中野みどりの紬きもの塾

染織家中野みどりの「紬きもの塾」。その記録を中心に紬織り、着物、工芸、自然を綴ります。

作品集「樹の滴」の感想をいただきました

2023年12月08日 | 作品集『樹の滴』
半巾帯連作も無事織り上がりました。
ブログ更新も出来ませんでしたが、気持ちを集中させるためには他のことは全て置いておかなければなりませんでした。
まだこれから湯通し、検反、仕立依頼などで気は抜けないのですが、、。

さて、拙著、作品集「樹の滴」をお読みくださった方からメールを頂きました。
50代の和裁士さんだそうですが、ご自身の仕事と重ね合わせ感想を綴ってくださいました。
仕事のジャンルを超えて、何か共感して頂けたなら嬉しく思います。
私も改めて11年前、原稿を夢中で書いた日のことを思い起こしました。
手書きで、ペンを持つ指が痛くなるほど一気に書き上げました。

和服の仕立も大変な仕事と思います。
お洒落着の華やかさの陰で、縁の下の力持ちのように目立たない存在ですが、いい仕立てでなければいい着姿も作れません。
他人様の新しい反物に鋏を入れることはどんなに気を使うでしょう。
また古い着物の仕立て替えは生地の傷みや汚れ、用布のやりくりなど、これも細やかな気配りが必要です。
それぞれの体格に合わせた寸法の相談や、柄合わせ、縫うだけではない時間も相当掛かります。
工房でお願いしている和裁士さんにもいつも感謝しています。

許可を頂き、頂いた感想をほぼ全文、下記に掲載させてもらいます。


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『樹の滴』拝読しました。
糸の選定、染めの草木の準備、糸の寝かし、デザインの設計・・・と想像以上の多くの工程があることを知り驚きました。
若い頃に染織工房を見学しましたが、糸を紡いで機を織る工程しか記憶に残っておらず今回、興味深く作品集を読ませて頂きました。

お陰様で紬に対しての知識が深まりより親しみを感じるとともに、中野様の作り手としての熱意に強く感銘を受けました。
これまで当たり前のように下前に配置していた大きめの節も自然の織りなす美しさと捉え、愛情を持って配置していきたいと考えを改めたところです。

文中に「これまで三十数年の間に自分用に着物を作ったことはありません」とありました。この文は後に作り手としての着ることの重要性を書かれています。それには私も同感です。
ただ、私はその「自分用に着物を作ったことがない」という言葉にすごく共感と言いますか感じるものがありました。
私は国検1級を取得した27歳からの25年間、私も自分の着物を一枚も縫っておりません。
休日は家族や身内の着物を縫う、身内の着付けは私がするので自分はどうしても洋装になってしまうなど、いつも自分以外の人のために和裁をしてまいりました。
これまではさほど気になってはおりませんでしたが、50歳を過ぎた頃から和裁との向き合い方、着物との向き合い方についてなんとなく違和感を感じるようになりました。

もう少しゆったりとした気持ちで着物を楽しみたいなぁ。せっかく好きな着物に携わる仕事をしているのにいつもクタクタで思うように着物と向き合えていないなぁ。お客様の着物を縫いながらただただ「私もいつかこんな着物を着てみたいなぁ」と羨んでばかりでした。

そんな折、「樹の滴」を読んで、これまで「やらなきゃ」という使命感でお仕立てをしておりましたが、中野様が美しい布をめざしてこられたように私も手探りながら和裁の技術を磨き、そして多くを望まない私なりの和裁士をめざしたいと思うようになりました。

今後、和裁士としてそして次世代へと着物を伝えていく者として、行き詰まった時には「樹の滴」を手引きとさせて頂きます。  
              
**************************************
技術の基礎、基本はどんな仕事でも変わらないと思いますが、その後、何を大切にして仕事するかは一人ひとり違ってきます。和裁もただ綺麗に細かく、寸法通り早く縫いました――だけではない、その着物、素材が持つ特性や、人が着るという一番大切なことを俯瞰できなければならないのだと思います。
紬も人が着るもの、という大前提の中で、それでも美やアート性も存在させたいと思っています。

