中野みどりの紬きもの塾

染織家中野みどりの「紬きもの塾」。その記録を中心に紬織り、着物、工芸、自然を綴ります。

第3回 糸つむぎ、草木染、そして着物

2009年06月19日 | 紬塾 '9~'12
第3回(6月14日) 糸つむぎ、草木染、そして着物



テーマ:蚕の繭から糸を紡ぎ出し、草木で染めるまでの話。そして着物の更生についてお話しました。







1.手つむぎ糸の話

私が紬織りの着物で使う糸は、大きく分けて座繰り糸と紬糸があります。
座繰り糸は繭から直接糸を引き出す方法で、特に一度にたくさんの繭から引き出す節糸が、
少量の繭からある一定の太さに引き出した糸を合糸して作った糸よりも管理しすぎず、
味わいがあって面白いのです。

真綿から手で引き出す(前回の記事参照)紬糸も、
引き出し方で糸の表情や風合いが異なってきます。
蚕から吐き出される糸はウエーブがかかっていて波状形をしています。
それが紬の風合いを決める一番大切な要素になります。
染めの工程でも織りの工程でも、その波状形を殺さないように扱います。




2.材料を採取してすぐ使う場合の草木の染め方

チップにした草木を煮出して色素を抽出しながらガラス瓶に煎汁を入れ、
色をよく見ながら染液を作ります。
よく話題に出ることです(中学校の教科書にも載りました)が、
桜の木はピンクに染まるという固定したイメージがあります。
ピンクに染まることもあることは確かですが、
むしろ秋になって紅葉した桜の葉を見ると分かるように、非常に複雑な色相を秘めているのです。



桜で染めた糸のストックです。


人間の都合や思い込みだけで単純な話や知識にしてはいけないと思います。
煮出しの過程で染液が変化していく様子をよく見ることが大切です。
料理を作るのやお茶を淹れるときと同じですね。
素材のいのちを引き出すということです。





休憩は柏餅と水出しのお茶で。特に水出しのお茶が好評でした。




3.着物の更生――とことん着る着物

日本人の衣の文化としての着物を着るということの意味の中には、
とことん着尽くしていくということがあります。
そのためには、サイズの合わないものやシミなどのある古い着物も仕立て直したりして、
着物を生き返らせて着るという〈わざ〉もあるわけです。

かつてはほどくことを前提にして縫う、という合理性も含まれていました。
その実例を見ながら話を進めました。
1. 表地を裏返す。
2. 前身頃、後身頃を逆にする
3. 胴の部分にはぎを入れ、着丈を出す
4. 裄を出すために袖にはぎを入れる
5. 染替、絽の着物から雨ゴートを作る

ひと昔前は、着古した浴衣を行李いっぱいに詰めて嫁入りする習慣がありました。浴衣は赤ちゃんのおしめになるんです。
赤ちゃんのおしりは柔らかないろいろな柄に包まれてたんですね。

などと、着物文化の奥深さを語り合いました。



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(次回は7月20日頃更新の予定です。)
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