第33話「クイーン組の呼びかけ」より
珍しくアンとダイアナが口論します。…ていうかツッコミどころが多い口論ですよ…。書き出すと大変なのでやりません。だって全部書かなくちゃならなくなるからね。例えば「あなた、悪党じゃなくても結婚する気なのね。」って、これだけ書いてもなんのこっちゃでしょ?(なんでそこを抜き出すんだ)
将来の話からヒートアップしてしまった口論は、最終的に「二人の友情はおしまいだわ!」という衝撃の言葉で閉められてしまいます。泣いてその場を走り去るアン。残されたダイアナも顔を手で覆って号泣…。
アンが帰宅した時マリラは不在で、マシュウに話を聞いてもらおうと納屋へ。そこにあったおいしそうなリンゴをアンは食べてしまいます。それはマシュウの手伝いをしている青年ジェリー・ブートのもので、彼はアンに仕返しのつもりで、そのリンゴにはネズミ撃退用に毒が、「ねこいらず」が入ってたんだと嘘をつきます。恐怖で悲鳴をあげて納屋を飛び出すアン。震える手で水を飲んで、マリラの名前を叫びますが、マリラはまだ不在。一人で死にたくない、と恐怖に震えるアンはダイアナのことを思い出します。ケンカしたまま死ねないって。自分の方が悪かったって。仲直りをするために外へ行こうとするけど、途中で死んだらどうしようと……(※アンは真剣です)(いつもですが)
死にたくない、死にたくないと泣きながら叫ぶアン。でも時計の音にはっとします。
「…こんなところで泣いてるヒマないんだわ。勇気を持たなくちゃ。シャーリー家と、カスバート家の恥さらしになっちゃいけないわアン・シャーリー…!!」
ここのセリフ好き。てか結構ビックリした。「カスバート家」っていうのはまだ、わかるんだけど……「シャーリー家」って発言は今まで一度もなかったし、ここからもないんじゃないかな…?(わからんけど…あんまりこの回の記憶もないんだよねえ…)両親はすでにどちらもいないし、兄弟もいないアンだけど、いないからシャーリーの名前にどんなに泥を塗っても平気だ、とは全く思ってないんだよね…。
どうせ死ぬのなら、部屋のベッドで安らかに死ぬべきだと考え、部屋へ。自分に残された時間がどれだけあるのかわからない恐怖の中、アンは震える手でダイアナに手紙を書きます。このまま死んだらきっとダイアナは深く後悔することになるって…。なんか前もこんなんあった気がするけどね…(「ダイアナへの手紙」は25話です)。
まあマリラが帰宅して、直接ジェリーに確認。毒りんごの話は冗談だったと判明します。よかったね…。
で、その騒動(とアンの余計なおしゃべり)でだいぶ終盤に追いやられてますけど、今回のタイトルは「クイーン組の呼びかけ」です。開始から20分経ってようやくその話題です!!…タイトル…別のにした方がいいんじゃ……。いやでも「ダイアナへの手紙」だとかぶるし、「毒りんご」でもちょっと刺激が強すぎるし、これがベストだったんでしょうね…。
ステイシー先生がマリラに話をしにきた理由は、クイーン学院受験のための新しいクラスを作りたいということ、そのクラスにアンを入れる気があるかの確認だった。マリラは、アンの気持ちを確認する。クイーン学院に進んで、先生になるつもりはあるのかと。
「ああ、マリラ…!それこそ私の一生の夢だったのよ…!」
ルビーとジェーンが受験準備の話をしていて、自分も受けたいと思ってた。先生には本当になりたい。しかしずいぶんお金がかかるのではないかと心配するアン。話の途中でマシュウも部屋に入ってくる。
「…その事なら心配しなくていいと思うよ、アン。マシュウとあたしがあんたを引き取って育てることにした時、できるだけのことはしてやろう、教育もおろそかにすまいって決心したんだよ。」
マシュウもうなづく。心配しなくていいって。そしてマリラはこう続ける。
「…あたしはね、女の子とはその必要があろうとなかろうと、自分で暮らしていけるだけのものを身につけておくべきだと思うよ。マシュウとあたしがいる限り、グリーンゲイブルズはあんたの家だよ。だけど世の中のことはあてにならないから、何が起こるかわかったもんじゃないしね。備えをしておくに越したことはないんだ。だから、あんたが行きたければ、クイーンのクラスに入っていいんだよ、アン。」
…これ、すごいセリフだよねえ。今なら別になんてことないセリフかもしれないけど、「赤毛のアン」って、いつ書かれた物語だよ!?ってね…。この時代って、女性がバリバリ働いてるなんてものすごくレアだったんじゃないだろうか?(劇中でも、ステイシー先生が唯一って感じだし)マリラと、作者のモンゴメリさんの先見の明…!
