中野みどりの紬きもの塾

染織家中野みどりの「紬きもの塾」。その記録を中心に紬織り、着物、工芸、自然を綴ります。

第8回紬きもの塾――取合せについて

2014年11月30日 | 紬塾 '13~'14


夏から秋にかけ工房の玄関を飾ってくれていたフジの鉢植えを片隅に追いやる^^季節になりました。
フジの枝は染めたことがありませんが黄色の色素をたくさん持っているのですね。

紬塾もいよいよ終盤の着ることについての具体的な話に入りました。

受講者のお一人が、この日の講義を終わってから「なぜ着ることの話が最後の方なのかがやっとわかった」と話してくれました。

まずは糸や染の話や体験、そして着物の更生などの着物の文化的な話、そして着物を選び取り合わせたり、またあるものを生かす方法。そして着方で締めくくるようになっていますが、布を見る力や着物というものの背後にある文化的なことを少しは理解してから着物に入ると良いと思うからです。

昔であれば、子供の頃から親や周りの人達から自然に学べたことだとは思うのですが、今は親も祖父母も着物を知らない世代になっています。
ゼロから着物の世界に入ることは容易くはないと思います。

今回も思い込みや刷り込まれた情報ではなく、素直にものを見極められるように講義を勧めました。


まず取り合わせといえば上モノの取合せをすぐに思いがちですが、人の肌の色、髪の色、瞳の色などのパーソナルカラーについて話しました。
また似合わない色を身につけるときにも取合せでカバーすることもできるということについても少し触れました。
それから実は下着や足袋、長襦袢などがとても重要なのです。
初心者こそいい加減に選ばないで良いものを、自分の寸法にあったものを身につけると良いと思います。そのほうが着やすいのです。
小物一つ一つの選び方から、重要な長襦袢の素材、選び方についても話しました。


次にいよいよお楽しみの上モノの着物と帯の合わせ、小物を実際に色々取り合わせて話をしました。
私の個人的好みや世間で言われる決まりごとを話すのではなく、たとえばという事で茶の無地系の紬帯に帯締めを色々合わせ、どんな感じに見えるのかを皆さんと一緒に見ていきました。

自分の好みや季節のイメージだけに囚われることなく、帯や着物や小物がそれぞれよく見えてくるように選んでいきます。そうすると自分の小さな世界観では気づかなかった取合せにも出会えるのです。
たとえば「私はピンクは似合わない!柄ではない!」と決めつけないでピンクも色の質は様々です。
淡紅色は人や自然界の命の色です。血の色です。最も大事にしたい色です。

モノをよく観察すると色の声が聞こえてきます。
色は理にかなった様相を呈しているだけです。
あとは自然光で観ることが大切です。


次は具体的に、この藍の着物に帯はインド鬼更紗、あるいはレースのように織り出された絹の服地から仕立てた黒地の帯のいずれかを自分が身につけるならという指定をして帯揚げ、帯締めをまずは頭の中だけで思い描いてもらいました。
T.P.O.も設定してもらいます。

途中、言葉に出さないでもらい、全員が決まったところで順番に帯締め帯揚げを取り分けていきましたが、同じになる人はいませんでした。

この頃になるとみなさんの頬が紅潮して脳が活性化されている感じでした。*^-^*
取合せで大事なのはたった一つこれだけは避けるというルールだけだと思います。
いろいろな組み合わせがあるのが当然です。

でも高度な取合せを目指すなら本当は小さなものでも自立している質の高いもの同士を互角に合わせ、そこにハーモニーを奏でさせることだと思います。
そこを目指して研鑽を積みたいですね。


最後は自分で買ったリサイクルの着物をどうしたらよいのかという質問に答えました。

八掛を交換するだけでも人のモノから自分のモノになっていきます。
八掛帳を見ながらみんなで話し合いました。
八掛は裏地ですが、着物ではとても重要ですね。

リサイクル着物から入る人も多いですが、サイズがあったからとか、可愛いとか、リーズナブルとかで買うのは本当は初心者ではなくそれなりに着物に慣れている人のやることです。

まずは新しい反物からきちっと採寸して着物と襦袢を同時に作ることを特に初心者には勧めたいです。
あるいは洗い張りに出して自分のサイズに仕立て替えるのもよいでしょう。

着物を着るにはそれなりにお金はかかります。ある程度のお金を用意してからスタートすべきだと思います。結局中途半端になって遠回りし、途中で着物を着ることへの熱も醒めてしまうのではないでしょうか?

