
枚方氷室周辺のコスモス
枚方市香里ヶ丘中央公園に建設予定の美術館。市民の反対行動により着工予定の8月29日から今日まで工事を止めている。友人が、美術館問題をより多くの方に知らせたいと、毎朝、中央公園に行き、夕方まで公園で監視する取り組みの忙しい中、経過等を文章にまとめた。その文書を、何回かに分けてこのプログに掲載したい。お読みの方は、是非、議員に問いかけてほしい。「あなたは今回の美術館問題でどのような立場をとられましたか」と・・。そして、身近な方に、友人の思いを伝えてほしい・・・・・・・・・
《タイトル》
市民を軽視し、独断専行で市政を運営する市長に抗議します!!
市長は市民の声をよく聞き、「市民参加の地方自治」という民主主義の大原則を厳守してください。
「美術館の負担つき寄付」を白紙に戻し、再検討することを求めます。香里ヶ丘中央公園の貴重な森を壊して美術館を建設することに反対します。
《責任者名》香里ヶ丘を愛する市民有志 代表 古谷 學
《プロローグ》
私たち大阪府枚方市の市民は、「7億円の『美術館の負担つき寄付』を市長の独断専行で受け入れ、市長本人も担当課も、そして、その案件に賛成した議員たちも、市民からの数々の疑問に答えようとしないこと」に抗議しています。
事前に市民に十分な周知説明をすることもなく、多大な年間経費の支出(税金)を要する美術館建設を強行に進めるのは、地方自治、市民自治という民主主義の根幹をゆるがす暴挙です。
この計画を一旦白紙に戻し、市民とともに再検討するよう強く求めています。
現在、反対の署名は12,000筆を超えました。全国の皆さま、さらなる応援をよろしくお願いいたします。
《概要》
1.「はじめに受け入れありき」ではじまった美術館の寄付
「美術館の負担つき寄付」を市民が公式に知ったのは、今年3月26日、市議会本会議で寄付の収受が可決された後のことでした。
寄付の申し出は昨年(2013年)7月3日のこと。寄付の受入、建設予定地、設計図もこの時点ですでに決まっていたことが判明しました。
2.本会議前に「寄付の収受」を知らされていた4人の市民
「『負担つき寄付』の収受については、本会議に諮り、可決される必要がある。したがって、本会議可決前に市民に知らせること(報告)はできなかった」というのが、市側の理屈であり主張です。
しかし、この理屈は破綻しています。何故なら、4人の校区コミュニティ会長(4人の市民)にだけは、既に知らせていたのですから。又、これらの会長から市民に情報が伝えられませんでした。彼らは市から口止めされていたという話もあります。
私たち市民は単に報告を受けるだけの対象ではありません。私たちは市民自治の主役なのです。民主主義の原則に従い、議会と平行してこの「寄付の申し出」を市民全体にも周知説明し、市民の判断を仰ぐことは可能でした。「寄付の申し出」から本会議まで8ヶ月以上の時間がありました。又、担当部長は、議員からの質問に対し「本会議前に市民に知らせても、不都合はなかった」と答えています。
3.誰がどのように寄付するのか
この美術館建設問題は、枚方市東香里在住で、ゴルフ練習場・住宅展示場・造園業などを営む一人の資産家が、美術館(7億円)を建て、趣味で集めた絵画など所蔵美術品約80点とともに「負担つき寄付」するというものです。
その「負担」とは、枚方市がこの美術館を30年間にわたり維持しなければならず、維持不可能になった場合は建物の建設に要した経費(減価償却された価格)を寄付者に返さねばならないというもの。
この内容は、寄付者と市長の間の「覚書」に明記されており、本会議可決の2日前(2014年3月24日)に、すでに両者間で取り交わされていたことが情報開示請求により明らかになりました。
4.市民の疑問に答えようとしない市長と担当課(地域振興部文化振興課)
市民の要望で、地元の小学校区における説明会が2回、全市民対象の説明会が1回開かれました。しかし、その内容は美術館整備の目的や意義を市の立場から一方的に説明するばかりで、市民の質問に真正面から答えるものではありませんでした。しかも、市長はたった一度説明会に出席しただけです。説明会は毎回時間切れを理由に、打ち切られました。
5.まかり通る情報操作
