ウィトラのつぶやき

コンサルタントのウィトラが日頃感じたことを書いていきます

突然の衆議院解散

2012-11-15 12:48:29 | 社会

昨日の党首討論で、野田総理が明日16日に衆議院を解散することを明言した。一部の民主党の議員を除いて世の中は歓迎するムードが多いようだが、私はこれは総理の「解散権の濫用」に当たると思っている。多くの人が「解散したらどうなるか」についてはコメントしているが、「こういう解散の仕方は良いのか」という観点でのコメントをあまり見ないのでコメントしておこうと思う。

私自身、解散自体には別に反対では無い。しかし、総理に解散権があるからと言って「明後日解散する」というような突然の解散の仕方を問題だと思うのである。国会は流れていて重要法案はたくさんある。その中でも特例公債法案と衆議員の定数是正は通すようなので最低限の仕事はしたと言えるが、それならなぜ10月1日に内閣改造をしたのか、ということになる。IMF総会を日本に招致しておいて直前に財務大臣を変えるセンスが信じられないと海外からも叩かれていたが、10月以降の野田内閣の動きは政争に明け暮れたと言えるだろう。

私が最も心配するのは「野田さんがやったのだから、『明日解散する』と突然宣言してもいいんだ」という気分が、今後の総理に出ることである。政治家や官僚は前例主義が強いのでその可能性は高いと思っている。しかし、私は、このブログでも何度か書いたように、総理に解散権があるということは、いつ解散しても良い、ということではないと思っている。解散・総選挙は国家の一大イベントである。通常は任期切れで選挙を行うべきところを特殊なやり方をして国に負担をかける訳だがら正当な理由がなければならない。口喧嘩みたいな言い方で解散につながってしまうのではなく、本来ならば解散趣意書のようなものを国民に提示して、なぜこの時期に解散が必要かを正当化すべきである。

マスコミが「解散に追い込まれた」という言い方を良くするように、日本では野党が失政をついて解散を求め、総理が抵抗しきれなくなって解散する、というのが日本のパタンだが、これは全く間違っていると思っている。今回の解散で解散の重みがますます軽くなったと思う。それは日本国にとっては良くないことだと思う。野田総理の言い分も理解できる。野党が解散解散と騒ぐ中で、マスコミも解散を既定事実のように報道する。総理に残された権限は時期くらいしかないではないか、という感じではないだろうか。野党もマスコミも一緒になって国会の重みを軽くしていると私は感じている。本来ならば国民が、国民の代表であるマスコミが解散を騒ぎ立てる野党を抑える動きをするべきだと思っている。菅総理のように本当に眼もあてられない場合には仕方がないと思っているが・・

この後、民主党のマニフェストづくりでTPPなどを打ち出せば山田元農相などは出ていくだろう。選挙では大敗することは間違いないが、それなりに筋の通った野党として再出発する可能性はむしろ高まっていくと思う。山田グループのほうはどこにも受け入れられないか、小沢グループとくっつくか、誰でも受け入れたい石原元都知事のグループとくっついて今の民主党の分裂をまた再現するか、ということになると思う。

民主党に一つ期待しているのはマニフェストでマイナンバー法案を大きく表に出してくれないかな、ということである。以前書いたように私は自民党はこの法案には腰が引けると思っている。しかし、国のためには重要な法案だと思っている。

民主党が今後どのようなマニフェストを出していくのかを見ていきたいと思う。


囲碁名人戦、山下名人防衛

2012-11-14 07:45:16 | 囲碁

囲碁の名人戦は、山下名人が挑戦者の羽根九段を4勝3敗で退けて防衛した。星の上では接戦だが、内容はやはり物足らなかった。

私はネット中継で見ていたのだが2日目の午前中辺りは、黒の羽挑戦者が厚く、「これは羽名人誕生だな」と思って外出した。ところが午後しばらくたってからまた見ると訳のわからない碁になっている。こうなると山下名人が有利で予想通り、山下名人が勝った。

この二人の碁は対照的で、乱戦になれば山下、じっくりとした碁になれば羽根が有利になる。従っていつも名人が乱戦に持ち込もうとする。多少無理をして乱戦にしようとするので、その無理を突かれてリードを許し、しかもうまく乱戦に持ち込めない、というような場合には羽根九段が勝つ。名人が負けた3局はそんな感じだった。

最終局は名人が強引に乱戦に持ち込んで、たぶん無理だったのだが戦闘力の差で勝った、というような碁だった。相手がもっと乱戦に強い人なら名人が負けていただろう。名人戦は日本の最高峰の棋戦である。乱戦に強いからと言って無理を通して勝てるようなものではない、というようなところを羽挑戦者には見せてもらいたかったと思う。


