ウィトラのつぶやき

コンサルタントのウィトラが日頃感じたことを書いていきます

スマートシティの講演会

2012-11-02 19:33:50 | 東工大

今日はパシフィコ横浜で開催されているスマートシティウィーク行ってきた。展示会と講演会が併設されており、「企業トップが自ら発信するビジネス拡大宣言」という講演会を聞くことを主目的として来た。

パシフィコに横浜駅から歩いた。地図で見ると桜木町とそれほど変わらないのだが、実際に会議場に到着するのには20分以上かかった。途中歩いていて「みなとみらい」の発展に驚かされた。私のイメージにあったのはランドマークタワーと船の帆の形をしたインターコンチネンタルホテルと国際会議場、大観覧車があって他は工事中の平地という感じの地域である。この状態が結構長く続いたように記憶している。

それが、今回歩いてみると品川駅の東側に近いイメージで高層ビルが立ち並んでいる。いつこんなに高層ビルが増えたのだろうかと思う。品川ほど混雑していないが、いずれあれに近いイメージになるだろう。道幅も広く、片側2車線が普通、広い道は片側3車線あり、日本離れした感じがする。歩いていて感じたのは信号が多く待たされる時間が長いことである。いずれ幕張メッセのように2階で信号なしに歩ける歩道ができるのだろうが現在のところ工事はされていない。

それでもMM21は事業的に成功だと思う。羽田に近く地の利も幕張よりはかなりある。鎌倉などの観光地も近く、イメージも良い。神奈川県と横浜市がうまくやれば、副都心という位置づけになっていくように思う。後は自治体の力次第だと思う。

本論のスマートシティの講演会は面白かった。NEDOの理事長、東芝の社長、日経ビジネスの編集長、積水ハウスの社長、パナソニックの執行役員、日本IBMの社長、三井不動産の社長、富士通の副社長、日立の社長という錚々たるメンバーがそれぞれ40分ずつ自社のスマートシティに対する考え方を話す。これが無料なのだから主催者の日経も随分頑張ったと思う。

一番面白かったのが日本IBMの社長のドイツ人の人の話である。英語の講演だったが非常に聞きやすかった。IBMは日本の企業と考え方というか取り組み方がまるで違うと感じた。IBMでは将来の都市設計が重要なビジネスになると考えて世界の都市開発の動きのある2400の都市の問題点を分析して整理し、いくつかに類型化している。そして研究所に解決方法を検討させると同時に、プロジェクト提案をしていくつかをメインコントラクターで受注している。その際には自分たちで類型化したものをベースに、それぞれの都市の状況に合わせて提案書を作るというやり方をしている。

これに対して日本企業(プライムを狙っているのは日立と東芝)はとりあえず相手の要求を聞いて自分たちの持つ技術と持たないものは他の企業と組んで提案書を出す。受注したら全力で取り組む一方、そのいくつかの例を整理して類型化してパタンを作る。IBMは年をどうするかを考えるのに対して、日本企業は何が売れるかを考えそれに衣をつけていくというアプローチである。

日本企業のほうが投資は少ないが事業を大きく発展させるのは難しいだろうと感じた。特に東芝はボトムアップで受注したものを整理した印象が強く、日立のほうが社長が思想を持って動いていると感じた。

それ以外の日本企業は自分の得意分野をスマートシティという名前に結びつけているという感じで、大きく展開するイメージは無かった。その中で面白いと思ったのは積水ハウスの社長の話で、前半を聞いているときは「この人はビジネスアイデアは色々ある人だが、グローバルな視点は無い人だな」と思って聞いていた。ところが後半になると海外ビジネスの話しが次々と出てきた。日本で成功した技術やノウハウが海外の受注に結び付いているという話で、日本で良いものを作れば海外でも受け入れられる、という強い信念を持っている。30年前の電機業界の状態である。ハウス業界はまだ日本で成功すればそれを海外に持っていけるということが面白いと思った。

標準化の話も結構出てきた。日立と東芝の社長は標準化の重要性を強調しており、標準化に関わっている私としてはうれしい話だったが、どうも標準化でどう儲けにつなげるかというのは分かっていない感じだった。この点も分かっていると思ったのは日本IBMの社長で、彼はどこで他社と差別化し、どこで標準数べきかをきちんと押さえている感じだった。日本企業はなかなかIBMにはかなわないだろうと思う。

一番つまらなかったのはNEDOの理事長の話で、この人は実力も無いのに天下りしてきて組織に乗っかっているだけの人なのだろうな、と思った。

スマートシティには私も注目している。どこかで力になれないだろうかと思っている。