あと、マリラの顔がずっと優しい感じなのがすごい…いいです。もちろん、アンは大感激。その喜びの表現がこれ。
「マリラ…!!ああ、マリラ!ありがとう!夢みたいだわ!…いいえ夢じゃないわ、夢がもう一つ実現するんだわ!ありがとうマリラ…!!」
マリラの方にかけより膝のとこに顔をうずめるようにするアンがかわいすぎる。そして笑顔で頷いて見守ってるマシュウのところへ。
「マシュウ、ありがとう。…あたしこの感激を忘れないわ。あたし精一杯頑張って、二人の誇りになるように最善を尽くすわ!…幾何はあんまり期待してほしくないけど。でも!その他のものだったら、一生懸命やれば人に引けはとらないつもりよ!」
アンは幾何のことをよく言うよね。本当に苦手意識が強いんだなあ。
「これからは、今まで以上に勉強に身を入れるわ。だって人生に目標が生まれたんだもの!…アラン牧師がおっしゃったわ。人は誰でも、人生に目標を抱いてそれに向かって忠実に進みなさいって!ただその場合、それがちゃんとした目標かどうかということを、最初に確かめる必要があるんだっておっしゃったわ!…ミス・ステイシーのような先生になりたいと思うのは、立派な目標と言えるわねマリラ?」
言える、と答えるマリラ。そうよな、ちゃんとした目標かどうか確かめる……重要やね。間違った方向にガンガン行っちゃったらあかんしな。
さっき本気で死ぬと思ったアンは、死んだ気になればなんでもできると思うと明るく言うのだった。そして真剣な顔で、きっとクイーンに受かってみせるって。
これからダイアナに謝りに行こうとするアン(もちろんクイーンのことを言いたい!ってのもめっちゃあったんだと思う)を、もう遅いから明日にしなさいと止めるマリラ。素直に従うアン。最後のセリフが素敵。
「…今日は悪い事ばかり重なったけど、最後が素晴らしかったわ。おやすみなさい、マシュウ、マリラ!」
第34話「ダイアナとクイーン組の仲間」より
この話はうっすら覚えてて、ダイアナ好きとしては結構キツイ話だった記憶があるので構えて見てたけど…うん…。とりあえず辛いだけの話じゃなかった。考えさせられるっていうか。
アンはさっそくダイアナにクイーン組に入れることになった話をします(あ、最初に昨日の仲直りがあります)。よっぽど嬉しいのか、途中でダイアナの表情が変わるのにも気づかず、マリラとマシュウへの感謝の気持ちをしゃべりまくる。アンが気づき、ダイアナもようやく打ち明けます。自分は、クイーン学院には行かない、と。アンは驚いて、何故行かないのかとダイアナを問い詰めてしまう…。
帰宅後、マリラにダイアナのことを話すアン。どうしてもちょっと怒ってるような感じになってる。マリラが口を開きます。
「…アン、あんたの欠点はね、物事を自分勝手に考えすぎることだよ。(後略)」
「でもあんまりじゃない?ダイアナの気持ちも確かめないで。」
「…あんたこそダイアナの気持ちがわかっているのかい?ダイアナは本当にあんたと同じように、先生になりたいと思っているのかね。」
「!」
「クイーン学院はそのために行くんだろう?きっとあんたがあんまり責めるもんだから、ダイアナは本当の気持ちを打ち明けられなくなってしまったんじゃないかと思うがね。…あの子はあの子で自分に一番合った生き方を探しているんだろうよ。」
アン、絶句。しばらくそのまま固まってますが、うつむいてこう言います。ダイアナと一緒に入試の準備ができたら素敵だと思ってた、今の今まで、ダイアナの方もそう思ってくれてると信じてた、って。
「…でもね、誰も、自分の生き方を他人に強制することはできないんだよ、アン…。」
その晩、眠らずにダイアナの家の方を見て、じっと何か考えてるアン。そしてそのオーチャード・スロープでは、ダイアナもまたじっと、何かを考えていた。
