中野みどりの紬きもの塾

染織家中野みどりの「紬きもの塾」。その記録を中心に紬織り、着物、工芸、自然を綴ります。

第9回紬塾’10(最終回) 第2期を終えるにあたって、みなさんの感想

2011年01月25日 | 紬塾 '9~'12
中野みどりのHP


紬塾’10の最終回の講義は、半巾帯の結び方を5~6種類と、
仕立てのことやその他おさらい、そしてみなさんからの感想、気づきをお聞きしました。

半巾は生地の質のいいものを選び、お洒落で気軽な着こなしをしていただくことで、
もっと着物を身近に感じてもらえればいいと思うのです。
今回もみなさん思い思いに、すてきな半巾帯を締めていらっしゃいました。
生地次第ではカジュアルからセミフォーマルにもなります。

終了後は可喜庵で開かれている「軸のススメ展」の〈さろん〉にもみなさん参加され、
工芸評論家・かたち21代表の笹山央氏のレクチャーにも耳を傾けられていました。
笹山氏が提起する「床の間奪回」(住まいに床の間スペースを見出す)ことの大切さは、
私も同感です。そこに何を置くか、
こころの置き場所として、ものと向き合うことは自分と向き合うことです。
きものも何を着るかは、自分を着ることにつながることなのだと思います。

自分の中に「軸」となるものを一つでも持つことは、
落ち着きどころができ、そこから奥へ向っていけるように思います。
とても大切な話を聞けたように思いました。

みなさん紬塾の最終回が、淋しいとおっしゃられていましたが、
これは卒業式ではなくこれからが織物や着物への入学式です。
また成果を見せていただきたいと思いますので機会をみて集まりましょう!

私も一年勉強になりました。ありがとうございました。


次期「紬塾’11」の塾生募集の詳細は2月中旬に中野のホームページでお知らせします。
受付開始は3月1日の予定です。


[お知らせ]
板橋区にある器ギャラリーの老舗「瑞玉ギャラリー」で、
今月26日(水)~29日(土)の間、「わん一式」という展示会があります。
私も出品しますが、長年の夢だったランチョンマット(卓布)を織ることにしました。
きものが織れるようになったらいつか挑戦したいと思っていたランチョンマットです。
紅茶染めのキビソ糸を使いました。
是非ご覧ください。サブコーナーにショール&マフラーも出品しています。

瑞玉ギャラリーは敷地内に、レストラン「仏蘭西舎すいぎょく」を併設しています。
お食事がてらお出かけください。



さて、以下はみなさんから寄せられた感想です。私も感激して読ませてもらいました。
〈さろん〉の感想も書いてくださった方のは入れました。

O.Mさん
着物1年目の時期に紬塾に参加できたことは、本当に幸せなことでした!
糸の波状形のお話を伺い、布は糸からできているんだ、糸がとても大事なんだ
という事に初めて気がついた1回目の授業からはじまり、
着物や布を使い尽くすことが大事なこと、着物や帯の取り合わせのお話、
また、実際に拝見し、触れることのできた素晴らしいお着物の数々、
考えてみれば、とても贅沢な時間でした。
今、自分のまわりには着物を着る方がもういないし、
このようなお話はほかのどこでも聞くことのできない、私にとり本当に貴重なものでした。
毎回新しい自分なりの発見がありました。

また、先生の丁寧な暮らしをする、というお話にも感銘を受けました。
私は日頃忙しさなどを理由に、今までずいぶん使い捨ての”エコでない”生活をしているなあ、
とあらためて感じてしまいました。
決して豪華さを求めるのではないけれど、質のよい美しいものを
大切に使い尽くす…というのは、気持ちよい幸せな生活だと思います。
少しづつでも取り入れてゆこうと思っています。

塾でほかの参加者の皆様と着物のお話をできたことも、
とても楽しかったですし、感謝しております。

塾でうかがったお話は、今後私自身が着物を着てゆく、
そのことの何かベースになるような事柄のような気がしています。
最終回に見せて頂いた、洗い張りをされた先生のお着物のような
柔らかい風合いになるまで大切に着てゆきたいと思います。


S.Kさん
着付けのお教室を卒業し、きものについて自分で学んでゆくうち、
大島や結城紬がよいとか、黄八丈は希少ですばらしいといった、
一般的な説に疑問を感じ始めたころ、この紬塾に出合いました。
ほんとうによいきもの、美しいきものとは何か。
すべての先入観を捨てて学びなおすために参加しました。