着物は単品で完成するのではなく、取合せの足し算をして(もちろん自分という人間も)
はじめて完成するものです。

一生をかけて一枚の着物と付き合う使う世界に大事なことがたくさん潜んでいます。


日本の美の世界、もう一度取り戻したいです。創るにせよ、使うにせよ。


12月7日(日)のアート鑑賞塾でも関連の話が聴けると思いますのでご参加ください。
あと1~2名の方大丈夫です。

詳細は前回のブログを参考にしてください。












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「第14回アート鑑賞いろは塾」のお知らせ

2014年11月27日 | かたち塾、アート鑑賞いろは塾


工房のドウダンツツジです。間もなく本格的冬の訪れですね。。。

今期最後の「第14回アート鑑賞いろは塾」を下記のように開催します。

今回は会場を櫻工房で致します。
紬塾の方も是非ご参加ください。
着物を観る上でも、着る上でも参考になる話が聴けると思います。
初めての方もご遠慮なく。
あと3~4名大丈夫です。
終了後には軽くやりましょう*^-^*


以下講師の笹山さんのブログから転載。
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日 時:12月7日(日)P.M.1:30~ (開場P.M.1:20~)
会 場:櫻工房(町田市金井 小田急線鶴川駅よりバス10分)
テーマ:観ること・使うこと――作り手ではなく、鑑賞者が文化を創 る 
講 師:笹山 央(「かたち21」主宰)
受講料:2,500円(飲物代込み)
※マイカップ、マイ盃ご持参ください。

・作ることだけが文化の創造ではない。観ること・使うことはある意味、創ることよりもより高尚な精神活動であるということ。
 観ること・使うことが一定レベル以上にできていない人が創作をしても一人よがりになるだけであること。

・日本文化は、観る・使う文化であり、その立場にある人間が文化をリードしていったこと。

・そして「文化を育てる経済学」について。

といったことについて話します。

必ずご予約の上ご参加ください。

参加申し込みはこちらまで。



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第7回紬きもの塾――布を織る

2014年11月21日 | 紬塾 '13~'14


櫻工房の大山桜が紅葉し始めた11月上旬に紬塾の織り実習が行われました。
丁度「紬の会」の準備中で忙しさのピークの時でしたが3人の方のために機を空け、織ってもらいました。

毎年のことながら、みなさんの機に臨む真摯な姿勢に感慨深いものがあります。

「人は布を織るように生まれてくる」と私はいつも思っているのですが、それは好き嫌いや、楽しい楽しくないなどということではなく、人の遺伝子には布を織らなければ生きていけないという重く厳しく、でも豊かな仕事が課せられていると再確認する時でもあります。

自己表現や手慰みではなく、糸や色や織りの仕組みと真剣に向き合う緊張感、焦燥感、高揚感、満足感を目の当たりにして、みなさん必ずご自分の布を眺め「美しい・・・」とうっとりと言葉を漏らします。
力ある経糸のお陰もあって、ふっくらとした本当に美しい布が織れました。
小さな自分の世界に固執することではなく、自分を解きほぐすことができたなら良いと思います。

改めてそれぞれの方に気づきなど書いてもらいました。
少し長いですが、織る人も織らない人も時間のある時に是非読んでください。

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足元をしっかり固めて・・

自分で紬いだ太い糸を入れる。
糸つむぎ
いちばん簡単そうに見えて、実はわたしにとってはいちばん難しい作業でした。
真綿を引く、という感覚がまずたいへん。そして、絡んだ糸を面倒みるのが、糸と仲良くできずにおやおや、という感じでした。
真綿を台に掛けたときの風合いは、他で見ることのできない柔らかさで、とても心が癒されました。

糸染め
色素を煮出すのは長時間ぐつぐつだと思い込んでいたので、色が出てわずかな経過で火を止めるのがとても意外性ありました。
また、桜が媒染で変わっていくさまが不思議で、金属の働きについて、あらためて知りたいと感じています。(これでも理系なので)
染めが面白かったので、このあと別のところに3回も染め体験にかよってしまったのは内緒です。


