中野みどりの紬きもの塾

染織家中野みどりの「紬きもの塾」。その記録を中心に紬織り、着物、工芸、自然を綴ります。

紬きもの塾’12開講しました!

2012年04月27日 | 紬塾 '9~'12
中野みどりHP

第4期の紬塾が始まりました。今期も6名の方と日常のきものに関することを中心に学んでいきたいと思います。
今までもそうでしたが、作品を作るだけではない仕事の積み重ねが、今期の方々との出会いにつながったのだと強く感じました。
みなさんから当塾へ申し込まれるきっかけを伺いましたので一部を交えご紹介いたします。

97年から10年ほど「自分の着物は自分で織る――地織の会」というのを主宰していたのですが、その時、僅か100部発行していた『櫻工房便り』というのがありまして、日々の工房の仕事のあれこれをみんなで綴ったものですが、それを購読してくださっていた大阪市にお住いの方が当ブログを見てくださり参加を申し込まれたのです。
地方の方からもお問い合わせをいただくことはあるのですが、実際に参加されるとなると時間も経済もかなり大変だと思うのですが、なにか決意がおありなのだと思います。

それから今も立松和平さんの『染めと織りと祈り』の愛読者がいらっしゃるようで、その関連でのお申し込みもありました。

また、お母様のご病気をきっかけに今生きている時間の大切さに気付かれ、「今着物を着ないでどうするのか!」そして日本の素晴らしい文化を担う一端にもなれるのだと外出には着物をなるべく着るように努めている方が、地味な知る人ぞ知る、当ブログも知ってくださるようになり今回の参加につながりました。

今までアート系の織物の指導はしてきたものの着物は手掛けておられなかったようですが、着物地を安易に裂き織りにしようとする考えには疑問があり、また着道楽だったお祖母様の着物がたくさんありどのようにしたらよいかと思っていたところ、『染織情報α』のお知らせで偶然見て、「この塾に呼ばれているようで来ました!」という方もおられます。

ロウケツ染めを25年されている方が、以前京都で行った私の個展を見てくださっていて、ご自身もいろいろと勉強もされ、研究もされているのですが、たまたま夫君が東京に転勤になったことで、ご参加くださいました。
ロウケツ染めについての話を伺えることも楽しみです。

そして美大で博物館学を学ばれ、布もお好きでいろいろ見たり染織の講座の聴講もされたりしてはいるのですが、知識だけではなく自分に合う布とはどんなものか、糸から知りたいということで、ブログもいつのころからか読んでくださり、今回の参加につながりました。

知識というよりは実践的なことを中心にそれぞれの方に実りのある学びになるよう努めたいと気合を入れてます。
良き方々とめぐり合い、私も一緒に勉強できますことをうれしく思います。



さて、初回は例年通り、私の着ている着物を3点用意しまして、羽織った時の感触や、色映りなどを見てもらうことが目的ですが、みなさんそれぞれによくお似合いでした。
普段なら選ばない色なのに…という方もいらっしゃいましたが、不思議にご本人のみならず、周りの見ている方の表情まで生きいきとしてくるのです。
これは自然の力です。身近な植物である、梅、桜、小手毬などで染めたものですが、生木の染色はうまく色を引き出せるとフワッとしたやすらぎの色になります。
同じ着物が着る人によって、可愛らしく感じたり、大人っぽい、良い意味の色気を感じたり、その方の思いがけない内面まで見えてくるようで不思議ですね。
この辺のことはまた講義の中で明かしていきたいと思います。

また、最初はみなさん初対面で緊張気味でしたが、羽織り始めると、着付けるのをそっと手を貸してくださっていたり、着終えたものを畳んでくださったり、その畳むところを見ていたり、この”見ている”も大事なことで、今は見る機会さえないのですから。
自分で着られる方から着物はあるけれど着られない方までいろいろな立場の方ですが、いろいろな方がいることがよいことだと思います。
この1年どうぞよろしくお願いいたします。






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中野みどり作品集「樹の滴」―――染め、織り、着る 予約受付

2012年04月07日 | 作品集『樹の滴』
中野みどりHP

修正前の写真ですが大体こんな感じです。

中野みどり作品集「樹の滴」は微妙な色修正などで手間取り再校正をもう一度やり印刷に入ります。
何分作品集を作ることは初めてのことで100%満足とはいきませんが、今私ができることを精一杯やったという感じです。

できるだけ自然体でお見せしたいという考えに基づき構成しました。

A5判88ページのささやかな作りながら、少部数印刷、高精細印刷ということで割高な感じですが(2,940円)、原価販売です。。。^^;

今までにはなかったタイプの染織の作品集になったと思います。

自己表現だけの作品集ということではなく、お伝えしたいことは身近な自然から糸を染め、織り、着ることはそう遠いことではなく、もう一度見直されてよい日本の大切な文化だったことを知っていただきたいと思います。

また私の着物を引き受け着てくださっている方々にも協力していただきましたが、それぞれの方の個性、感性、想い、そして取り合わせも含め、身の丈に合った生きいきとした着姿をお伝えできたと思います。

表情もみなさんごく普通の一般の方々ですが、とても自然で美しいです。私はいつもながら洗い髪にノーメーク、撮影前にあわてて口紅だけ塗ったので、そのまんまですが、それなりにです。(^^)

「着る」ということの意味も問い直したいです。

染織をされる方もされない方も、着物に関心のあるなしにかかわらず、一般の方に読んでいただけるよう文も書いたつもりです。

染織の技法書本ではありませんが、創る上での大事なポイントは赤裸々に書いてあります。

「キ・モ・ノ」という固定観念や先入観を一度捨てて、市民レベルで、今を生きる現代の着物文化を考えるささやかな一歩になれたらと思っています。

5月15日の発売で、全国の書店でご注文いただけますが、それに先駆けてかたち21で前売り予約を受け付けます。(5月8日締め切り)ご予約いただいた場合は5月初旬にお届けできる予定です。連休中にじっくりご覧ください。


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