上の感想にもありますが、プロとしてこの仕事で食べていくと決めて、修業に臨んだことですので、自分用や、よくできたと思うものを先に自分のものにしたことは、帯揚げ一枚とてありません。
ただ、最後の一反くらい自分を意識し、自分とは何かを探るために織るかのも良いかもしれません・・。

トップの写真「灰緑地縞着物」は作品集に収められているものですが、カメラマンにここを撮ってくださいと、私からお願いした写真です。この節がまさに自然と人のなせる技なのです。私の使う赤城の節糸ならではのものですし、たまに出てくるここを取り除いてはいけないのです。織りキズとして扱われることもありますが、それは、人工的な、機械的なモノだけを良しとする現代の貧しさです。
上手く景色になるように織り込むのが人の技です。



赤城の節糸に接した時の感動や、真綿の糸を初めてつむいだ時の蚕が持つ原糸のウェーブを今も鮮明に記憶しています。
帯回りの上の写真は、ヤマモモ染めのベージュの帯、薄いピンクの帯揚げも私の作ですが、ご本人がとても気に入って選ばれ、この取り合わせになりました。

着物は着物だけでは成り立たず、他の物との取り合わせで、成立する高度な美の世界だと思います。
「着ること」が作ることにつながります。作家の思いだけを込めてはいけないのです。着る人や帯、小物類を想像できるかできないかは大きな違いです。

また、和裁の方も自分が着ることで、いろいろ寸法や素材の違いなど、細かな発見があるのではないかと思います。

こんな着物文化の高度で豊かな世界を残さない訳にはいきません。
着物という形だけでなく、上質なもの同士を取り合わせる文化を残さないといけないのです。

私は単に、織物好きとか、紬好き、着物好きなわけではなく、自然と人が一体となり、そこに双方のいのちを再現しているものに関心があるだけです。それはジャンルなど関係ないことです。

作品集「樹の滴」には「着物」、「紬」、「染織」などのジャンルに関係なく読んでいただけるように意識して書いてあるつもりです。ある意味過激です。!(^^)!
宜しければご一読ください。



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再読 [作品集「樹の滴」ー染め・織り・着る] その 3

2021年05月21日 | 作品集『樹の滴』
半巾帯プロジェクト10本目がようやく前柄に差しかかってきましたが、まだ終わりません、、。
最後の2本は1本が一柄のタイプで、結びの違いなども考慮しながら柄を考えていくことは、名古屋帯を10本分織るより何十倍も難しいです。
しかし、あと少し、集中力を保ち今月中には何とか終わらせたいと思っています。。

さて、作品集『樹の滴』再読、3回目です。

作品集の裏表紙とプロフィール写真に使ったこの中藍の着物は私が一人で織り始めた初期の作品です。
藍染めも、当時はまだ紺屋さんがあり、2~3箇所へ藍染めを頼んでいました。
浅葱色、甕覗き等を何反か注文もあり織りましたが、やはり薄い藍は褪色があり、お客様への販売はしないことにして、自分の着物にしました。まだ30代半ばとはいえ、未婚の私には地味な雰囲気で、母は「娘がそんな地味なものを…」と賛成してはくれませんでしたが、私は普段着らしいこの着物は紬の原点にあるような気がして好きでした。

単衣で仕立て、帯だけいろいろ替えて着た切り雀のように、30代、40代とよく着ました。工芸品を扱うアルバイト先へも着物で行きました。
裾が擦り切れ洗い張りもし、表裏も返して仕立て直しました。

この着物に“とことん着る”ということはどういうことか、帯の取り合わせのこと、単衣の真綿紬の着心地のこと、たくさん教わりました。

着物が売れると帯を買い、インド更紗、ジャワ更紗、イカット、絞りの帯など、手工芸の力のある帯を合わせて着ました。

今は確かに藍色が薄くなり、グレー味を増しさらに地味になってきました。
でも、グレーヘアーの私にはピッタリになってきました。(*^^)v
締めている半巾帯も残糸を使った自作です。
こちらの着姿ページもご参照下さい。→