山中教授の文化勲章受章に思う

2012-11-13 08:34:13 | 社会

少し前のことであるが、ノーベル生理学賞を受賞した山中伸弥教授が文化勲章を受章した。ご本人は「大変光栄に思う」と言っておられるが私はこれに違和感を覚えている。

私は文化勲章は長年にわたる、科学技術や文化に対する貢献に対して国がねぎらいの気持ちを示すものだと理解している。山中教授はまだこれからの人である。今贈らなくても、今後研究を続けて、定年で大学を退官したときに贈れば良いではないかと思う。今贈るよりそのほうが効果は高いと思う。

調べてみるとWikipediaに「慣例として、その年にノーベル賞を受賞した者で文化勲章未受章である者には、文化勲章が授けられる」とある。この慣例がおかしいのではないか、と思う。ノーベル賞を受賞したら自動的に文化勲章も贈るというのは、自分での評価を放棄し、文化勲章をノーベル賞の下位に位置づけることではないだろうか。ノーベル賞受賞者はそのことで既に高く評価されている。何も重ね打ちをする必要はないように思う。

一般的にはノーベル賞の受賞者は大学の名誉教授などの高齢者である。このような人で、文化勲章をもらっていなかった人に対して「国が見逃していた」と考えて文化勲章を贈ることはおかしくないと思う。しかし、自らの判断を放棄して、「ノーベル賞を受賞したら自動的にその年に受賞」というのはいかがなものかと思う。自ら判断をしたくないという日本人の特質が表れたものだろうか。

逆の印象を持つ賞の与え方もある。今年の日経イノベーター大賞の特別賞をドコモの尾上常務が受賞した。内容は今急速に普及が始まっているLTEを構想し実用化に結びつけたというものである。私は尾上常務を良く知っており、彼がドコモを引っ張り、世界を引っ張ってLTEを実用化に結びつけたことを良く知っているので、尾上氏の貢献に異論はない。しかし、LTEは尾上氏一人が引っ張ってきた訳ではなく多くの人が引っ張ってきた。尾上氏は既に常務にまで上がっており会社で十分に評価されている。今更、尾上氏にイノベーター大賞を与えなくても良いのではないかと思っている。

「日本を元気にする」という賞の趣旨から言えば、同じLTE関係者にイノベーター大賞を与えるのでも、今後一層の活躍が期待できるもっと若い人に与えても良いのではないかと思う。こういった賞は、権威主義的にならずに評価をしてほしいものだと思っている。


木によって違う紅葉の速度

2012-11-12 14:56:45 | 生活

今日は暖かくなったが昨日は曇りで、夜には冷たい雨が降る一日だった。こういう冷たい日があると木々の紅葉がぐんと進む感じがする。私の自宅の近くにも大学にもイチョウ並木がある。紅葉の赤とイチョウの黄色は美しい紅葉の双璧だろう。

イチョウ並木を眺めていると木によって紅葉の速度が随分違うことに気がついた。紅葉が随分進んで葉がすっかり黄色くなりはらはらと落ちてくるような木もあれば全く紅葉の気配も見えない木もある。桜やクヌギも紅葉がかなり進んでいるがこれらの木は木による違いはそれほど感じられない。枝によって紅葉の度合いに違いはあるが全体的にはどの木も同じような速度で紅葉が進んでいる感じなのだが、イチョウは木による個性が大きく、枝による違いは小さい感じがする。

どういう木が紅葉が早いのかは良く分からないが何となく元気のよいどっしりとした感じの木は紅葉が遅く弱弱しい感じの木は紅葉が早い感じがする。根の張り具合が違っていて養分の吸収が違うのだろうか、などと考える。根の張り具合が違うと、木がどこまで大きくなるかも違うのだろうな、などとも思う。

そんなことを考えていたら人間のことを思ってしまった。30歳の人は元気な人も元気で無い人もそれほど大きな差はないが80歳では大きな違いになる。やはり根の張り具合が違うのだろうかと思う。


アメリカ大統領選挙の結果

2012-11-11 17:10:54 | 社会

アメリカの大統領選挙は予想通りオバマ大統領の勝利で終わった。選挙人の数ではかなりの大差がついたが、得票数は50対48という接戦だった。

今回の大統領選挙はお互いに相手の悪口を言い合うレベルの低い選挙であったと言われている。私はこれは共和党側が仕掛けたものだと思っている。この4年間のオバマ大統領の実績がたいしたことが無いというのは事実だが、共和党側のほうがもっと問題だと思っている。「政治の劣化」の項で書いたことの繰り返しになるのでここまでにしておこう。

