中野みどりの紬きもの塾

染織家中野みどりの「紬きもの塾」。その記録を中心に紬織り、着物、工芸、自然を綴ります。

「中野みどり紬の会-プラスワンで装い一新!」開催中!

2019年05月30日 | 紬の会
終了しました。ご来場ありがとうございました。


工房展「紬の会 – プラスワンで装い一新!」6月3日(月)まで開催。
 午前10時 – 午後5時   櫻工房(小田急線鶴川駅バス10分)

工房展が始まっております。遠くからわざわざお越しいただく方もあり、ありがとうございます。
詳しくはHP「お知らせ」をご覧ください。

さて、以前のブログでもご紹介しましたが、私が着ていた、豊後梅で染めたピンクとグレーの格子の着物の後継ぎが決まりました。
メールでお問い合わせを頂いていましたが、工房展の時に実際にご覧頂いてご検討いただくということになっていました。お越しいただき、実際に羽織っていただくととてもよくお似合いで、ご本人も納得されていました。
生木の草木染のピンク系や黄色系は大人の肌の色によく映ります。鮮やかすぎない複雑な色相をしているからです。くすんだ色というのとも少し違います。

単衣に仕立て、春、秋、冬をこの紬で過ごします。やや太めの真綿紬糸を使っていますので対応できると思います。傷みなどは全くないのですが、洗い張りをして仕立て直しになります。


この「淡紅梅」と題した紬は、93年の2回目の個展のDMに使った作品です。
格子といっても奥行きを出すために少し凝って設計したものです。
染められた色そのままを使いながらも白の地糸とコチニールで染めた赤も少し際に使い華やかさをつけ、ヤマモモの渋めの黄色で奥行き、柄合わせをきちっと揃えて紬ですがきちんとした感じも出したものです。
その後しばらくして自分用に仕立て、帯は村田染織ギャラリーさんでオールドの草木染のイカットを選んでいました。

96年秋号の季刊誌「美しいキモノ」の『染めと織と祈り』のシリーズ(立松和平さんによるルポルタージュの記事)に自作の着物を着て登場してもらいたいという条件付きの依頼があり、その帯に金属造形作家の濱口恵さん(故人)の作品を帯どめに加工したものを付けて撮影しました。まだ、着始めて間もないころで、小物も2~3点しか持っていませんでしたが、あるものでなんとかしました。


普段お化粧というものを全くしないのですが、撮影ではメイクの方が薄化粧にしますからさせてください!という強い要望があり、若干のお化粧もしてます。眉を整えたり、髪もセットしたみたいになって、自分でなくなったようでいやだった、と宗廣先生の夫人の波緒先生に後で報告したところ「そんなことで自分はなくならないから」と笑われてしまいましたが・・・。(^-^;

本当に恥ずかしくてニコリともせず、カメラの前に長い間立っていましたが、カメラマンの立木三朗さんが編集者に「中野さんを笑わせて」と指示を出し、「どーしよう」と慌ててた編集者の姿がおかしくて思わずニヤリとしたところをすかさず撮られた一枚です。
立木さんはこういう色合いは色出しが一番難しい‥とおっしゃられていましたが、実物の紬に近い色で印刷が上がってきました。
立松さんの文章もとても的確にとらえて書いてくださってます。このシリーズはその後『染めと織と祈り』として単行本になりました。

もう20年以上前のことですが、いろいろ懐かしく思い出されました。。。

今度の着手はどんな取り合わせで着て下さるのでしょう?
着ることにも布にも真摯に向き合われている方ですので、何も心配はしていません。私以上に大事にしていただけると思います。

洗い張りするたびに風合いがよくなるような糸使いや織り方をしています。二代三代とお召し頂けます。
良い方に決めて頂き、作り手としてもホッとしているところです。着物も喜んでいると思います。


工房内は8畳の和室と機のあるスペース14畳ほどを使い展示しています。
手狭で機の上にも板を置いてガラスなど並べてみました。
自然光たっぷりでご覧頂けます。

工房オリジナル、ヘンプのローライズステテコは着物だけでなくスカート下にもこれからの季節はとても気持ち良いです。
ヘンプ肌襦袢の数が少なくなってきましたので、お早めにご覧頂きたいと思います。
小物選びに取り合わせの帯やお着物もお持ちいただければよいかと思います。
単衣、夏向けの帯もあります。

着尺・帯・夏帯・半幅帯・帯揚・帯締・ヘンプ麻肌襦袢&ローライズステテコ 、卓布、ミニ額装、他
サブコーナー:竹バッグ(林まさみつ作)・ガラスウェア(玉田恭子作)・女わざの会会誌
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初めての方はご予約時に道順などお知らせいたします。詳細は「お知らせ」をご覧ください。