翌朝、アンはダイアナの家へ迎えに行く。そして、今はすっかり色彩を失ってる庭で、二人は話をする。
…一昨日のケンカの原因である、将来と結婚の話。そして昨日のクイーン学院の話。アンは、心の友ならなんでも一緒じゃないといけないと思ってた、って。自分の考えを押しつけるばかりだったって…。
「…そうじゃなくて、別々の道を歩かなくてはならなくなった時こそ、お互いを支え合うのが本当の心の友なのに。」
「アン…。」
「昨日、マリラに言われてやっとわかったの。一緒に学校に行かなくても、ちゃんと友達でいられるんだって。悪党を改心させるんじゃなくても、結婚して、素敵な奥さんになっていいわよ。」
アンの言葉に、顔を覆って泣くダイアナ。てかこんなに感動のシーンなのに悪党を改心ってとこで涙がひっこむんだけど。
アンも目に涙をいっぱいためながら続けます。
「ダイアナ!あなたを苦しめた私を許してね…!そして、あなたと初めて友情の誓いを立てたこの思い出の場所で、もう一度誓いを立て直したいの!」
ああ、だからここだったんだ…。懐かしい。9話「おごそかな誓い」でしたように、庭の、道みたいなところになってる場所を川に見立てて、二人は手をつなぎ合ってまっすぐ向かい合います。
「…たとえ二人がはなればなれになろうとも、太陽と月のあらん限り、我が心の友、ダイアナ・バリーに忠実なることを、厳かに誓います。」
「…たとえ二人がはなればなれになろうとも、太陽と月のあらん限り、我が心の友、アン・シャーリーに忠実なることを、厳かに誓います。」
9話との違いは最初の一文。そして誓った後、お互い何も言わずにじっと見つめ合うこと…。ナレーションさんがこの後補足するけど、ダイアナとずっと、あのミニー・メイの事件以来常に一緒にいたアンにとって、「二人が別々の人生を歩むのだということは大変な衝撃であった」……。
もうこの回、ここまでもさあ、かなり泣かされるのにさあ、いよいよクイーン組の課外授業が始まる日、先に帰るダイアナがアンに手紙を渡すのね。これがまた泣ける…。で、昔のうちにとっての衝撃のシーンは多分ここらへんでした。こっち(視聴者)だってアンとダイアナはずっと一緒にいるもんだと思ってたのに、ここで道が分かたれる。しかもその理由が、アンとダイアナの将来の目指す方向が全く違うものだから、って…。…まあこれ、もう今となってはそんなに驚くことじゃないね(私自身が友人達とかなり違う道を選んでるわけだし)。でも「目指す」にしろ「目指さない」にしろ、この子達はまだまだ小さいのに、ここで人生の決断をしなきゃいけなかったんだねえ。でも環境によっては決断すらできないことも普通な時代だっただろうから(例えば、グリーンゲイブルズに引き取られなかったアン、とか…)、恵まれてる方なのかな。もっと恵まれてるのは現代のうちらやなー…。
わたし、ダイアナめっちゃ好きなんですよ…。一番はアンだけど、アンが好きな理由の一つに「あのダイアナの心の友だから」ってのも確実にあるくらい、ダイアナも大好き。だからこの回はつらい。ダイアナからの、実質の決別宣言だもの…。でも、ギリギリまで言い出せなかったとはいえ、最終的に流されることはなく、はっきりと「行かない」って決めたダイアナも偉いよね…。うちはアンの続編のシリーズは一つも読んだことがないので全く知らないのですが、ダイアナはどんな道を選び、どんな大人になっていくんだろうね…。
心の整理はついたと思ったけど、やはり気持ちが沈んでるアンから、またリンドさんの名言が飛び出します。
「…リンドのおばさんが言ってたわ。『この不完全な世の中に完全なものはありえない』って。…その言葉通り、みんな別々の道を歩きはじめるのね…。でもあたし、ダイアナと別々に生きるってやっぱり寂しいわ…。」