日常に着物があった時代は格子の着物というのがよくあったのですが、今は高級品の手紬の着物はお洒落着となり、無地感覚が主流になりました。
しかし、売れる、売れないではなく、素朴な味わいのある小格子の着物も織りたいです。紬通の方に着てほしいです。


作品集は紬塾に参加してくださった方々の協力のもとに制作出来ました。
トップの写真は撮影の日に紬塾の方と談笑しているところを捉えた写真をトリミングして使いました。

ご登場いただいた方は、当時は着物を着始めて1~2年の方や慣れてない方などがほとんどでしたが、それぞれの方の感覚でものを選び、自分の体型に合わせて着ています。私もゆるい着付けで、写真に撮るとやはりアラが目立ってお恥ずかしい限りですが、布を纏った時の皺や片寄りはむしろ自然です。

撮影から10年経ちましたので、参加くださったみなさんもいろいろ新たな着物や帯なども増えているでしょう。
また違う取り合わせの着姿を拝見し、写真を撮らせて頂きたいところです。

私は着付け教室にも通わず一人で見よう見真似で着物を始めましたが、着ていれば自然に身についてくる感覚があります。始めはいろいろ失敗もありますが、それが学びというものです。だから紬塾でその体験も生かして話ができるのだと思います。

まだ着物を着たことのない方も、良い着物に出会い、先輩方の着方を見せてもらいながら、着始めて見ませんか。文化は市井の人々、市民が育てるものです。

この人になら任せられると、選挙で真剣に一票を投じるように、着るものも、食べるものも住まいにも一票を投じましょう!
自分を育て、よい文化を生み、育てる大事な一票です。
見てるだけ、SNSで「いいね!」を入れているだけでは何も生まれません。変わりません。
誰かがやってくれるとみんなが思っていたら着物文化もいずれ終わります。
よい着物を着ることで、よき人との出会いもあります。着実に動き始めます。

作品集は私の作品を紹介してはいますが、そのことをアピールしたいというよりも、自由な発想に立ち、ものをよく見れば、一人でも着物の知識がそうなくても始められるということも知ってもらえれば良いと思っています。
信頼できる人のちょっとしたアドバイスがあればなおいいです。
難しく考えるよりもよきもの、どんなものが好きかと出会うことから始まるのだと思います。

紬塾も13期目が間もなくスタートします。
着物を着てみたい、布や手仕事を大事にしたい、自然が好き、大切に思う方は、是非作品集もお読みいただきたいですし、紬塾へも関心を寄せて頂きたいと思います。

『樹の滴』は現在、Amazon、楽天などインターネットで在庫がない状況になっているかもしれませんが、出版社には在庫がありますので、再入荷希望でご注文いただければと思います。

櫻工房オンラインショップでも購入できます。送料無料でお送りします。
半巾帯リーフレットをお付けします。



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再読 [作品集「樹の滴」ー染め・織り・着る] その 2

2021年05月07日 | 作品集『樹の滴』
作品集の制作で一番難しかったのは“色”ということは前回書きましたが、もう一つ、着姿写真を撮る時は、どうしても顔を含め全身を写す、引きの写真になります。 
そうすると、私の作品のような柔らかな微妙な色や布の風合いというものが一番の特徴という作品の存在感はほとんど写らなくなります。(^-^;

全て布アップも入れるようにすればいいのですが、紙面が限られていて、あれもこれもは載せられず、イマイチ作品の良さを伝えきれなかったものもあります。

その一つが、「秋麗」というタイトルの細かなよこ段の着物です。
コデマリで染めた黄色ベージュを地糸に濃淡でたくさんの色糸を織り交ぜました。
何でもないような柄ですが、染めも織りもとても時間がかかった作品です。