ニューヨーク市場の株価はオバマ勝利が確定すると大きく下げた。これも私には理解できないことである。市場はオバマが負けると思っていたのだろうか?ロムニー候補が勝てば景気が良くなると思っていたのだろうか? そのうち戻ると思っているが「財政の崖」にどう対応するかは重要な課題だと思う。

大統領選挙と並行して行われた議会選挙では共和党がまた勝った。アメリカでもねじれ現象が継続する。アメリカの場合には中心となる下院が共和党が上なので、日本のねじれよりもかなり事態は深刻なはずである。政治は停滞しているがそれでも日本ほど政治が停滞しているとは感じされないのは日米の政治家の質の差だろうと思う。

中国の政治も、以前このブログで紹介したFTの記事のように「実は中央政府はかなり腐敗していた」というようなことが明らかになってきている。権限移行がスムースに行くのかどうか、予断を許さない。韓国の大統領選挙も近いが、与党の候補が分裂してどうなるか分かりにくい状況である。更にヨーロッパは最近は落ち着いているようだが、ヨーロッパのリスクは資金繰りがつかないリスクから、返済不能のリスクに移ってきており、ヨーロッパ中央銀行が金を貸すだけでは解決しないだろうと言われている。いずれまたギリシャ問題がぶり返すだろうと思う。

そしてわが日本では突然解散が真剣に言われるようになった。TPPに参加を決めてそれを争点にしようという民主党内の議論である。これには民主党内でも反対派が居てどうなるか分からない。また民主党から出ていく議員が出そうである。私はこの民主党の動きには賛成である。TPPに参加を前提に議論をする、それに賛成できない「TPP絶対反対」というような人たちは民主党から出ていく。総選挙をやるなら一時的には民主党員が減っても民主党の性格が明確になって選挙結果は良くなるのではないかと思う。

年末にかけて世界的に不安定な状況が続きそうである。

 


格差について

2012-11-07 08:57:26 | 社会

雑誌「The Economist」のInequality(直訳は不平等だが日本では格差ということが多いと思う)についての記事を読んで色々考えさせられた。

日本では「格差是正」というと正しいことで、内心では反対でも反論できないような雰囲気があるが、アメリカではそうではない。オバマ大統領が格差是正を謳うのに対してロムニー候補は反対している。そのロジックは格差是正はバラマキにつながり、勤労意欲を下げて経済発展の妨げになるというものである。これに対してエコノミスト誌はロムニーに反対している。格差是正は一般論的には消費を拡大される。金持ちに富が集中するとその富はうまく使われない可能性が高いという意見である。私もこの意見に賛成である。格差是正を行う方法については注意を払う必要があるが。

アメリカでもう一つ話題になっているのは「バフェット税」と呼ばれる累進課税制度である。アメリカでは大富豪に対する税金が安すぎるとして大富豪であるウォーレン・バフェット氏自身が問題提起している。一般的には収入が大きいほど税率も高くなる累進課税制度が適用されているが、この累進度合いはどうするかも大きな問題である。オバマ大統領は「バフェット税」を導入しようとしているし、ロムニー候補は反対している。エコノミスト誌はアメリカは極端なので例外だが一般的には格差是正のために累進度を高めるのには反対だ、としている。格差是正は政府の支出のほうで考えるべき問題で累進税率は格差是正の観点ではなく、国の収入を安定させるという観点で考えるべきだ、としている。つまり税収を最大化させる累進税率を考えるべきだという考えである。私はちょっと違う考えで、格差是正のための累進税率という考え方を取っても良いと思っている。ただし、プロ野球選手のように収入が不安定な人に対する累進税率には控除の面で配慮があって良いと思っている。つまり、一時期だけ大きな収入があったが、その後収入が大きく落ち込んだような人は申請すれば還付金が受けられるような配慮があって良いと思っている。