ため息をついて、暖炉の火を見つめるアン。…寂しそうだけど、ここまで言える心の友がそばにいるってのは、本当にうらやましい。アンも、ダイアナもね。
驚くべきことにここまでがAパートです。Bパートはクイーン組の話。まあタイトル通りと言えばそうかもしれない。前回のバランスの悪さ(?)に比べたら…。猛吹雪の中、学校に取り残されたクイーン組女子を救うため奮闘するギルバート率いる男子たちのエピソードはなかなかかっこいいけど、特にセリフは印象的じゃないのでした(←ひどい)(ダイアナとの扱いの差…)。ルビーがパニックおこしまくりで大変です(特に先生が)。
あ、その前にあったな。クイーンの仲間が夢を語るとこ。先生になりたいって子がいたり、牧師さんになりたいって子がいたりする中、あのジョーシー・パイは、ただ教養を身に着けるためにクイーンに行くんだと言う。別に自分は働いて稼ぐ必要はないんだって。そしてアンに向かって、人の施しを受けて暮らしてる孤児とはわけが違う、とかものすごいことを言い放つ…!!てめえ……!!
アンもむっとしたようだけど、多分その場で言い返したりはしなかったみたい。ただ怒った感じでマリラとマシュウに話してるだけで。それを聞いたマリラはほっとけって。「孤児であろうとなかろうと、働くことは必要なことさ。」
そしてマシュウはこう言う。「そうだよ、アン。それにその…アンはもう孤児なんかではないよ。」
これを聴いた時のアンの、穏やかな喜びの表情が最高にかわいい。嬉しいよねえ…嬉しいよねえアン…!!
珍しくアンとダイアナが口論します。…ていうかツッコミどころが多い口論ですよ…。書き出すと大変なのでやりません。だって全部書かなくちゃならなくなるからね。例えば「あなた、悪党じゃなくても結婚する気なのね。」って、これだけ書いてもなんのこっちゃでしょ?(なんでそこを抜き出すんだ)
将来の話からヒートアップしてしまった口論は、最終的に「二人の友情はおしまいだわ!」という衝撃の言葉で閉められてしまいます。泣いてその場を走り去るアン。残されたダイアナも顔を手で覆って号泣…。
アンが帰宅した時マリラは不在で、マシュウに話を聞いてもらおうと納屋へ。そこにあったおいしそうなリンゴをアンは食べてしまいます。それはマシュウの手伝いをしている青年ジェリー・ブートのもので、彼はアンに仕返しのつもりで、そのリンゴにはネズミ撃退用に毒が、「ねこいらず」が入ってたんだと嘘をつきます。恐怖で悲鳴をあげて納屋を飛び出すアン。震える手で水を飲んで、マリラの名前を叫びますが、マリラはまだ不在。一人で死にたくない、と恐怖に震えるアンはダイアナのことを思い出します。ケンカしたまま死ねないって。自分の方が悪かったって。仲直りをするために外へ行こうとするけど、途中で死んだらどうしようと……(※アンは真剣です)(いつもですが)
死にたくない、死にたくないと泣きながら叫ぶアン。でも時計の音にはっとします。
「…こんなところで泣いてるヒマないんだわ。勇気を持たなくちゃ。シャーリー家と、カスバート家の恥さらしになっちゃいけないわアン・シャーリー…!!」
ここのセリフ好き。てか結構ビックリした。「カスバート家」っていうのはまだ、わかるんだけど……「シャーリー家」って発言は今まで一度もなかったし、ここからもないんじゃないかな…?(わからんけど…あんまりこの回の記憶もないんだよねえ…)両親はすでにどちらもいないし、兄弟もいないアンだけど、いないからシャーリーの名前にどんなに泥を塗っても平気だ、とは全く思ってないんだよね…。
どうせ死ぬのなら、部屋のベッドで安らかに死ぬべきだと考え、部屋へ。自分に残された時間がどれだけあるのかわからない恐怖の中、アンは震える手でダイアナに手紙を書きます。このまま死んだらきっとダイアナは深く後悔することになるって…。なんか前もこんなんあった気がするけどね…(「ダイアナへの手紙」は25話です)。
