。また後日ご紹介できると思います。








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第4回紬きもの塾―「とことん着尽くす」と「観ることの創造性」

2017年06月19日 | 紬きもの塾’17~18


今回はいつもの着物の更生などの話に加えて、日常の中でもものをとことん使っていくことの例や、私の母が小学生の頃の銘仙の着物や娘時代の着物(上の写真)から作った風呂敷などを例に、小幅の布をはぎ合わせ布団や座布団などに利用されてきたことも話ました。
大正生まれの母は着物に限らず子供たちの学生服のスカートやズボンも傷んでないところをはぎ合わせて自分が使う座布団側などにしていました。
はいだ布は何故か力が宿るように思えます。襤褸の美、力です。
そして麻の伊達締めも途中まで縫いました_ _ _ _ _ _ , (^^;)

また、新企画で「観ることの創造性」というテーマで工芸評論家の笹山央さんにも3時の休憩を挟んで話をしてもらいました。
テストケースでしたが、皆さん熱心に聴講してくれてました。

その中で「観照」という普段あまり使わない言葉ですが、哲学でよく使われる言葉がでてきました。
古代ギリシャ文明のころから「観ること」は重視され、人間の主要な活動であるところの制作や公共的活動より以上に観照ということをより優位に価値づけていたとのことです。
文化を推進するのは観る側の人々であることを、茶の湯の文化や浮世絵の話などわかり易い例を挙げて話をしてくれました。

それは決して難しく考えることでもなく、身近な自然をよく観ることや料理を愉しむことでもあると。
そして「観る」を深化させるのは絶えざる訓練の積み重ね、日々の蓄積であるということでした。

紬塾でも布を観る目を養ってもらいたいと糸のところからよく見つめてもらっています。そのことが良い布と出会い文化を作ることにもなります。
時間の関係で質疑応答は出来ませんでしたが、次回はなんとか組み入れたいと思いました。


笹山さんが主宰するかたち塾は今週末の6月25日(日)に国立新美術館で行われますが、今回のテーマは「ジャコメッティを愉しむ」です。
「見えるとおりに描く」ことに生涯を賭け、真摯に見つめ続けたジャコメッティについてのレクチャーもぜひ聴いてほしいと思います。
奥の深い話ですが、笹山さんは小難しい理屈を並べるような話をしませんので、どなたでも気軽にご参加ください。
ものを観るのが楽しくなります!

六本木にある国立新美術館1階のカフェでレクチャーが行われます。 → 六本木駅近くのカフェに変更
前もって観ておいてもいいですし、後日観るのでもいいと思います。
詳細、お申込みは笹山さんのブログをご覧ください。受付後、メールを改めて差し上げます。
紬塾の方は私宛のメールでも結構です。
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第3回 紬きもの塾――真綿から糸をつむぐ

2017年06月06日 | 紬きもの塾’17~18


4名の方に久米島式で真綿から糸をつむいでもらいました。
今までより真綿の量を増やし、時間も長くしました。

着尺用2~3本合わせたくらいの一番つむぐのが難しい太さでつむいでもらいました。
真綿の糸の特徴を知ってもらいたいからです。
単に簡単なことを初心者だからといってやってもらうのではなく、本当のことに少しでも触れてもらえればと思います。

今回の4名の方は厳しい指導のもと!?(^-^)かなり太目の糸を忠実につむいで下さいました。
細いほど均一になりますが、紬らしい味わいは失われます。

私は糸をつむぐことも好きで、在庫の糸がなくなったらまたつむぎたいと思っています。

糸つむぎで大事なことは真綿の繊維の量、状態を瞬時に見極めながら取り出してくることです。
細くなったからとあわてて真綿を右手で引っ張ってきて足すのはよくありません。
右手の指先で糸にまとめたところは結果なだけです。
その結果で慌ててももう遅いのです。

真綿の三角になったところを見ればよいのです。
左手の指の腹を当てる角度や量を加減しながら真綿を引き出します。
単純な道具で、単純な動きですが、それゆえに個人の感覚の違い等もでてきます。

簡単ですが難しくもあり、でもずうっとやり続けたくなる側面もあります。
布を纏って生きる人間の根源にある仕事です。
しかし、真綿から糸をつむいでくれる方はごく限られてしまいました。

この糸は無撚糸ですが、撚りを掛けなくても染めたり、糸巻きをしたり出来るところが、しなやかで長繊維の絹ならではのことです。

次回7月にはこの糸を使い植物で染る作業になります。





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