お蚕さんからよい糸を、草木から美しい色をいただき、
風合いのよい紬を織るため先生が尽力されていることを、
この目でひとつひとつ確かめることができたことが何よりの宝ものです。
染織工房でなくふつうの民家の工房兼お住まいで、
お仕事と日々のくらしが一体となった中から生まれる先生の紬にやすらぎを覚えます。

見て、触れて、身につけて、お手入れをしながら、きものと向き合い、語り合う。
そうしてはじめて、きものとは何かを語れるのだということを教えていただきました。
きものを知れば、くらしが変わるということも。

貴重な先生の教えと、いっしょに楽しく深く学んだみなさまにこころよりお礼を申し上げます。
有難うございました。

また、可喜庵でうかがった笹山さんのお話からも、大きな気づきがありました。
東京の街をきもので歩きますとき、これまでその都会的な街並みに合わせたきものを選んで着ていました。
紺絣などの民芸風のきものですと落ち着かない気がしていたんです。
でも、笹山さんから「環境にきものを合わせるか、それともきものから環境を考えるか。
そのことをもう一度考えなおしてほしい」とお話があったとき、
環境にきものを合わせることしかしなかった自分が恥ずかしくなりました。
今後は、きものから環境を考えるという視点を大事にします。


N.Kさん
着物の世界へ扉を開けて半年足らずの私が紬塾に出逢えたことは、本当に幸せなことでした。
一本の糸に紡ぎ出される蚕の命の道筋を見つめ、木々の命の滴を慈しむように糸に染め出し、
美しい風合いの布を織ることをなりわいとされる先生のお話は、
うかがうたびに、目からうろこが落ちる思いで、心に染み入りました。

「自分が何故先生の紬に心魅かれたのか・・。どこに魅かれたのか・・。」
紬塾で毎回先生のお話をうかがい、また染織の体験をさせていただく中で、
その答えの糸口が少しずつ見えてきたような気がします。
また、染めることも織ることも、日々の生活もすべてが一体となっているのを拝見して、
先生の織る布は、先生の生き方そのもの
まさしく ー暮らしが仕事で 仕事が暮らしー なのだと感じました。
    
ものや情報があふれる日々の暮らしの中で、自分が何を選び、
それとどう向き合っていくのか。自分にとって、何故今着物なのか・・。
それは、結局自分自身を問うていることになるのですね。
着物は、「着始めたら、着物が教えてくれます。」という先生の言葉が、心に響きました。
日々の暮らしの中で、自分の感覚を大切に五感を働かせ、
心地よさを大切に、また時に緊張感を持って、
これから自分なりの着物の世界を広げ、奥行きのあるものにしていきたいと思います。
先生、そして紬塾でご縁をいただいたみなさま、本当にありがとうございました。

〈さろん〉での笹山さんの「床の間」奪回のお話も、大変興味深く拝聴いたしました。
思えば、実家には床の間があり、そこには、季節ごとに掛け軸が掛けかえられています。
ある時は花が生けられ、またある時は父母が大切にしている置物が置かれています。
今まで当たり前の光景のようにそれを見ていましたが、
笹山さんのお話を伺いながら、言われてみると、小さな頃から、
幼心にそこは足を踏み入れてはいけない神聖な場所のように感じていたことに、
改めて気がつきました。
ことに父は、掛け軸にこだわりがありました。
今では、もうその理由を父に聞くことはできませんが、
その時々に掛けられていた掛け軸を思い浮かべると、
「床の間」は、まさに父の心の軸・心の置き場所であったように思います。
きっと「今頃やっと気がついたか・・。」と、空の彼方で笑っているような気がします。
今の住まいはマンションで、床の間スペースはありませんが、
これをきっかけに、私も我が家の「心の置き場所」について考えて行こうと思いました。
要は自分の心の持ち方ひとつなのだと、今回教えていただきました。