トップの写真は私が撮った生地アップです。
経ての紬糸の節がよく写っています。色糸も微妙な違いの糸が入っているのがお分かりいただけると思います。
着てくださった方は、「まるで樹皮のようだ」と感じたそうです。
このコメントも自然物を感じていただき嬉しく思いました。

人を包む布、着物も木に例えれば樹皮にあたります。
そういえば幸田文さんの「木」の“木のきもの”という章に、樹皮と着物の柄を重ね合わせるエッセイがあります。 
『杉はたて縞、たてしぼ、松は亀甲くずし、ひめしゃらは無地のきもの‥』などと綴られていますが、こんな風に樹木を見ていくのも面白いです。


この写真は作品集で使いませんでしたが、とても素敵な花織の帯を合わせてくださいました。
生糸使いの繊細な色柄の花織と、野趣のある私の紬と引き立てあいながらよく合っています。
素材感も色も違いながら、響きあっています。取り合わせとはこういうものです。
小物もこの日は薄黄緑に、程よい濃度のあるピンクの帯締めをしてくださってました。

他にもいろいろな帯と合わせて着て下さってます。
使い手の取り合わせのセンスの良さが着物を活かしてくれています。


もう1点、「花明かり」という作品です。
ベージュ地に桜で染めたよこ絣を配してあります。


ご本人は小柄で、よこの段は向かないと思ってらっしゃったようですが、柔らかな段ですので、全く気になりません。
この日は2本の帯をお持ちいただきました。
こちらの画像は作品集では小さなカットでしたので、改めてご紹介します。
帯は紙布で柿渋染めの重厚な色のものです。

着物初心者と当時おっしゃっていましたが、着方がとても自然で、帯結びもすごく早い方です。この時もささっと締めなおしてくれました。
紬塾にも参加くださっていたのですが、本当に着物が良くお似合いの方です。


取り合わせに関しては相談を受けましたので、帯締めや帯揚は一緒に決めました。
もともと落ち着いた色を好まれる方ですので、その範囲で選びました。
無地系の帯ですので、組紐はちょっと凝ったものにしました。紐1本で秋めいた装いになりますね。

取り合わせの参考にもなりますので、作品集も合わせてご一読頂ければ嬉しく思います。

現在、Amazon、楽天などインターネットで在庫がない状況になっているかもしれませんが、出版社には在庫がありますので、再入荷希望でご注文いただければと思います。
全国の書店でもご注文いただけます。

櫻工房オンラインショップでも送料無料でお送りします。
半巾帯リーフレットをお付けします。

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再読 [作品集「樹の滴」ー染め・織り・着る] その 1

2021年05月03日 | 作品集『樹の滴』
久し振りに作品集「樹の滴」を読み返しました。
新しくブログを読んでくださっている方も、最近私の仕事を知ってくださった方もたくさんいらっしゃると思いますので、改めて3回に分けて書きます(予定‥)。(^^ゞ                                                                                                                                   


たくさんの方にお読みいただき、そのことで個展に初めて来てくださったり、紬塾に参加してくださったり、感想をお手紙で頂いたり、十分な出来栄えではなかったと思いますが、ありがとうございました。

当ブログの『よきモノ、よき人の輪』(12.6.2付け)で、作品集「樹の滴」について書きましたが、【体力的なことからすればあと10年が残された私の染織の時間といってもいいかもしれません。もちろん命ある限りは仕事したいですが、、】と書いてあります。
あと1年しかありません。。(*^-^*);;

さて、作品集の制作で一番難しかったのが、作品の色です。
印刷は高精細印刷で、印刷所に実際の布を送って、午前中の光で色を見ていただき、写真の色の調整もしていただきましたが、やはり最初の写真の色が大事で、調整にも限界があります。

中でも最も実物と色が違ったのが、P.14、15の『白露』という縞の着尺です。
地色は真っ白ではなく白樫で染めたアイボリーです。そこに様々な色の細い縞がランダムに入っています。
若練りの糸を使った、張り感を少し残した単衣向けの着尺です。