今年の秋の展示の予定は今のところありませんので、ぜひこの機会に初めての方も気軽にお出かけください。
お待ちしております。




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玉田恭子ガラスウェア -紬の会19春-お知らせ2

2019年05月17日 | 紬の会
新緑も色濃くなってまいりました。

工房では28日からの工房展に向け、最後の作品の追い込みをしております。

今日はサブコーナーへご出品頂く玉田恭子さんのグラスが届きましたのでご紹介します。

玉田さんは着物や色彩にもご感心があるということで、3月の「紬+帯揚げ百彩」展へお越し下さいました。お茶やお香もされているということです。


                         Murasakishikibu KYO Inori 6×29×13cm

玉田さんは現在は源氏物語から着想を得た、板ガラスを何層にも重ねたオブジェ制作をメインにされている方ですが、先月横浜市青葉区の住宅地にある工房でお話を伺ってまいりました。

ガラスも様々な技法や表現方法がありますが、板ガラスを作るところから大きな作品は半年ほどかかるということでした。イメージ作りはスケッチデザインするというよりは文章にすることから色の世界が浮かんでくるというようなことを話されていました。

玉田さんはおっとりされた雰囲気の方ですが、タフな精神力とガラスにかける相当の情熱をお持ちの方だという印象を受けました。
大阪のうめだ阪急で今月22日-28日まで個展があります。
今年2月24日にお亡くなりになられました、日本文学研究者ドナルド・キーンさんも作品をコレクションされていたそうで、会場にはその作品写真パネルも展示されるようです。そのお写真は拝見しましたが、とても素敵な作品でした。近郊の方はぜひご覧ください。

詳細は玉田さんのホームページをご覧ください。
玉田恭子HP
工房はスタッフの方もいらして、教室もされています。
玉田ガラス工房HP 
 

櫻工房では点数は少ないですが涼やかなガラスウェアをご覧いただきます。



写真手前の底にモザイクのあるものはやや重めでロックグラスに。焼酎のお湯割りにもいいです。モザイクの色も強すぎず、さりげないです。
クリアのタイプは軽くて実用的でもあり、1.ビールでも2.冷酒でも3.麦茶でも4.牛乳でも5.ジュースでも。(^q^)


一輪挿しには、庭のバラを一輪活けて、窓辺に置いてみました。卓布(中野作)
価格はグラス、一輪挿し、2,800円~3,800円(税別)です。


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「中野みどり紬の会 – プラスワンで装い一新!」

2019年5月28日(火) – 6月3日(月) 午前10時 – 午後5時
櫻工房にて(小田急線鶴川駅バス10分)

着尺・帯・半幅帯・帯揚・帯締・ヘンプ麻肌襦袢&ローライズステテコ 、卓布、ミニ額装、他
サブコーナー:竹バッグ(林まさみつ作)・ガラスウェア(玉田恭子作)・女わざ冊子
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初めての方はご予約時に道順などお知らせいたします。詳細は「お知らせ」をご覧ください。


また来週、工房展の詳細お知らせします。
是非お出かけ下さい。(*^^*)






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[第11期 紬きもの塾19]開講しました!

2019年05月10日 | 紬きもの塾’17~’20


今年もお陰様で紬きもの塾19が開講しました。
今期から基礎と実習コースを分けてのスタートとなりました。

基礎コースの方全員着物でお越しくださいました。
HP、ブログを数年前から見てくださり、ようやく日程が取れるようになって臨んでくださる方もありました。


いつものように紬織り人間国宝・宗廣力三先生の作品集を見ていただき、まずは私の仕事の元にある師の仕事を知ってもらいました。
師匠のデザインを真似てはいけませんが、師が大切にしていた糸のこと、染色のこと、着ることなど受け継ぐものは受け継がせてもらいました。
シンプルな色使いの中に奥行きをもたせる色使いで日本的な奥ゆかしいものの美を大切にされていたと思います。
先生の元で仕事をさせて頂けたことを幸せだと思っています。


続いて黄色系の着物(単衣)とピンク系(袷)の私物の着物を全員が交代で羽織って頂き、どんな感じか、一人ひとり話してもらいました。
柔らかい、軽い、纏うと色の見え方が違う…などの声が聞かれました。

ピンク系も黄色系もみなさんよく似合っていましたが、特にピンクの着物を羽織ると表情が生き生きと明るく笑顔になった方もいらっしゃいました。また黄色系はしっとり落ち着き、より女らしさが引き出されてくる感じがありました。両方共、誰でもが似合った、という感想も聞かれました。

自然界のピンクと黄色は基本の色で、いずれにしても包容力のあるものだということがわかって頂けたかと思います。また、真綿系と玉糸系、袷、単衣の感じの違いも感じとってもらいました。

