今日こんなことが

山根一郎の極私的近況・雑感です。職場と実家以外はたいていソロ活です。

1月25日は八甲田忌(2024)

2024年01月25日 | 歳時

震災が癒えぬ能登半島を含めた西日本に強い寒波が襲来している(九州でも積雪)。
かように、1月下旬は1年で最も寒い時期。

実際、日本の観測史上の最低気温(-41℃)を記録した(北海道上川)のは、明治35(1902)年の1月25日だった。

その記録的極寒の日、運の悪いことに、帝国陸軍青森歩兵5連隊は、八甲田山で雪中行軍を挙行し(出発したのは23日)、山中で強烈な寒波と猛吹雪に見舞われ、進路を見失って山中を彷徨い、210名中199人名の死者を出した(八甲田山雪中行軍遭難事件)。
※:不運というより気象情報の無視という情報的怠慢。伊勢湾台風が来ているときに伊勢湾に航海訓練に出るようなもの。何より事前にルートの下見をしなかったのが決定的な失策。

長年山をやっていた1人として、毎年この日を「八甲田忌」として、この世界最大の山岳遭難の犠牲者を悼むことにしている。

といっても私にできる事は、自室の仏壇に合掌することと、この出来事に思いを馳せるために、新田次郎原作の映画『八甲田山』を観るくらいだ(長いので2晩かかる)。

ただ今年は、24日までに、この出来事を題材にした伊藤潤の『囚われの山』(中央公論新社)を読んだ。

新田次郎の『八甲田山死の彷徨』以来の小説化であるが、そこは当然意匠を異にして、現代の雑誌編集者を主人公にして、彼がこの遭難事件の新たな謎に挑む要素を加えた二重構造のストーリーになっている(もちろん新田次郎の本も映画もいずれも創作が混じっている)。
事件の真相については、本書解説の長南政義氏による当時の陸軍の事後検証のまとめも参考になった。


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