作品集を作る際にどんなカットで撮ってもらおうかと考えた際に自分で仮に撮った写真がありました。
この方がまだ色は出ていると思いますので、作品集の参考にしてください。
ちなみにこの作品は、この作品集をご覧になった方が初めて個展にお越しくださり、お求め頂きました。

写真の色はやはり光線が大事で、雨や曇りやライティングだけで撮るものではないと思います。特に草木染の紬は難しいです。


上に乗せた帯は『羊歯文刺繍 節糸紬帯』で、お客様の着姿ページに入っていますのでご覧ください。
赤城の節糸の味わいに刺繍という一見ミスマッチな感じが私は好きです。
紬×刺繍がミスマッチなのではなく、その布の世界観と世界を同じくできる刺繍であることが大事です。

この羊歯文様は漆絵の柴田是真の作品からヒントを得て、生まれてきました。
羊歯の葉先は色違いで刺してもらいました。

表紙の作品「樹の滴」も刺繡入りです。
上前のドットを見せる感じで撮ってもらいました。
地の部分を細かく織り交ぜた感じはよく出ています。
木々の中に潜む色をドットの刺繍で表しました。この刺繡も同じ方にお願いしました。制作意図をよく汲んで頂きました。

仮絵羽の状態で、上手く着れないのですが、ざっと着てみるとこんな感じです。

刺繍は付け下げのような感じで配置してあります。
全て、色もドットの形も違えてありますが、嫌味にならないような控えめな感じですので、カジュアルなお洒落着から、帯の格のあるものまで合わせられます。落ち着いたモダンな感じの大人の着物です。

刺繍と言えば、作品集の中の私が着用している着物にも、野趣のあるバラを刺したものもあります。
刺繍は好きですね。。
子供の頃、小花模様の刺繍の入った品の良いブラウスを母が年に1回買ってくれて、何枚か持っていました。今でもはっきり記憶に残っています。色のグラデーション使いがとても好きでした。その記憶のせいかもしれません。。

他の作品も近づける努力はしたのですが、草木の色や真綿紬の立体感のある陰影は印刷物や画像で見るものではなく、自然光の中で見ていただくしかないのだということが結論ではあります。
ただ、一つの手がかりとして、良い写真が撮れれば、また作りたいと思います。

今年の11月には個展の予定がありますので、ぜひ実作の色、風合いをご覧頂きたいと思います。

作品集は写真だけでなく、制作の解説をしつつ、それにまつわるエピソードなども交えるエッセイになっています。男性や、着物を着ない方にも好評でした。

昨年からのパンデミックに遭遇するとは予測していませんでしたが、
12.6.2のブログでも書いていましたが、11.3.11の東北大震災、原発事故とも重なることもあるのだと思うのです。11年の5月に作品集の撮影を始めていましたが、10年後の今、改めて暮らし方を問い直す時期でもあります。
今回の新型コロナウイルスも人間が招いたことですから。

この状況下では、着物のお洒落を楽しむなどまさに不要不急の扱いになってしまいますが、着ていると心が落ち着きますし、眺めているだけでも高揚してきます。
食べることと同じように着ることも人を人としてとして成立させる大事なことです。

現代において着物を着ることは何なのか、本当の紬は何なのか、手仕事のこと、着ること、取り合わせのことなど、作品集を介して思いを馳せていただければ嬉しく思います。


この作品集は、作品のみを見せるだけでなく、作品所有者の方に、ご自分で着つけてもらった着姿を撮らせていただいたものと両方を作品として掲載しています。

身近な自然から糸をつむぎ、染め、織り、着ることは、もう一度見直されてよい日本の大切な文化だったことを知っていただきたいと思います。

拙文ですが、ペンダコを作りながら一気に書き上げたものです。(;^^)p
ご一読頂ければ嬉しく思います。

現在、Amazon、楽天などインターネットで在庫がない状況になっているかもしれませんが、出版社には在庫がありますので、再入荷希望でご注文いただければと思います。
全国の書店でもご注文いただけます。