今期の方はみなさん着物歴も長く、お茶やお香を嗜まれたり、着付けの講師をされている方、和裁士さんもいらして、いろいろ知識、技術はお有りのようですが、紬塾ではそれらを一旦無しの状態にしていただき、新たな目でこれからの講義に臨み、改めてもう一度自分で良く見、感じ考えてほしいという趣旨の話もしました。


この日私が着ていた紬は修業時代の最後に宗廣力三先生から真綿一反分を頂き、つむぎ、母のために織った着物です。仕事を終えた夜の1~2時間毎日つむぎました。太目の糸が表情豊かで味わいと力強さがあって私は好きです。

紬塾の初回には私にとって原点となる40年程前に織ったこの紬をよく着ています。井桁絣も木綿の紺絣によく使われますが、整経が良くできていないとズレが生じたり、シンプル故にアラも目立ち、きちっとするには技量を要します。


紬は固くて着にくいという声もよく聞かれるのですが、この紬は一般のものに比べかなり地厚ですが、みなさんに袖を触ってもらいました。まだ洗い張りはしていませんが、その柔らかさに驚かれていました。
糸を細くして、織密度を高くすると固くて着にくいものになりますが、かと言ってただゆるければいいというものではなく、判断のポイントがあります。

帯は30年近く前、着物を着始めて間もないころに村田染織ギャラリーで購入した両面使いのオールドのジャワ更紗です。この日は柄がおとなしいB面で久々に締めてみました。 
自作の着物を着始めたよちよち歩きのあの頃から、ずいぶん時間が経過しているのだと、感慨深くいろいろ思い出します。

次回からは紬とはどういうものであったか核心に迫りたいと思います。
また堅牢でありながら着心地の良い紬の元になる紬糸や織り方についても話していきます。










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工房展「紬の会-プラスワンで装い一新!」のお知らせ

2019年05月03日 | 紬の会


爽やかな季節となってまいりました。
5月28日(火)~6月3日(月)まで櫻工房内において「紬の会」を開催します。
現在、帯揚げの染色、帯の新作にかかっており、連休も休まず制作に励んでおります。

出品品目は、着物、帯、帯揚げ、帯締め、ヘンプ麻肌着(襦袢、ステテコ)他
サブコーナーとして竹バッグ(林まさみつ作)、グラス(玉田恭子作)

この度の工房展では「プラスワンで装い一新!」をテーマにします。
お手持ちの着物や帯に帯揚げ一枚、帯締め一本、真剣勝負でぴったりなものを選びませんか!
古い結城や大島の着物に新しい現代感覚な紬帯、オールドの更紗に草木染めの紬着物。
今の時代感覚の自然で爽やかな風を吹かせましょう!



着尺は単衣向け、袷向け、スリーシーズン単衣で対応できるやや厚手の紬、帯は夏帯を含め、仕立て上がりのものも数点あります。
お手持ちの着物や帯もお持ち頂き、じっくり取り合わせてご覧頂きたいと思います。

帯揚げは絽縮緬、紋意匠綸子縮緬など今の時期にタイムリーな生地感の新色も染めております。
草木染めの紬帯に合う櫻工房セレクト厳選の帯締めも入荷しております。
合わせたい着物や帯をお持ちいただくのが良いと思いますが、端布でも良いです。

サブコーナーとして、林まさみつさんの竹バッグも点数は少ないですが、こちらも厳選して展示します。単衣、夏着物のお供にしていただければと思います。
また、ガラス作家、玉田恭子さんのグラスを展示します。
玉田さんはガラスの大作のオブジェなども手がける方ですが、今回は手取りの軽い使いやすいシンプルなグラスと、小さな一輪挿しをお願いしました。夏の暮らしの彩りに、プラスワンしていただければと思います。
玉田さんのHPはこちら。



工房内は先月、畳、襖、障子など張り替え、庭木の剪定もして、サッパリ、スッキリしてます。
ゆっくりくつろいでお過ごしいただきたいと思います。

畳のヘリも畳屋さんが親身になってくださり、いい色に決まりました。
ちなみに鶴川にある畳屋さんですが、下見に来てくださった時に、工房内の染められた糸を見て、「いい色だなぁ…」とそっとつぶやかれてました。。(*^^*)

紬の着物を着るにあたっての下着(ヘンプ麻の肌襦袢、ローライズステテコ)や襦袢などのご相談もお受けします。ヘンプ肌着は通年お使いいただけます。

紬に関心はあるけれど、まだなかなか始められない方もこの機会にぜひご覧ください。
ご来房をお待ちしております。

出品内容の詳細はまた追ってブログでご紹介します。








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