スーパー不器用なので、なかなかうまくいかないだろうと思いきや。
思ったよりも手足が動いて驚き、また、楽しい体験になりました。
設計をするのも楽しく、だいたい思っていたとおりの縞が織り出されてきたときには、なんというか、やるじゃんあたし<( ̄^ ̄)>な気持ちになりました。
多くの色を使うことも考えたのですが、自分の糸を活かすには、あのくらいかなーと今思い返しても、そうそう、と思います。

こうして、布を作ることの基本作業を体験してみて、着物や帯の価格の妥当性に思い至ることとなりました。
また、今日は、引退なさる藍染師の工房を見学してそれらの作業の重労働であることを知り、日本経済の歪みが全ての分野で起きていること、価格破壊って生活破壊なんじゃないか…と頭を抱えてしまったのでした。 M.T.

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絵を描くようにデザインを決めてきたのですが半ばで予定変更・・・

糸を紬ぐところから染め、織りと体験させて頂きましたが、
同じ作業でも、全てに三者三様の個性が出るのが面白かったです。
織り上がった小さな布は、まるで自分そのもののようでした。
絹から返ってくる反応はとてもストレートで、
紬ぐ時などはこちらの集中度合いがすぐ太さや風合いに表れるように感じました。
素材としての絹がとても好きになりました。

設計の時は先生に色で見てしまっていると指摘して頂いたのですが、
なかなかそこから抜け出せないで、意味もよく理解できていませんでした。
悩んでしまいその日のうちに終わらず、家に持ち帰り仕上げて来たのですが、
いざ織り始めると、色数が多過ぎて、その通りにするのは大変でした。
ベタ塗りの連続で、想像したのとは違う、苦労の割りにはのっぺりしたものが出来てきました。
途中で先生に、「糸を交互に混ぜると良いですよ」とアドバイスを頂き、やってみると
糸の表情が動き始め、織るのも楽しくなってきました。
そこからは色数の多い設計は無視し、感覚で3・4色を使って織り始めました。
設計を気にしながらちょくちょく止まっていた最初の方とは違い、
手や足も徐々にリズムを掴んで、いつの間にか一心に集中していました。

楽しくなってきたところであっという間に時間が来てしまいましたので、
課題の「自分の糸の形を見ること」をちゃんとできたのか…。
気を使わなくてはいけないことが沢山あり、他のことに囚われ、
自分の糸と向き合えたのか反省をしています。
ですが最後の方に、ちょっとだけ、糸との対話ができたかも知れません。

設計は時間を有効に使う為のものであったのに、色を詰め込み過ぎていたので、
使いものになりませんでした。自分の創造力をフルに活用する作業だなと感じました。
この設計でも細い糸だったら綺麗になったかもねとも言って頂いたのですが、
使う糸の特徴を生かしこちらから寄り添う設計が必要なんだなと感じ、
また、面白く思いました。

織り上がりは最初の方と最後の方で全く別物のようで、
わあ、変なの織れちゃった、と沈みましたが、
写真を撮り、帰った後で冷静になって見てみると、これはこれでまあ良いかと、
だんだんと好きになってきました。

織り上がったものを見るだけではわからない深さを、
この体験を通じて感じ取ることができました。
垣間見ただけですが、たて・よこの中がなんでこんなにも深くて広いのでしょう。
不思議な位です。
難しくないけど(複雑ではないけど)深いのですね。
この感覚を体験だけで終わらせず、展示を見ることや布に触れる機会を
通して、自分のものに育てて行けたらと思います。
貴重な体験をさせて頂き、ありがとうございました。 T.S.