櫻工房オンラインショップでも購入できます。
こちらからどうぞ。送料無料でお送りします。
半巾帯リーフレットもお付けします。
工房は連休中も仕事しておりますので、当方でもご注文承ります。




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『樹の滴――染め、織り、着る』出版記念の会を終えて

2015年05月06日 | 作品集『樹の滴』

作品集『樹の滴――染め、織り、着る』出版記念の会が昨日無事終了しました。
万障お繰り合わせてのご参会、本当にありがとうございました。
岐阜から、静岡から、群馬からもお越しいただき大変有難く思いました。

様々な立場や年齢の方の集まりでしたが、「美しい布」というテーマの中で時間を共有することができました。
和やかな皆様の表情や会話に私もホットしました。

私のスピーチは時間があっという間に来てしまい話の半分で急にまとめた感じになりうまく伝わったか心配ですが、、、^^;
ただ、作品解説の中にすでに伝えたいことの本意は込めて話してはいました。。。(*^_^*)

さて、紬塾を修了された方も来てくださったのですが、その中のお一人の着姿をご紹介させてもらいます。

私の半幅帯をピンクの色無地の着物に合わせて来てくださいました。
自分の絣の着物に合わせようと思って仕立てた半幅ですが、今回のホテルでのパーティーには手持ちの着物の中では染の着物に合わせたほうが良いと判断したそうです。

色のトーンも違いますし、反対色の組み合わせ、着物と帯の格など結構難しい取合せだったかもしれません。
でも思いきってワインレッドと白の帯締めを取り合わせ、お祝いの雰囲気、気持ちも込めたかったというコメントもいただきました。会の趣旨を汲んでくれた取合せで私はとても嬉しかったです!

着物を着るということの 色々な意味でのハードルの高さを自分なりに考え越えていこうとする姿勢が伝わってきました。

彼女の5年後、10年後を楽しみにしたいと思いました。

他にもみなさんそれぞれのお心尽くしの取合せをしてくださり私も刺激を受けたのですが、また次の機会にご紹介できればと思います。

まだ本番の個展まで途中の着尺と帯を織り上げなければなりません。工房アシスタントとスタッフでその仕事に集中していきます。

また個展の詳細はブログでお知らせします。











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よきモノ、よき人の輪

2012年06月02日 | 作品集『樹の滴』
作品集を出版し、反響もいただき、今までのこと、そしてこれからのことを考えているところです。

考えますと、体力的なことからすればあと10年が残された私の染織の時間といってもいいかもしれません。
もちろん命ある限りは仕事したいですが。。。

制作のことで言えば、ようやく私なりの染織の基礎編を積み重ねましたので、
少し「表現」の段階に入りたいと思っています。
表現と申しましても何か特別なことではないのですが、
もう一つ加えたい何かがあるように私自身が感じているのですが、、、
こんな柄いきを、こんな色使いを――というようなことでもなく、
具体的なことは書けませんが、今までの積み重ねにプラスαしたい何かです。
できるかどうかわかりませんが、目指していきたいです。

それと、日常の着物、現代の紬を一般の方とともに広めていきたいと思うのです。

手仕事の着物はそれなりに高価ですし、面倒なことや、
手間のかかること、また自分なりの鍛錬も要します。
でも心地よい布や美しい衣がいやだと思う人はいないと思うのです。

読者で、着物に関心のなかった方からも「素敵ですね~」「着物を着てみたくなった」との声もいただきました。

また3.11以降自分の生き方を問い直し、「着物を着よう」と着方をならいはじめていた60代後半の知り合いが、作品集を読んで「応援してもらっているようで、この秋からは外へふみだします。」という手紙をいただきました。

良質の着物は人を育ててくれます。
私の着物を着てくださっている多くの方からよく聞く言葉で
「この着物に負けないよう自分を磨かなければ。。」という趣旨の発言があります。
決して着飾ってひけらかすような人は今まで一人もいませんでした。
むしろ着る側の方もとても真摯な気持ちで纏ってくださっていると確信しています。