まあマリラが帰宅して、直接ジェリーに確認。毒りんごの話は冗談だったと判明します。よかったね…。
で、その騒動(とアンの余計なおしゃべり)でだいぶ終盤に追いやられてますけど、今回のタイトルは「クイーン組の呼びかけ」です。開始から20分経ってようやくその話題です!!…タイトル…別のにした方がいいんじゃ……。いやでも「ダイアナへの手紙」だとかぶるし、「毒りんご」でもちょっと刺激が強すぎるし、これがベストだったんでしょうね…。
ステイシー先生がマリラに話をしにきた理由は、クイーン学院受験のための新しいクラスを作りたいということ、そのクラスにアンを入れる気があるかの確認だった。マリラは、アンの気持ちを確認する。クイーン学院に進んで、先生になるつもりはあるのかと。
「ああ、マリラ…!それこそ私の一生の夢だったのよ…!」
ルビーとジェーンが受験準備の話をしていて、自分も受けたいと思ってた。先生には本当になりたい。しかしずいぶんお金がかかるのではないかと心配するアン。話の途中でマシュウも部屋に入ってくる。
「…その事なら心配しなくていいと思うよ、アン。マシュウとあたしがあんたを引き取って育てることにした時、できるだけのことはしてやろう、教育もおろそかにすまいって決心したんだよ。」
マシュウもうなづく。心配しなくていいって。そしてマリラはこう続ける。
「…あたしはね、女の子とはその必要があろうとなかろうと、自分で暮らしていけるだけのものを身につけておくべきだと思うよ。マシュウとあたしがいる限り、グリーンゲイブルズはあんたの家だよ。だけど世の中のことはあてにならないから、何が起こるかわかったもんじゃないしね。備えをしておくに越したことはないんだ。だから、あんたが行きたければ、クイーンのクラスに入っていいんだよ、アン。」
…これ、すごいセリフだよねえ。今なら別になんてことないセリフかもしれないけど、「赤毛のアン」って、いつ書かれた物語だよ!?ってね…。この時代って、女性がバリバリ働いてるなんてものすごくレアだったんじゃないだろうか?(劇中でも、ステイシー先生が唯一って感じだし)マリラと、作者のモンゴメリさんの先見の明…!
あと、マリラの顔がずっと優しい感じなのがすごい…いいです。もちろん、アンは大感激。その喜びの表現がこれ。
「マリラ…!!ああ、マリラ!ありがとう!夢みたいだわ!…いいえ夢じゃないわ、夢がもう一つ実現するんだわ!ありがとうマリラ…!!」
マリラの方にかけより膝のとこに顔をうずめるようにするアンがかわいすぎる。そして笑顔で頷いて見守ってるマシュウのところへ。
「マシュウ、ありがとう。…あたしこの感激を忘れないわ。あたし精一杯頑張って、二人の誇りになるように最善を尽くすわ!…幾何はあんまり期待してほしくないけど。でも!その他のものだったら、一生懸命やれば人に引けはとらないつもりよ!」
アンは幾何のことをよく言うよね。本当に苦手意識が強いんだなあ。
「これからは、今まで以上に勉強に身を入れるわ。だって人生に目標が生まれたんだもの!…アラン牧師がおっしゃったわ。人は誰でも、人生に目標を抱いてそれに向かって忠実に進みなさいって!ただその場合、それがちゃんとした目標かどうかということを、最初に確かめる必要があるんだっておっしゃったわ!…ミス・ステイシーのような先生になりたいと思うのは、立派な目標と言えるわねマリラ?」
言える、と答えるマリラ。そうよな、ちゃんとした目標かどうか確かめる……重要やね。間違った方向にガンガン行っちゃったらあかんしな。
さっき本気で死ぬと思ったアンは、死んだ気になればなんでもできると思うと明るく言うのだった。そして真剣な顔で、きっとクイーンに受かってみせるって。
