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中野みどりの紬きもの塾

染織家中野みどりの「紬きもの塾」。その記録を中心に紬織り、着物、工芸、自然を綴ります。

文庫結び

2012年06月30日 | 着姿・作品
中野みどりHP



半巾帯が活躍するシーズンですね。
先日の紬塾の時締めていた私の半巾帯は、もう10年以上前ですが、現代のジャワ更紗の布をみつけリバーシブルに仕立ててもらったものです。

結びは文庫結びですが、普通、手先を2回巻き付け余りを帯の中に入れますが、その2回目を入れずに外に出しています。ただ出しているだけです。
普通の文庫も可愛らしいですが、こうすると少しボリューム感がでますし、帯の柄を多く見せることになりますので、私はこの方法がほとんどです。

滑らない生地の木綿や紬の場合は緩んでくることもありません。

この帯は長さが短く、たれを引っ張り出すことはできないのですが、9尺5寸以上あれば中にたたむタレを長めにとり、結び目の下からから出すこともできます。
作品集『樹の滴』の中では手とたれ先を出した締め方をしています。

よかったらお試しください。

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2012年06月17日 | 自然環境・脱原発
中野みどりHP



雨の季節を迎えました。
真夏の日照りを前に大地や木々はたっぷりと水を蓄える時です。
そしてこの時期には青や紫の花が咲き私たちのこころを落ち着かせてくれます。
工房の庭には5種類の紫陽花があります。少し時期を違えて咲き始めますので仕事の合間に目を休め、ひと月以上楽しんでいます。



経継ぎを終えたところの写真。グレー地に藍や緑の細い縞が入ってます。

今、機にかけている着尺も雨というか水を感じさせるものを創りたいと織り始めました。
季節に合わせて仕事をするようにしています。
自然が教えてくれる、導いてくれるように思います。
繊細なたて縞によこはシンプルに草色と赤味の薄茶を配しました。
「早苗」をイメージしてます。

日本は瑞穂の国といわれますが、水をうまく利用した先人の知恵を守りたいです。
安心して食べられるお米を奪わないでほしいです。  

原発がなければ生きていかれないような、脅しとも思える先日の大飯原発再稼働に関する首相の記者会見の発言には唖然としました。
原発事故は限定された地域だけの問題ではなく、空気を汚し、水を汚し、生き物の命を奪うもの。避難訓練をしても始まらない話です。それこそ生きていかれないのです。

前からお伝えしている「さよなら原発1000万人署名」は750万筆を超え、その分は首相あてで衆議院議長に届けられたそうです。

その先頭に澤地久枝さんが単衣の着物姿で立っています。
まだ署名は続いています。オンライン署名もできます。


もう一つの雨は、実践知塾「ドレミから始めよう」でも『あめ』谷川俊太郎作詞、松下耕作曲の練習をしています。

あめがふると つちのにおいがする
 あめがふると あしのうらがくすぐったい
 あめがふると まちがしずかになる
 あめがふると むかしのことをかんがえる

始めは、私のアルトのパートはド、ド、ド、ド、ド、ド、ド、ド…ばかりが続いてヘンな曲だと思ったのですがなかなか奥が深い曲だと感じてきました。
4パートに分かれているのですが、うまくハモれたらすごくカッコいい曲です。
いつの日か、You Tubeに投稿できる日が来るといいのですが。。。。。。。。

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よきモノ、よき人の輪

2012年06月02日 | 作品集『樹の滴』
作品集を出版し、反響もいただき、今までのこと、そしてこれからのことを考えているところです。

考えますと、体力的なことからすればあと10年が残された私の染織の時間といってもいいかもしれません。
もちろん命ある限りは仕事したいですが。。。

制作のことで言えば、ようやく私なりの染織の基礎編を積み重ねましたので、
少し「表現」の段階に入りたいと思っています。
表現と申しましても何か特別なことではないのですが、
もう一つ加えたい何かがあるように私自身が感じているのですが、、、
こんな柄いきを、こんな色使いを――というようなことでもなく、
具体的なことは書けませんが、今までの積み重ねにプラスαしたい何かです。
できるかどうかわかりませんが、目指していきたいです。

それと、日常の着物、現代の紬を一般の方とともに広めていきたいと思うのです。

手仕事の着物はそれなりに高価ですし、面倒なことや、
手間のかかること、また自分なりの鍛錬も要します。
でも心地よい布や美しい衣がいやだと思う人はいないと思うのです。

読者で、着物に関心のなかった方からも「素敵ですね~」「着物を着てみたくなった」との声もいただきました。

また3.11以降自分の生き方を問い直し、「着物を着よう」と着方をならいはじめていた60代後半の知り合いが、作品集を読んで「応援してもらっているようで、この秋からは外へふみだします。」という手紙をいただきました。

良質の着物は人を育ててくれます。
私の着物を着てくださっている多くの方からよく聞く言葉で
「この着物に負けないよう自分を磨かなければ。。」という趣旨の発言があります。
決して着飾ってひけらかすような人は今まで一人もいませんでした。
むしろ着る側の方もとても真摯な気持ちで纏ってくださっていると確信しています。

今どき着物が経済をよくすると思う方はほとんどいないと思います。
私の仕事にしても決して楽ではありません。
またモノを大切にされたら経済が回らない、どんどん新製品を買ってもらわなければ企業は成り立たない。
大量生産、大量消費、大量廃棄のシステムではそうでしょう。
でもごみの量が少なくなればその処理にかかる税金は減るはずです。
また丁寧に生きることは心が安定しますので病気になりにくくなります。
医療費の削減になります。

機械の導入に多額の借金をするより、人にかけたらどうでしょうか?
手仕事を増やせば人手がいりますので雇用を生みます。
機械がやっていたことを少し人に回せばいいのです。
手に技がつき、働く喜びが生まれます。
手仕事は自立心も育てます。

つつましやかな生き方は貧しいのではなく、ものの本質に触れます。人やモノが見えてきます。
そんなに大儲けはできませんが真面目に、真っ当に環境や人に配慮した企業や事業者を支持していけば、
少しずつよき人たちの間でお金もまわり、よきモノがよき人を育て、
よき人がよきモノ作りを育て世の中が良くなっていけるように思います。
そしてよきモノがよき人を繋いでくれます。

環境にも人にも優しく、自由に幸せに人間らしく生きられるように思います。
周りの身近なところで、それぞれの方がそれぞれに、
小さなよきモノよき人の輪を作っていき、そのよき輪が広がるといいなぁと思います。

今回の作品集の出版はそういったことを含め一般の方に広く手仕事を知っていただきたく出版のかたちにしました。
私が織る紬は身一つの仕事で、いわば昔、家庭で家族のために織られてきた着物に近い点があります。
制作点数も少ないのですが、他にも良い物作りをしている方はおられると思います。
アンテナを張って手仕事系への関心を高めていただければと思います。

これからの染織、着物の世界のみならず、日本の復興への布石となればいいという願いを込めています。

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