今どき着物が経済をよくすると思う方はほとんどいないと思います。
私の仕事にしても決して楽ではありません。
またモノを大切にされたら経済が回らない、どんどん新製品を買ってもらわなければ企業は成り立たない。
大量生産、大量消費、大量廃棄のシステムではそうでしょう。
でもごみの量が少なくなればその処理にかかる税金は減るはずです。
また丁寧に生きることは心が安定しますので病気になりにくくなります。
医療費の削減になります。

機械の導入に多額の借金をするより、人にかけたらどうでしょうか?
手仕事を増やせば人手がいりますので雇用を生みます。
機械がやっていたことを少し人に回せばいいのです。
手に技がつき、働く喜びが生まれます。
手仕事は自立心も育てます。

つつましやかな生き方は貧しいのではなく、ものの本質に触れます。人やモノが見えてきます。
そんなに大儲けはできませんが真面目に、真っ当に環境や人に配慮した企業や事業者を支持していけば、
少しずつよき人たちの間でお金もまわり、よきモノがよき人を育て、
よき人がよきモノ作りを育て世の中が良くなっていけるように思います。
そしてよきモノがよき人を繋いでくれます。

環境にも人にも優しく、自由に幸せに人間らしく生きられるように思います。
周りの身近なところで、それぞれの方がそれぞれに、
小さなよきモノよき人の輪を作っていき、そのよき輪が広がるといいなぁと思います。

今回の作品集の出版はそういったことを含め一般の方に広く手仕事を知っていただきたく出版のかたちにしました。
私が織る紬は身一つの仕事で、いわば昔、家庭で家族のために織られてきた着物に近い点があります。
制作点数も少ないのですが、他にも良い物作りをしている方はおられると思います。
アンテナを張って手仕事系への関心を高めていただければと思います。

これからの染織、着物の世界のみならず、日本の復興への布石となればいいという願いを込めています。

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中野みどり作品集「樹の滴」―――染め、織り、着る 予約受付

2012年04月07日 | 作品集『樹の滴』
中野みどりHP

修正前の写真ですが大体こんな感じです。

中野みどり作品集「樹の滴」は微妙な色修正などで手間取り再校正をもう一度やり印刷に入ります。
何分作品集を作ることは初めてのことで100%満足とはいきませんが、今私ができることを精一杯やったという感じです。

できるだけ自然体でお見せしたいという考えに基づき構成しました。

A5判88ページのささやかな作りながら、少部数印刷、高精細印刷ということで割高な感じですが(2,940円)、原価販売です。。。^^;

今までにはなかったタイプの染織の作品集になったと思います。

自己表現だけの作品集ということではなく、お伝えしたいことは身近な自然から糸を染め、織り、着ることはそう遠いことではなく、もう一度見直されてよい日本の大切な文化だったことを知っていただきたいと思います。

また私の着物を引き受け着てくださっている方々にも協力していただきましたが、それぞれの方の個性、感性、想い、そして取り合わせも含め、身の丈に合った生きいきとした着姿をお伝えできたと思います。

表情もみなさんごく普通の一般の方々ですが、とても自然で美しいです。私はいつもながら洗い髪にノーメーク、撮影前にあわてて口紅だけ塗ったので、そのまんまですが、それなりにです。(^^)

「着る」ということの意味も問い直したいです。

染織をされる方もされない方も、着物に関心のあるなしにかかわらず、一般の方に読んでいただけるよう文も書いたつもりです。

染織の技法書本ではありませんが、創る上での大事なポイントは赤裸々に書いてあります。

「キ・モ・ノ」という固定観念や先入観を一度捨てて、市民レベルで、今を生きる現代の着物文化を考えるささやかな一歩になれたらと思っています。

5月15日の発売で、全国の書店でご注文いただけますが、それに先駆けてかたち21で前売り予約を受け付けます。(5月8日締め切り)ご予約いただいた場合は5月初旬にお届けできる予定です。連休中にじっくりご覧ください。


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