ウィトラのつぶやき

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3GPPの議長に就任

2011-05-12 08:46:03 | 昔話

1999年3月、第2回の3GPPの親会議であるTSG会合が開催され私は3GPP TSG-RANの議長に選任された。開催地はアメリカフロリダのFort Lauderdaleだった。当時のTSGが4つあり、それぞれTSG-CN(コアネットワーク)、TSG-SA(サービス、システム全体)、TSG-T(端末)、TSG-RAN(無線ネットワーク)の4つでドイツ人、デンマーク人、韓国人、そして日本人の私が議長に選任された。

議長選出は選挙で行われる。3GPPの選挙のやり方は独特で、一人ずつ選挙を繰り返す。3GPPの投票は原則としてどれかの案が70%を超える賛成を得るまで決定しないことにしているので時間がかかる。例えばこの時の副議長はそれぞれのグループで二人ずつ専任するのだが、まず一人目の副議長の選挙を行う。ここに5人が立候補したとすると、なかなか一人が70%以上を獲得するのは難しい。第1回目の選挙で上位2名に絞る。次に第2回目の選挙を上位2名で行いどちらかが70%を超えれば決まり。越えなければ第3回目の投票を行う。この時には尾は時候補者での2度目の投票なので得票の多いほうの候補者に決定する。選挙の場合には誰かを選任しなくてはならないので最後はわずかでも多い候補者に決めるが、技術議論の場合には2案が対立してどちらも70%を超えない場合にはどちらにも決定せず、標準としては成立しない状態が続く。

こう書くと、選挙のためにに何度も投票するように聞こえるが、実際には「勝てそうにない」と判断した候補者は辞退するので3度目の投票まで行うのはごくまれである。私の場合には根回しが効いていて、議長候補は私一人、副議長候補はフランス人とアメリカ人の二人で実質的に無投票で選任された。他のTSGもそれぞれ根回しが効いていて実質的には無投票だった。このフランス人の副議長は、2年後に私が退任したときに議長になるのだが、ヨーロッパのプロセスや、私が苦手なネットワーク系の話に精通していて大変助けられた。

RAN議長というのは無線に関わる全ての仕様を議決する責任がある。私は自分で無線技術に関しては詳しいと思っていたがネットワーク系の話がたくさんあり、こちらの分野に慣れるのが大変だった。しかし、議長として会議を仕切ること自体は1月2月のConvenorの経験でスムースに入っていけたと思っている。

こうして私の3GPP議長としての活動が始まった。


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