中野みどりの紬きもの塾

染織家中野みどりの「紬きもの塾」。その記録を中心に紬織り、着物、工芸、自然を綴ります。

猛暑のさなか、糸を染めてます。

2010年08月24日 | 制作工程


8月下旬になっても酷暑が続きますがお見舞い申し上げます。
6月下旬かららこの暑い最中に熱中症に気をつけながら
(今年は塩入りの麦茶を作っていますが、美味しいです!)
ずうっと染めの仕事をしています。

個展の準備などで延び延びになっていた庭木の剪定をしてもらい、
その枝を使って染め始めたのですが、今は濃い色に染めていくために
乾材も加え何度も染め重ねたり、何種類かの染材を掛け合わせたり、
媒染剤も2~3種類を併用したりしています。

日本の伝統色を再現しようとしている訳ではないのですが、ある合理にかなった染め方で、
人が着たり身につけたりしたときに生き生きとした感じを与える
ピントの合った色合いに草木で染め重ねていくことは
昔も大変な苦労があったのだろうと想像をしながら作業を進めています。

紬の着物の場合は色の堅牢性というものもとても重要なことで、
染めたとききれいならいい、草木なら何でもいいではなく、
未だに難しいことも多く試行錯誤を続けています。

私の師である宗廣力三先生がよく言われた「へたな草木は化学に劣る」の言葉は
33年を経た今も色褪せることはありません。
沢山の糸の中からどんな着物にしていくかじっくりと想いをめぐらせる時間も必要ですし
染め上がった糸は空気に触れさせ、落ち着かせてから使います。




人生後半の仕事は自然をベースに今という時代と関わり、
胸躍る美しいものを私なりに提示していけたらと思っています。
次世代の人たちに紬の着物のバトンをなるべく自然なかたちで渡せられたらいいなあと思います。
美しさは特別なものでもなくごく普通の暮らしや身近にあるものだし、
人はそれを支えに幸せに生きていくものなのだと思います。

「借り暮らしのアリエッティ」はご覧になりましたか?
つつましくも心豊かに生きる小人の暮らしが描かれています。
ストーリーも面白いのですが、私は背景の布団や敷物、家具や食器などにも注目していました。
お茶や食事の支度を丁寧にやり、あるものは活かし、暮らしに必要な物を作り、
部屋に野の花を飾り、家族や友と語らう。
「借り暮らし」にはむさぼらないということが込められているのでしょう。
しみじみと良いアニメーション映画でした。

私の染織の仕事も日々の暮らしの延長線上の
「仕事が暮らし、暮らしが仕事」でありたいと思います。

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