これからダイアナに謝りに行こうとするアン(もちろんクイーンのことを言いたい!ってのもめっちゃあったんだと思う)を、もう遅いから明日にしなさいと止めるマリラ。素直に従うアン。最後のセリフが素敵。
「…今日は悪い事ばかり重なったけど、最後が素晴らしかったわ。おやすみなさい、マシュウ、マリラ!」
第34話「ダイアナとクイーン組の仲間」より
この話はうっすら覚えてて、ダイアナ好きとしては結構キツイ話だった記憶があるので構えて見てたけど…うん…。とりあえず辛いだけの話じゃなかった。考えさせられるっていうか。
アンはさっそくダイアナにクイーン組に入れることになった話をします(あ、最初に昨日の仲直りがあります)。よっぽど嬉しいのか、途中でダイアナの表情が変わるのにも気づかず、マリラとマシュウへの感謝の気持ちをしゃべりまくる。アンが気づき、ダイアナもようやく打ち明けます。自分は、クイーン学院には行かない、と。アンは驚いて、何故行かないのかとダイアナを問い詰めてしまう…。
帰宅後、マリラにダイアナのことを話すアン。どうしてもちょっと怒ってるような感じになってる。マリラが口を開きます。
「…アン、あんたの欠点はね、物事を自分勝手に考えすぎることだよ。(後略)」
「でもあんまりじゃない?ダイアナの気持ちも確かめないで。」
「…あんたこそダイアナの気持ちがわかっているのかい?ダイアナは本当にあんたと同じように、先生になりたいと思っているのかね。」
「!」
「クイーン学院はそのために行くんだろう?きっとあんたがあんまり責めるもんだから、ダイアナは本当の気持ちを打ち明けられなくなってしまったんじゃないかと思うがね。…あの子はあの子で自分に一番合った生き方を探しているんだろうよ。」
アン、絶句。しばらくそのまま固まってますが、うつむいてこう言います。ダイアナと一緒に入試の準備ができたら素敵だと思ってた、今の今まで、ダイアナの方もそう思ってくれてると信じてた、って。
「…でもね、誰も、自分の生き方を他人に強制することはできないんだよ、アン…。」
その晩、眠らずにダイアナの家の方を見て、じっと何か考えてるアン。そしてそのオーチャード・スロープでは、ダイアナもまたじっと、何かを考えていた。
翌朝、アンはダイアナの家へ迎えに行く。そして、今はすっかり色彩を失ってる庭で、二人は話をする。
…一昨日のケンカの原因である、将来と結婚の話。そして昨日のクイーン学院の話。アンは、心の友ならなんでも一緒じゃないといけないと思ってた、って。自分の考えを押しつけるばかりだったって…。
「…そうじゃなくて、別々の道を歩かなくてはならなくなった時こそ、お互いを支え合うのが本当の心の友なのに。」
「アン…。」
「昨日、マリラに言われてやっとわかったの。一緒に学校に行かなくても、ちゃんと友達でいられるんだって。悪党を改心させるんじゃなくても、結婚して、素敵な奥さんになっていいわよ。」
アンの言葉に、顔を覆って泣くダイアナ。てかこんなに感動のシーンなのに悪党を改心ってとこで涙がひっこむんだけど。
アンも目に涙をいっぱいためながら続けます。
「ダイアナ!あなたを苦しめた私を許してね…!そして、あなたと初めて友情の誓いを立てたこの思い出の場所で、もう一度誓いを立て直したいの!」
ああ、だからここだったんだ…。懐かしい。9話「おごそかな誓い」でしたように、庭の、道みたいなところになってる場所を川に見立てて、二人は手をつなぎ合ってまっすぐ向かい合います。
「…たとえ二人がはなればなれになろうとも、太陽と月のあらん限り、我が心の友、ダイアナ・バリーに忠実なることを、厳かに誓います。」
「…たとえ二人がはなればなれになろうとも、太陽と月のあらん限り、我が心の友、アン・シャーリーに忠実なることを、厳かに誓います。」