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織る背中にも真剣さが・・

自分で紬いだ糸としっかり向き合うシンプルなデザイン。
自分の紬いだ糸がどう見えるのか、糸と向き合うという考えれば考えるほど難しい課題でした。何を感じることができるのだろうか、緊張していました。
教わるだろうことを守り、丁寧に行うこと、それだけは心に決めていました。

今、振り返り一番に思い出すこと―それは、さっと通した自分の紬いだ淡い色の糸が、たまたま良い角度で入り、それは思いのほかきれいに紬がれていて、とんと納まった時の情景です。三寸程の中でただ一越の瞬間が鮮明に残っています。何かわかりませんが、すごいと感じました。
このような「きれ」があるのだという静かな驚きでした。風合いのあるあたたかな「きれ」とはこういうものなのかと思いました。

この実習のように、糸一本一本を見つめて、一越一越を考えながら織ることは(ほとんど準備していただいたことなのですが)大切で尊い作業でした。それ故に、何かしらを問われているような気がしています。何かを突き付けられました。
とはいうものの、実際は、いろいろと注意しながら織りを繰り返すことでいっぱいで、 「糸」、「きれ」を見つめる余裕はあまりありませんでした。
織りあがった「きれ」を見て、触れて、再び考えてみたいです。
ありがとうございました。 N.K.





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「紬の会」お知らせ⑥――小川郁子切子帯留めの取り合わせを中心に

2014年11月13日 | 紬の会
「紬の会」無事終了しました。ご来場くださいました皆様、関係者の皆様本当にありがとうございました。


[「紬の会」―紬帯とお江戸切子の帯留めの取り合わせを中心に]
アートスペースK和室2F(神楽坂)が明後日の15日(土)に迫ってきました。
最後のお知らせ!?です。(*^_^*)
今日は新作の着尺の伸子仕上げをしました。明日の搬入、ぎりぎりセーフでした。^^;

小川郁子さんからも本日後便の切子帯留めが届きました。
すべて私の帯と取り合わせることができ、どんな展示にするか思案中です!

帯留め用の三分紐も小川さんの切子に合いそうな色目で手組のものを用意しました。
取り合わせるのが楽しみです!


私の紬は着尺も帯も経にも紬糸や節糸を使っていますので、着心地が軽くて、滑らず、初心者でもとても使いやすいです。
そして同時に次代にも繋げられる堅牢さも大切に制作しています。

着尺は単衣向きのもので価格を抑えたものもあります(工房作品)。
着物は初めてという初心者の方や予算を抑えて着たい方には特にお勧めです!
着方のアドバイスなどもさせていただきます。

帯はすぐにご着用いただける仕立て上がりのものも数点用意しました。

また広幅や角帯、マフラーもあります。
男性にもこの機会に是非ご覧いただきたいと思います。
 
取合せの草木染帯揚げも充実していますので、お手持ちの帯や着物の残布などと遠慮なく合わせてご覧ください。

この展示ではかたち21の特別なサービス企画もあります!
夕方時までですがなるべく草木の色を自然光でご覧いただきたいと思いますのでなるべくお早めにお越しください。午前11時openです。
最終日19日(水)は4時までです。

詳細はこちらから。
お問合せはお電話の場合は、080-6775-4892 (かたち21)まで。

ご来場をお待ちしております! 





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紬の会お知らせ⑤――サブコーナー

2014年11月09日 | 紬の会
 
 
紬の会のお知らせの5回目は別室での展示ですが、サブコーナーに出品していただくうえやまともこさんです
鍋物のシーズンですので、いろいろに使える小鉢(直径75mm~110mm)とレンゲ型のスプーン(柄の長さ185mm~230mm)を形、サイズ、木の種類を違えて作っていただきました。


レンゲは雑炊を取り分けたり、お芋の煮っ転がし、煮豆などをすくうのにも重宝です。

食卓に木の器があるのは気持ちがやすらぎます。
何よりうえやまさんの器やカトラリーはとても使いやすいです。

前回のイベントの時にソプラノの名倉亜矢子さんが、出産祝いギフトとして、小鉢とティースプーンを離乳食セットとしてご購入くださったのですが、「大きくなっても使えますね!」とおっしゃってました。
赤ちゃんから大人まで長く使っていただけます。

他にも好評の小型のカッティングボードやパン皿、スプーン、フォークなどもあります。

紬と切子帯留め&やすらぎの木の器を楽しんでください!

11月15日(土)~19日(木)に行われます「紬の会」の詳細はこちらから。

あともう一回!「紬の会」お知らせをする予定です。(*^o^*)
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