ウィトラのつぶやき

コンサルタントのウィトラが日頃感じたことを書いていきます

人を喜ばせる金もうけと、人を困らせる金もうけ

2009-10-07 09:44:25 | 経済
私は以前から「投資を奨励し、投機を抑制する」というのが今の時代に打ち出すべき基本理念であると書いてきた。

この背景には、投資は付加価値をつけるものであり、基本的に世の中の役に立って利益を上げる行為であるのに対し、投機は基本的に世の中の役に立たない、買い占めなどはむしろ人を困らせて利益を上げるものである、という理解があるからである。

昨日のNHKのクローズアップ現代でパテント・トロールを取り上げていて、投機のほかにも人の役に立たない金もうけは色々あると感じた。パテントトロールの詳細は省くが、要するに特許訴訟の専門家集団が他人の特許を買い上げて、メーカーなどに特許訴訟をぶつけることによって利益を上げるビジネスである。

この番組を見てG20などが打ち出すべき基本理念は「世の中の役に立つ金もうけを奨励し、世の中の役に立たない、あるいは他人を困らせる金もうけを抑制すべきである」と変更したい。

パテントトロールだけでなく、訴訟の案件には世の中の人を困らせることで金もうけをしているケースは色々とあると思うからである。

役に立っているか立っていないかの線引きは極めて難しい。しかしこのような理念が明文化されていれば、「このような形の金もうけのやり方はおかしい」という社会的合意が得られれば当局が介入して税率を上げるとかいった方法で緩やかな抑制をかけることができると思う。

特許という制度はもともとは新しいアイデアを出した人よりも真似をする人のほうが利益をあげるためアイデアを出す人がいなくなることを防止するために考えられた制度である。しかし制度として固まってしまうと、その抜け道を利用して、海ことをして儲けようという人が必ず出てくる。

バブルの時の金融も同じだった。 今のG20の合意などは、いわゆる金融関係者が網の目をくぐるのを何とかして抑えようとしているように見えるが、抑えられれば次の抜け道を考える人が出るだろう。

それを禁止するのは無理だし、また禁止する必要もないと思う。ただ、そのようなやり方がどんどん大きくなってきたときに、「この儲け方は社会の役に立っているのか」と疑問を投げかけ、再検討する手段を作っておくことが大切だと思う