T.Iさん
紬塾に参加させていただいたのは、先生の紬を間近で拝見したいということ、
また、いいものを判断できる目を持てるように、
紬についてもっと知りたいと思ったからでした。
実際に、先生の紬をたくさん拝見することができ、とても楽しかったです。
電光の下と自然の光では布の色はずいぶん変わって見え、
太陽光でも時間によって変化していく様子やその風合いの良さは
実物に触れてみなければ、絶対にわからないことでした。
残念ながら、体調不良でお休みしてしまった回もあり、ご迷惑をおかけしましたm(_ _)m
しかし、参加できた回数が少なかったなかでも、自分ではこういうものだと思っていた
自分の着物の着付けがとても硬直したものだったとわかったり、
布の風合いの良さの理由を知ることができたり、勉強になることばかりでした。

また、気に入って買った自分の紬でも、あまり着る気にならないものは、
機械織りで布に力のないものだったからとわかったのも大きな収穫でした。
実は自分でも着心地の良さで着物を選別しており、それはあながち
的はずれのものでもないのではないかと思いました。
今後は、先生に教えていただいたことをいかしながら
自分なりの着物の着方や取り合わせができるように着物について考え、
自分が着心地のよいように着ていきたいと思っております。

いろいろなことを教えてくださいまして、ありがとうございました。


K.Mさん
最後の講座を風邪で欠席する羽目になり、皆様との楽しい時間を過ごす事が出来ませんでした。
終わってみれば一年の早い事。
何が残ったかといえば、物にして自分で織れた紬地、そして思いがけない先生の半巾帯。
紬地を手に取る度に、布に対する思いがこみ上げます。それは自分で染め、
紡ぎ、織りという工程を手をかけて経験できたからかと思います。貴重な体験です。
もとより古布が好きでしたが、以前にもまして布に対する愛着が増しております。
いただいた半巾帯はとても気持ちを優雅にさせてくれます。

気持ちの上で、良いものを身に着けているという自負、気分の良さ、高揚感、安心感、
なんと言うのでしょうか、自信を持って身に着けてるというような気持ちになるんです。
個人的にはブランド物には興味はないですし、
(身に着けるもので)好みははっきりしているほうなので、
正直、帯1本でこのような気持ちを持った自分に驚いています。
これもきっと帯1本が出来るまでの工程を目の当たりで知った事かと思います。
それでも私が経験したのはほんの一コマでしょう。
全工程をお一人の力で成し遂げられる先生を知った一年は、
紬塾をとおしてプロの手仕事の世界を教えていただいた私の知らない世界でした。
自分が興味を持ったことに対し、一歩を踏み出したことで知りえた貴重な一年でした。
ありがとうございます。


U.Sさん
母の着物を着たいというところから始まった着物への関心でしたが、
雑誌・本などで先生の織り物を発見し、是非実物をみなくてはと思い
会に参加させていただきました。
幸運なことに、今年度は先生の個展もあり、
今まで出会うことのなかった数多くの美しい布の世界を堪能することができました。
また織り、草木染めも体験させていただくことにより、
その布を作り出す糸の力、大切さの一端に触れることができたように思います。

着物を着る、ということに関しては、先生に教わったやり方で本当に敷居が
低くなったように感じます。紐3本だけで、着物が着られるというのは驚きでした。
でもその着方のお蔭で、着物がもっと日常に近いところにあった、
母たちの時代の着物文化に少し近付けたように思います。
また手作りの麻の伊達締めや、半襟をつける糸の扱いなどに
現代の暮し方一般に対する問いかけも感じ、
これからの暮らしを見直すきっかけになっていくように感じました。
着物好きのみなさんと出会えたことも本当に嬉しいことでした。
ありがとうございました。


K.Mさん
先生のお話うかがって良くわかりました。
繭から糸になる過程、草木染めのむずかしさ、糸を寝かすこと。
織るにも先生ならではの細かい配慮があることだと感じました。
とてもていねいに愛情深く作られているからこそ、
心惹かれる素敵な品位のある作品ができあがるのだとわかりました。
繭が8の字を描いて吐き出す糸に先生の巧みな手技が加わり、
命を吹き掛けられる瞬間。是非、次回拝見出来る事楽しみにしています。
本当によい織物は直接水で洗ったり、洗い張りする程しなやかで肌触りも柔らかく、触らせて頂くのも貴重な体験でした。
今まで着物一つ一つに想い入れ有りましたが、これからもより一層大事に大切に着ていきたいと思います。


I.Kさん
一年間ありがとうございました。
各回、着物のエッセンスを教えていただきました。
その中の一番

蚕のはきだした糸には波状形があり、
それを、そこなわず、織った布には
風合いがある。

61才の納得でした。




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