ウィトラのつぶやき

コンサルタントのウィトラが日頃感じたことを書いていきます

日本郵政、西川社長辞任

2009-10-21 05:56:48 | 社会
日本郵政の西川社長が辞任の記者会見を開いた。これで小泉元首相が始めた構造改革は完全に息の根を止められた感じがする。

小泉首相は郵政民営化に政治生命をかけていた。このテーマは彼にとってそれほど重要であり、実際に自分が首相になって強引に始めたにもかかわらず、彼は「なぜ民営化が必要なのか」を国民にきちんと説明していない。「小さな政府への入口」といったあいまいな説明したしていないのである。なぜだろう?

以下は私の想像である。

小泉元首相の郵政民営化の主眼は郵便貯金事業の透明化にあったと思う。銀行マンである西川氏を社長に持ってきたことがそれを意味している。郵貯は巨大な預金を集める大銀行であるにもかかわらず、その運用は一切明らかにされていない。企業に貸し出しをしたということは聞いたことがないので、国債を買うとか、何かの政府系の活動に対して融資をしていたものだろう。 ここに巨大な金が動く。日本の国債がここまで積みあがったのも、この郵貯が大きく関係しているのではないかと思う。

不透明な流れで大きな金が動くとなればそこに絡んで利権をむさぼる人たちもいるだろう。小泉首相はこの流れを透明化したかったのだろうと思う。 なぜそれをきちんと説明しないか? 

おそらく説明すると大変な問題になるようなことが内包されているのではないか、とこれも私の想像である。したがって自民党内部にも反対者がたくさんいた。だから小泉元首相は「自民党をぶっ壊す」と言ってみたり、「抵抗勢力」というレッテルをはったりしてそれを抑え込んだ。亀井大臣はそれで自民党を飛び出した人である。

西川社長はそれらの問題を承知の上で引き受けたのだろうと思う。今年の春に鳩山総務大臣が西川社長を変えようとしたときに、自民党内に反対勢力が大きく盛り上がり、やはり説明なしに西川社長ではなく鳩山大臣のほうを切ってしまった。郵政民営化を止めるのならともかく、別の人で推進するというのは耐えられないと思った人がたくさんいたからではないかと想像している。

民主党政権は日本郵政をJALのような特殊な会社にしたいらしいが、それが本音ではどういう目的かはわからない。単に自民党に反対するほうが国民の支持を得やすい政策だったからか、郵貯の流れを透明化するとまずいと思ったからか、小泉路線よりも良い方法を持っていると信じているからか、どれかだろう。今後の推移を見守るしかない。

これだけ大きな問題なのにマスコミはなぜ本質に切り込んで解明しようとしないのか。郵政民営化は地方の郵便局が減るとかいった小さな問題では断じてないはずなのに、マスコミの力不足をここでも感じる