話題は世界に移って、世界の格差をみると全体で拡大の方向に向かっている。特に中国やインドなどの発展途上国での格差拡大が著しく、先進国ではアメリカの格差拡大が著しい、ということである。発展途上国で格差が拡大するのはある意味で仕方のない面もあり、格差は拡大しても貧しい人の生活も改善して行けば受け入れられるという側面もあるのだが、エコノミスト誌は「身分固定化」が格差拡大の重要な要因となっていると指摘している。インドはカースト制度があるし中国にはHukou制度がある、と指摘している。Hukou制度というのは中国の戸籍制度でエコノミスト誌では何度か中国社会の大きな課題として取り扱われているのだが日本ではあまり聞いたことが無い。そこで中国人に聞いてみるとHukouは感じでは「戸口」と書く中国の戸籍制度で、例えば田舎の人が北京で家や車を買おうとすると北京に戸籍を移さないといけないそうである。日本では本籍地に相当するのだが、中国では本籍をその都市に持っていないとできないことがたくさんあるらしい。日本では公立学校に通うためには住民票をその都市に持っていないといけないが、それに近い状況のようである。そして就職、不動産の購入などは都市の制約を受ける。しかし、各都市は田舎の人が本籍地を自分の都市に持ち込むことを厳しく制約している。Hukouはまるで中国国内が複数の国に分かれていてその中でのパスポートのような役割をしているらしい。

身分が固定化されていると格差が拡大しやすいというエコノミスト誌の指摘は理解できる。だが私は若干の違和感を持っている。それは日本の江戸時代で、江戸時代は身分は固定化されていたが格差はあまり拡大せず、明治に入って格差が拡大したような印象を持っている。日本の江戸時代が特殊だった気がするが誰かこの点を説明してくれないかな、と思っている。

最後に格差の少ない北欧の制度について述べられている。北欧は格差を縮小しつつ、経済発展を遂げたモデルである、というエコノミスト誌の指摘には私は賛成だが、その秘訣がどこにあるのか、については印象に残る説明は無かった。このブログにも何度か書いたが、私は北欧のモデルが日本が目指すべきモデルであり、勤労意欲を高めつつ手厚い福祉を実現する仕組みを知りたいと思っている。

フィンランドの教育が優れていると紹介されたことがあるが、私には公立学校の教師の仕事に対する意識が日本とフィンランドでかなり違っているように感じられている。この辺りに秘訣が隠されているのではないかと思う。


大山登山

2012-11-04 12:18:59 | 生活

昨日、丹沢の大山に登ってきた。

朝、7時前に家内に新百合ヶ丘まで送ってもらって小田急で伊勢原に行く。ホームに出ると目の前で急行が出発してしまった。次はロマンスカーで本厚木に止まるのでそれに乗ることにした。切符を買うと座席が1号車の1A、一番前の窓側である。珍しい席が取れた。

これは座席から前の運転席を撮った写真である。

伊勢原からバスで大山ケーブルまで行き、ここから登山開始。

両側に土産物屋がある参道をケーブルのりばまで歩く。ケーブルには乗らずに女坂を歩いて登る。石段と山道が交互にあるが半分以上が石段の道である。ゆっくり歩いたつもりだったが早くも大汗をかいた。

女坂の途中にある大山寺。まだ紅葉は始まっていない。自宅の近くでも木の葉が色づき始めているのにずいぶん遅い感じがする。

女坂の終点は大山神社。ケーブルもここまで来る。

ここは木によっては紅葉が始まっている。ここからがいわゆる山道になる。ゆっくりとできるだけ休憩しないようにして登っていく。途中に何丁目、という道しるべがあり28丁目が頂上である。若い元気な人にどんどん追い越されていく。20丁目を過ぎたあたりで、太腿に違和感を感じ始めた。足がつりそうな感じがする。まだ問題なく歩けるのでしばらく上ったが、24丁目あたりで断念する。

歩き続ければ頂上までは行けるだろうが下りで確実に痙攣が来ると思ってここであきらめて下り始めた。大山登山で途中で断念したのは初めてである。まだ午前中、しかも11月3日の祝日なのでどんどん上ってくる。すれ違いが面倒なので途中の分かれ道から蓑毛のほうに降りることにする。やはり足がつりそうになる。上りの時はつま先が上でふくらはぎの筋肉が伸ばされていて問題ないのだが、下りは足のつま先が下になるなるのでふくらはぎが固まり易い。用心しながら降りてきた。

蓑毛バス停に着いたのが12時少し前だった。朝方は曇っていて天気予報では晴れてくるということだったが結局、午前中は晴れなかった。戻ってきて私の好きなスーパー銭湯「湯けむりの里」に着いた頃に晴れてきた。湯けむりの里のジャグジーで体のマッサージをする。しかし、今日はやはり足が筋肉痛である。

紅葉もまだだったし天気もあまり良くなかった。頂上までもいけなかったということで再チャレンジをしようと思っている。来週は用事があるので再来週になる。今度は紅葉が終わっているかもしれないが、足のほうは今度は大丈夫だろう。過去の経験から一度山歩きをするとかなり体力がつく。一月くらいは持つはずである。


