一方で、長年寝たきりのまま最期を迎える人とで、
晩年の健康状態に大きく差が開いている。
そこで、いくつになっても、ボケずに自分の足で歩ける“健康長寿”を目指して、
50代からやっておきたい体操を紹介します。
☆脳も体も使い続けることが大切
介護生活に陥る要因としては、
認知症、転倒による骨折、脳卒中、関節疾患などが挙げられるが、
女性の場合は特に、認知症と骨折が多く、
厚生労働省の「国民生活基礎調査」(2016年)によれば、この2つが介護要因の上位を占める。
「平均寿命と健康寿命の差をいかに縮めるかが、これからの課題になります。
この差のない人生を生きてこそ、充実の一生といえるのではないでしょうか。
そのためには、運動や脳トレ、睡眠、食事など、さまざまな方面からのアプローチが必要です」
とは、認知症予防に詳しい精神科医の古賀良彦さんだ。
脳を含めて人間の体は、常に使い続けることが大切なのだ。
漫然と暮らしていては、平均寿命と健康寿命の差は、縮まらない。
自分に合ったメソッドを見つけて実践し、“健康の蓄え”もしっかりしておきたい。
100歳まで元気に生きるために、今から始めたい、高齢者向けの筋トレ体操を紹介しよう。
☆筋肉に力を入れたまま伸ばす体操
寝たきりの主な原因は、転倒による骨折。
それを防ぐには、ある程度筋力をつける必要がある。
とはいえ、マラソンなどの激しい運動は、逆に体を壊してしまう。
そのため、高齢者の体に合った筋トレが必要になる。
その1つがエキセントリック体操だ。
「運動スポーツ科学の分野で『エキセントリック』とは、
収縮している筋肉が伸ばされる筋活動を表します。
筋肉に力が入って収縮した状態のまま、伸ばすのが特徴です」
とは、エキセントリック体操の指導者で、工学院大学准教授の桂良寛さんだ。
もともとは、運動生理学やスポーツ科学の分野で培われたエビデンスに基づくアスリート向けの体操だが、
体力に自信のない人や、運動が苦手な人でもできるように、アレンジしたのだという。
では、力を入れた状態で筋肉を伸ばすとはどういうことなのか。
「たとえば、いすに座ろうと上体をかがめると、太ももに力が入ります。
その状態でおしりを突き出すと、太ももの前面の筋肉が伸ばされます。
これが、力が入った状態で筋肉を伸ばすということです」(桂さん)
ポイントは、“ゆっくり”。
これを意識すれば、激しい運動をしなくても、筋肉に適度な負荷がかけられる。
継続すると、階段の上り下りが楽になるなど、歩行能力やバランス能力が向上。
筋力の調整に頭を使うため脳トレにもなる。
☆8つの注意点☆
【1】力を入れている筋肉を伸ばす。
【2】1回の体操に5秒ほどかける。
【3】同じスピードでなめらかに続ける。
【4】無理せず、最初は5回を目安に。
【5】1回終わったら、3~5秒休む。
【6】息を止めないように数を数えながら行う。
【7】痛みが出たら休む。
【8】1セット10回を限度とする。
☆いす座り(5~10回×1~3セット)
太ももの前とおしりの筋肉を鍛える体操。
「足幅を肩幅より狭めると太ももの内側、より広くすると太ももの外側を鍛えられます」(桂さん・以下同)。

【1】両手を胸の前でクロスさせて、足幅は肩幅より少し広めにとって立つ。
この状態から上体をやや前に倒して座る体勢に。

【2】太ももとおしりの力は抜かずに、おしりを突き出しながら、5秒かけてゆっくりと座る。
いすの座面におしりがついたら、力を抜き、3秒ほどリラックスする。
ひざやいすの座面に手を置いてゆっくり立ち上がり、【1】~【2】を繰り返す。
☆お腹伸ばし(5~10回×1~3セット)
腹筋を鍛える体操。
きつめのデニムをはくときのように、お腹を引っ込める感じで、力を入れながら行う。
「上体をゆっくり後ろへと倒していく際、足の裏が地面から浮かないように注意」。