上記「覚書」の内容(30年間美術館を維持できなければ、その時点の建物価格を寄付者に返すこと)は、枚方市の広報にも、最近作られた「美術館準備ニュース」にも掲載されたことはありません。前面に出すのは美術館のバラ色(?)の計画ばかり。最近、市役所や生涯学習市民センターに美術館の模型や派手なイメージ図が飾られるようになりました。
6.美術館の内容
寄付を受ける美術品の作家は、日本画の鏑木清方、上村松篁、堅山南風、小松均、吉田善彦、福王寺法林、大島秀信、上村淳之、大矢紀、久保嶺爾、洋画の中川一政、鳥海青児、中根寛、角卓が各一点ずつ、高橋重夫37点。彫刻の平櫛田中、木内克、アーキペンコが各1点ずつ。陶芸の楠部弥弌 2点、近藤悠三、藤原啓、清水卯一、中里重利、藤原雄が各一点。金工の高村豊周が2点。書の酒井雄哉が一点。市の担当課は、作品の価値についてはいまだ明らかにしようとしていません。
担当課は、市の所蔵品560点とともに、他の美術館から借りる展示物で、企画展を開催すると意気込んでいます。所蔵品の内容や、建物の中途半端な規模(建築面積1,178㎡、延床面積1,499.25㎡、展示室600㎡)から判断して、30年間維持できるかと危ぶむ声が大きいのです。美術館という箱物の維持が重荷になっている自治体があるという今日、ますますその心配は大きくなっています。
7.総合文化施設建設計画のこと
実は枚方市には、この美術館の話が持ち上がる20年くらい前から、枚方市駅の近くに総合文化施設を建設する計画があり、その中に美術館機能も統合するはずでした。ところが美術館の寄付の申し出があるや、わずか8カ月余りで寄付の収受を可決。統合されるはずの美術館機能は縮小・変更されました。
しかし、総合文化施設に統合した美術館の方が、独立した美術館を維持するよりはるかに財政負担は小さいのです。また、交通アクセスの点では、枚方市駅近くの総合文化施設に美術館がある方が、枚方市民にとっても、他市から来る方々にとってもはるかに便利です。
8.美術館の経費の内訳(収入と支出)
この美術館は来年(2015年)竣工予定で、その直後から2017年度までは市が直営し、2018年度から指定管理者制度の導入が予定されています。
直営期間の経費の内訳は、明らかになっていません。
2018年度からの収入は、入管料、企画展予算組費、展覧会、図書販売、企業等の協賛金、文化庁補助金、使用料などで、1,150円、それに一般財源として5,900万円加えて、推計額合計7,050万円です。支出は、人件費、事業費、管理費など、推計額合計7,050円となっています。
9.枚方市香里ヶ丘という緑豊かな土地
枚方市駅からバスで15分ほどのところにあり、近づくにつれ急に緑の多さが目につきます。香里ヶ丘は枚方丘陵と称され、なだらかな地形で市内でも有数の緑濃い住宅地。地質は粘土質で保水性を有し、「本来の自然」が生かされて住宅が造成されました。近年、宅地開発がどんどん進む中、中央公園の豊かな緑は本当に貴重なものです。
公園の一部には里山の植生を残すといわれる木々が繁り、隠れるように蒲の穂まで生き残っています。それにもかかわらず、約200本のうち150本近い木々が伐られようとしています。
朝のラジオ体操、太極拳、犬の散歩、尺八の練習、サッカー・テニス・野球の練習、キャッチボール、ペタンクなどを公園の緑は見守っています。
また災害時には、一時避難の場としても利用可能で、地域住民にとっては非常に大切な公園なのです。
地域住民の中央公園への愛着は、計り知れません。それを無視し、公園の利用状況も調査することなく、美術館の建設が密かに決められていたのです。
10.今回自分がとった手法を「イレギュラー」であったと認めた市長
市民への周知説明という大切な過程を軽視し、「はじめに受け入れありき」で「美術館の負担つき寄付」を急ぎ受け入れた市長。市民説明会で、自分がとったこの手法を「イレギュラー」であったと認め、「申し訳なかった」と述べました。
しかし、「イレギュラー」を「レギュラー」に戻す様子は見られません。相変わらず市民を無視し、寄付者の意向に添いながら、「工事説明会」を開きました。当日、会場は反対の声で大混乱。時間切れを理由に説明会を終了し、準備工事の着工に入ろうとしました。
読んでいただきありがとう ございます。(続きます)