スマートシティの講演会

2012-11-02 19:33:50 | 東工大

今日はパシフィコ横浜で開催されているスマートシティウィーク行ってきた。展示会と講演会が併設されており、「企業トップが自ら発信するビジネス拡大宣言」という講演会を聞くことを主目的として来た。

パシフィコに横浜駅から歩いた。地図で見ると桜木町とそれほど変わらないのだが、実際に会議場に到着するのには20分以上かかった。途中歩いていて「みなとみらい」の発展に驚かされた。私のイメージにあったのはランドマークタワーと船の帆の形をしたインターコンチネンタルホテルと国際会議場、大観覧車があって他は工事中の平地という感じの地域である。この状態が結構長く続いたように記憶している。

それが、今回歩いてみると品川駅の東側に近いイメージで高層ビルが立ち並んでいる。いつこんなに高層ビルが増えたのだろうかと思う。品川ほど混雑していないが、いずれあれに近いイメージになるだろう。道幅も広く、片側2車線が普通、広い道は片側3車線あり、日本離れした感じがする。歩いていて感じたのは信号が多く待たされる時間が長いことである。いずれ幕張メッセのように2階で信号なしに歩ける歩道ができるのだろうが現在のところ工事はされていない。

それでもMM21は事業的に成功だと思う。羽田に近く地の利も幕張よりはかなりある。鎌倉などの観光地も近く、イメージも良い。神奈川県と横浜市がうまくやれば、副都心という位置づけになっていくように思う。後は自治体の力次第だと思う。

本論のスマートシティの講演会は面白かった。NEDOの理事長、東芝の社長、日経ビジネスの編集長、積水ハウスの社長、パナソニックの執行役員、日本IBMの社長、三井不動産の社長、富士通の副社長、日立の社長という錚々たるメンバーがそれぞれ40分ずつ自社のスマートシティに対する考え方を話す。これが無料なのだから主催者の日経も随分頑張ったと思う。

一番面白かったのが日本IBMの社長のドイツ人の人の話である。英語の講演だったが非常に聞きやすかった。IBMは日本の企業と考え方というか取り組み方がまるで違うと感じた。IBMでは将来の都市設計が重要なビジネスになると考えて世界の都市開発の動きのある2400の都市の問題点を分析して整理し、いくつかに類型化している。そして研究所に解決方法を検討させると同時に、プロジェクト提案をしていくつかをメインコントラクターで受注している。その際には自分たちで類型化したものをベースに、それぞれの都市の状況に合わせて提案書を作るというやり方をしている。

これに対して日本企業(プライムを狙っているのは日立と東芝)はとりあえず相手の要求を聞いて自分たちの持つ技術と持たないものは他の企業と組んで提案書を出す。受注したら全力で取り組む一方、そのいくつかの例を整理して類型化してパタンを作る。IBMは年をどうするかを考えるのに対して、日本企業は何が売れるかを考えそれに衣をつけていくというアプローチである。

日本企業のほうが投資は少ないが事業を大きく発展させるのは難しいだろうと感じた。特に東芝はボトムアップで受注したものを整理した印象が強く、日立のほうが社長が思想を持って動いていると感じた。

それ以外の日本企業は自分の得意分野をスマートシティという名前に結びつけているという感じで、大きく展開するイメージは無かった。その中で面白いと思ったのは積水ハウスの社長の話で、前半を聞いているときは「この人はビジネスアイデアは色々ある人だが、グローバルな視点は無い人だな」と思って聞いていた。ところが後半になると海外ビジネスの話しが次々と出てきた。日本で成功した技術やノウハウが海外の受注に結び付いているという話で、日本で良いものを作れば海外でも受け入れられる、という強い信念を持っている。30年前の電機業界の状態である。ハウス業界はまだ日本で成功すればそれを海外に持っていけるということが面白いと思った。

標準化の話も結構出てきた。日立と東芝の社長は標準化の重要性を強調しており、標準化に関わっている私としてはうれしい話だったが、どうも標準化でどう儲けにつなげるかというのは分かっていない感じだった。この点も分かっていると思ったのは日本IBMの社長で、彼はどこで他社と差別化し、どこで標準数べきかをきちんと押さえている感じだった。日本企業はなかなかIBMにはかなわないだろうと思う。

一番つまらなかったのはNEDOの理事長の話で、この人は実力も無いのに天下りしてきて組織に乗っかっているだけの人なのだろうな、と思った。

スマートシティには私も注目している。どこかで力になれないだろうかと思っている。