中野みどりの紬きもの塾

染織家中野みどりの「紬きもの塾」。その記録を中心に紬織り、着物、工芸、自然を綴ります。

微塵格子の帯

2015年04月30日 | 着姿・作品

帯地(部分)

個展に向け着尺、帯を同時に進めています。
昨日は帯が2本織り上がり湯通しと伸子仕上げをしました。

画像では色をお伝えできないのが残念ですが、フワッとした桃+紅茶染めの明るい茶系と楊梅の白茶で主に構成されています。格子の白っぽい糸は五加木(うこぎ)染でごく薄い緑です。昼間の光を受けてなんとも言えず引き込まれる美しい色でした。

太鼓の途中から微塵格子になり、前中心を過ぎたあたりでまた縞になります。
若練のパリッとした節糸を多用して、草木系の自然布のような色合い、風合いに仕上がりました。
しかし、やはり絹の光沢があります。

あまり帯らしくないかもしれませんが、帯用に織ったいわゆる呉服的な帯というものでないものを好む方もいます。さりげないナチュラルなテイストのものが合う着物もあります

私は着尺と帯を同じ経糸を利用して織ることも時々あります。

紬のような洒落着にはいろいろなタイプの帯があって良いと思います。
取合せることによって、布と布そのものの力の共鳴も楽しみたいですね。

上質の布は何気ないものでも取り合わせてみると静かに、けれど強い存在感を呈します。
糸は、布はなんと正直なのか・・・と気付かされます。

今回の個展でも、さりげないけれど上質の帯が数点ご覧いただけます。
お手持ちの紬、結城や大島、御召などとも合わせてご覧いただければと思います。

個展、5月5日のプレヴューのお知らせはこちらから。

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「紬きもの塾’15」開講しました!

2015年04月19日 | 紬塾 '13~'16
第7期「紬きもの塾’15」が今日からスタートしました。

今期は定員オーバーとなり混み合ってちょっと大変そう・・です。
愛知県、岐阜県からも参加していただきました。ご苦労様です。

今日はお一人お一人から紬塾参加の動機など伺ったのですが、少しご紹介します。

ご本人も着物好きではあるのですが、家に帰ると和服に着替えるという着物好きの夫から糸のことなど話を聞いてきてほしいということで、一家代表で来てくださった方、「樹の滴」を書店で一気に立ち読みして「これは買うしかない!」と。そしてぜひ話を聞きたいと遠くから来てくださった方、糸のことや着物全般のことを、自分が着たり織ったりする前にポイントを知っておきたいと思ってる方、私の紬の風合いなどがどこから生まれているのか知りたい方、祖母の着物などをどのように活用していけばいいかを知りたいなど、また、着付けを何年もされている方から全く着物は着たことのない方まで、様々でした。

年代も20代後半?から60代まで幅広くお集まりいただきました。

知識としてだけではなく、糸に触れ、布に触れ、先入観などをあまり持たずに素直に観察し、自分が体感して“知る”ことが大切だと思います。
私はまずはあまり先にあれこれ言わないで、みなさんの受け止めを導き出すような方向に向けていきたいと思っています。

受身ではなく積極的に発言もしていただき、この塾を盛り立てていただきたいと思います。

織物を知ることは、着物を着る着ないにかかわらず、人にとって大切なことを教えてくれるように思います。

紬とは何か、布とは何かを一年を通して一緒に探っていきましょう。


知り合いの山口県の陶芸家の方から届いたばかりの甘夏(ちょっと酸っぱい!(>_<))を帰りに1個ずつお土産で持ち帰ってもらいました。マーマレードを作ったばかりだったのですが、、、また作ります・・(^_^;)
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「ケンヅナ」を編む

2015年04月07日 | 制作工程


細い綿の糸束を三つ編みにしています。



結構長いです。
全部編みきると3本分です。


長いあいだ使いボロボロになりました。


紐の天地を変えたり、長さを詰めたりしながら一番擦れるところを少しずらす工夫もしながら使います。
しかしもうこれは限界になりましたので新しくしました。
5年ぐらい使ったと思います。


2台ある機、共に新しいものに替えました。
気持ちよくなりました!

経糸を機の上で張るときのテンションを決める紐は「ケンヅナ」と呼ばれるものです。
この呼び名は奄美大島地方での呼びかたです。
細い糸束(大島紬の締め機で使われる綿のガス糸)を編むことで程よい滑りと摩擦、弾力も生み、微調整ができます。

この大島紬の産地で作られている機は一台は一応ギア式の使い方もできるのですが、この紐で固定する方法に慣れれば最も安定したジャストなテンションに合わせることができますので、ギア(菊)を使うことはありませんでした。
強めるのも緩めるのもこの紐一本で瞬時にできます。

修業時代はギア式の機を使っていましたが、ギアの一刻みでは大まかすぎて、ボール紙などを刻みに挟みながら丁度よいテンションに設定しなければなりませんでした。

織り段を作らないためにはこの経糸のテンションの設定がとても重要です。
打ち込み本数も丁度よいテンションで織られてこそ五分メガネで数える数字の意味を持ちます。

この紐はなくてはならない大切な大切な機の小道具です。
手機の命綱と言って良いでしょう。




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桜が満開の中、反物の仕上げをしました!

2015年04月02日 | 制作工程





工房の大山桜も今日満開となり、そしていきなり散り始めました。
こんな現象はここへ来て初めてのことだと思います。
あわてて急遽、明日の夕刻より花見楽しみます!

花びらが散り始めた中で反物の伸子仕上げをしました。

午前中は風も穏やかで乾燥気味でしたので良い仕上げができました。
湯通しをして糸に付けた糊を洗い流します。脱水機で5秒脱水します。
これが一番シワにもならず、乾きムラが出にくく良い方法と思っています。

伸子は細めのもので耳を引っ張り過ぎないようにします。伸子目が出ないように乾いたところからこまめに外していきます。

経の張り具合などいろいろ研究してきましたので今は安定して仕上がるようになりました。

お日様のチカラで絹の糸は立体的になります。
アイロンの仕上げとは風合いが全く違います。
更に砧打ちなどをして検反の作業に入ります。

反物は仕立ての方が更にスチームアイロンで地詰めをしてから裁断をすることになります。


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