9話との違いは最初の一文。そして誓った後、お互い何も言わずにじっと見つめ合うこと…。ナレーションさんがこの後補足するけど、ダイアナとずっと、あのミニー・メイの事件以来常に一緒にいたアンにとって、「二人が別々の人生を歩むのだということは大変な衝撃であった」……。
もうこの回、ここまでもさあ、かなり泣かされるのにさあ、いよいよクイーン組の課外授業が始まる日、先に帰るダイアナがアンに手紙を渡すのね。これがまた泣ける…。で、昔のうちにとっての衝撃のシーンは多分ここらへんでした。こっち(視聴者)だってアンとダイアナはずっと一緒にいるもんだと思ってたのに、ここで道が分かたれる。しかもその理由が、アンとダイアナの将来の目指す方向が全く違うものだから、って…。…まあこれ、もう今となってはそんなに驚くことじゃないね(私自身が友人達とかなり違う道を選んでるわけだし)。でも「目指す」にしろ「目指さない」にしろ、この子達はまだまだ小さいのに、ここで人生の決断をしなきゃいけなかったんだねえ。でも環境によっては決断すらできないことも普通な時代だっただろうから(例えば、グリーンゲイブルズに引き取られなかったアン、とか…)、恵まれてる方なのかな。もっと恵まれてるのは現代のうちらやなー…。
わたし、ダイアナめっちゃ好きなんですよ…。一番はアンだけど、アンが好きな理由の一つに「あのダイアナの心の友だから」ってのも確実にあるくらい、ダイアナも大好き。だからこの回はつらい。ダイアナからの、実質の決別宣言だもの…。でも、ギリギリまで言い出せなかったとはいえ、最終的に流されることはなく、はっきりと「行かない」って決めたダイアナも偉いよね…。うちはアンの続編のシリーズは一つも読んだことがないので全く知らないのですが、ダイアナはどんな道を選び、どんな大人になっていくんだろうね…。
心の整理はついたと思ったけど、やはり気持ちが沈んでるアンから、またリンドさんの名言が飛び出します。
「…リンドのおばさんが言ってたわ。『この不完全な世の中に完全なものはありえない』って。…その言葉通り、みんな別々の道を歩きはじめるのね…。でもあたし、ダイアナと別々に生きるってやっぱり寂しいわ…。」
ため息をついて、暖炉の火を見つめるアン。…寂しそうだけど、ここまで言える心の友がそばにいるってのは、本当にうらやましい。アンも、ダイアナもね。
驚くべきことにここまでがAパートです。Bパートはクイーン組の話。まあタイトル通りと言えばそうかもしれない。前回のバランスの悪さ(?)に比べたら…。猛吹雪の中、学校に取り残されたクイーン組女子を救うため奮闘するギルバート率いる男子たちのエピソードはなかなかかっこいいけど、特にセリフは印象的じゃないのでした(←ひどい)(ダイアナとの扱いの差…)。ルビーがパニックおこしまくりで大変です(特に先生が)。
あ、その前にあったな。クイーンの仲間が夢を語るとこ。先生になりたいって子がいたり、牧師さんになりたいって子がいたりする中、あのジョーシー・パイは、ただ教養を身に着けるためにクイーンに行くんだと言う。別に自分は働いて稼ぐ必要はないんだって。そしてアンに向かって、人の施しを受けて暮らしてる孤児とはわけが違う、とかものすごいことを言い放つ…!!てめえ……!!
アンもむっとしたようだけど、多分その場で言い返したりはしなかったみたい。ただ怒った感じでマリラとマシュウに話してるだけで。それを聞いたマリラはほっとけって。「孤児であろうとなかろうと、働くことは必要なことさ。」
そしてマシュウはこう言う。「そうだよ、アン。それにその…アンはもう孤児なんかではないよ。」
これを聴いた時のアンの、穏やかな喜びの表情が最高にかわいい。嬉しいよねえ…嬉しいよねえアン…!!
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