【1】上体を倒すことを考えて、いすには浅めに腰掛ける。
手を胸の前で組み、目線はまっすぐ前に。あごは引く。

【2】5秒かけて、体をゆっくりと後ろに倒していく。
いすの背もたれに背中がついたら、3秒ほど休んでから元の姿勢に戻る。
【1】~【2】を繰り返す。
☆かかと下げ(5~10回×1~3セット)
ふくらはぎの筋肉を鍛える体操。
「大切なのは、かかとを上げるときよりも、下げるとき。
かかとが地面につくまで力を抜かずに行いましょう」。

【1】いすの背もたれにつかまり、足は腰幅に開いて立つ。
両方のかかとを上げた後、片方のつま先を地面から離して片足立ちになる。

【2】5秒かけて、ゆっくり上げた足を下ろして、かかとを床につける。
もう片方のかかとも下げて、3秒ほどリラックスする。
次は逆の足で【1】~【2】を繰り返す。
☆胸伸ばし(5~10回×1~3セット)
胸と二の腕を鍛える体操。
下図を参考に壁に手をつく位置を調整し、胸と二の腕の筋肉に意識を向けて行う。

【1】壁から1歩離れた場所に立ち、足は腰幅に開く。
壁に両手をついて、両ひじを軽く曲げる。
このとき、両手は肩幅より少し広めにとる。

【2】両手と胸の筋肉の力は、抜かないように注意して、
ゆっくり5秒ほどかけて、鼻が壁につくぐらいまで両ひじを曲げていく。

【3】曲げきったら、壁に向かって1歩進んで、壁から手を離す。
3秒ほど休んだら、再び壁から1歩離れて、【1】~【3】を繰り返す。
☆いつでも・どこでも筋力アップ
筋トレは、日常生活に取り入れると、続けやすい。
なるべく階段を使用したり、バス停での待ち時間にトライしてみて。
●ゆっくり階段下り

1秒に1段のペースで下りる。
ひざを曲げるときには太ももに力を入れる。
●買い物袋をダンベルに

腕の筋肉を鍛える体操。
買い物袋を両手で持ち、ひじを曲げて胸元に。

腕に力を入れたまま、買い物袋を片手に持ち替え、5秒かけてひじを伸ばす。

伸ばしきったら力を抜き、3秒ほど休む。反対の手も同様にトライ。
☆教えてくれた人
杏林大学名誉教授・古賀良彦さん
/医学博士。精神科医。専門は睡眠障害と関連の深い統合失調症、うつ病の治療。
脳トレに関する著書は数多く、日本ブレインヘルス協会理事長も務める。
工学院大学准教授・桂良寛さん
/専門は運動生理学。
健康寿命の延伸をテーマに、中高年にエキセントリック体操の指導を行いつつ、その効果についての研究を続けている。
取材・文/上村久留美、鳥居優美 イラスト/尾代ゆう子 ・・ 》
注)記事の原文に、あえて改行を多くした。
今回、専門知識のある御方より、
いつまでも自分の足で歩ける、50代から始める簡単筋トレ、
遅ればせながら私は学び、多岐に及び、多々教示されたりした。
この後、何かと不器用な私は、こっそりと今回学んだことをしたりした・・。
たとえば、ふくらはぎの筋肉を鍛える『かかと下げ』、
イラストを見たりした後、実施したが、何とかできそうなので、微笑んだりした・・。
或いは、『ゆっくり階段下り』・・
最寄り駅の階段は、エスカレータと並列に設置されているので、
軟弱な私は誘惑に負けて、ついエスカレータで降りてしまうのが実態となっている。
その上、人出も多いし、《・・ゆっくりと・・1秒に1段のペースで下りる・・》、
周囲の御方たちに、御迷惑をかけてしまう・・。
この後、私が平素に散策する小公園の50段ぐらいの階段・・、
平日の午前中は、人出も少ないので、最適かしら、と微笑んだりしている。
いずれにしても、今回学んだ簡単筋トレ・・ときおり真似事をして実践すれば、