ウィトラのつぶやき

コンサルタントのウィトラが日頃感じたことを書いていきます

3GPPの議長を降りる

2011-08-12 14:57:12 | 昔話

2001年3月、私は2年間勤めた3GPPの無線グループの議長を退任した。私の後任には副議長であったフランス人の人が着任した。

私自身はその年の2月に辞令を受けて携帯電話端末を作る事業部に異動になっている。会議の最後に退任のあいさつをすると、皆が立ち上がって拍手をしてくれた。2年間の様々なことが思い出され、感無量だった。日本にいては到底得られないような貴重な経験をさせてもらったと思っている。特に私の場合には立ち上げの時期だったので、組織の仕組みを整備しながら技術論議を進めていく、というやり方でどういう人がどういう提案をしてどのように受け入れられていくか、ということがつぶさに感じ取れた。

日本だと誰かが制度設計してその上で皆が走るという感じが強いがヨーロッパでは皆で制度自体を作って行こうという気概を感じる。こういった点にヨーロッパの民主主義の深さというようなものがあるのではないかと思っている。

その後私は2007年の5月にNECを退職している。普通の人よりはやや早めの定年退職で個人としてのコンサルティング活動に入った。退職すると言えば「どこかの会社に変わるのだろう」と思われていた時に独立すると言ったので多くの人が驚いた。こうした選択をすることができたのも議長経験があったからだと思っている。「議長を続ければNECを早めに辞めることになるだろう」と思って議長を降りたのだが、それでも結果としてはNECを早めに辞めることになった。しかし、事業部での経験は私にまた全く違った知見を与えてくれたので、事業部に移ったことに関しては全く後悔していない。議長を続けていれば違った人生があっただろうが、自分の選んだ道自体には満足している。

「昔話」というカテゴリーで書き続けてきたこのコーナーはこれで打ち止めにしようと思う。事業部に言った頃に世界進出を目指したNECは結果として失敗し、国内事業に身を縮めたのだが、そのプロセスは「昔話」として語れるものではなく、現在につながっているものである。現在ももこの事業を引き継いで頑張っている人が多数いる中で、自分の思いを不特定多数の人が読むブログに書くことは不適切だと思っている。

何年か後に「もう良いだろう」と思える日が来れば再開するかもしれないが、それまでは「昔話」コーナーは凍結させていただく。


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